野菜に関する怪情報を探る

テレビや書籍、ホームページなどから、野菜に関する記載について疑問に感じたことを綴るつもりです。

松永和紀さんの講演を聴きました

2008-02-16 14:25:52 | Weblog
 地元で科学ライター松永和紀さんのセミナーがあったので参加させていただきました。最近では「メディアバイアスーあやしい健康情報とニセ科学」という、このブログを書く上でも参考にさせていただいている本を出版され、食にまつわる大衆の情緒的な誤解に対して、正面から科学的視点で切ってすてる文章にはいつも感心しております。
 今回の講演においても、農薬入りギョーザ事件について実に見事に解説されておりました。1.中国産食品の食品衛生法違反数が多いのは、単に輸入量が多いからであり、特別に中国産が危険なわけではない。2.今回の事件は、毒性の強さから野菜の残留農薬由来ではないと報道された当初から考えた。3.農薬検査は抜き取り検査するしかないので、仮に検査態勢を充実させたとしても、故意に毒物を混入させた場合には検出できる可能性は極めて低い。ついでに、検査充実の世論の後押しで、お役所が人員増をねらっているのではないかとも。
 全くその通りだと思います。我々も、中国で農薬をじゃぶじゃぶかけている映像を、「輸入野菜は危ないので、自給率を上げないといけない」というイメージキャンペーンに利用しがちですが、慎まないといけませんね。
 先日も、ある青果物流通関係の方から電話で大演説を頂戴しました。農薬は悪、硝酸も悪、だから有機は善、有機ならミネラルなどあってものすごく体にいいはずという盲信のもとで語られ、科学的にお応えしようにも、ガンとしてはねつけられ、お互いに不信感のみが残る不毛の時を過ごしました。
 野菜については、硝酸悪者論で書いた本の方がインパクトがあり一般受けするのは事実です。篤農家ですばらしい野菜を作るSさんの本が正しいのか、農文協から出版されている「硝酸塩は本当に危険か」越野正義(科学者ではあるが肥料屋)訳が正しいのか、両方読んで判断いただきたいと思います。なお「茶一杯で硝酸塩を過剰吸収」などと無茶苦茶な分析データを示しているKさんの本(T新書)は問題外だと考えています。
 松永さんの非常に分かりやすい講演に、我々も野菜を商品として扱う方に正しい情報を提供していかねばならない責務を感じた次第です。討議の席で、松永さんにテレビ番組を買い取ってでも情報を博く大衆に伝えて欲しいという意見がありました。無茶な注文するよりも、本を買ってベストセラーにすればメディアも注目するはずです。テレビ番組は視聴率に支配されますが、視聴者は報道のあり方に賛同するからその番組をみているわけではありません。本の場合は、著者の主張が正しいと考える場合には大いに購入して部数を増やすことによって、一般の方の考えがメディアに伝わるものと期待します。