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Fate/stay night 24話 全て遠き理想郷 を語る

2020-01-09 22:33:35 | ■アニメレビューとか
山口祐司監督が亡くなったと聞き、居ても立っても居られなくなり、
ずっと果たせていなかったSNの最終回の記事を書くことに。
山口さんは自分が幼少のころ多大な影響を受けた『勇者王ガオガイガー』を始め、
色んな作品に関わっていますが、
中でも初代Fateは自分が大好きな作品でした。
恐らくブログ開設以降1番見返した2クール作品なので、
非常に思い入れもあり、見ながら山口監督の動向をいつも頭の隅に置いていたので、
非常に残念です。

ご冥福をお祈りいたしますと共に、
このような作品を手掛けてくれたことに感謝してもしきれません。

本作はヒロインであるセイバーを大事にした作品という印象が強く、
最終回も気合が入った絵が多く、
最後まで見て本当に良かったと思えるシリーズとして気に入っていました。
今はufotableを始め、各社がFateシリーズを手掛けていますが、
どうしてもこの最初のシリーズから離れなれないのは、
ひとえにこの最終回があったからに他なりません。

以下いつもの感じの感想記事。




全て遠き理想郷。
最終回で好きな1カット。
ギルガメッシュがアヴァロンの宝具の解説をしてくれますが、
その時のセイバーは斬撃を放ったポーズを崩さない。
どんな攻撃も通さない無敵の守り、
宝具名「全て遠き理想郷」ですが、
この姿こそがそれだと体現しているようで非常に印象的。
不自然な格好であるからこそ、またセイバー自身が語らないからこそ、
ギルガメッシュが解釈したその胸の内を体現するようで。
BGM名が「孤独の巡礼」なのも引っかかる感。



触らせるのも決してあなたの物にはならないという、
セイバーの宝具を通しての主張からかな。
敗北してから髪型が変わって態度も急変しますが、
誰の物にもならないという儚さを愛でるギルガメッシュの姿もまたグッときます。

ギルガメッシュが散った後で言峰と士郎側へと移りますが、
そこでピアノだけだったBGMが重層的になり、
BGMによって10年という時間の歳月をかみしめる言峰の心情を厚みを持って端的に描いていてGOOD。
タイトル的な引用、シーンとのマッチ感を含め記憶に残るシーンになっています。




やり取りの中の前中後。
引きのシーンでは背景が歪んで、
戦いの中での歪みや異界的な画面になっており、
セイバーも斬撃のポーズを崩さない。

しかしギルガメッシュが散る間際には剣を降ろした姿になり、
画面からは歪みもなくなっている。
ギルガメッシュに対して最後まで敵対的だったセイバーですが、
散り際に見せたであろう表情、動作は見て取れず。
BGMと共にギルガメッシュの鎮魂的な雰囲気を醸し出しますが、
セイバーはどうギルガメッシュを送ったのか、
またギルガメッシュは最後のセイバーの変化を見ることができたのか。
そういう狭間があるのも個人的には魅力的なシーンでした。



話は変わってバトルシーン。
最終回は作画も平均の比ではなく突出していて、
それだけでも非常に新鮮な回。
セイバーがアヴァロンを発動させてギルガメッシュの宝具を跳ね返す一連。
エフェクトや地面が割れるブロック感など目を引くカットが多いですが、
結構撮影処理でボケた感じに。



跳ね返したエフェクトの軌跡がそのまま視線誘導に。
エフェクトが構図を作るという非常に恣意的な構図ですが、
相手に向かっていくセイバーの道行が見やすい。


いつもよりより深く上体を降ろしたポーズ。
この一連もアクションの動作が大きく目を引くカット。




対して宝具を放つのに振りかぶるセイバー。
ギルガメッシュがアンダーなポーズに対してセイバーは上段から。
セイバーが振りかぶる際に青い閃光が舞っていますが、
それを追い抜くように画面に突っ込んでくるセイバーが印象的。
光を追い抜くような勢いと青い閃光の作る、
ファンタジックな画面にグッとくる。



斬撃。
エクスカリバーはビームを出すのでは、とは思いつつも、
画面に向かってくる剣やマルチカットで見せる斬撃がカッコいいです。
セイバーの目を印象付ける閃光の線がまた印象的です。


打ち終わって斬撃の衝撃による風が遅れて吹く。
望遠で見せるように横切る砂塵とSEが決着の余韻を印象付けていて、
これもまたグッとくる。


ギルガメッシュ戦のあと、最後の宝具を放つ前後。
OPと被せるような演出で、
セイバーの姿を大事にしていることが伝わってくるようなカット。
剣の輝きがこれまでの戦いの追憶的な、
これで最後になるという万感の思いを託すような、
OPが語る物語の終わりがここであることを象徴する形が最終回の絵として非常に印象的。





OPを意識したロングショット。
太陽の光を一身に浴びるセイバーはその光に背を向け、士郎を見る。
そしてその光の全てを士郎が受け取る。
セイバーがこれまで歩んできた軌跡とそのドラマを印象付ける形でここもまた非常に印象的なシーン。
ギルガメッシュの時とは違い、
ここでは明確に士郎に胸の内をさらけ出しているのもグッときます。





ED。
幻のようなあの日々がよみがえる、
という歌詞と合わさるように1話からの映像が流れてくるのがまた話の積み重ねを意識させてくれてグッとくるんですよね。最終回でそれまで描いてきたことの決着とこれからの日常を描いているからこそのEDだと思います。
セイバーの出るカットは歌詞と合わせるような印象が強く、その儚い姿にグッときます。
そして最後にぬいぐるみが出ることで、セイバーがいたのは夢や幻ではなく、
その気持ちも記憶も決して嘘ではない、
運命的で揺るがないものは確かにそこにあったんだという描き方が非常にハマっていて良いですね。
回想から最後に現実に戻ってきてこれを見せてくるところにグッときます。

そしてセイバーの存在を含め「全て遠き理想郷」というサブタイトルがハマっているのがまた非常ににくい演出で自分は好きです。

OP1の絵コンテは原作イラストレーターの武内氏によるものなので、
セイバーの描写に関しては注文が多かったのだろうなという感じですが、
それを踏まえた形での最終回は非常に美しく、記憶に残るものでした。


シリーズとして優れた作品や絵的にも演出的にも優れた作品は多く、
よく比較されるufotable版も正にそのような作品ですが、
しかしシリーズを追っていくことで得られる感動があった、
最後まで見てよかったと思える作品もやはりあるはずで。

現実的にすべてのアニメを見るのは無理ですが、
しかしこういう作品もあったというのを念頭に置くと、
やはり見なければ、と思わされる。

自分に本当に大きな影響を与えてくれた作品でした。
またこのような作品が見れることを楽しみにまたアニメを見ていきたいところです。

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