平和エッセイ

スピリチュアルな視点から平和について考える

(16)『週刊文春』が伝える米国食肉処理場の実態

2006年02月03日 | 食の安全
狂牛病(BSE)と狂鹿病(CWD) (16)

先週発売の2006年2月2日の『週刊文春』の記事から紹介します。(現在発売中の2月9日号にも米国産牛肉が、メキシコ産としていつわって輸入されている疑惑についての記事がありますが、これについては1月19日の投稿で触れています。)

タイトルは「検査は骨抜き、アメリカ牛は背骨付き」です。

・カリフォルニア州の大手精肉工場を訪れたジャーナリストの椎名玲氏によると、従業員の大半が英語が理解できず、作業を教育するシステムもない。手を切るなどの事故が多発している。チェーンソーでカットするとき、脊髄の髄液が肉に飛び散ることがある。機械でぎりぎりまで肉をそぎ落とすので、危険部位の神経組織が混じる可能性がある。

・昨年6月、デンバーを視察した山田正彦議員によると、月齢チェックは、18歳に満たない女性従業員が、6秒に1頭で流れてくるつるされた牛肉を目で判断している。除去すべき部位を知らない従業員も多い。

・昨年12月の日本側調査団は、orbit(見て回る)しただけで、inspection(査察)していない。米農務省は日本側に〔都合のいい場所の〕見学しか許していない。

・EUは成長ホルモン剤の使用を理由に、1999年から米国産牛肉の輸入を一切禁止している。(※この問題についてはあとで取り上げます)

・オーストラリアの食肉工場では、輸入国のロシア、中国、マレーシア、グアテマラは1年ごとに、米国は2年ごとに、本国政府の検査官が来て監視している。日本は一度も来たことがない。

・EUは北海道産のホタテを輸入禁止にしたが、EUの検査官が抜き打ち検査をしたときに、工場にカモメが飛び込んできて、糞を落としたから。買い手が生産者に厳しい注文をつけるのは当然。

1月23日に私は、「現在、徹底しなければならないのは、全頭検査ではなく、20ヶ月以下の牛も含めて、特定危険部位の完全な除去なのです」と書きましたが、これは撤回させていただきます。作業中に「脊髄の髄液が肉に飛び散る」のであれば、特定危険部位でない肉でも、プリオンに汚染されている可能性があるからです。

極端な言い方ですが、今日では牛肉はフグと同じような食べ物になりつつあるのかもしれません。フグをさばくためには、それなりの訓練を受けたフグ調理師の資格が必要です。ところがアメリカでは、資格のない素人がフグ(牛)をさばいているようなものです。フグ毒はすぐに判明しますが、狂牛肉がヤコブ病になって現われるには潜伏期間があります。

日本の食料の自給率はカロリーベースで40%にすぎません。60%は海外からの輸入です。それが大甘の検査で日本人の口に入っているのです。牛肉だけの問題ではありません。