・・ 歓声で 息を吹き返したミガ。
ヤンの腕の中で 笑みを浮かべ、涙をみせ 自由の歌に 声を合わせた。
「約束は守った。 砲声と鐘とラッパの響きの中、故郷に帰れるんだ・・・
助かったのだ・・」 こういうや、ヤンは歓声を上げた。
内城からは 号砲が矢継ぎ早に鳴り響いた。 町を取り囲む塁壁内からは、太鼓が鳴り始めていた。・・
そうして 喧騒を打ち消すように、歓声は高らかに鳴り響いた。
神よ われらが主 我らが盾 われらが砦 !
神よ! われは 御身に 頼みます 見捨てたもう なかれ
永久に 感謝し 信仰に 身をゆだね 御身にお仕いします
打ちかかる暴虐は 追い払いくださいますよう・・・
W. Raabe: Die schwarze Galeere
Reclam ebd. S.55...
ラーベ「黒いガレー船」より ⑶
・時は1599年、16世紀後半の出来事。
この大航海時代の覇者スペインの支配下から、独立と解放に向けてのなかの一挿話である。
オランダの若き許嫁 ヤンとミガの苦難と希望が描かれた。
そして 青年ヤンの活躍により、祖国オランダの勝利。
スペインの支配からの独立・解放。
のみならず、許婚のミガが、スペイン軍の若き中尉による横暴と虐げ、そして 絶望に陥るのを救済し、神への感謝と信頼により、前途に 希望を見出してゆくのである。
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