野球が好きな人、嫌いな人、松井秀喜が好きな人、嫌いな人。両方ともどうでも良い人、当然いるはずです。
しかし、この「不動心」を読んで、当然、野球のことが良く書かれていますがそうでない大切な「言葉」がいくつもあり、私も今まで知らなかったこと、知っていて実行しなかったこと。身の引き締まる思いであっという間に読み終えてしまいました。少しこれに触れたいと思います。この「はじめに」というのがありますが、目頭が熱くなりました。仕事、受験、対人関係、僕だって(松井)あります。でも悩み苦しむ人が少しでも僕のブレーで勇気を持ってくれればこんな幸せなことはありません。(中略)
「松井秀喜ベースボールミュージアム」にこんな言葉があります。
「日本海のような広く深い心と、白山のような強く動じない心」これが彼の原点だと言います。彼は怪我で多くの人に支えられ、日本人学校に計6校、1,625人、移動距離424,4kmここで彼は子供達にパワーを貰った。
あの怪我直後ピンストライプのユニフォームは一刻の治療の為にハサミで切り刻まれた。ルース、ゲーリック、ディマジオら名選手の袖を通したピンストライプがジョキジョキ切り裂かれ、「おい!!俺の大事なユニフォームに何をするんだ!!やめろ~!!」と叫びそうになった。彼には誇りがあった。救急車もの凄い速度で車中は揺れて痛みが増す。「痛い!!」でも、冷静に考えると医師にも救急隊員の方も一刻の手術のため、「失礼」と気付く。
「俺はヤンキースの一員なんだ」と。あの名プレーヤー、ジョー・ディマジオの言葉がヤンキースタジアムのクラブハウスからグラウンドに向かう途中にこう書かれている。
I want to thank the Good Lord for making me a Yankee Joe DiMaggio(ヤンキースの一員になれた幸運を神に感謝したい) (ジョー・ディマジオ)
怪我の後、日本から1本の甲高い声の電話が鳴った。長嶋さんからだ「松井!これから大変だけどな、リハビリは嘘をつかないぞ!!頑張れ!!いいな松井!!」脳梗塞で本人がもっと厳しい立場にいるのに・・・
中学時代、松井がバットを叩き付けて投手をにらみ、コーチに殴られる。星陵、山下監督から台湾遠征で叱られる。「マナーもトップクラスになれ!!『知・徳・体』の三拍子揃った選手になれ!!」
ゴジラ命名は日刊スポーツの女性記者。「もっと可愛いニックネームにしてください」「あら?ゴジラって可愛いじゃない」このニックネームはもう知る方は皆知っている。このあだ名が今や松井の原動力。でもいじめで「親しみのないもの」は傷つけることを教わった。松井は天才でない、だから努力をする。ただ以前も「自分でコントロール出来るものはするが、出来ないものはしないことだ。だから練習をする」試行錯誤もする。あのAロッドはタンパ入りが一番で朝7:00~練習し、相手がヘたばるそうだ。
食生活は「まごわやさしい」を守っているようだ。お母さんがとても松井一家の食事に配慮しているのは有名だ。幼少の時それがなければ、今の自分はないという。
父、昌雄さんの半紙に書く言葉は決まって「努力出来ることが才能である。」これは加賀の硲 伊之助さん(洋画家、陶芸家)の言葉らしい。
あと、これはビジネスでも度々使われる言葉だが、「心が変われば行動が変わる」「行動が変われば習慣が変わる」「習慣が変われば人格が変わる」「人格が変われば運命が変わる」松井は運命が変えられるなら努力は惜しまない男である。
《恩師は凄い!! 》
医師からまだ打撃の許可も出ていないDL中タンパのリハビリ室にトーリ監督が入ってきた。「ドクター、ドクター!マツイがさっきバット持って勝手に打撃練習してたぞ!右に左にスゴイ打球飛ばしてたぞ!」その場がドット沸いた。「マッツーイ、今日スタメンいけるか?」冗談にも気遣いがあると実感する。誰よりも早くグラウンドへ。そして、いつも「「自分達のやれることをやろう」「グラウンドに出たら持っているものを全部出し切ろう」「自分たちを信じてプレーしよう」トーリ監督の留任が決まり、今度の世界一の監督にさせる決意が高まった。ジーターのチームをまとめ、どんな場合でも動じない「平常心」にも尊敬すると言う。
長嶋さんもNYに行っても「松井バット持って来い」とホテルに呼ばれスイング音を聞く。いついつまでも師弟関係なのだ。「野球というスポーツは人生そのものだ」
王監督は「僕から野球とったら何も残らないよ、松井君もそうじゃないの?」と仰られたそうだ。
あまり書きすぎても仕方ないのですが、最後に松井秀喜はこう言っている物置小屋で黙々とトスをしてくれた父、トスマシンを購入してくれた父、いつも激励の手紙をくれる父。今の礎になっていることを感謝していると言う。そして、「松井家を支えているの母だと思う「舵取り役」母の笑顔と存在が『太陽のように道を照らしてくれている』と。一杯の家族愛と尊敬する恩師、チームメイト、支えてくれる裏方の人、そして何よりもファンのために、松井秀喜の「不動心」は2007年世界一へと導いてくれるに違いない。
私は、新潮社のセールスマンではないが、冒頭でも記述したように人生においての素晴らしいヒントがたくさん書かれた本でした。