これまで当ブログでは、石原慎太郎候補がよりマシな候補者であるとして述べてきました。よりベターな候補者は石原氏以外にはいません。
しかしながら石原都政を批判したい人の気持ちもよくわかります。いろいろと強制されることも多いとお感じの人も中にはいるでしょう。
だから、石原知事でもなく、今立候補している対抗候補でもなく、「自然主義経済を実現する都知事候補」がいればいいのですが、いないので我慢しているわけであります。
そこで、反石原の人たちに言いたいことは、「浅野史郎候補よりは吉田万三候補のほうがいい」ということです。
ハッキリいって、どうせ二人とも落ちることが見えているので、どうでもいいといえば、いいのですが、選挙終了後に、二位が吉田候補になっていると、石原知事の今後の都政のありかたも変わるだろうし、民主党もまた反省するかもしれないからです。
吉田氏が共産党であることを頭からはずさないと多くの都民は難しいとは思いますが、これにはこういう理由があります。これは、吉田氏の長所よりも、浅野氏及び民主党東京都連の短所に基づいています。
まず都議会民主党という会派は、石原慎太郎知事の提出した議案・予算案などに全て賛成しています。都議会では与党であったのに、無理して自民党と戦わなければならないので、なんとか候補者を擁立したわけです。これは四年前の樋口恵子氏の都知事選擁立のときも同様です。
したがって東京五輪にも都議会民主党は賛成しています。しかし、浅野氏は東京五輪には反対しています。昨日から浅野候補は、民主党を前面に出して戦うようになり、推薦状こそないものの、もはや完全に民主党です。
一方、同様に自民党も民主党につられて、石原知事を前面に応援に出るようになりました。
まず、浅野氏が知事になったら筋の通らない事がたくさん出てきます。
筋を通すために仮に都議会民主党が浅野東京都知事にあわせることとします。
都議や系列区議・市議による政治活動での矛盾は、単に彼らの生活のためであるから、はずすとして、われわれ都民生活にとって、政策的におかしな事、公約・マニフェストが実行されないことが多く起きます。
浅野都知事誕生後、都議会民主党、東京・生活者ネットワークなどが与党になります。都議会には社民党も国民新党もありませんから、これだけです。そうなると少数与党になります。過半数に達していないので、自民党か公明党の賛同がなければ、浅野知事の提案する議案はとおりません。
石原慎太郎氏も、最初に当選したときは、自民・公明の明石康氏を破って当選したため、知事就任後にさまざまな苦労をしています。自らの秘書を副知事として人事案を提出しましたが、二度だったか三度だったか否決されました。結局、可決までに1年かかっています。そして、だんだんと自民党と公明党が軟化してきて、与党となり、民主党もしだいに石原都政に対して与党化していったのです。
浅野氏が宮城県知事に当選したときも、相乗り候補者を破っての当選です。しかし、東京都議会と宮城県議会が違うのはその有権者の性質から生まれる議員の特徴です。
宮城県の場合、当然いつものように相乗りの候補者が当選すると考えていましたが、浅野氏が当選してしまいました。宮城県は、仙台を除けば、すべて農村といってもいいです。だから浮動票の嗅覚が非常に劣っています。とくに自民党議員は麻痺しています。ただ組織を固めれば選挙に勝てると考えます。
しかし、東京の自民党は度重なり民主党への敗北を喫しており、小泉首相のような総裁であるのならば、菅直人選挙区以外の場所では、ひとたび全勝するということなど、肌身に感じています。
東京都議会の場合は、西多摩郡で選出される二名と、島嶼部で選出される一名を除く約120議席は都市部の選出ですから、浮動票にとても敏感です。
なので、宮城県の場合は、知事になった人間に議会が従ったほうが得策と考えます。田中康夫長野県知事ぐらいまで、大きな改革をしようとする場合は不信任を出しますが、浅野宮城県知事の場合は、通常考えられる緩やかな改革であるために、知事不信任案提出にまではいたりません。
だから、浅野氏が宮城県知事になっても、知事就任直後から自民党も公明党もなびくわけです。
しかし、東京都の場合は、都知事選挙と東京都議会選挙が2年ズレていることもあるし、浮動票には敏感であるので、非常に都民の意識を気にします。都知事が自分の応援した候補者じゃない人がなっていることによって、その日からなびくことは許されません。都議選までの2年の間に徐々に与党化させていくテクを使うわけです。
浅野氏が東京都知事になると、自民党からしてみれば現職の知事を落とさせてしまったわけだから、当然なびくことはしないでしょう。与党化するまで2年以上かかるかもしれません。
そして民主党の中には、石原寄りの考えを持った人もいますから、都議会民主党からは離党者も出てくるでしょう。石原知事のままであるのならば、一つであったものが、浅野知事体制になると分裂していきます。とくに板橋区の土屋さんあたりはまず出て行くでしょう。
そして都議会民主党の最大の欠点は、議員が「自民党に入る機会がなかったから民主党にいる」にすぎない人たちばかりだからです。だから非常にもろいのです。したがって、都政をどうしようという考えもありません。ほとんどが建前といっていいでしょう。いかに自分が目立つか、いつ次の衆議院議員選挙に出ようかということしか考えていません。これは自民党にも言えることですが。
そうなると浅野氏の提唱する情報公開も福祉もできなくて、それ以前の問題が起きます。なにしろ、都議会民主党は石原知事に対して、全ての議案を賛成してきているということが大きな痛手です。
東京五輪は浅野氏が反対し、都議会民主党が賛成しているということについて、どうするつもりなのか、彼らは何の解答も持ち合わせていません。
民主党はその存在意義を失い、浮遊しています。これをハッキリと都民は意思表示すべきだと思います。
石原都政に反対するのであれば、浅野氏という考えは間違っています。結局、浅野氏では都政運営は不可能だからです。
それは浅野氏が宮城県に多く残した借金。これは浅野氏は、国の命令によってしかたがなかったと言っているようですが、国にモノ言えない人は都知事になる資格はありません。石原氏は、国にズケズケと逆らってきたわけです。むしろ、国に対して「首都をおいているのだから、財務省は東京都に税金を納めろ」ぐらい言える人でないとダメです。
浅野氏は厚生省出身であるために、県にはモノがいえるが国にはいえないということです。
浅野氏が東京都知事になったら、情報公開が徹底的になされるようになるでしょう。都庁の役人はおびえながら都政にあたることになるでしょう。そして、浅野氏は質素倹約な生活を送ります。石原知事のようにヨットやクルーザーを乗り回したり、一本小説を書いたら何百万も入ってくるような生活を知りませんので、とてもきれいにガラス張りになるでしょう。国家公務員という安月給(誤解があるようですが、公務員の給与はきわめて安く退職金・カラ出張などの使い方に問題があるのです)で生きてきた人ですから、大きく変わります。
しかし、それを都政に反映できるだけの力が準備されていないのです。浅野氏は共産党ほど強行でもないので、いつのまにか、知らないうちに、自分ではこれでいいと思いながら、知らず知らずに役人寄りになっていき、都民も都政の関心が薄くなって、誰も気付かなくなる・・・なんてことが起きるでしょう。故・青島幸男前知事のときはまさにそうでした。
石原知事は、いろいろと創造的なことをどんどんやっていて、都政を飽きさせません。
だから、どうせ反石原票を投じたいのであれば、吉田氏に投票する事をおすすめします。なぜなら、吉田氏は足立区長であったときは、強行であったからです。
なぜ共産党の候補者が足立区長選挙に当選できたかといいますと、あの当時1996年、足立区役所が豪華庁舎として作られた中、選挙が行われました。
足立区民は豪華庁舎に対しての反発したものの、かといって庁舎建設に唯一反対したきた共産党には当選できるだけの力はありませんでした。
しかし、当時永田町では日本社会党が分裂し、現在の社会民主党と新社会党になりました。このうち新社会党が共産党と共闘し、自民党側は二つに分裂。このため、そのまんま東のように、保守分裂のあいまをくぐって当選したわけです。
その後、社民党と東京・生活者ネットワークが協力し体制ができました。しかしながら少数与党でどうにもならず、区政運営は停滞。野党である自民・民主・公明の三党は徹底的に吉田区長と戦いました。
三年後の1999年、区議会の任期満了ギリギリに野党の自民・民主・公明は区長不信任案を可決し、吉田区長は、報復として区議会を解散させました。その後の議会再選挙でも再び野党三党が勝ち、吉田区長は失職するわけです。
失職後の区長選挙では、野党三党に社民党とネットも加わった候補者・鈴木恒年元助役が立候補して、吉田前区長を破って、今日にいたっています。
つまり、吉田氏は区政をめちゃくちゃにした人で、再度の選挙では区民からも不信任をくらった人なのです。
これと同じようなことが都議会に起きたらどうなるでしょうか。吉田さんを知事不信任後の選挙で、再び知事には選ばないかもしれませんが、いかにお金の力に支配されてきているということがわかると思います。
つまり豪華庁舎を批判しただけでは、何も変らないということを足立区民は知ったわけです。これと同じように浅野さんのように情報公開をしても、何も変らないということを知るべきなのです。福祉だってそうです。福祉のためには財源が必要です。その財源を立て直したのは石原知事です。(しかし、もっと先のことを言えば石原都政でも行き詰まります)
この「お金の仕組み」を肯定する以上は、石原知事以外にはないと思うのですが、われわれはその一歩先を考えていますので、これではダメだと思っています。
しかし、お金の仕組みを肯定しながら、石原都政を批判する場合は、浅野さんか吉田さんに委ねて、それがいかに停滞を招くかということを知るために必要であると思います。
しかし、浅野さんの場合は、政策実行にいたるまでの武器が揃いません。知事就任後もいっこうに揃わないでしょう。吉田さんの場合は、都議会がめちゃくちゃになり都議会の解散が予想されます。
また、吉田氏が二位で落選することによっても、石原知事は「民主党に対しての圧勝」を感じて、矛盾だらけの都議会民主党は無視することになるでしょう。民主党本部も自分たちがなぜ政党として存在していかなければならないのかということを真剣に考えるようになるでしょう。
そして、共産党に迫られる事で、石原知事はもっと襟をただすと思うのです。民主党に迫られても、屁とも思わないでしょうから。