難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

被災難聴者への相談支援(2)

2011年07月10日 09時56分38秒 | 東北地方太平洋沖地震
被災している聴覚障害者への支援は、ろう者だけではなく、難聴者、中途失聴者も同じように支援を必要としている。
岩手県、福島県の難聴者組織の会員の状況からみて、当然協会会員以外の難聴者も支援が必要なことは把握されている。

どのように支援するか、個別的なケースワークとグループワークの段階的支援を行っていくことになるだろう。
簡単に言えば1つは個別的な傾聴。もうひとつはグループによる交流の場を設ける。
最初は難聴者の組織で集まってもらい、その中でアセスメントをする。

誰が支援するか、難聴者自身が傾聴することが大切。また難聴者を理解した専門家(難聴者自身あるいは心身障害者センターの専門家)も必要となる。
これは継続的支援のためにも地域の社会資源につなげることが必要と思われる。

宮城県にも中途失聴者の支援をされている心身障害者センターがあるが、そうしたところとの連携も考える。

難聴者へのアセスメントやケースワークの留意点として、ろう者と違って、情報保障体制を整える必要がある。
被災地では、磁気ループや筆談ボードなどがないことが想定される。
個別支援にせよ集団支援にせよ、Tコイル付き補聴器、磁気ループの配置、要約筆記の配置などの環境・体制を持ち込まないといけない。

通訳の派遣については、対人支援の考えを身につけた要約筆記者でなければ権利擁護に直結する支援の通訳が出来ない。
被災地でまだ要約筆記者として養成された要約筆記者がいない場合、自治体に登録された要約筆記者の派遣が必要になるだろう。

ラビット 記
※回転寿司で回っているフェアトレードの珈琲。

被災難聴者への相談支援(1)

2011年07月10日 09時16分49秒 | 東北地方太平洋沖地震
よく言われる「中長期の支援」という中に、心のケア、生活支援、就業支援が重要な柱になる。

「相談支援」というのは、地域生活支援事業の相談支援事業のことを指す。
実施要項別記1の別添1を参照
http://www.jupiter.sannet.ne.jp/to403/hourei/chiiki.html#bt1
(このurlは地域生活支援事業の理解の参考になる)
下記にあるように、心のケアだけを行うわけではない。

【別添1】
障害者相談支援事業
1 概要
 市町村は、障害者等の福祉に関する各般の問題につき、障害者等からの相談に応じ、必要な情報の提供及び助言その他の障害福祉サービスの利用支援等、必要な支援を行うとともに、虐待の防止及びその早期発見のための関係機関との連絡調整その他の障害者等の権利擁護のために必要な援助(相談支援事業)を行う。
2 実施主体
 市町村(必要に応じ複数市町村による共同実施、運営については常勤の相談支援専門員が配置されている指定相談支援事業者への委託可)
3 事業の具体的内容
(1)福祉サービスの利用援助(情報提供、相談等)
(2)社会資源を活用するための支援(各種支援施策に関する助言・指導等)
(3)社会生活力を高めるための支援
(4)ピアカウンセリング
(5)権利の擁護のために必要な援助
(6)専門機関の紹介
(7)地域自立支援協議会の運営 等

こうした相談支援を行うものは一般的相談支援と専門的相談支援に分かれ、後者を行う職員として、社会福祉士、精神保健福祉士、保健婦等が位置づけられている。相談支援をソーシャルワークとも言う。

聴覚障害者に対する相談支援事業は、ろうあ者に対して手話で意思疎通の出来る相談支援者が少なかったことから問題解決が出来なかったり、遅れていた。難聴者に対する相談支援は一般的相談支援が行われている。
が当事者の専門的な支援の取り組みは少ない。
ろう者自身が上記資格を持ったものが集まって組織を作ったのが日本聴覚障害者ソーシャルワーカー協会。
難聴者のソーシャルワーカーも少ないが十人前後いるのではないか。


ラビット 記