東京勤務、田舎暮らし Can you imagine 2-hr commute for one way ?

生まれ育った田舎に暮らし、毎日2時間かけて東京の下町へ。
オタク第1世代の会社員 「たぬきねいり」 のささやかな日常。

定型と創造

2010年09月15日 | オタ話

内田樹氏が『街場のメディア論』の中で盛んに「定型」に対する警鐘を鳴らしていますが
どんぴしゃそんな話を少し前に漫画で読んだのでそんな話のご紹介。

島本和彦先生の『吼えろペン』という業界内輪話的漫画の中の1話。

熱血漫画家、炎尾燃(ホノオモユル)先生と
漫画のシナリオを作ることが上手になってきた新人の出版社の編集部社員、
池面(イケメン)との話。

池面のシナリオが上達するにつれ炎尾先生は自分でプロットを考えるのが面倒になり
大筋を池面に委ねてしまう。そんなある日後輩漫画家に池面のシナリオが人気はとれる
が陳腐であることを指摘され、自分の愚に気付き池面のシナリオを燃やす炎尾のシーン。

池面 「冗談じゃないですよ!!人気は何よりも大切です!!プロなんだからーーっ!!」

炎尾 「そうだ…キミはそれでいい!!それを言うのが編集の仕事(つとめ)!!」
    「だがマンガ家は、そんなチャチな事柄にしばられていては仕事はできん!!」

池面 「納得できませんっ、そんな考え!」

炎尾 「納得できなくて当然!! だからおれたちは組んでいるんだ!!
    『組む』ことに意義があるんだよ!!」

目先を売るために現在売れている定型でストーリーを考える出版社の社員と
創造的な作品を作ることを本能的に求める漫画家が
現場で折り合いをつけるのは実際良くあることかもしれませんね。



この他にもこの『吼えろペン』、別の回には
やむを得ず他人の漫画家の作品を強引に作ろうとする話の中で

「マンガってのは個性(オリジナリティ)を確立するのが難しいんですよ!
それゆえ誰かが一度確立した個性をそっくりマネしたマンガを描くってのは、
存外簡単なことなんですよ!」

なんて台詞もありました。

これは内田氏のいうところの「定型」とは微妙に違うかもしれませんが
「定型」のひとつの形でしょう。

確かに「定型」ってものは怖いものだなぁって思いました。

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