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世界の中の日本

なぜスキャンダル当事者を法相に、不思議の国の韓国

2019-10-01 18:27:32 | 日記

なぜスキャンダル当事者を法相に、不思議の国の韓国

  
武藤 正敏        
 
2019/10/01 06:00
 
 

(武藤 正敏:元在韓国特命全権大使)

 韓国は良く分からない国である。日本とは共通する面は多い。もともとは漢字文化圏にあり、儒教を学んできた。戦後はともに民主化を成し遂げ、法治国家となった。また、戦後急速な経済発展を成し遂げた。

 しかし、今韓国で起きていることは、日本人にとって理解しがたいことが多い。

こうした点について、私なりの見方を書いてみたい。なお、基本的な韓国理解のためには、小生が執筆した、『日韓対立の真相』(2015年)、『韓国人に生まれなくてよかった』(2017年)、『文在寅という災厄』(2019年、いずれも悟空出版)をご参照いただきたい。

日本では考えられぬ「スキャンダル当事者」の法相起用

 日本人にとって理解しがたい点の筆頭は、なぜ文在寅大統領はスキャンダルまみれの曺国氏を法務部長菅(法相)に任命したのか、ではないだろうか。

 文在寅大統領は、曺国氏の法相任命式において、

「本人が責任を負うべき明白な違法行為が確認できないのに、疑惑があるというだけで任命しないなら悪しき先例となる」

「曺氏には政権の最重要公約とする検察改革を進める役割がある」と述べた。

 しかし、曺氏には子弟の不正入学疑惑、妻の私文書偽造疑惑、曺氏一家の投資ファンドをめぐる疑惑、父親の経営する学院の工事費をめぐる裁判疑惑、これらを隠ぺいした疑惑など数多くの疑惑がある。

これまでの政権では、子供の不正入学だけで、閣僚を辞退した人は何人もいたはずである。

そもそも、法相は法の番人である。

これだけ不正疑惑のある人を任命するなど日本ではまず考えられない。しかし、文在寅氏は任命を強行した。

その背景には、これまでの文氏の政治手法と強いかかわりがある。

大統領の権限は非常に強い。

例えば、文政権の財閥叩きによって韓国で経済活動がしにくくなっているにも関わらず、

財閥が文政権に表立って反発しないのは、青瓦台にとって気に入らないことをすれば、税務調査、衛生調査など政権からの嫌が

らせがあるので、あくまでも表向き従っている姿勢を示しているのである。

 曺氏に対する国会の聴聞会では曺氏任命に賛成する報告書は出ていない。

しかし、これまで文氏は16の閣僚級任命について国会の同意なしに行っている。

しかも、現在与党は国会で過半数を有していない。

これができるのは、一つには韓国大統領は、国会に出席を求められていないためである。

文政権は国の3権を掌握し、言論もうかつには批判できない。このため、思うままに国政が動かせるわけである。

しかし、政権が一旦弱みを見せれば、これまで沈黙していた反対派の声が大きくなり、政権は弱体化する。これを防ぐためには、あくまでも強気の姿勢を示しておく必要があるということである。

曺国氏の任命は、文在寅氏にとって大きな賭けである。

仮に、曺国氏の違法行為が明らかとなり、逮捕、訴追されることになれば、文氏への打撃は計り知れない。これからも検察と政権の攻防は続くだろう。

文在寅大統領への支持率は回復傾向

われわれ日本人にとって不可解な第二点は、これだけ疑惑の多い人物を法相に起用し、連日国内マスコミでもそのスキャンダルが大々的に報じられながらも、文在寅大統領の支持率が回復傾向を示している点だ。

曺氏の任命後も、その疑惑の水準はますます高まっており、韓国国内の報道を見ると、その疑惑は妻に対するものから明らかに曺氏本人に対するものに変わりつつある。

それにもかかわらず、9月23~25日に世論調査機関リアルメーターが実施した世論調査では、文大統領に対する肯定的評価が先週に比べ3.3%上がって48.5%、否定的評価が2.7%下落した49.3%だったという。

リアルメーターはこの変化の要因について、曺国氏の自宅に対する11時間の家宅捜索はやりすぎとの批判、文大統領の国連での平和外交などを挙げている。

しかし、家宅捜索が長引いたのは、曺一家の証拠隠ぺい工作があったためとも言われているし、国連での外交はそれほど成果があったとは考えられない。

そもそも、韓国では国民の40%がそれぞれ堅い革新層と保守層に分かれ、浮動層は20%と言われる。

その見方に倣えば、残り20%の浮き沈みで判断すべきで、文政権の支持率が依然40%を維持していても、40%ぎりぎりでは浮動層はすでに支持していないと判断することもできる。

それにしても支持率が回復したというのは謎である。

韓国の世論調査は、年代によって革新、保守の支持が分かれるので、保守を支持する高年齢層の人が調査機関からの電話を受けても丁重に断るようである。

しかも調査に対する回答率も政権に近い方が高いという。

また、現在の政局は政権対検察、革新対保守の対決になっているため、革新系の形勢が悪いとなると、革新系がより団結するという側面もある。

「検察による捜査のやりすぎ」を批判したかった政権側にとっては、このような調査結果が出ることを望んでいたのは間違いない。

いずれにせよこれまでの韓国の世論調査を見ていると、政権が望んでいる結果となっている。曺国氏を任命する前、任命の可否を問う世論調査が僅差になったこともあった。

 実際、こうした国内の世論調査の結果に、文政権は勢いづけられているようだ。

 文大統領は国連総会からの帰国後、

「検察が何の干渉も受けず全検察力を傾けて厳正に捜査しているにもかかわらず、検察改革を要求する声が高まっている現実を、検察は省察するように願う」とのコメントを発表し、検察の動きを強くけん制した。

 これを受け28日午後、主催者発表で80万人の曺国支持集会が開かれた。

参加者たちは全国各地から観光バスをチャーターして集まってきたというから、おそらく各地で支持者が動員されたのだろう。文大統領のコメントが「動員力」を強めたに違いない。

 今後、検察の捜査に危機感を覚えた政権側の反撃が始まってくる。そうなれば、世論調査の結果もさらにその動きを反映したものになって来るだろう。

ただそれが、韓国世論の平均値とズレがある可能性があることを、われわれ日本人は認識しておいた方がよいだろう。

日本には嫌がらせ、中国には恭順

 韓国について不可解に感じる三点目は、日本に対しては嫌がらせを繰り返す態度と、中国に対する対応とがあまりにも違うという点だ。

 最近の韓国の日本に対する嫌がらせとも思える行動は目に余る。例えば以下のような点だ。

・IAEAの総会で、東京電力福島第一原発の放射能物質を含んだ処理水の処分をめぐって、韓国代表は「汚染水問題は未解決で世界中で恐怖と不安が増大していると発言した。

・来年の東京オリンピック、パラリンピックへの旭日旗の持ち込みを禁止するよう求め、パラリンピックのメダルは旭日旗を連想させるとしてデザインの変更を求めた。

・日本の輸出管理強化をめぐってWTOに提訴した。

・国連で文在寅大統領は、国名を上げなかったものの、「過去への真摯な省察の上で、自由で公正な貿易の価値を守る」ことを求めたが、韓国のメディアによればこれは日本への事実上の非難メッセージであるという。

日韓関係は、これまで紆余曲折があり必ずしも、一本調子の改善ではなかったが、

両国外交当局間でこれを解決してきた時は、国民感情を刺激しない問題をまず解決し、その後により難しい問題に取り組んで来たものだ。

しかし、現在の文政権はあらゆる問題で日本に攻撃的な姿勢を取ってきている。これは日韓関係を改善しようという姿勢とはかけ離れている。

 日本に対する態度とは対照的なのは中国との関係である。

中国は在韓米軍によるTHAAD(終末高高度防衛ミサイル)の配備に対し、強硬に抗議し、韓国製品のボイコット、韓国の中国進出企業に対する嫌がらせ、韓国旅行の制限措置を繰り返した。

しかし、韓国はこれに対する対抗措置は取らず、むしろTHAADの追加配備はしないなどの約束をした。

また、領土問題についても、中国は国策研究で高句麗は中国の地方政権と主張し、韓国の反発を招いたが、盧武鉉政権の頃に手を握り、うやむやにしている。

この違いはどこから来るのか。韓国は儒教を信奉する国であり、漢民族に倣うことを理想とし、中華と蛮族をはっきり区別している。

満州族である清に従うことを潔しとはしなかったが、自分たちは小中華であると納得させ中国の伝統に従ってきた国である。

その韓国が日本に併合されたことはどれだけの屈辱であったか。

その思いがあるから、日本には執拗に謝罪と反省を求めるのである。

そして、その過ちを繰り返さないとして日本には必要以上に反発するのである。

韓国にはこれまで、「日本が韓国を植民地支配してきたから、日本は反省し、韓国の立場を尊重すべき」という暗黙の思いがあった。

それを打ち破ったのが金大中大統領である。

「日本は戦後、血と汗を流し、多大な努力を重ね、民主主義国になった」と認めたことで過去とは決別したのである。

しかし、後を継いだ盧武鉉大統領は再び日本の軍国主義を持ち出した。

文在寅大統領は日本が「歴史問題について謙虚になれ」と言い続けている。

「日本がこれに応じなければ、韓国はこれを正すためあらゆることをする」という論理になるのである。

 今後韓国と日本の関係が健全なものとなるためには、日本が民主主義国となったという現実を客観的に受け止めてもらうことが肝要である。

韓国は民主主義国家で法治国家なのか

 こうした韓国の状況を見ていると、こんな疑問が浮かんでくる。果たして韓国は「民主主義国家」なのか、そして「法治国家」なのか、という疑問だ。

 文在寅政権になり、民主主義と相反するような行動として、以下のような者があった。

・文政権は曺国氏任命をはじめ国会の同意を得ない任命を既に17件行っている。

・徴用工問題では日韓請求権協定の合意を無視した。

さらに、2015年の慰安婦に関する合意も反故にした。

そのいずれも発端は最高裁判決、憲法裁判決である。

司法を隠れ蓑に条約、国際約束を平気で破る国といかに付き合っていくか。

しかも、拙稿で何度か述べたので詳細は繰り返さないが、この判決には文在寅大統領の意向が大きく反映されている。

・文大統領の内政上の最大の課題が「積弊の清算」である。

そもそも、積弊の清算は大統領の就任演説にはなく、演説では大統領選挙で自分を選ばなかった人も含めすべての国民の大統領になるといっている。

しかし、就任後最初に手を付けたのは、保守政権の業績否定という「積弊清算」だあった。

戦後の韓国経済の最大の成功例「漢江の奇跡」について、李承晩政権から朴正熙政権という保守政権時代の業績であるということから、その事実を教科書から削除してしまったのだ。

それほどまでに保守政権を嫌悪し、歴史に異常なまでの拘りを見せる文氏は、自ら率先して歴史の「改ざん」をしているのである。

 積弊の清算は、「親日」の清算も伴う。戦前日本に協力した人を親日としているが、こうした人々は漢江の奇跡の立役者でもある。

 このように国の分断を図る大統領が、民主主義を信奉する国の大統領とはとても思えないのである。

 文政権は今後革新政権を20年続けることを目標としている。

そのために行っているのが、韓国政治の改編、国民の思想の変革である。

 現在韓国の行政府と政府関係機関の幹部は革新系の政治活動家が占めており、文政権への忠誠を誓っている。

加えて、国家の権力機構である、国家情報院、検察・警察、国防部などの改革を通じ革新政権の基盤を固めようとしている。

言論機関も息のかった者を幹部に入れ、労働組合の圧力とともに、政権への批判を封じ込めようとしている。

残るは検察であり、これを改革すれば、文大統領に楯突くものはいなくなるという状況である。

 現在、世論調査でも明らかなとおり、文政権を支持するのは30代から50代前半にかけて、革新政権下で教育を受けた人々である。

したがって、文政権で若者の教育を牛耳ることで長期革新政権に基礎がつくれると言う訳である。

国防白書から、北朝鮮が敵国だという記述を取り除いたことが典型であるし、漢江の奇跡を教科書から削除したのもこの流れである。

 このまま革新政権が長く続けば、日本としても韓国との関係は考え直さざるを得ないであろう。

なぜ大統領は退任後不幸な境遇になるのか

 文大統領が検察改革を急ぐ理由の一つが、盧武鉉大統領が自殺に追い込まれたように、大統領が退任後不幸な境遇に陥っているのを防ぐためと見られている。

しかし、大統領の退任後の境遇が検察権力の政治化だけのせいであるとは思えない。

 そもそもこれまで述べてきたように、大統領には絶大な権力がある。

その権力へのつながりを求めて、多くの人が寄ってくる。

これまでの大統領の中にもこれを反省してクリーンでいようと努力した大統領もあったが、大統領がダメなら、その息子に近づいて来る。

韓国では「ウリとナム」という言葉がある。

これは身内と他人ということであり、家族は大統領と一帯と見られている。大統領に権力がある間、大統領周辺の不正は暴かれることがない。

しかし、大統領がレームダックになる、さらに退任して権力が弱くなると一斉にこれまで従ってきた人が反発してくる。

特にそれまで甘い汁の圏外にいた人が攻撃してくる。

このため、前政権が叩かれるのである。その時、検察も新政権に寄り添った取り締まりをしてきたという面はあるであろう。しかし、原因を作っているのは「強すぎる大統領」と言うことが出来るだろう。

 韓国の大統領にはチェックアンドバランスが有効に働かない。

国会で答弁に立つことはない。行政、司法を抑えている。

言論機関も、大統領の言うことを聞かざるを得ない。経済界も反発できない。

韓国が本当の意味での民主主義国家になるためには国政のチェックアンドバランスが有効に働く仕組みを作る必要があるのであろう。

     

 

           

「日本による植民地時代に韓国が土地と食糧を収奪されたという韓国史教科書の著述は歪曲されたものだ」

2019-10-01 17:57:51 | 日記

李 栄薫(イ・ヨンフン、1951年9月10日 - )は大韓民国の経済史学者。ソウル大学経済学名誉教授[1]落星台経済研究所所長。経済史学会会長・韓国古文書学会会長も務めていた。

研究内容[編集]

  • 安秉直李大根らと李氏朝鮮時代から現代にかけての韓国の経済史を研究している。
  • 教科書の著述は歪曲されたものだ」という主張を提起し、「私たちが植民地時代に特に植民地支配下の朝鮮経済の研究で知られ、「日本による植民地時代に韓国が土地と食糧を収奪されたという韓国史ついて知っている韓国人集団的記憶は多くの場合、作られたもので、教育されたものだ」としている[6]
  • 北朝鮮に対して極めて否定的であり、「民主主義市場経済に基づく南の国家と、筆者が見たところ韓国史がかつて経験した国家的農奴制の再来に等しい、国家理性の発達水準が支配階級首都に集住した高麗時代へと後退したようにすら見える、北の国家と一つになるという突飛な国家工学が国民大衆からあれだけ広範囲かつ献身的な支持を引き出していることは、ある有能な政治指導者の巧妙な大衆操作のせいでしかないとは言い切れず、有史以来、韓国人は一つの共同民族体だったという、どうやっても証明できない神話怪力としか説明しようがない[7]。」
  • 自由民主主義に立脚した統一の原則が明確に示されないまま、南北朝鮮のトップが互いに抱き合っている写真を幾度となく見せつけ、あたかも統一の日が迫っているかのように語られています。その統一とは、いったい全体、誰のための統一でしょうか。統一するのであれば、まずは北朝鮮の首領体制が解体される必要があるという批判は教科書にはみえません[8]。」と述べている。
  • 民族問題研究所親日人名辞典編纂委員会が第2回親日人名辞典を発表したのを受けて「日帝時代に文明について学習した人たちや、韓国に現代文明を根付かせた人物たちをすべて否定するものだ。結果的に現代の韓国に生きる自分たちの歴史を否定するという矛盾を内包している」と述べた[9]
  • 「朝鮮後期の土地所有の基本的な構造と農民の経営」という論文で1985年に博士号を取得している[2]
  • 「解放前後史の再認識」の編集に参加し、その内容の概略を「解放前後史の再認識特講」として、2006年6月に韓国教育放送公社ラジオで放送した。2007年、それを3倍の分量に増補してキパラン出版社より『大韓民国の物語 解放前後史の再認識講義』を出版する。同書は2009年文藝春秋社から『大韓民国の物語』として翻訳出版された。
  • 趙廷来の作品『アリラン』について、「商品化された民族主義[10]」の事例として、批判をおこなっている[11]
  • 佐々木潤之介の「アジアの革命の主体として貧農が歴史的に形成され、発展してきた過程を追求することが、アジアの革命の時代を生きている歴史学徒に付与された任務」という内容の論文を読んで大きな感銘を受け、経済史学者としておこなうべきことを発見したと述べている[1]
  • 2013年に出版した自由民主主義市場経済韓国憲法秩序を基礎にした正統史観で李承晩などの建国勢力と朴正煕の産業化勢力などを叙述した『대한민국 역사』(大韓民国歴史)において、左派が李承晩や朴正煕など建国・産業化勢力を蔑視し、共産主義金日成北朝鮮政権を美化するイデオロギーを拡散させていることについて反論しながら、成功を収めた韓国の現代史を浮き彫りにさせ、右派の現代史の確立に新たな地平を切り開いたことが評価され、全国経済人連合会(ko:전국경제인연합회)が主催する市場経済対象著述部門大賞受賞者に選ばれた[12]
  • 2016年2月26日韓国大統領直属国民大統合委員会の「和合と共生フォーラム」委員長に就任[13]
  • 「これまでの常識に固まった誤った歴史を正してきた努力」(授賞理由)の功労が認められ、2016年に自由経済院(ko:자유경제원)が選定する第3回自由院賞を受賞した[14]

評価[編集]

日本における評価[編集]

  • 永島広紀は、李は韓国近代経済史研究におけるトップランナーの一人であり、「かつての民族至上主義的な右派とは明確に一線を画する保守論客」と評している[15]
  • 小倉紀蔵は、李は著名な歴史家の一人であり、「真に勇気のある韓国人がここにいる、という感じだ。これまでは歴史について韓国人がどんなに声高に語っていても、つねに『民族』に遠慮している。『民族』をこわがっている。『民族』の代表者になってしまっている。『個人』の意見を堂々と語っていない。そんな印象を受けていたからだ。もっと自由に語ってもいいはずなのに、できなかった。」と評している[16]
  • 三輪宗弘九州大学教授)は、李の著書『大韓民国の物語』は高邁かつ知的レベルが高いとしたうえで、「李栄薫の知性勇気自由な発想に敬意を払いたかった」「韓国の歴史清算の動きに敢然と立ち向かった知性と勇気」「偽りの歴史で過去を清算し、断罪するようなことがまかり通る国には未来はないという、韓国に対する愛国心が満ち溢れています。」「聡明な頭脳」「李栄薫の寸鉄の鋭きを持ち合わせたレーダーは、韓国の病理をスクリーンに鮮やかに映し出してくれます。」「李栄薫の保守主義が本物であると私は思いました。錦の御旗の正義感を謳う研究者とは質が違うのです。」「日本と韓国の歴史認識が共通の基盤に立てる可能性を引き出した、勇気と知性に満ちた本書に出会え、日韓の歴史認識が怨念から事実に基づいた史実の解明につながる日が近づいたと感じました。」「韓国の民族主義を批判するのは李栄薫教授グループの知性にお任せし、いや韓国の良心にゆだね」「素晴らしい歴史家」「江戸時代の天才棋士本因坊秀策の華麗な打ち回し」と称賛している[17]
  • 鈴木琢磨毎日新聞編集委員)は、これほどの実力を持った知識人が日本では知られておらず、ようやくという感じだという。そして、事実を堂々と開陳され「痛快」の極みであり、委縮していた脳みそが伸びるような、凍っていた歴史が春の日差しに融けだすかのような初めての体験であり、とびきりの上等の教養人であり、専門馬鹿ではなく、知的でユーモラス、同胞を愛しながら溺れず、視野が広く、自らの言葉で歴史を語る感覚は、司馬遼太郎と通じる部分があるという。そして、放っておいたら重症になるかもしれない歴史問題という風邪を退治したい純粋な一念、日本にも広がっているその風邪を翻訳という形で往診に来てくれて慶賀にたえないと評している[18]
  • 下川正晴は、「いつも本質的な話をする、勇気のある学者」と評し、李の著書『大韓民国の物語』を「韓国に関心のある日本人は、ぜひ読まれた方が良い」と推薦している。なお、永島広紀が翻訳して文藝春秋が出版したのは、下川が韓国外国語大学客員教授を務めていたときに紹介したという[19]

韓国における評価[編集]

  • 慰安婦について「従軍慰安婦は売春業」「朝鮮総督府が強制的に慰安婦を動員したと、どの学者が主張しているのか」などの挺身隊関連の発言に対し、韓国挺身隊問題対策協議会(常任代表申蕙秀)から教授職辞任を要求された[20]。最終的に元慰安婦に対し、2004年9月にナヌムの家にて韓国式の土下座(地面に額を押し付け屈服の意を表明する)をした上で謝意を伝えつつ「日本に協力した多くの韓国人がおり、植民地解放以降も女性たちの性の搾取が国家により行われてきたため、それを正すことが必要」との自身の見解を述べたが、元慰安婦らに数十分におよび罵倒された[21]

補助金不交付変わらず、文科相 「不自由展」再開でも

2019-10-01 17:50:03 | 日記

補助金不交付変わらず、文科相 「不自由展」再開でも

 萩生田光一文部科学相は1日の記者会見で、国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」が再開されても、同芸術祭への補助金を不交付とした文化庁の決定は変える必要はないとの認識を示した。

 「(愛知県の)補助申請手続きに不適切な行為があったということで不交付を既に決めている。方針を変える予定はない」と述べた。不自由展の再開については「実行委員会の判断を尊重する」と述べた。

 芸術祭実行委と不自由展実行委は9月30日、従軍慰安婦を象徴する少女像などの展示内容を変えずに不自由展を再開することで合意した。

(共同)

 萩生田光一文部科学相

 萩生田光一文部科学相

"自由を愛する韓国人"が失望する文在寅のウソ 反日政策を使って親北政策を隠す

2019-10-01 17:07:48 | 日記

"自由を愛する韓国人"が失望する文在寅のウソ     反日政策を使って親北政策を隠す

PRESIDENT Online  

あたかも韓国全体が「反日」かのような誇張

結論から言うと、ソウルは平穏で日本料理店には韓国人客があふれ、ビアホールではアサヒビールが飲まれていた。

ただ、反日はテレビと新聞の中、国会の中、日本大使館前だけで激しく展開されていた。

これは私がソウルの日本大使館に調査員として勤務していた1982年の第一次教科書問題以来、

ずっと同じで、日本のマスコミが韓国の政治家の発言とマスコミ論調を紹介し、

大使館面の反日パフォーマンスを報じるので、あたかも韓国全体が反日で燃え上がっているかのような誇張が日本に伝わる。

ただし、今回の反日がこれまでと異なるのは、青瓦台(せいがだい、大統領官邸)が先頭に立っておあっていることだ。

青瓦台の実力秘書官がSNSなどで連日、反日扇動を行っていることが特異な現象だ。

曹国(チョ・グク)大統領民情首席秘書官(7月26日に交代。法務長官起用説がある)が今回の反日の中心人物だ。

彼はSNSで、「親日は利敵で、反日は愛国だ」という過激なメッセージを発信した。

民情首席秘書官とは検察、警察、司法など法執行機関を担当する次官級の役職だ。

その人物が親日は「利敵」だと明言したことの意味は重い。

韓国は違った国になろうとしている

青瓦台の反日扇動に合わせて、反日パフォーマンスやデモを主導しているのは、やはり親北左派活動家らだ。

日本商品のラベルを踏みつけるパフォーマンスを主導したのは、北朝鮮主導の暴力革命を目指しているという理由で朴槿恵(パク・クネ)政権によって解散させられた極左政党・統合進歩党関係者だった。

「NO安倍」プラカードをかかげる反日ろうそくデモも、朴槿恵弾劾デモを主導した極左労組などが主導している。

私は、文在寅(ムン・ジェイン)政権になって日韓関係だけが悪くなったとは思っていない。

韓国がこれまでの日米韓3カ国同盟、自由民主、市場経済、反共という路線から外れようとしており、それが日韓関係にも反映していると見る。われわれと付き合ってきた韓国とは違う国になろうとしている。

北朝鮮の政権が半島の中で正統性があると考える「主体思想派」(主思派)が南で権力を掌握した。その結果、今までの路線から抜け出ようとしているのだ。

大統領府秘書官の半分を占める主体思想派

80年代に地区の革命運動に広がり90年代には学界、言論界、教育界、芸能界、労組、市民運動などに急速に拡大していった主思派がいまでは大統領府秘書官の半分を占めるようになった。

本来は冷戦が終わり、社会主義勢力は衰退していくはずだが、民族主義が媒介になったため、そうはならなかった。

70年代は朴正煕(パク・チョンヒ)大統領の独裁的なやり方に反対し、韓国は経済も豊かになったのだから、独裁を緩めて、民主化した方が北朝鮮の共産主義勢力との戦いで有利になるのではないかという民主化要求が起こった。

ところが80年代になると「正統性」の議論になった。

韓国よりも北朝鮮の方に正統性があるという見方が急速に広がったのだ。

その媒介になったのが『解放前後史の認識』という本だ。80年代の学生で読んでない者がいないくらいのベストセラーになった。

同書は解放の45年から大韓民国建国の48年までを扱っている。

李承晩(イ・スンマン)政権は親日派を清算せず、日本時代の官僚や軍人、警察官をそのまま使ってスタートした親日派政権だ。

彼自身は外国で活動していて、実際は銃一発も撃ってない。

一方、同書には明記されていないが、その主張の延長線上で、金日成(キム・イルソン)は銃をとって戦い、親日派も清算している。

民族主義の観点から南北どちらに正統性があるかという指摘にまで到達する。

韓国はさらにその後、親日派が親米派に化け、独裁政権となった。だから韓国の現代史は汚れた歴史だという捉え方だ。

「親日勢力の排除」こそ正しい歴史とする思想

文在寅が、大統領選挙の時に出した『大韓民国が尋ねる、文在寅が答える、完全に新しい国』という選挙公約を書いた書籍では「大韓民国の主流勢力を取り換える」と繰り返した。

その主流勢力とは「親日勢力」のことだ。

同書にこう書いてある。「親日勢力が解放後にも依然として権力を握り、独裁勢力と安保を口実にしたニセ保守勢力は民主化以後も私たちの社会を支配し続け、そのときそのとき化粧だけを変えたのです。

親日から反共にまたは産業化勢力に、地域主義を利用して保守という名に、これが本当に偽善的な虚偽勢力です」。

主流勢力とは彼らに言わせれば親日派であり、それが化けたという、反共派、親米派、開発勢力だ。これらが清算されていないのだと。だから全部を交代させてこそ、初めて歴史が正しく打ちたてられる、

と主張している。同書の副題が「完全に新しい国」とされていることに、文在寅大統領の思想が表れている。

だから前任大統領を2人も刑務所に入れ、最高裁の前任長官も「徴用工判決を遅らせた」として逮捕した。彼らからすれば主流勢力を交代させる革命なわけだ。

保守派から反日批判の声が上がり始めた

保守派リーダーの趙甲済(チョ・ガプチェ)氏は「文在寅政権は現在、反日政策を使って、

①自分たちの親北政策を隠す

②韓米日三角同盟を弱体化する

③韓国の主流勢力を親日派として攻撃する――という一石三鳥を狙っている。

無条件の反日は反逆であり、是々非々の親日は愛国だ。

今の機会に、韓国国民は、日本が韓国の敵なのか友人なのか、真実と国際法と国益の立場からきちんと概念整理をしなければならない」と先に紹介した曹国氏の親日利敵論に正面から反論した。

そして「自由韓国党の黃教安(ファン・ギョアン)代表が文大統領や与野党代表らと会談して、日本の措置を不当な経済報復だとして、政府与野党が協力して日本に対抗するとする文書に署名した。

保守新聞の朝鮮日報も社説で反日には与野党の違いがないという趣旨を書いた。

なぜ、文政権が65年の日韓請求権協定に違反していることが関係悪化の原因だと直言しないのか。

日本や米国の自由を愛する友人らが失望しているはずだ」と強く警告した。

文在寅政権が約束違反をしていることが日韓関係悪化の原因だという趙甲済氏のような正論は、キリスト教系全国紙「国民日報」、自由韓国党の元議員ら、在野保守リーダーから発信されている。

そして、戦時労働は奴隷ではなく、日本企業に賠償を求めた判決は歴史的事実を誤認しているうその判決だとする根源的反日批判の声も学者らから出てきた。

韓国の学界や司法界はみんなうそを主張している

李栄薫(イ・ヨンフン)ソウル大学前教授は大胆にも、韓国の学界や司法界はみなうそを主張していると激烈な批判を展開する。

「韓国の歴史学がどのようなうそをついてきたのかを列挙すれば限りがない。

うそは主として20世紀に入り、日本がこの地を支配した歴史と関連してむやみに横行している。

総督府が土地調査事業を通じて全国の土地の40%を国有地にして奪ったという教科書の記述はでたらめな小説だった。

植民地朝鮮のコメを日本に積み出したという教科書の主張は無知の所産だった。

日帝が戦時期に朝鮮人を労務者として動員し、奴隷として酷使したという主張は悪意に満ちた捏造(ねつぞう)だった。

うその行進は日本軍慰安婦問題にいたって絶頂に達した。

憲兵と警察が道端の処女を拉致したり、洗濯場の婦人を連行して慰安所に引っ張って行ったという多数韓国人の通念はたった1件の事例も発見されていない真っ赤なうそだった」

「うその学問がうその歴史を書いて若い世代に教えてすでに60年だ。その教育を受けて育った世代がついに最高裁判事にまでなったので、この国の司法府がうその裁判をすることはそれほどおかしなことではない」

「うそをつく社会や国家は滅びるのが歴史の法則」

同氏はさらに続ける。

「日本製鉄が原告に賃金を支払わなかったという主張は成立しない。

強制貯蓄をうんぬんする判決文自体がその点を立証している。

賃金は原告に伝達されていなかったなら舎監(しゃかん)が犯人だ。

要するに該当事件は原告と舎監の間の民事事件だ。

最高裁判事は歴史家ではない。

当時、戦時期の実態について何も知らない法律家にすぎない。

彼らは原告のうその可能性が大きい主張を疑わなかった。

彼らもやはり幼いときからうその教育を受けてきたためなのだ。彼らは国際人道主義を実現する、というあふれるばかりの正義感と使命感で判決を下した。

そのためにこの国と国民がどれくらい大きな代価を払うのかは眼中にもなかった。

うそをつく社会や国家は滅びることになるという歴史の法則が、このようにして少しずつ実現しているのかもしれない」

このような正論が、韓国保守の中心勢力である第1野党や保守新聞から発信される日が来るのか。

あるいは少数意見として反日扇動に埋もれてしまうのか。韓国が自由陣営に残れるかどうかの最後の戦いが進展中だ。

 

弾劾請求より重要な韓国社会の深刻な亀裂

2019-10-01 16:46:01 | 日記

韓国を知る                                                  木村幹

弾劾請求より重要な韓国社会の深刻な亀裂

2019年06月13日(木)18時10分
 

<文在寅大統領弾劾、というセンセーショナルな報道は伝えなかったが、韓国の請願制度は、主張が異なる相手を尊重しない激しい対立の象徴だ>

「文在寅大統領への弾劾請求が成立」──衝撃的な見出しが一部のメディアに躍ったのは今年5月末の事だった。

このニュースを受けて、日本のメディアの一部ではあたかも朴槿恵前大統領同様、文在寅政権が弾劾ですぐにも崩壊するかのような記事さえあった。

 だがこれらの記事をよく読むと、実態は全く異なる事がわかる。
 
まず韓国憲法の規定により大統領が弾劾される為には、大きく二つの手続きが必要である。
 
一つは国会による弾劾決議で、その為には大統領が「職務執行において憲法又は法律に違背」していることが必要である。
 
弾劾案は国会議員の三分の一以上で提議され、三分の二以上の賛成で承認される。
 
そしてもう一つの手続きが、憲法裁判所の審判である。この裁判所が弾劾の有効性を認めて大統領は初めてその職を失う事になる。

過去にこれらの手続きにかかった大統領は二人。

2004年の盧武鉉への弾劾は国会での弾劾こそ成立したが、その有効性が憲法裁判所により否定された。

この二つの手続きを経て正式に弾劾されたのは2017年に失職した朴槿恵ただ一人となっている。

議院内閣制における首相の解任とは異なり、大統領制における大統領の弾劾はそのハードルが著しく高い。

議院内閣制における首相は議会により選任される存在であり、故に議会は信認を取り消すことによりいつでもこれを解任する事ができる。

それ対して、大統領制における大統領は国民から直接選任される存在であり、故に議会はこれを自由に解任する事ができない。

だからこそ議会は大統領を弾劾するに当たってはその行為の違法性を証明せねばならず、その証明の妥当性が裁判所によって審査される事が必要になる。

弾劾手続きが始まる可能性は皆無

そして今回の事例である。韓国憲法の規定によれば、弾劾を提起出来るのは国会だけであり、その手続きにおいて国民の請願等は規定されていない。

そもそも今回の請願は国会に対してではなく、大統領府に対して行われたものである。

もちろん、大統領府及び大統領には自らを「弾劾」する権限は存在しないから、ここから「弾劾」に関わる手続きが直接開始される可能性は存在しない。

そもそも大統領が、国会に対して自らの行為の違法性を示し、「弾劾」を促すくらいなら、自ら辞任した方が早いに決まっている。

それでは今起きている事は何なのだろうか。

発端として、この「請願」がどういう制度で行われているかが重要である。

ここで言う請願制度は2017年8月、文在寅政権が米ホワイトハウスの請願制度を真似て作り上げたものであり、これによれば大統領府のホームページに対して行われた請求が20万人以上の賛同を集めた時には、政府が何らかの「回答」を行う事になっている。

今回「成立」したのは、この請願である。故に行われるのは、大統領府がこれに「回答」する事だけである。

とはいえ、請求が20万人もの支持を集めた事は大きなニュースなのではないか、そう思う人もいるかも知れない。

しかし、それは単に今日の韓国大統領府への請願がどの様になっているかを知らないだけである。

 

例えば、2019年6月10日現在、20万人以上の賛同を得て請願が「成立」し、大統領府からの回答待ちになっているものは全8件ある。

賛同者数の第一位は大統領に対抗する保守で第一野党の「自由韓国党」に対する解散請願で、賛同者は実に180万人を超える。

第二位は、逆に大統領を支える与党「共に民主党」の解散請求で、この賛同者も30万人以上である。

文在寅の弾劾請求はこれらに続く3位で、賛同者は約25万人。

当然の事ながら、大統領府それ自身には政党を解散する権限など存在しないし、また議会の大半を占める二大政党が、違法行為の認定もなく解散されることなどあり得ない。

今日の韓国の大統領府に対する請願がいかに中身のない、進歩・保守両勢力の誹謗中傷合戦の場に過ぎないものになっているかがわかる

主張は互いに全否定

それは、現在最も早い速度で賛意を集めている請願の内容が「北朝鮮に米を送るなら、与党議員も一緒に送ってしまえ」というものである事からもわかる。

そこでは請願の内容が実現するかどうかは問題ではなく、相手に対するネガティブキャンペーンを行う事、それ自体が目的になってしまっている。

そしてこの大統領府に対する請願の実態からは、今日の韓国の民主主義が抱える異なる種類の、そしてより深刻な問題も幾つか見えてくる。

その一つはこの社会における、進歩・保守、より分かりやすく言えば左右勢力の極端な対立状況である。

請願の状況からもわかるように、今日の韓国における左右両派の対立は、両者が共に相手の主張や存在を真っ向から否定した状態で行われており、そこには相互に対する敬意や尊重は見られない。

この様な韓国社会の分断状況は、朴槿惠前大統領弾劾の頃から激化し、年々激しさを増していると言われている。

今回の大統領への弾劾請求や与野二大政党に対する解散請求はその事を如実に表しているといえる。

とはいえ、より深刻な問題はもう一つの方だ。

先にも述べた様に6月10日段階で、20万人以上の賛意を得て大統領府の回答待ちとなっている請願は全8件。

実はこの中には、「バーニング・サン事件」と通称される芸能界や政財界を巻き込んだスキャンダル事件の徹底捜査を求めるもの等と並んで、放火殺人事件や強姦殺人を犯した犯人達に極刑を求める請願等が並んでいる。

もちろん、残忍な犯罪の容疑者に対する韓国世論の怒りはわかる。

しかしながら、大統領府の公式ホームページに明らかに特定の犯罪の容疑者を指すとわかる形で、その極刑を求める人々の賛同が募られている状況は、お世辞にも美しいものとは言えない。

それは一歩間違えれば人民裁判的な「吊し上げ」へと導かれかねないものであり、大きな危険性を孕んでいるという事が出来る。

この様な極端な状況は韓国の請願制度のモデルとなったアメリカでは見られないものであり、今の韓国固有のものとなっている。

 

あるいはこの様な韓国の状況の背景にあるのは、朴槿惠弾劾以降に盛り上がった韓国における「直接民主主義」的な雰囲気かも知れない。

「国民が選出した大統領を国民が弾劾した大韓民国だ。国民が選出した自治体長を国民が召喚し罷免することができる大韓民国だ。

だが、国会議員だけは、国民が選出したにもかかわらず、国民が罷免することはできない。

これは国民の命令だ」──国民が国会議員を直接罷免できる法律を求める請願の一節は、朴槿惠弾劾を求める運動の際に使われた標語「国民の命令だ」というフレーズを用いてこう述べている。

なおこの請願は実際に、今年5月に「成立」し、大統領府はその必要性を主張する回答を行うこととなっている。

何より「民意が尊い」という素朴な信仰

「国民の命令だ」──そこにあるのは民衆の意志に対する素朴な信仰とも言えるものだろう。

しかしながら、この一見美しい一文が限度を超えて暴走した時、民主主義は時に寛容性を失った「民衆による圧制」へと転化する。

大統領府の公式のホームページ上に、特定の事件や人間を意味する形で、極刑や処罰を求める「請願」が乱立し、寛容性を失った左右両派が汚い言葉で罵り合い、自らへの支持の「数」を競い合う。そこに危うさを感じるのは筆者だけではないに違いない。

そして例えば考えてみよう。この様な状況を文在寅と同じ進歩派からの、最初の大統領であった金大中が見たらどう考えたであろうか。

世論は時に、人に扇動され、政治的に利用されることもある。だからこそ政治家はこれを自らの利益の為に扇動し、刺激する事は厳に慎まねばならない。

「あの容疑者は死刑にすべきだ」──反共主義全盛の中、時の政権から死刑判決を突きつけられた金大中が、この様な請願を見たら、彼は果たしてそれを座して見守っただろうか。

隣国の民主主義の状況は、我々が民主主義にとっての寛容性の重要性を顧みる際にも参考になりそうだ。

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