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北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【京都発幕間旅情】丸岡城(福井)日本最古か歴史議論呼んだ大入母屋二重三階天守閣は四間最上階を備える

2022-03-23 20:00:26 | 旅行記
■丸岡城天守閣探訪
 丸岡城天守閣は現存天守閣と云う事で急な階段を上り下りで探検のようにて実に愉快です。

 丸岡城、城郭は遠めに見える小城という印象とは百聞一見にという印象も、それも一見には写真が含まれず実際昇って眺めてみる重要性を云う事を改めて示してくれます。広々としているのです。もっともこの日は観光の方も少なく、広さに余裕が在った為でしょう。

 霞ヶ城の名でも親しまれる城郭は、考えてみますと周りの静かな佇まい、住宅街に学校という立地から小さく見えるものですので、霞といいますか、霧の中にふと浮いているような気象の日に朝日と共に眺めてみますと、案外居城の様な印象を受けるのかもしれません。

 独立式望楼型二重三階の天守閣、天守閣の最上階は四間と広々としていまして、これは安土桃山時代の天守閣、現存しない織田信長の安土城や豊臣秀吉の大坂城と比較してみましても、最上階は安土城も大坂城も三間四方といい、実は丸岡城の方が広いという事実が。

 最古の天守閣ではないという福井県教育委員会福井城郭研究所年報研究紀要が2019年に発表されていますが、見た目が古い事もあり日本最古の現存天守閣であると信じられていたのですが、最古という割には、その時代の天守閣と比較し最上階の広さは一つ論点でした。

 織田信長の安土城や豊臣秀吉の大坂城、実は天守閣の最上層を広く採るという設計は慶長時代後期のものであり、当初考えられた1576年造営の柴田勝豊建造による天守閣という検証に疑義を示す一つの根拠ともなっていたようです。一方、見た目という視点は重要です。

 大入母屋の二重三階という天守閣、現存天守閣の常として階段の角度は剣岳よりも急角度ですのでカメラバックを肩掛けしての登城、文字通りの上るのは若干バックの蓋を確認してしまいますが、不思議と中は広々としており、落ち着いて城下などを眺めても愉しい。

 大入母屋様式、見た目は重要だと記しましたが、その見た目と云うのは大きな御堂に天守上層を増築した様な大入母屋方式の建築様式というもので、これは古い天守閣の一つの建築様式でもあったとのこと。そして丸岡城天守には、大黒柱にあたる通柱もありません。

 天守台が広々としていることから一階平面部に冗長性を持たせて設計され、ここに天守台を被せるような腰屋根方式となっています。ここは犬山城天守閣と似ているのですが、犬山城天守閣は腰屋根方式部分を後年建築した一方、丸岡城は一体建築されたとされている。

 層塔型天守閣。現在の姫路城や再建された大阪城や名古屋城は高層建築の様な一体式の方式を採っていまして、これを層塔型天守閣といいます。この共通点は天守閣の広さなのですが、織田信長の安土城や豊臣秀吉の大坂城は天守閣に関する考え方の違いが見て取れる。

 安土城や大坂城は天守閣は戦闘の為の城塞ではなく政治中枢と権力誇示のためのものであり、城主は天下人、天下人は眺望を独占するというかたちから多数の賓客を接遇する為の施設ではなかったのですね。対して層塔型天守閣は展望台ではなく、有事の備えでした。

 層塔型天守閣は有事の際の最後の防衛拠点であり、兵器倉庫など実用性を考えたものでした。すると、既に天下安泰を原則として造営された安土城や大坂城は、万一の備えたる層塔型天守閣に淘汰された。江戸城も明暦の大火以降再建されなかったのも安泰故でしたね。

 城郭、面白いのはこの現存天守閣である丸岡城も、正確な築城年度が判明したのは2019年という点でして、日本にはまだまだ不思議やなぞはあるのですが、天守閣の建造年度さえ研究の余地があるという事は、何か日本も広いものだと浪漫さえも感じてしまうのですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
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ゼレンスキー大統領は何を語るかー今夕衆参両院議員前で演説,ロシア外務省は日ロ平和交渉中止を一方的に通告

2022-03-23 07:00:34 | 国際・政治
■臨時情報-ウクライナ情勢
 ゼレンスキーウクライナ大統領の国会におけるオンライン演説会が遂に実現します。

 ゼレンスキーウクライナ大統領の我が国国会における大統領演説が本日日本時間1800時よりWeb中継により衆参両院議員臨席の特別会議室にて執り行われます。ロシア軍ウクライナ侵攻から間もなく一ヶ月、ロシア軍という巨大な軍事大国の攻撃から果敢に抵抗を続け世界に驚きを以て受け止められている若き指導者は日本の国会に何を語るのでしょうか。

 ウクライナへ侵攻しているロシア軍は日本にとり隣国でもあるのですが、冷戦時代には北海道始め強大な軍事圧力を掛け、首都東京へ向けての爆撃機による示威飛行“東京急行”を繰り返しています。また太平洋戦争では不可侵条約破棄による参戦と非戦闘員殺傷、終戦後の捕虜に対する強制労働による大量の死者を出すとともに今へ禍根を残しています。

 ゼレンスキー大統領は、平和憲法を盾に世界危機への傍観を続けている日本の、手段として平和を用いるが結果としての平和実現は度外視する、この戦後日本をどのように見ているのか、また国内情勢と世論ばかりを注視する“一億総引き籠り”という実情を前に如何に世界の視点を突き付けるのか、現実主義の最前線で何を語るのか、関心はつきません。

 日ロ平和交渉中断がロシア外務省より一方的に通告されました。日本とロシアは1956年に日本とソ連のあいだで締結された日ソ基本条約がありますが、日本とソ連はその後の平和条約締結までは進まず、ロシアはソ連より国際法上の国家継承を行った後に、平和交渉をすすめ、安倍政権時代にプーチン大統領がその無条件調印を迫りましたが進んでいません。

 両国関係は戦争状態ではありませんが、日ソ基本条約締結までは日本は国連へも加盟できない状態となっており、一方で続く平和条約締結へ前進できなかった背景には、日ソ不可侵条約の一方的破棄と日本のポツダム宣言受諾後に進められたソ連の軍事行動による領土割譲への日本のソ連への不信感、そして何よりサンフランシスコ平和条約の解釈問題です。

 北方領土問題としていまなお日ロ間に大きな溝を構築している現状は、サンフランシスコ平和条約として北海道に帰属する離島がふくまれていたことから、千島列島南部の択捉島と国後島、そして北海道に隣接する歯舞諸島と色丹島について、ロシアの施政下から返還されるべきとの立場を日本が堅持している為ですが、今回一方的に中断を通告されました。

 日ロ平和交渉は一筋縄では行かない事は認識しています、特にロシアにとり北海道北方のオホーツク海は戦略ミサイル原潜の聖域であり、ロシアがウクライナに突き付けた中立化、事実上の衛星国化は北海道に対しても突き付けたい要素に他なりません。こうした中で、ロシアから見れば千島列島の一部である北方領土返還は現実的でない要求ともいえます。

 日ロ平和交渉、しかし同時に忘れてはならないのは、ロシアはソ連時代に、北海道の留萌-釧路以北のソ連割譲を要求していた事であり、今回ウクライナ侵攻に際して突き付けた意味不明の口実により北日本侵攻を行う可能性は否定できず、何よりロシア軍が実施しないのは平和愛好ではなく、単にロシア軍の戦力が整備されていない為という背景があります。

 ゼレンスキー大統領は今夕、我が国国会において史上初となる外国首脳のオンライン演説を執り行うのですが、これは同時にウクライナ情勢を遠い東欧の出来事として見るのではなく、実は我が国に及びかねない厳しい現実が、戦争の形で現在東欧で顕在化しているという認識で、もう少し世界における日本の立場を考えてゆく必要があるよう、思うのですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【防衛情報】イギリス&オーストラリア極超音速兵器開発とズムウォルト級駆逐艦リンドンBジョンソン

2022-03-22 20:11:26 | 先端軍事テクノロジー
■特報:世界の防衛,最新論点
 極超音速兵器を超音速兵器と誤訳する方が多いようですが超音速兵器はマッハ1以上で極超音速兵器はマッハ4前後、広義には間違いないのですが世代に関する意味が違います。

 イギリス海軍の第一海軍卿トニーラダキン海軍大将は極超音速ミサイル開発について発言しました。これは1月28日のタイムズ紙の取材に応じたもので、具体的な開発期間や配備計画と性能などに関する言及はありませんが、その必要性を説いたかたちです。第一海軍卿は増大するロシアの軍事力について、海軍と海中の過去二十年間の増大を示しました。

 特にツイルコン極超音速ミサイルとキンジャール空中発射弾道弾を例に挙げ、その実験は70回を超えるとともに、イギリス周辺においても試験が行われており、既にこれらの装備体系は、開発段階あら第一線への配備へと進んでいます。イギリスに同種の装備品が無い事は強大化するロシアの軍事力へ対抗するうえで問題であると必要性を説いています。

 イギリス海軍は潜水艦からの長距離打撃力はアメリカ製トマホーク巡航ミサイルに依存し、水上戦闘艦の艦対艦ミサイルは1980年代に開発されたハープーンミサイルであり、対艦ミサイルの射程は短く巡航ミサイルは亜音速のままとなっています。他方、基礎技術開発や既存の水上戦闘艦や原潜からの搭載や発射など運用には課題も多いこともまた事実です。
■駆逐艦リンドンBジョンソン
 ズムウォルト級駆逐艦はアーレイバーク級の後継が見込まれていましたが少数製造に終わり、そして当初レールガンを搭載する計画が極超音速兵器搭載へ切り替えられています。

 アメリカ海軍のズムウォルト級駆逐艦リンドンBジョンソンが1月12日、バス鉄工所を公試の為に出航しました。リンドンBジョンソンはズムウォルト級駆逐艦の三番艦で最終艦、アメリカ海軍の駆逐艦として合衆国大統領の名を冠した駆逐艦です。ただ、リンドンBジョンソン元大統領は第二次世界大戦へ従軍した予備役海軍中佐であり、海軍功労者です。

 リンドンBジョンソンは二番艦マイケルモンスーアとともに2011年に2隻が18億2600万ドルで発注され、一隻当たりの建造費は9億1300万ドルなっており、1番艦ズムウォルトの建造費が43億ドルとニミッツ級原子力空母並の建造費であった事を考えれば設計費や初度費用を差し引いても非常に建造費を抑えた事となりますが、3隻以上は建造されません。

 ズムウォルト級駆逐艦は満載排水量1万4564tの大型駆逐艦で画期的なステルス設計を採用したほか、ジェラルドフォード級空母にも採用されたSPY-3レーダーを搭載しています。ただ、搭載する垂直発射装置Mk57VLSはトマホークミサイルとESSMミサイルのみ対応し艦隊防空能力を持たず、将来レールガン搭載が予定されていましたが中止されています。
■オーストラリアAHRP計画
 オーストラリアの試験施設は日本は勿論韓国やフランスのタレスなど欧州諸国でも広く活用されるのかもしれませんね。

 オーストラリアのピーターダットン国防相は1月25日、AHRP計画ブリスベーンの極超音速兵器開発試験場開設式典に出席しました。今回新しく創設された施設がイーグルファーム極超音速兵器開発試験場はマッハ5までの極超音速兵器を試験するもので、AHRP計画とはAustralian Hypersonics Research Precinct豪州極超音速兵器開発促進計画を示す。

 AHRP計画についてはタレスオーストラリア社が具体的な開発計画を有しており、オーストラリア軍も従来の装備体系を更新する構想がある。これはオーストラリアが元来、資源輸出国であり食糧自給可能な地域大国であり、専守防衛が成立っていた一方、近年の中国台頭などは国土が保全された場合でも国家の安全が保全されない情勢が醸成された為です。

 イーグルファーム極超音速兵器開発試験場はオーストラリアの広大な国土を活かして開設されました、オーストラリアはJAXAの超音速旅客機概念実証無人機試験や、惑星探査衛星はやぶさ惑星採取サンプルカプセル地球帰還などにも広い国土を用いて協力しています。なお、開設式典が行われた1月25日は建国記念日にあたり、その重要性が垣間見えます。
■弾道ミサイル迎撃戦
 ミサイル防衛は天文学的軍事費を必要としますが実際攻撃され迎撃できない場合は当該国への外交関係へも影響する、そんな警鐘のような話題です。

 アラブ首長国連邦がイエメンからの弾道ミサイル迎撃に成功した際に同国をイスラエル大統領が訪問していた。アラブ首長国連邦は1月31日、弾道ミサイル攻撃を受けました、イエメンからの弾道ミサイル攻撃は1月24日に実施されたものに続いて1月では二度目の弾道ミサイル攻撃となっており、最初のミサイル攻撃と同じくTHAADが迎撃しました。

 イスラエルのヘルツォーグ大統領、この弾道ミサイル攻撃が実施された時、アラブ首長国連邦へはイスラエルのヘルツォーグ大統領が訪問している最中であり、首都アブダビにおいてアラブ首長国連邦のムハンマド皇太子と30日に会談を行ったのちの滞在中という。イスラエル政府によればヘルツォーグ大統領一行へ危険が及ぶことはなかったとしています。

 ドバイではドバイ万博が開催中、アラブ首長国連邦国防省の発表によればTHAADによる迎撃は成功し、ミサイルの残骸は住宅街の外側に落下したとの事で被害は報告されていません。攻撃を行ったイエメンの反政府武装勢力フーシ派は、ミサイル攻撃を停止する条件にアラブ首長国連邦からの外国企業撤退を要求しており、報復の激化も懸念されています。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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ロシア軍進撃停止と南部マリウポリ無差別砲撃!ウクライナ侵攻で暴露されたBCT大隊戦闘群編成上の問題

2022-03-22 07:00:55 | 防衛・安全保障
■臨時情報ーウクライナ情勢
 マリウポリの無差別砲撃はかつて満洲へのソ連軍侵攻での被害を見るようで中々辛いものがある。

 ロシア軍の進撃がここ数日間停滞している、イギリス国防省高官の分析をBBCやロイターが報じたのが四日前の17日ですが、その後もロシア軍はキエフやハリコフ周辺での大きな前進をみせていません。これはロシア軍BCT大隊戦闘群の砲兵重視と機械化重視という編成が影響を及ぼしているのかもしれません。BCTの火力は開戦前こそ脅威とされましたが。

 BCT大隊戦闘群の火力は強力です、歩兵大隊を支援する為に長射程の砲兵大隊を有しており、本来は師団火力であるロケット砲兵による全般支援火力も有しています。これは2014年クリミア侵攻とウクライナ東部紛争において砲兵火力によりウクライナ軍を圧倒した経験も影響しているのでしょうが、弾薬は有限、火砲にはBL弾薬基数という制約があります。

 火力は強力ですが、BL弾薬基数とは一会戦を戦う所要弾薬というもの。BL弾薬基数は火砲一門当たり100発程度、自走榴弾砲は瞬発で毎分6発程度と持続射撃でも毎分2発は射撃しますので一時間も撃てば車載弾薬、射撃を続けるには補給が必要です。通常は部隊のトラック等でもう一基数増加携行するものですが、撃ち続ければ数十分で射耗してしまう。

 砲兵重視は火力が大きく頼もしいものですが、結局最後の段階で必要なものは歩兵です。しかしBCT大隊戦闘群は砲兵の比重が大きく、歩兵大隊の戦闘群なのか砲兵大隊の戦闘群なのかという程の比重です、一方で歩兵は近接戦闘により撃ちあえば死傷率が高い、近接戦闘部隊の宿命があります。すると歩兵が百名死傷するだけでBCTの歩兵は半減します。

 攻撃衝力、歩兵を失いますと攻撃を持続した場合でも占領が出来ません。現在ロシア軍は市街地への無差別砲撃を行い世界から批判に曝されていますが、歩兵を前に出せない以上は充分有る砲兵を使わざるを得ない状況なのでしょう。しかし前述の通り、火砲が多いという事は弾薬消費量が多い為、補給の問題が深刻化していることとなります。そして更に。

 機械化が進んでいる。BCT大隊戦闘群は戦車10両と装甲戦闘車40両を中心として高度に機械化されていますが、装軌車輛などは特に戦車等は1リットル数百m程度の燃費です、動けばそれだけ燃料が消費しますが、動かなくともアイドリングだけで相当燃料を消費します、アイドリングを行う理由は襲撃を受けた際にエンジンが停止していれば退避不能だ。

 機械化部隊の燃料消費量は大きい。この為に、ウクライナのような広大な国土を有する国を侵略する際には、十数kmおきに補給拠点を構築する事が望ましいのですが、ウクライナ軍の戦闘がこれを阻んでいます。一つは軽歩兵部隊や機械化部隊の分散運用とC4Iによる集合分散の迅速化、一つは市販ドローンも含めた無人偵察機の多用による情報優位です。

 C4Iによる集合分散迅速化、ウクライナ軍は2014年のクリミア併合時代と比較し電子戦能力と軍事通信基盤を強化しています。これにより、普段は目標とならないよう分散している部隊が攻撃の際には即座に集合し打撃力を構成する、喩えは変ですが普段は社会の隅々に分散する艦船愛好家、空母横須賀入港の際に情報一つで数時間後一万人集まるのと同じ。

 無人偵察機の多用も大きいもので、例えば動かない車列やロシア軍の攻勢情報、また野外補給拠点を無人機が発見しますと、ロシア軍は一番叩かれたくない場所と襲われては困る時間帯に攻撃を加えます。敵部隊を発見したら接触を維持するのが原則ですが、攻撃を受けると偵察部隊等は接触を維持できない事があります、しかし、無人偵察機は可能という。

 無人偵察機は偵察部隊と違い万一撃墜されたとしても市販の無人機ならば変な話、小銃と同じくらいの費用です、落とされた操縦士はがっかりするかもしれませんが、命は落とされません。そしてロシア軍の電子戦能力は当初考えられたより格段に低く、無人機運用拠点を発見する事が出来ないでいる。こうした状況がロシア軍を停滞させているのでしょう。

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【防衛情報】フィンランドF-X選定F-35決定とサウジアラビアE-3AWACS機2040年代の挑戦

2022-03-21 20:12:25 | インポート
■週報:世界の防衛,最新11論点
 今回は空軍関連の11論点を。最初にサウジアラビアの早期警戒管制機の話題なのですが航空自衛隊も将来にE-767後継機が必要となる訳でどういった機体に代わるのでしょうか。

 サウジアラビア空軍はE-3早期警戒管制機近代化改修へボーイング社と契約を結びました。これは総額3億9792万ドルに達する契約で、2026年2月21日に近代化改修を完了する計画です。この改修によりアメリカ空軍早期警戒機との相互運用能力を確保し、また現在予定されています2040年の運用寿命まで第一線の性能を維持できるとされています。

 E-3早期警戒管制機はサウジアラビア空軍が1983年より5機を導入、警戒管制機として8時間に渡り滞空し空中警戒管制に当る事が可能で、サウジアラビアでは当時イラン空軍など脅威増大に対応したもので、、また現在はイエメン内戦に伴う武装勢力によるサウジアラビア石油関連施設への長距離無人機攻撃への警戒監視に必要不可欠の装備となっています。

 KC-135空中給油機の派生型であるボーイング707旅客機が原型というE-3早期警戒管制機は1977年よりアメリカで配備開始、1992年までに68機が生産され、アメリカ空軍が34機、NATO直轄機が18機、イギリス空軍が7機、そしてサウジアラビア空軍が5機とフランス空軍が4機を運用していますが、老朽化も進みイギリスでは退役が始っています。
■ラピットドラゴンのC-130
 C-130輸送機も爆撃機にという運用は何か1964年の映画”モスラ対ゴジラ”のC-46輸送機改造爆撃機を思い出す。

 アメリカ空軍はC-130輸送機からの長距離ミサイル運用ラピットドラゴン計画試験を実施しました。今後太平洋で想定される中国軍との最大規模の軍事衝突に際しては、長射程地対空ミサイルの大量投入によりアメリカ空軍が誇る輸送機はほとんど役に立ちません、その為に大量に保有される輸送機を輸送完了後はミサイル母機に用いる事としたわけです。

 C-130輸送機のラピットドラゴン試験は2021年12月16日にエグリン空軍基地沖合において実施され、評価試験は空軍特殊戦コマンドが協力して実施しており、MC-130J特殊戦輸送機は4セルの長射程ミサイルコンテナ2基を搭載しました。パラシュート投下したコンテナはミサイルを分離の後点火、正確に飛翔した後に目標へ正確に命中したとのことです。
■フィンランドF-35導入決定
 F-18の後継機に一時ラファールと云われたフィンランドも急浮上したF-35導入に決定ですね。

 フィンランド空軍は次期戦闘機としてF-35A戦闘機を選定しました。フィンランド空軍は現在F-18戦闘機を運用しています、このF-18戦闘機とは隣国ロシアを刺激しないようF/A-18C/D戦闘攻撃機から攻撃を示す“A”を省いたもので、周辺国への配慮が示されていましたが、今回は統合打撃戦闘機として開発された第五世代戦闘機F-35を選んだ訳です。

 F-35A戦闘機をフィンランド空軍は64機導入することとなります。フィンランドの隣国である中立政策で知られるスウェーデンはJAS-39戦闘機を製造していますが、フィンランド周辺諸国ではノルウェー空軍やオランダ空軍、イギリス空軍などがF-35戦闘機を運用しています。フィンランドはF-35用にデジタル装備品の一部を下請け生産しているとのこと。

 F-35A戦闘機が評価された背景には第五世代戦闘機で運用に際し教育や整備の包括的支援を受けられるとともに、少なくとも2070年まで運用され、現時点で21か国が730機を運用しているという実績とともに世界で最も先進的で、空軍が想定する任務の全てに対応すると共にフィンランド軍の様々な装備との連携が可能である事を理由として発表しました。
■ミラージュ2000戦闘機退役へ
 ミラージュ2000はまだまだ新しい機体ですが恐らく中古の機体を販売してその先の後継機にラファールの販路を開拓するのか。

 フランス空軍は今後14年間でミラージュ2000戦闘機を完全に退役させる、これはフランス国防省が2022年1月にフランスの防衛大手ダッソー社との長期整備及びシステム管理に関するBALZAC契約により明らかとなった。フランス空軍ではミラージュF-1戦闘機は退役したもののラファール戦闘機量産が進む中、ミラージュ2000は重要な戦力である。

 ミラージュ2000はBALZAC契約により退役するまでの14年間の間にダッソー社の支援を受けるとしており、これは第四世代戦闘機のシステムインテグレータ部分の整備が含まれるが、これが14年後に終了するという事は自動的にその退役時期を示唆している。尚近年、フランス政府はミラージュ2000を採用した各国へもラファールを売り込んでいる。
■フランス次期戦闘機エンジン
 F-22のような第五世代戦闘機開発に完全な後れを取っているフランスは背伸びしたいが出来ない中で苦労を続ける。

 フランス国防省は次期戦闘機FCAS/SCAF戦闘機用エンジン試作型の試験を本格化させました、これは2021年12月から開始されたもので、実験はDGA国防装備総局が担当しています。エンジンはラファール戦闘機に採用されたM88エンジンを原型として推力強化等を期して2015年より開発開始、2019年には実試作への第二段階に進んでいました。

 FCAS/SCAF戦闘機はラファール戦闘機に続く将来戦闘機であり、F-35のような第五世代戦闘機を保有しないフランスでは、この戦闘機を欧州共通戦闘機としたい狙いもあり、フランス空軍に加え建造計画が進む将来航空母艦へも搭載を目指しています。新エンジンは推力12tと1700度タービン耐熱を目指しており、フランスの技術的に可能な水準という。
■ドイツF/A-18E巡り再度混乱
 ドイツは本音ではF-35を必要としているのですが空軍のF-35導入派を更迭するような一幕もありましたのでもう滅茶苦茶だ。

 ドイツ空軍が次期戦闘機に選定したF/A-18E/Fがメルケル政権の交代により影響、白紙撤回の可能性が生じています。与党キリスト教民主同盟は選挙の敗北後に連立政権との間で欧州製ではなくアメリカ製戦闘機導入に対しての連立与党構成政党に否定的な動きが生じている為で、ドイツ政府はボーイング社と正式契約に進まない可能性を示唆しています。

 F/A-18E/Fスーパーホーネットは、ドイツ空軍では有事の際にNATOニュークリアシェアリングにおいて使用可能となるアメリカ製B-61核爆弾が使用できるとして採用に繋がりましたが、アメリカ海軍はB-61核爆弾運用能力を海軍ではステルス機であるF-35Cに統合する方針で、システム改良の際にF/A-18E/FのB-61運用能力解除の可能性もあるようです。
■パキスタンJ-10C戦闘機導入
 J-10CはF-16Vに匹敵する4.5世代機に成長しており輸出されないものと思っていました。

 パキスタンは中国よりJ-10C戦闘機の導入を決定したもよう、これは2022年初頭のパキスタン内務大臣発言として2021年末に25機導入が成約したとされる。またこれは2022年3月23日のパキスタン国軍記念日閲兵式における祝賀飛行に間に合うよう、急速に配備される計画とされる。J-10C戦闘機は成都航空機製造により開発された多機能戦闘機である。

 J-10C戦闘機はA型やB型が制空戦闘に特化した戦闘機であったのに対し対地攻撃能力が強化され、中国がパキスタンと共同開発し幅広く輸出しているJF-17戦闘機よりも高性能機である。パキスタン空軍は同時多発テロ後のアメリカとの関係悪化により運用するF-16戦闘機の更新不能が問題となっており、2021年10月にJ-10C導入交渉の急展開が在った。

 J-10C戦闘機のパキスタン配備は既に緊迫化する中印関係の悪化を促進しかねない、何故ならばJ-10C戦闘機は性能でインド空軍が配備を開始したラファール戦闘機に対抗し得るもので、これは中印国境防空へインド空軍が36機の導入を決定したのだが、インドとの対立関係にあるパキスタンへ最新鋭戦闘機を供与することは火に油を注ぐ結果となるためだ。
■クウェートからマレーシアへ
 回教国同士の横のつながりと云う印象で今後東南アジアの回教国が危機に見舞われますと中古のユーロファイターあたりが急に現れるのかもしれない。

 マレーシア空軍はクウェートよりF/A-18C/D戦闘攻撃機中古機33機を導入する。既に運用しているF/A-18C/D戦闘攻撃機を増強するかたちとなるが、マレーシア空軍は耐用年数延長計画に基づき当初想定よりも長期に当る2035年までのF/A-18C/D戦闘攻撃機運用を想定している。これらはマレーシア空軍ホーク軽攻撃機の潜在的な後継機ともなりえる。

 F/A-18D戦闘攻撃機は制空戦闘と航空打撃任務両方に用いられる多機能戦闘機であることから輸出に成功した戦闘機の一つであるが、拡大改良型のE/F型以外は寿命を迎えている、例えばカナダ空軍などはその後継機が全て費用高騰となったために選定に難渋しているが、マレーシアとクウェートは同じ回教国というイスラムの互助精神が反映されたのだろうか。

 クウェート空軍は1988年にF/A-18C/D戦闘攻撃機40機を導入、納入は湾岸戦争のイラク軍クウェート侵攻に間に合わず1991年10月から1993年にかけ行われたが、2021年よりF/A-18E/F戦闘攻撃機へ更新が開始され余剰となった形だ。マレーシア空軍はF/A-18C/Dと同時にロシアからMiG-29を導入した事で知られ後者はSu-30戦闘機へ更新されている。
■フィリピンが退役機再生
 COIN機というか一応ジェット機なのですがほとんどCOIN機のような機体を掻き集める程情勢は悪化しているのか。

 フィリピン空軍は退役し保管状態にあったアエルマッキSF-260軽攻撃機を再活性化させました。アエルマッキSF-260はイタリアのアレニアアエルマッキが1964年に開発した単発練習機で、民間アクロバット飛行などにも供されていますが、エンジン出力の余裕から軽攻撃機、所謂COIN機としても活用され、フィリピンも1971年に取得しています。

 フィリピン空軍は48機のSF-260を導入していますが、旧式化と空軍規模縮小を受け退役していました。しかし、周辺情勢悪化を受けフィリピン政府は2011年にSF-260を18機新規取得を決定、退役機からも48機の内、どうにか12機は修理する事で飛行が可能と判断、再稼働となりました。新造分と含め30機は練習機と軽攻撃機任務に就く事となります。
■セルビアはラファール希望
 ラファールは一時期鳴かず飛ばずでしたが日本のF-2戦闘機よりも初期の性能定評はいまいちでしたが四世代ほど改良を重ね今に至る秀才型ですね。

 セルビア空軍は次期戦闘機としてラファールを希望しているが政治的問題に直面しているようです。次期戦闘機にはフランス製ラファール戦闘機とロシア製Su-30SM戦闘機が候補にあげられており、空軍はラファール戦闘機が最も任務に適していると評価し国防大臣と大統領にもそれを進言しています。なおSu-30SMはSu-30戦闘機の最新改良型です。

 ラファール戦闘機、しかし導入が難しい背景には二つの問題があり、一つはSu-30SMに対してラファール戦闘機の方が遥かに高価であるということ。もう一つはセルビアの旧ユーゴスラビアとソ連の関係が延長線上にロシアとの関係があるということですセルビアの国防大臣は2021年12月29日、国営放送でラファール優位と決定延期を発表しています。
■アントノフAn-178-100R
 アントノフと云えば巨人輸送機と云う印象があるのですがAn-178はコンパクトでウクライナ版C-1輸送機というところでしょうか。

 ウクライナ軍はアントノフ社よりAn-178-100R輸送機初号機を受領しました。これは旧式化したAn-12輸送機やAn-26輸送機とAn-32輸送機等を置換える構想で、T字尾翼に複合素材と軽合金を組み合わせた双発ジェット輸送機、ウクライナ空軍は当面An-178-100R輸送機3機を導入する構想、アントノフ社では続いて2号機の組み立てを開始しています。

 An-178-100R輸送機は最大搭載能力18tで18t搭載時の航続距離は1000km、搭載量を4tまで抑えた場合には航続距離は5500kmに達する。アントノフ社はソ連機という印象が強いが、ソ連崩壊後はウクライナ企業となっており、中でも今回納入された最新型のAn-178-100Rはカナダや欧州製部品でロシア製部品を一切用いていない特色があります。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都発幕間旅情】富士山に乾杯!富士山見上げる須走登山口宿場町の愉しい赤提灯と焼き鳥

2022-03-21 18:20:02 | グルメ
■榛名さんの総監部グルメ日誌
 榛名さんの総監部グルメ日誌と銘打ちたいところですが静岡県には方面総監部や地方総監部が無いので少々脱線して、です。

 富士山。百名山と云う響きとともに美しい日本の山々を数多思い浮かべるのですが、やはり筆頭に在るのは、富士山でしょう。その美しさは艦上から眺めても飛行場から眺めても旅客機から眼下に遠景に在っても、もちろん新幹線からもあっ、と美しさを感じる景色だ。

 富士学校。さてその富士の名を冠した自衛隊の部隊がありまして、富士駐屯地に駐屯しています、かの富士総合火力演習を所管するのが隷下の富士教導団でして、毎年七月に挙行される富士学校祭は、別名日本で一番戦車の多い学祭といわれます。二番目は何処だろう。

 富士で一杯。さて、ここは須走という富士浅間神社と富士登山の玄関口の一つに在ります、富士学校にほぼ隣接する観光地の一角なのですが、霊峰富士を一度は登山したいという方々の宿場町のようになっているところでして、その一つ通りを入った立地の赤提灯です。

 富士山麓というよりは標高は900mほどありまして中腹という立地なのですが、先ずは御通しの山菜和え物を。赤提灯といいますが、入り難そうなのは入口の雰囲気だけで中には和気あいあいとしたカウンターと奥に小上がりという絵に描いたような居酒屋が広がる。

 焼き鳥は三本のひと皿から。かなりボリュームがあるのですが、赤い唐辛子がちょっと刺激でぴりぴり愉しい。カウンターに腰掛けまして、静かにしかしハイカラなハイボールやコークハイを頂きます、ちょっと濃いめなのかな、それとも梯子酒だからそう思うのかな。

 三本一皿といいますが、けっこう大きいので、ちょっと須走の雰囲気を愉しみたいよね、という気分よりはがつんと焼き鳥らしい焼き鳥で呑もう、という雰囲気のお店で。なにしろ部位の焼き鳥のこだわりというよりは、がっつり呑んで騒いで愉しむという風景ですね。

 酒に強いというのは呑む量なんかじゃあなくて呑めなくなってもまだまだ注ぎ続ける事なんだよ、という名言いや迷言が奥の方から聞こえてきます。ただ、酒場の秩序はなんというか、バラエティ番組の中に入ったような迷惑を掛けない酔いどれ酒豪が多いようおもう。

 淡々と一人で、カウンターの前にはテレビか壁に掛けられそして壁の棚にはトマトなんかも並んでいる、ちょっと考えたけれども〆物に何かないか聞きますと御雑炊が在るという、ヤキソバもできるそうだけれども肴になるともう一杯やって長居してしまいそうですし。

 須走の夜の探検、そんな気分で探訪しました赤提灯は、富士総合火力演習や富士学校祭の折にはカウンターの末席で雰囲気を愉しむようになりました。ちょっと前にミサイル関係の仕事をしている方に聞きますとお店は元気に営業中とのこと。また行きたいものですね。

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ロシア軍生物兵器使用-アメリカ政府が懸念,ソ連時代の1979年スヴェルドロフスク炭疽菌漏えい事故

2022-03-21 07:01:45 | 国際・政治
■臨時情報ーウクライナ情勢
 ロシア軍生物兵器使用をアメリカ政府が懸念しているという驚きの報道が世界を飛び交っています。

 生物兵器の使用は1975年の生物兵器禁止条約により全面的に禁止されています。しかし、その生物兵器が、ロシア軍によりウクライナでの攻撃に用いられるのではないか、アメリカ政府は警戒を強めています。こう云うのも、今回のウクライナ侵攻や攻撃経路などを完全に情報収集により把握していたアメリカの情報分析力から、一定の信憑性があるのです。

 万一使用された場合は、深刻な土壌汚染のリスクや拡散のリスクがあり、例えば西部に使用された場合にはNATO加盟国であるルーマニアやポーランドへ拡大する懸念があり、これはNATOが今回のウクライナ侵攻へ関与しなければならない状況となります。すると飛行禁止空域設定等、部分的な関与であってもロシアとNATO,第三次大戦の懸念が高まる。

 アメリカが懸念するのは、ロシア政府が“ウクライナ政府が極秘裏にCOVID-19新型コロナウィルスの研究を行っている”と主張していました後に“ウクライナが生物兵器を使用しようとしている”と主張を切り替えており、これが逆にアメリカ政府が“ロシア軍が生物兵器を使用しウクライナ軍へ転嫁しようとしている”偽旗作戦を懸念している構図です。

 炭疽菌。ロシア軍がどのような生物兵器を想定しているとアメリカが分析しているのかは不明です、しかし、ロシアはソ連時代に生物兵器禁止条約発効後の少なくとも1979年までは生物兵器の一種である炭疽菌を培養していた事が判明しています、そしてその判明というのは生物兵器工場から炭疽菌が漏えい“ソ連公式記録でも”64名の一般市民が死亡した。

 スヴェルドロフスク炭疽菌漏えい事故、これは1979年3月30日に細菌兵器工場の空気排気口に芽胞炭疽菌乾燥装置から通気した空気に無濾過の炭疽菌が混入しており、隣接する市街地へ漏洩したもの。ソ連公式記録では64名が死亡していますが、同じ公式記録には500床の伝染病隔離病棟設置等が記されており、実際の被害の規模は記録に残っていません。

 炭疽菌は、ヒトヒト感染を引き起こしませんので細菌兵器としては、比較的扱いやすい事が判明しています。ただ、芽胞が半永久的に土壌に残る為、例えば1942年にイギリス軍がスコットランド沿岸の離島で試験した際に大規模な土壌汚染が判明し、除染が1990年まで要するという事故がありました。逆に考えれば相手の施設などを長期間使用不能とできる。

 ロシア軍が、しかしどの程度の細菌兵器使用を準備しているかは定かではありません、アメリカの情報ですが、同様に危惧された戦術核兵器の限定使用についても開戦から三週間を経ても未だ、幸いな事に、ウクライナでの核攻撃は行われていませんし、そしてもう一つ、ロシア軍のNBC防護装備の水準がウクライナ侵攻部隊を見る限り高くないのですね。

 NBC防護装備が無ければロシア軍自身が被害を受ける事となりますが、除染装備やNBC偵察装備は勿論、個人防護装備も充分ではありません。もっとも、仮にロシア軍が全土からNBC防護装備をウクライナ周辺へ移送しているような兆候をアメリカが衛星画像などで掴んでいるならば別なのですが、この当たりについては偽旗作戦懸念以外出ていません。

 生物兵器について。例えば口蹄疫ウィルスのような畜産業へ打撃を与えるものや、天然痘ウィルス、ブルセラ菌のようなものも存在します。この懸念すべき点として、例えば核兵器であれば核爆発は地震計により日本でさえ検知可能ですし、化学兵器も即効性がある為に使用されれば即、判明しますが、生物兵器は影響が出るまでに時間がかかる特徴がある。

 しかし、NATOは勿論我が国も含めて、例えば“生物兵器が使用された場合はジュネーヴ条約に基づく人道支援へ医療支援部隊をウクライナへ派遣する”とした上で“これらの部隊がロシア軍の妨害を受けた場合は北大西洋条約五条に基づく集団的自衛権行使を覚悟する”というような姿勢を示さなければ、この種の事態は封じ込めねば現実となりかねません。

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【日曜特集】第7師団創設56周年記念行事(05)装甲普通科連隊の観閲行進準備(2011-10-09)

2022-03-20 20:17:05 | 陸上自衛隊 駐屯地祭
■始動する北海道の機甲師団
 ウクライナ戦争、ロシア軍のウクライナ侵攻は一部でロシア軍が防御陣地を構築しはじめたと衛星写真で判明し長期化の様相を呈す、そんななかで北海道の抑止力を紹介だ。

 73式装甲車に89式装甲戦闘車に96式自走迫撃砲、戦車や自走砲に加え装甲車両の観閲行進待機位置への前進が開始されました。これは写真でも案外届くのかもしれませんが、これだけの装甲車両が一斉に動きはじめますと本当に大気が揺れ動き始めるのですよね。

 装甲戦闘車は、しかし自衛隊にはいま最も必要な装備であるように思う、それはロシアの脅威の為でも中国の脅威でもましてや北朝鮮の脅威からでもない、少子高齢化の時代において、普通科隊員は必要なのです、だからこそ守らなければならない。この日本の為にも。

 自衛隊の普通科隊員は、いろいろ調べてみますと先進国の中では最も体力を強いられている、徒歩機動や山岳機動力などでは恐らく世界最高でしょう。武装競争などはあのフランス外人部隊の水準といいますし、ここまで個人技術に頼るのはアメリカ海兵隊など一部で。

 空挺兵としてアメリカの101や82は凄いといいますし、フランスの27山岳も凄いという、イギリス海兵隊などは全員コマンドーだ、と反論されればまさにその通りなのですが、全般的な平均値としては、陸上自衛隊はかなり高い水準にあるのではないのか、平均値です。

 装甲車に乗車させるならば、最後の瞬間まで体力を温存でききますので下車戦闘では短距離走のような瞬発力を発揮できます、逆に長距離競歩の能力で短距離走に勝てというような要求そのものが不思議というものでして、それならば装甲戦闘車に乗せるべきとおもう。

 日本の89式装甲戦闘車は銃眼からの乗車戦闘を念頭とした第一世代の装甲戦闘車ですが、世界の装甲戦闘車は乗車戦闘能力よりも歩兵戦闘の迅速化へ、打撃力を機関砲に特化させ、その上で乗車歩兵は銃眼からの射撃で戦闘への参加よりは、下車戦闘に軸を置くようなる。

 機関砲の3P弾やフレシット弾など散弾型の砲弾を含め陣地攻撃を行うことで装甲戦闘車への陣地からの反撃を抑制させ、近接戦闘に下車展開を開始するまで、とにかく陣地に肉薄するという運用に転換しています。ここが重要で、防御力をたかめなければならないのだ。

 防御力を高めるという構図から銃眼は、銃眼に対戦車擲弾が命中した場合は構造上メタルジェットが戦闘室内に流れ込み乗車人員を殺傷する懸念、こうしたものを回避する必要があり、銃眼を改良により塞ぐか、新型では排する設計が新しい常識となりつつあります。

 これは同時に装甲戦闘車の車内設計が従来は銃眼を射撃するために座席を車体中央部に配置し乗員は車体左右で背中合わせに配置していたのに対し、従来のAPC装甲人員輸送車のように向かい合わせに、つまり通勤電車のロングシートのように座席を配置するのです。

 これは利点が一見分かりませんが、車内中央部に空間が生まれることを意味し、対戦車ミサイルを車内に持ち込みやすくなる利点が生まれるということ。対戦車ミサイル、第一世代装甲戦闘車には対戦車ミサイルを車載するものが、予算が許せが広範に行われました。

 ミサイルの搭載、ソ連のBMP-2やBMP-1はサガー等、そしてアメリカのM-2ブラッドレーなどはTOWを標準装備、イギリスのウォリアーはオプションとして輸出用に提示していました、日本の89式装甲戦闘車も79式対舟艇対戦車誘導弾を標準装備していたのですが。

 これは砲塔に搭載するもので、車内には89式装甲戦闘車では84mm無反動砲を装備する程度、ブラッドレーでは昔は旧型のドラゴン対戦車ミサイルまでは持ち込んでいたようですがジャベリン対戦車ミサイルなどは持ち込みません。最初の時点で窮屈だったのですね。

 対戦車ミサイル、必要ならば無理矢理持ち込もうと思えばのせられるのでしょうが、なにしろ車内の戦闘室中央部の座席が邪魔になります、ジャベリンもドラゴンも携帯対戦車ミサイルですが、これが三脚を要するミラン対戦車ミサイルやスパイクER対戦車ミサイルは。

 ミラン対戦車ミサイルやスパイクER対戦車ミサイルなどとなりますと、打つ手なし、入らなくなる。これがCV-90やASCODなどでは三脚ごと持ち込むことが可能です。邪魔にはなりますが車内は相応に広く、足の位置を工夫するならば81mm迫撃砲も持ち込めます。

 ミサイルも迫撃砲も予備弾薬も搭載できる。利点は多い、対戦車ミサイルは基本的に直接照準で運用します、いやレーザー誘導型の第三世代型などはレーザー照射装置を離隔して運用するならば直接照準の必要はないのですけれども、各国なかなかそういう運用はない。

 対戦車戦闘、基本的に装甲戦闘車が独立戦闘を行う場合には、直接照準の必要があり、見通しの良い射撃陣地に展開する必要がある、対戦車ミサイルの速度はTOWや重MATなど有線誘導型が200m/sというところ、この速度の根拠は誘導ワイヤーが切れてしまうため。

 レーザー誘導型が400m/sで音速を超える程度なのですが、戦車砲弾は1800m/s程度が普通、4kmの射程で射撃しますと命中まで十秒二十秒と対戦車ミサイルが要するとともに誘導しつづけねばならないのですが、対する戦車は主砲の瞬発交戦能力が極めて高いという。

 戦車砲弾は2秒で誘導中の装甲戦闘車を撃破し得るということにほかなりません。装甲戦闘車にミサイルを搭載するのはこうした問題点がありまして、たとえば今後は装甲戦闘車に伸縮式マストを、ドイツオランダのフェネク装甲偵察車のようなものを搭載することも。

 伸縮式マストを、ここから誘導し車体は掩砲所からミサイルを射撃することもあり得るのかもしれませんし、威力は限られますがスイッチブレード徘徊式弾薬を装甲戦闘車から打ち上げるとか、ミサイル誘導用に無人機を活用する選択肢もあるのかもしれませんが。

 しかし、現状では車体をさらす必要がある。すると、下車戦闘でミサイル班を降ろして有利な地形からミサイルを運用する利点は、実は大きいのですよね。実際、CV-90の訓練をみますと戦車との遭遇戦では即座に対戦車班3名を下車させる。ミサイル射程は3kmほど。

 対戦車班を下車展開させると装甲戦闘車は迅速に後方の掩蔽可能な地形に後退し機関砲で対戦車班を敵歩兵から防護しつつ、対戦車班は素早く地形防御の彼方に隠れて敵戦車を攻撃しています。戦車と協同が前提であれば、装甲戦闘車は出番は薄くなるのかもしれない。

 時代遅れ、乗車戦闘の時代は終わりつつあるのかもしれませんが、これを根本から示すのが殆ど乗車戦闘だけを想定して開発した様な旧ソ連製BMP-3を見ますと納得するのではないでしょうか、今年二月中旬までは搭載火砲口径だけで強力な装甲戦闘車と信じていた。

 アメリカのブラッドレー装甲戦闘車等を見ますと、乗車戦闘能力というものが反映されているのですよね、これは89式装甲戦闘車と同じ様に乗員は背中合わせに着席する、銃眼から外を狙えるように。ドイツのマルダー装甲戦闘車も同様、その下車戦闘の乗降口は狭い。

 プーマ装甲戦闘車やCV-90装甲戦闘車といった、新時代の装甲戦闘車は車内がフラットで乗員は隔壁に沿って座席を配置しています、これですと銃眼は無いので乗車戦闘は想定していないのですが、対戦車ミサイルを車載する際にも座席などの配置は邪魔になりません。

 戦車の時間だ。観閲行進準備は戦車連隊の移動が開始される頃合いに。90式戦車、これだけ数が揃うと中々の迫力です。第71戦車連隊、第72戦車連隊、第73戦車連隊と、第7師団には三個戦車連隊が揃っていまして、有事の際の機動打撃を担う骨幹戦力となります。

 第71戦車連隊、第72戦車連隊、第73戦車連隊と、各戦車連隊は本部管理中隊と五個戦車中隊を基幹としていて、戦車連隊戦闘団を組む際には第11普通科連隊に六個普通科中隊と重迫撃砲中隊が置かれていますので、任務に応じた様々な編成が状況に応じて可能という。

 BMP-3装甲戦闘車はやはりダメだったのか、ロシア軍ウクライナ侵攻にともなうウクライナ戦争によりBMP-3がかなりの数が撃破されたことで、打撃力に特化した装甲車両の限界というものを痛感させられました、また撃破された車両をみますと乗員は、とも思う。

 装甲戦闘車、このなかにあってBMP-3は異端児でした、こういうのももともとは軽戦車として設計された車体を応用した車両ですので異色といえば異色なのですが、同時に100mm低圧砲と30mm機関砲を連装し火力重視設計で、100mmという口径に身構えたもの。

 100mm低圧砲は陣地攻撃に火力支援として用いるか、または対戦車ミサイルを運用し遠距離にある戦車などに対抗するという運用が用いられていまして、動く相手いにたいして正確に照準できるものではなく、こうした場合には基本的に機関砲を用いていました。

 PT-76水陸両用軽戦車、BMP-3の車体設計はこのPT-76を応用したものなのですが、これは同時に下車戦闘を想定した車体ではないために乗員は苦労して下車するという設計でした。車体後部にあるエンジンが邪魔で下車の際にはエンジン上を屈んで降りてゆくという。

 乗車戦闘重視、もともとBMP-3はソ連陸軍の無理な火力至上主義という要請により設計されたものでした。このために下車戦闘は可能でさえあれば設計上の配慮が重視されなかったのかもしれません、故に乗車戦闘が第一であり、車内配置も相応のものとなっています。

 BMP-3は座席がすべて前を向いて配置されている、いやより具体的には100mm低圧砲と30mm機関砲を備えた巨大な砲塔、その基部を囲むように座席が配置されていまして、窮屈というものを考えさせられる、だけではなく砲弾と兵員が同居する危険な配置を採った。

 装甲車の必然、下車戦闘に際して、BMP-3は下車に時間をかけるものですが、同時にそれは乗車、つまりBMP-3への復帰へも時間を要するものである裏返し。訓練でどの程度の歩兵全員下車や再度乗車所要時間を想定しているかは未知数ですが、迅速は不可能でしょう。

 一方、100mm低圧砲と30mm機関砲の連装というものは一見強そうに見えまして、しかし主砲だけで二系統の弾薬を必要とするにほかなりません。このためロシア軍は57mm自動砲への換装を計画しています、本来はアルマータT-15重装甲戦闘車用に開発されたもの。

 57mm自動砲は高射機関砲を転用したもので、発射速度も高いのですが初速が高く射程も長い、具体的にはアメリカのTOWミサイルを遙かに凌駕する性能であり、アメリカ製装甲戦闘車をアウトレンジする性能を備えている。装甲戦闘車同士の戦闘では相応に脅威です。

 日曜特集、これは北大路機関記事の資料写真としての機能もありますので写真点数を多めとしましたら、何回記事が必要なのか、と24枚記事を36枚記事に強化してみましたが、その分はわたしの戦車観を列挙する記事となってしまいました。御付き合いください。

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【京都幕間旅情】京都市交通局10系電車ステンレス車と京都市営地下鉄乗入れの近鉄電車たち

2022-03-20 18:10:04 | コラム
■京都市交通局10系電車
 烏丸線と東西線という二つの路線が京都の地下鉄として今日も頑張っています。

 10系電車。京都市営地下地下鉄はここ竹田駅にて近鉄京都線と烏丸線が合流するとともに烏丸線始発駅、京都駅を経て阪急と乗換える四条駅に東西線乗換駅である烏丸御池駅を経て、北大路バスターミナルのある北大路駅、そして終点の国際会館駅へ伸びています。

 10系電車、京都市交通局10系電車は烏丸線の登場以来の唯一で主力の電車です。この車輛は1981年の市営地下鉄開通時から運用されていまして1980年代らしい武骨なステンレス車輛に貫通扉の形状と色彩に調和を配慮した、まあ京都では馴染み顔という電車なのです。

 烏丸線の唯一の電車、こう強調しますのは、実は来たる3月26日から後継車両の導入が始まりますので、この10系が唯一という時代ももうあと六日というまさに転換期となっていまして。もっとも、唯一という割には隣のマルーンカラーは何なのでしょうと思われるか。

 近鉄3200系電車。こちらも1986年に登場したという1980年代の車両なのですがアルミニウム合金製の車両ということで地金剥き出しの10系電車のステンレス車輛よりも随分と違う印象です。5年違いで、近未来的というよりも現代の車両そのものという印象ですね。

 8000系電車、京都市地下鉄にそうだった近鉄電車が乗入れていた、こう油断していますと、例えば竹田駅なんかでは気が付いたら京都駅に居るつもりが近鉄京都駅にいました、なんてこともある。運賃に違いが、という問題も発生しますが何より京都駅以北には行けない。

 Yの字のように京都市営地下鉄と近鉄京都線が竹田駅で分れて京都に向かっていまして、市営地下鉄は国際会館駅まで延伸しています。開業当時には終点は北大路駅でしたので、10系電車の方向幕には北大路行も残っています。もっとも後期型はLED表示方式なのだけど。

 急行国際会館行き。近鉄京都線に乗り入れていますが、国際会館から近鉄奈良まで乗り入れている車輛もあるので逆も然り、すると近鉄線内では急行運用されている車輛もあるのですね。つまり北大路から大久保駐屯地や宇治駐屯地、奈良基地へ乗り換えなしで行ける。

 市電の代替という位置づけにあるような地下鉄、と市電時代を知る方は仰るのですが、路線は烏丸線と東西線と二系統に限られているものの、なにしろ渋滞しませんので移動には市バスよりも遥かに速くそして確実な時間で移動できますので、これは大事な交通手段なのです。

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キンジャール極超音速ミサイル-ロシア軍がウクライナ西部地下施設攻撃に使用した新兵器

2022-03-20 07:00:15 | 先端軍事テクノロジー
■臨時情報-ウクライナ情勢
 極超音速ミサイルとはイージスシステムなど既存の防空システムを突破するべく開発されたもので、イージスシステムなどが能力向上を重ねる背景の一つ。

 ロシア軍ウクライナ侵攻、この最中の18日、ロシア軍がウクライナ西部の軍事目標攻撃にキンジャール極超音速ミサイルを使用したと発表しました。ウクライナ西部の目標とは、西部のイワノフランキフスクにある地下弾薬庫とされ、ロシア軍発表によればキンジャールにより破壊されたとのこと。なお、命中精度の特性から真偽はまだ確認されていません。

 極超音速ミサイルとは。多くのミサイルは超音速飛行が可能となっていますが、極超音速とは音速の五倍以上のものを概ね示し、例えば弾道ミサイル等は一定以上の射程となりますと高高度から落下する際の落下速度を稼ぎこの速度に達します、似たものとして極超音速滑空兵器が開発されていますが、今回使用されたものは高度を利用する極超音速兵器だ。

 キンジャールミサイルとは、MiG-31戦闘機から運用するもので、ミサイルそのものはイスカンデル短距離弾道ミサイルが使用されています。イスカンデル短距離弾道ミサイルはロシアがINF中距離核戦力全廃条約下で開発したミサイルで、射程は500kmとなっています。これはINF全廃条約が550kmから5500kmまでの地上発射ミサイルを禁止したため。

 イスカンデルミサイルの射程は500kmでロシアにとっては戦域運用を考えた場合に十分とは言えない射程でした、そこで短距離弾道弾を高高度から発射させる事で射程を延伸するという妥協の産物のようなミサイルです。高高度から発射する、これは鳥人間コンテストを考えれば分りやすい、琵琶湖畔の滑走台から発進するより飛行機から発進した方が飛ぶ。

 MiG-31戦闘機がキンジャールミサイルの発射に利用されます。このMiG-31戦闘機とは冷戦時代のソ連防空軍が開発した、防空戦闘に特化した戦闘機であり主目標は冷戦時代のアメリカ軍戦略爆撃機による核攻撃の阻止、その基本設計は1976年に函館空港に亡命し有名となったMiG-25戦闘機で、あのF-15戦闘機よりも遥かに大きな機体を有しているもの。

 キンジャールミサイルの搭載機にMiG-31戦闘機が選ばれたのは、広大なソ連本土を防空するべく、早期警戒機並のレーダー能力と航続距離を戦闘機に盛り込んだために機体は非常に大きく、この機体を機動させる為に最高出力のエンジンを搭載した為、巨大なイスカンデル弾道ミサイルを運用するにはMiG-31の大きな機体が最適、と考えられたためでした。

 2000km、キンジャールミサイルは高度1万3000m以上で発射しますと、そのまま上昇し飛行高度を稼ぐ事により元々のイスカンデルミサイル射程の500kmを大幅に上回る2000kmの射程を叩き出すとともに、高度を稼いだことにより落下速度はマッハ10近くまで加速するという、これだけの速度が有ればその速度はエネルギーとなり貫徹力も増える。

 カリブル巡航ミサイルを撃ち尽くしたのか、地下施設を破壊する必要がある程に重要な弾薬庫であったのか、キンジャールミサイルが必要な程にウクライナ軍の防空が硬かったのか、単に新兵器で圧力を掛けたかったのか。今回ロシア軍はキンジャールミサイルを使用した背景にはこうしたものが考えられるでしょう。これらの複合的な関係も考えられます。

 ロシア軍の装備でウクライナ西部へ到達するものとして射程2500kmのカリブル巡航ミサイルがありますが、相当数発射しており備蓄が憂慮される規模です、そしてこのミサイルは地下施設を狙えません。またウクライナ軍の地対空ミサイルは相当数健在である為、ミサイルではなく通常の自由落下型爆弾を搭載した戦闘機では攻撃が難しい可能性もある。

 ロシア軍は考えるに、キンジャールを用いる事で西部を攻撃する能力を誇示し、且つキンジャールミサイルを使用するに適した目標として地下施設を標的としたのでしょうか。地下弾薬庫とNHK等は報じていますが、例えばウクライナ空軍が温存するMiG-29戦闘機などが核戦争を想定した硬化シェルターに掩蔽しているものを標的としたのかもしれません。

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(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
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