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北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

陸上自衛隊の無人機,01式軽MATや81mm迫撃砲の延長線上でスイッチブレード等検討すべき

2022-03-17 20:10:25 | 防衛・安全保障
■Ninoxとスイッチブレード
 自衛隊は無人機をもう少し重視すべきだ。こう主張しますとスキャンイーグル等を並べられるのですが、部隊規模と普及度合いを並べますと現実で在るのも事実です。

 陸上自衛隊と無人機について。自衛隊では無人航空機の導入そのものは比較的早かったものの、無人偵察機や無人観測機については航空法の関係上、その導入が大きく遅れるところとなりました。近年はカナダ製スカイレンジャー無人機などの導入が始まり、災害派遣用にフランス製アナフィの大量配備は行われるも、その装備数は充分とは言えません。

 無人機、情報優位が戦域優位に直結する事が現代戦の常識であり、いかなる精鋭部隊でも位置が暴露すれば迫撃砲を筆頭にあらゆる火力により無力化される運命です。ただ、案かな市販無人機では電子妨害に脆弱性があり、こうした広域電子妨害は簡単には起こされないものの、ウクライナ東部紛争において実施した国が隣国にあり、油断できない事も確か。

 一発逆転、日本にはむずかしいように思えるかもしれませんが、新しい区分であると考えるからこそ新部隊配置や予算の割り当てなどで問題が生じるとともに、法律の壁などの問題が普及を阻むのです。それならば既存装備の延長線として装備させてしまうならば、自衛隊では装備近代化を必要と考えれば一挙に進めた事例は通信等幾つかあります。可能だ。

 航空法。もう一つの課題は結局のところ無人機が無線操縦航空機であるのか遠隔操作の有人機であるのかという問題がある為なのですが、法的な問題はあるものの必要な装備出る事は不変です。すると、幾つかの抜け道というものがあります。例えば一種の弾薬と視る事で航空法の対象外となる。もちろん、誘導弾がどの法律に制約するかは法の欠缺ですが。

 RQ-4グローバルホークを筆頭に多種多様な無人航空機が存在しますが、どの作戦単位にも当てはまるものではなく、例えば普通科連隊の本部管理中隊にグローバルホークが配備されたとしても発着できる飛行場確保一つとっても持て余してしまうでしょう、他方で、小銃中隊単位までの無人航空機に絞って考えますと、幾つかの選択肢が思い浮かぶところで。

 Ninox無人機とスイッチブレード無人機。喫緊の課題としてこの二つの装備が必要と考えます。Ninox無人機はイスラエルのスピア社が開発した無人機で、特に最軽量のNinox40無人機は重量250gという軽量ながら40分間の飛翔が可能という。この装備は具体的には小銃小隊単位で装備可能と考えます、こういうのもこのNinox40無人機は発射方法が凄い。

 Ninox40無人機は40mm擲弾銃から発射可能です、それもアドオン式のグレネードランチャーから射撃可能であり、陸上自衛隊では89式小銃の後継として20式小銃が制式化されましたが、この備品としてイタリア製GLX160A1が採用されています。GLX160A1はイタリア陸軍制式ARX-180小銃用のグレネードランチャー、Ninox40無人機も発射可能です。

 擲弾手。陸上自衛隊では06式小銃擲弾を採用し、これは通常の89式小銃からも投射可能なのですが、これとは別に110mm個人対戦車弾、所謂パンツァーファウストⅢの射手を擲弾手としています、重くて大変だとは思うのですが、元々は車載の車両自衛用の装備ですので、この際は専門射手を廃止し、GLX160A1を携行する射手に転換してはどうでしょう。

 GLX160A1から40mm擲弾として投射といいますと手軽に思えますが、その監視能力は個人端末表示で昼夜対応、40分の滞空時間は近接戦闘への車両からの下車に先行してなど、用途が広いのです。そして広帯域無線機のデータ通信能力を拡張、小銃小隊単位の画像情報を連隊単位で集約し共有できる体制を構築するならば、より有為な情報収集が可能です。

 スイッチブレード無人機、もう一つ必要な装備は中隊単位で運用する無人機で、徘徊式弾薬です。これは発射装置を含めた重量が2.7kgで発射器が60mm迫撃砲と形状が似ており、そして小型です。普通科中隊に編成される迫撃砲小隊や、場合によっては小銃小隊の軽対戦車誘導弾班にも装備可能です。また小型軽量ゆえに戦車小隊に配備してもよいでしょう。

 エアロバイロメント社が開発したスイッチブレード、エアロバイロメント社ではRQ-11レイヴン無人機を開発生産しているメーカーで、こちらはRC飛行機のような形状の機体を手で投げる、稀に5m先に叩きつける事もあるようですが、発信すると10km先まで80分間に渡り偵察が可能、専用通信機とPanasonic製のノートパソコンにより操縦可能という。

 スイッチブレードとは飛び出しナイフを意味しまして、弾薬としての威力は40mm擲弾程度ですが、電動モーターにより157km/hで飛翔し10km先までを10分間に渡り観測可能という。要するに対戦車ミサイルの代替とはなりませんが同列の装備として運用可能、滞空時間はNinox40無人機よりも短いものの、120mm重迫撃砲並の飛翔距離を誇ります。

 01式軽対戦車誘導弾。理想としてはスイッチブレードは威力はそれほど大きくありませんが、01式軽対戦車誘導弾や81mm迫撃砲と併せて運用する事が望ましい、相手が戦車であっても地域目標であっても、位置を把握しなければ射撃を行えませんし、また近接戦闘部隊であっても小銃手よりは相手との間に離隔があり、端末操作中に接敵する確率が低い。

 スイッチブレード600無人機という、こちらは発射装置が107mm迫撃砲のような大きさの拡大改良型がありまして、こちらはエアロバイロメント社が対戦車攻撃用に開発したものだという。こちらはシステム一式で23kgと個人携行には限界がありますが、飛翔速度は185km/hに向上し、しかも40km先の地域を20分間滞空の上で攻撃できる性能がある。

 対戦車中隊は全国の普通科連隊から順次廃止されていますが、重迫撃砲中隊の中隊本部観測班を多目的観測小隊として配備する、若しくは普通科連隊の本部管理中隊情報小隊に遠隔情報小隊として、いわば現在の観測装備や情報装備の更新として導入するならば、新しい部隊を置く必要もありませんし、自衛隊の無人機運用幅は一挙に広げられるよう、思うのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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ウクライナ侵攻後のロシア海軍状況:北海艦隊主力の行動と太平洋艦隊日本周辺海域の概況

2022-03-17 07:00:55 | 防衛・安全保障
■臨時防衛情報-ウクライナ情勢
 ウクライナでは停戦交渉に在る程度の双方譲歩があるとの報道もありますが、その緊張は我が国周辺へも及んでいるようで海上自衛隊は警戒を強化している。

 ロシア海軍はロシアウクライナ侵攻に際し、黒海艦隊などがウクライナを攻撃しています。しかし、黒海艦隊以外の艦隊動静は通常と異なります。ロシア海軍主力である北海艦隊はバレンツ海に留まっており、この行動はロシア海軍の戦略ミサイル原潜展開海域でのNATO海軍攻撃型原潜など接近に対して対潜警戒任務を展開していると考えられています。

 ソ連海軍は多数のミサイル巡洋艦を装備し、大きな戦力を発揮していましたが、現在のロシア海軍はソ連崩壊に伴う経済崩壊を受け、大型水上戦闘艦は僅かに1980年代のものが維持されており、新造された水上戦闘艦はコルベットクラスの小型艦に巡航ミサイルを搭載し打撃力のみ特化、2010年代に入り中型の水上戦闘艦と原潜の建造を再開している水準だ。

 我が国周辺でもロシア海軍艦艇の行動が活性化しています。護衛艦まきなみ、は3月14日、宗谷岬南東130kmの太平洋上においてウダロイ級駆逐艦1隻とキロ級潜水艦3隻、及びマルシャルネデリン級観測支援艦とゴーリン級外洋曳船の各1隻が航行しているのを確認したとのこと、これら6隻のロシア艦艇はそのまま宗谷海峡を西進した事が確認されました。

 ロシア艦の14日の行動はこのほかに、青森県の尻屋崎東北島沖170kmの太平洋上にてズヴヨズドチカ級輸送艦が航行中であるのを確認し、掃海艇いえしま、が警戒にあたっています。こちらは津軽海峡を西進し、やはり日本海へ航行したとのこと。ウクライナ侵攻により極東地域のロシア地上軍はかなりが引抜かれており、海軍が行動を強化した構図です。

 3月10日には、ロシア艦多数が同時に10隻津軽海峡を航行するという一幕がありまして、10隻の概要はウダロイ級駆逐艦1隻、シュテレグシチ級フリゲイト4隻、グリシャⅤ級コルベット2隻、アルタイ級補給艦、イゴリベロウソフ級潜水艦救難艦、ソルム級外洋曳船の各1隻が襟裳岬東北東180kmの海域を津軽海峡に向け航行しているのが確認されました。

 シュテレグシチ級満載排水量で2200tとなっていますがS-300系の長射程艦対空ミサイルを搭載し、一部の艦にはカリブル巡航ミサイル用UKSK-VLSが搭載されていまして、小型艦ですが2500km圏内を攻撃可能です。ソ連時代には大型艦の抑止力的な運用が為されていましたが、近年のロシア艦は小型でも打撃力に特化した艦艇が増加、警戒が必要です。

 揚陸艦4隻が津軽海峡通過、昨夜もう一つ注目すべき発表が防衛省よりありました。揚陸艦は二つに分かれており、16日1900時頃、ロシア海軍の揚陸艦ロプチャーⅠ級戦車揚陸艦とロプチャーⅡ級戦車揚陸艦の2隻が、2000時頃にアリゲーターⅣ級戦車揚陸艦とロプチャーⅠ級戦車揚陸艦の2隻が、相次いで津軽海峡を航行、車両等を搭載が確認された。

 揚陸艦の車両は、千島列島に配属されている第52機関銃師団の沿岸警備部隊とも考えられ、これは見方によってはロシア軍はウクライナでの地上戦により深刻な歩兵不足に陥っており、これまで動員してこなかった千島列島からも部隊を引抜かねばならない程の戦況となっているのかもしれません、また引抜いた兵力を補うべく、より演習が拡大する可能性もあるでしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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宮城県沖マグニチュード7.3地震-最大震度六強を観測,宮城県と福島県に津波注意報発令中

2022-03-17 02:01:29 | 防災・災害派遣
■宮城県沖地震想定地域
 16日2336時に緊急地震速報が発令されました。この規模の地震ですと陸海空自衛隊が航空機による情報収集を行う規模です。

 2336時、東北地方宮城県沖においてマグニチュード7.3の地震が発生し、宮城県と福島県沿岸部に津波注意報が発令されています。宮城県などで震度六強を観測している。小鹿半島沖60kmで震源の深さは60kmの逆断層型地震で、最大震度は宮城県登米市や蔵王町、福島県相馬市と南相馬市などで六強を観測しています。今後数日は余震も注意が必要だ。

 津波注意報は2349時に発令、防災上の留意事項として気象庁は津波が発生しているおそれがあり、海岸線や海の中で活動する事は危険であり潮流も早い状況が続いており、注意報が解除されるまで海岸にちか付かないよう注意するとともに、家屋倒壊や土砂災害、今後の降雨などにも注意し危険な場所に近寄らないよう、身を守る行動を呼びかけています。

 津波は0029時に石巻で0.2mの津波が観測されていると気象庁は発表し、潮位上昇中、気象庁は最大1mの津波を予報、注意報を発令しています。震度1以上の余震が発生し、また、今回の地震が発生する一分前に最大震度五弱の地震が観測されているといい、前駆地震の可能性もあります。なお、気象庁は今回の地震に際し緊急地震速報を発令しました。

 福島第一原発五号機のタービン建屋において火災警報装置が作動したとして消防へ通報した、0100時時点で使用済み燃料プールなどは情報を確認しているが、モニタリングポストの放射線情報に異常はないとのこと。福島第二原発では使用済み核燃料プールの冷却装置が停止しているが、原子力規制庁によれば冷却水の量から時間的な余裕があるとのこと。

 東京電力によれば、火災報知機は火災では無かったと確認されています。また三号炉の冷却装置について水位が低下したためバルブを閉める作業を実施した結果水位の低下は止まったが、冷却ポンプを動かす事が出来ない状態となっており東京電力は復旧作業を開始するとしています。福島第一原発第二原発は全ての原子炉が停止中ですが、冷却は必要です。

 停電に関して、0130時現在86万戸の停電が発生していて、新橋駅前などで停電がある。東京電力は、停電に関しては現在復旧へ情報を収集中としています。なお、東京電力は0140時時点の発表として停電は65万戸となっていますので、地域ごとに復旧が進んでいることがわかります。栃木群馬静岡での停電は解消したと発表されました。今後一時間が目安だ。

 新幹線脱線の情報があります、JR東日本によれば東北新幹線下りの新幹線やまびこ223号が脱線しているとしていて、この列車には96名が乗車していましたが負傷者などは出ていないということ。この地震に伴う緊急地震速報により、首都圏と東北地方の広い範囲で列車が緊急停止し、これにより一部は運転再開するも、ダイヤに大きな乱れがあるようです。

 宮城県沖では2011年に東日本大震災を引き起こした東北地方太平洋沖地震が発生していますが、これとは別に周期的にマグニチュード7クラスの宮城県沖地震が発生している事から警戒が呼びかけられていました。また、この地方では2021年2月13日でも東北地方では同じ太平洋プレート上にて震度6の地震が観測されています。今後も情報を見守りましょう。

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