■多極化時代
アメリカのグローバリゼーションへの回帰は難しくなりつつあるというのは根本的な政策の軌道修正が出来ない第二次トランプ政権の構造的なむずかしさがあるゆえでしょうが。

アメリカが定点では世界最強では無かったという一方で、では西ドイツ軍が機甲師団を中東地域に派遣する場合はどれだけ時間を要するか、という視点、パワープロジェクション能力を比較するようになりますと、NATO域外派遣禁止という西ドイツ基本法の成約はありますので単純比較が無意味であることは前置きしたうえで、根本的に違いがあります。

パワープロジェクション能力の軍事機構全体に占める位置づけが異なる、という事に気づかされるでしょう。ユニラテラリズムは、パワープロジェクション能力を求められた冷戦時代の国際政治と安全保障基盤により自然形成され、これは同時に、西半球は難攻不落、この原則論を維持する為に、アメリカが選択した、という視座がそもそもあるのだ。

アメリカの選択があった、世界から求められてのものだけでは必ずしもない、という背景があったことに留意する必要がありますが。しかし、ユニラテラリズムというものをアメリカ自身が忌避した訳ではありません、最大の機会は2005年の米軍再編、日本では沖縄基地負担だけ強調された世界規模の米軍再編が行われた際の一例を見れば明白です。

2005年、ブッシュ政権時代に提唱されたラムズフェルドドクトリンでは、それまでの在欧米軍や在韓米軍と在日米軍や中東駐留部隊を中心に、紛争の発生しそうな地域に大量の米軍部隊を張り付け、紛争を抑止するという構造がありましたが、ラムズフェルドドクトリンの時代には、冷戦終結後、従来型の戦力衝突可能性の低下が反映された。

巨大な戦力をぶつけある全面戦争の蓋然性は低下したという理解のもと、アメリカ軍は若干数の世界における戦略拠点を維持したうえで、大量の兵力を世界に張り付ける体制を脱却し、戦略拠点を起点にアメリカ本土から緊急展開を行うという体制に転換を志した構図です。これはきゅうに浮上した朝三暮四の施策ではなく、長期的視野に戻づく。

ブッシュ政権のひとつ前、クリントン政権時代に提唱されたフロムザシードクトリン、海洋からの安全保障アプローチという新戦略に対応させたものではありますが、同時に、世界規模のパワープロジェクション能力維持によるユニラテラリズム維持という決意を示した事にもほかなりません。そしてこの結果、実際日本以外の改編は凄かった。

在欧米軍では2個重師団からなる第5軍団の整理と、在独米軍ラムシュタイン基地、在英米軍のレイクンヒース空軍基地やミルデンホール基地及びフェアフォード基地、在韓米軍では平澤基地と烏山基地といった基地群、インド洋ではイギリスから租借しているディエゴガルシア基地などに集約することとなりました。

日本では首都圏の横田基地と相模原総合補給所に横浜と横須賀基地と艦載機を運用する岩国基地、沖縄の嘉手納基地とキャンプシュワブを中心とした基地とともに佐世保の揚陸艦部隊などへ集約されています。もっとも、米軍再編に際して在日米軍は脅威から遠い立地にあるために後方拠点としてまた司令部機能など強化された部分はあるのですが。

ポストアメリカの時代、多極化時代というものが渡来しつつあるのは、ユニラテラリズムの構成要素が実のところ複合的な要素であることを理解しておくことでその可能性は見出すことができました。軍事力だけに論理展開を偏重させてきましたが、言うまでもなく、アメリカのユニラテラリズムを説明する際には、基軸通貨ドル、という存在があります。

基軸通貨ドル、恩恵は計り知れないものですが維持する事での負担も大きいものでしたが。貨幣として見た場合は、既にニクソン政権時代に兌換通貨としての機能を終えているドルは、世界に流通される事で決済通貨として、また多国間投資や多国籍企業国際分業など、ユニラテラリズムという名の通りのグローバルな世界における経済活動を行う際に。

また銀行間の決済手段として、さらに各国の準備通貨として唯一の機能を有しており、これはユーロは勿論、日本円も人民元も置き換え得るものではありません。反論として人民元取引の増大を挙げる方は多いことでしょうが、あくまで、人民元の取引は中国とその投資先という構図であり、ユーロダラー市場のような、強さの背景を生んでいます。

ユーロダラー市場、この表現はユーロとは浮遊の意味を示すものの欧州基軸通貨とカタカナ表示が重なるので誤解を招きやすく、オフショアドル市場と訳すべきようにも考えるものなのですけれども、ドルそのものが連邦準備銀行などの影響から独立して機能しています。こうした、管理できない市場での自由な流通は、恐らく中国政府には不可能だ。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
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(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
アメリカのグローバリゼーションへの回帰は難しくなりつつあるというのは根本的な政策の軌道修正が出来ない第二次トランプ政権の構造的なむずかしさがあるゆえでしょうが。

アメリカが定点では世界最強では無かったという一方で、では西ドイツ軍が機甲師団を中東地域に派遣する場合はどれだけ時間を要するか、という視点、パワープロジェクション能力を比較するようになりますと、NATO域外派遣禁止という西ドイツ基本法の成約はありますので単純比較が無意味であることは前置きしたうえで、根本的に違いがあります。

パワープロジェクション能力の軍事機構全体に占める位置づけが異なる、という事に気づかされるでしょう。ユニラテラリズムは、パワープロジェクション能力を求められた冷戦時代の国際政治と安全保障基盤により自然形成され、これは同時に、西半球は難攻不落、この原則論を維持する為に、アメリカが選択した、という視座がそもそもあるのだ。

アメリカの選択があった、世界から求められてのものだけでは必ずしもない、という背景があったことに留意する必要がありますが。しかし、ユニラテラリズムというものをアメリカ自身が忌避した訳ではありません、最大の機会は2005年の米軍再編、日本では沖縄基地負担だけ強調された世界規模の米軍再編が行われた際の一例を見れば明白です。

2005年、ブッシュ政権時代に提唱されたラムズフェルドドクトリンでは、それまでの在欧米軍や在韓米軍と在日米軍や中東駐留部隊を中心に、紛争の発生しそうな地域に大量の米軍部隊を張り付け、紛争を抑止するという構造がありましたが、ラムズフェルドドクトリンの時代には、冷戦終結後、従来型の戦力衝突可能性の低下が反映された。

巨大な戦力をぶつけある全面戦争の蓋然性は低下したという理解のもと、アメリカ軍は若干数の世界における戦略拠点を維持したうえで、大量の兵力を世界に張り付ける体制を脱却し、戦略拠点を起点にアメリカ本土から緊急展開を行うという体制に転換を志した構図です。これはきゅうに浮上した朝三暮四の施策ではなく、長期的視野に戻づく。

ブッシュ政権のひとつ前、クリントン政権時代に提唱されたフロムザシードクトリン、海洋からの安全保障アプローチという新戦略に対応させたものではありますが、同時に、世界規模のパワープロジェクション能力維持によるユニラテラリズム維持という決意を示した事にもほかなりません。そしてこの結果、実際日本以外の改編は凄かった。

在欧米軍では2個重師団からなる第5軍団の整理と、在独米軍ラムシュタイン基地、在英米軍のレイクンヒース空軍基地やミルデンホール基地及びフェアフォード基地、在韓米軍では平澤基地と烏山基地といった基地群、インド洋ではイギリスから租借しているディエゴガルシア基地などに集約することとなりました。

日本では首都圏の横田基地と相模原総合補給所に横浜と横須賀基地と艦載機を運用する岩国基地、沖縄の嘉手納基地とキャンプシュワブを中心とした基地とともに佐世保の揚陸艦部隊などへ集約されています。もっとも、米軍再編に際して在日米軍は脅威から遠い立地にあるために後方拠点としてまた司令部機能など強化された部分はあるのですが。

ポストアメリカの時代、多極化時代というものが渡来しつつあるのは、ユニラテラリズムの構成要素が実のところ複合的な要素であることを理解しておくことでその可能性は見出すことができました。軍事力だけに論理展開を偏重させてきましたが、言うまでもなく、アメリカのユニラテラリズムを説明する際には、基軸通貨ドル、という存在があります。

基軸通貨ドル、恩恵は計り知れないものですが維持する事での負担も大きいものでしたが。貨幣として見た場合は、既にニクソン政権時代に兌換通貨としての機能を終えているドルは、世界に流通される事で決済通貨として、また多国間投資や多国籍企業国際分業など、ユニラテラリズムという名の通りのグローバルな世界における経済活動を行う際に。

また銀行間の決済手段として、さらに各国の準備通貨として唯一の機能を有しており、これはユーロは勿論、日本円も人民元も置き換え得るものではありません。反論として人民元取引の増大を挙げる方は多いことでしょうが、あくまで、人民元の取引は中国とその投資先という構図であり、ユーロダラー市場のような、強さの背景を生んでいます。

ユーロダラー市場、この表現はユーロとは浮遊の意味を示すものの欧州基軸通貨とカタカナ表示が重なるので誤解を招きやすく、オフショアドル市場と訳すべきようにも考えるものなのですけれども、ドルそのものが連邦準備銀行などの影響から独立して機能しています。こうした、管理できない市場での自由な流通は、恐らく中国政府には不可能だ。
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