北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

レーダーサイト新設を! 小笠原諸島の島嶼部防衛へ一提案

2009-01-14 12:54:08 | 防衛・安全保障

■太平洋側からの脅威に備える

 中国海軍の航空母艦建造、ロシア製中古空母ワリャーグの修理などなど、実現までは時間がありそうだが今後日本が想定していないような地域からの脅威にどう対処するか、という問題提起。

Img_1726  日本全土には、航空自衛隊により北部航空警戒管制団、中部航空警戒管制団、西部航空警戒管制団、南西航空警戒管制隊が28ヵ所のレーダーサイトを配置され、24時間365日、休みなくレーダーにより領空侵犯に備える警戒網が構築されている。飛行計画にない航空機はすぐに探知され、航空基地から要撃機がスクランブルをかける。

Img_5723 しかし、日本近隣諸国に航空母艦を保有する国が現れれば、現在、レーダーサイトが配置されていない小笠原諸島が防空の真空地帯となる可能性がある。冷戦時代には、ソ連海軍にはVSTOL機を除けば固定翼機を運用する航空母艦を極東地域に進出させたことはなく、仮にそういう状況が生起しても、宗谷・津軽・対馬の三海峡を通行する際に発見することができ、対応を立てることにも猶予時間があった。

Img_6864_1  かつて、小牧や浜松に要撃飛行隊を配置して、このような太平洋側からの脅威に対応する準備は必要、と記載したが、警戒管制網を小笠原諸島にも広げる必要性があるのではないか、というのが本論の軸。小笠原諸島は、日本の排他的経済水域の防衛という観点からは重要であるのだが、その防備は、現段階からは脅威が無いという状況ではあるが、脅威が現実となれば南西諸島以上に無防備である。

Img_6247 現在、小笠原諸島には、海上自衛隊が父島基地分遣隊、硫黄島航空基地隊、南鳥島航空派遣隊を、航空自衛隊が硫黄島基地隊を配置している。この中で、硫黄島と南鳥島にレーダーサイトを配置出来ないか、という提案。

Img_8211_2  南鳥島は、硫黄島から1280km離れており、四方1000マイル以内に何も無い島ではあるが、滑走路が置かれ、その保守のための10名前後の海上自衛官と海上保安官、気象庁職員が駐留している。1.5km三方の三角形の島、万一の津波からの防護も含め堅牢な建物が必要であるし、将来的には、レーダーサイトが必要ではないか、ということ。

Img_1078  レーダーサイト、もしくは、中空の移動警戒隊部隊数に余裕をもたせ、必要であればすぐに展開できる体制を構築すれば、将来的に緊張が高まった場合には、基地防空隊を配置して防備を固めることも可能となる。もちろん、補給や、なによりも真水の確保からして、工事には多大な苦労は予想されるものの、必要性は将来的に高まるという観点に立てば、準備は必要となるだろう。

Img_8421  硫黄島は、玉砕の島ではあるが、同時に米海軍空母艦載機の陸上空母発着訓練に用いられていることから、年間3000機以上の航空機が飛来する。同時に小笠原諸島は、海上自衛隊の救難飛行艇による急患輸送なども行われており、一つの拠点でもある。ここにもレーダーサイトを配置することが出来れば、小笠原諸島の防備は飛躍的に向上する。

Img_7931  陸上空母発着訓練を行う硫黄島に、救難隊を展開させ、硫黄島基地として基地機能を強化することもひとつの手法ではあるように思う。なによりも、プレゼンスを示すことが重要だ。すぐには必要に無い状況であっても、必要なときに備え、政治レベルでの議論を進めることは必要なように思うのだが、どうだろうか。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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7 コメント

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そうですか、小笠原諸島周辺は真空地帯になる可能... (いいぞ!日本)
2009-01-15 02:29:10
そうですか、小笠原諸島周辺は真空地帯になる可能性があるんですね。4箇所にガメラレーダーが建設されてもそれらでカバーできないのでしょうか?
後、次期支援戦闘機の通ずきを希望します。
私個人の強い希望なのですが心神を官民上げて本気でラプターを打ち落とせるような戦闘機として開発してはどうでしょうか?100%セント技術的に無理だとしても最善を尽くしてやれるまでやってみたらいいと思う。使い道があいまいな税金の無駄使いするのなら優れた技術を開発した企業には表に出さなくてもいいからびっくるするぐらいの報奨金を出すぐらいでいいと思います。
韓国も自国だけの技術でイージス艦を建造したではないですか?アメリカに静かにジョーカーを出す意味も含めて私はとても心神に期待しています。少なくともステルス、レダー技術はラプターを上回る戦闘機を開発して欲しい。
それが可能になれば周辺諸国との外交にも大いににらみが利くというものです。
自分の淡い希望も含めて今日本人は命がけで自分の祖国を守るんだ!という意識を持つべきだと思います。
ですから、心から名の通り「心神」な戦闘機を開発していただきたいです。
そうりゅう級の今後の潜水艦の開発もとても重要になると思います。
返信する
いいぞ!日本 様 こんばんは (はるな)
2009-01-16 00:26:17
いいぞ!日本 様 こんばんは

新型でなくとも、FPS-3でも、場合によっては土台だけでも工事する意味があるのかな、と思います。それだけでも、小笠原諸島を防衛する、という決意を周辺国に伝えることが出来ますから。

周辺国で航空母艦を保有するまで、時間はまだありますので、検討する必要がああるのでは、という程度に。なにぶん、第二次大戦中(つまり太平洋側からの脅威が想定されていた時代)には、戦闘機なども配備されていたのですがら、現状で防備が緩い、というのは、冷戦時代は北方、今日では南西諸島、と優先度が変わっているだけでもあるのですが。

F-Xの方はもうしばらくお待ちください。
韓国のイージス艦ですが、イージスシステムを米国から輸入して、韓国製の駆逐艦に取り付けただけですので、韓国独自の技術による高性能水上戦闘艦、というわけではない、というところは重要です。

 日本は、ミニイージスシステムと登場当時は囁かれました国産火器管制装置FCS-3を、現在公試が進められている“ひゅうが”に搭載していますが、これは、過去二代にわたる国産水上艦用火器管制装置の開発と、試験艦“あすか”による試験を経て実用化することができました。
つまり、相当の技術蓄積があったからこそ、実現した国産水上戦闘艦用多機能レーダーなのです。
 他方で、航空機分野では、エンジンや機体形状(ステルス性につながる)、電子戦装置などで、基礎研究が不十分な分野が数多くあります。F-22は、開発計画が始動したのが1981年(ATF計画)、そして初飛行を遂げたのが1997年、第一線への部隊配備は21世紀に入ってからです。仮に、という話ですが、日本が全力を傾注して、今年から開発を行い、幸いにしてアメリカが開発したのと同じだけの期間で実用化できたとしても、部隊配備は、2029年。その頃には初期に飛行したF-22は退役し博物館に入っている頃なのではないでしょうか。
返信する
毎度様です。 (軽トラックの稲妻)
2009-01-17 14:42:55
毎度様です。

①レーダーなどについて
そうですね、事前にやれることは怠りなく研究などもしっかりしておくことが必要です。硬直化した体制は避けるべきことです。

私としては固定式レーダーサイトよりも哨戒機・早期警戒機の増強が望ましいのではないかと思います。こちらの方が覆域も多く、柔軟に運用が出来る筈ですので。(ただ、費用面での比較をしていないのでちょっと無責任な発現だとは重々承知しております。)


②技術開発に思う
以前もコメントしたのですが、技術を学べば学ぶほど日本の基礎技術はまだ浅い部分も多いことを実感します。
また、仮に最高の技術を持っていたとしても、「将来を見通す力」が無ければ駄作を造り出すことになります。
それと、一時の「燃料電池車」の馬鹿騒ぎを思い出してください。技術的に可能でも、実用にならなければ意味が無いのです。(各種電池の研究室所属であった私は冷笑していた。メタノールは毒物で供給上の問題があるし、水素貯蔵も重量の面などで無謀だったから。)

第2次大戦の日本航空機を省みて頂ければお分かり頂けると思いますが、「隼」は将来の戦闘の様相を予見できなかった例、「鐘馗」は折角の素質を持ちながら冷遇された例、「飛燕」は自らの実力を過信した例ですね。(5式戦のことを私は「飛燕空冷型」と皮肉って呼んでいる。そもそも液冷エンジンに拘らなかったら、5式戦がより洗練された形で2年早く実用化される可能性が高かった。)

コメントを見ていて思うのですが、大抵の人が「F/A-22ラプターを越える~」と書き込んでいます。
そのような「お手本」が無い場合、日本はどんな戦闘機を開発すると予想しますか?
(私個人はYF-23の方が好みであった。)

それと「そうりゅう」のスターリング機関は微妙。
電動機と熱機関の協調はかなり精巧な動力伝達機構を必要とするでしょうし、摺動部が多くて音の面でも不利に思えるからです。海自はどのような利点を見出しているのでしょうね?
(次世代潜水艦用には大容量リチウムイオン電池が開発されているが、この事を「海自もスターリング機関をはあくまで繋ぎと見ている」と考えるのは穿った見方だろうか?)

③結局は「国力」
とはいえ、借金塗れである財政状態の今の日本で
できることは限りがあります。あれもこれもと欲張ることは決してやってはいけません。そんなことをすれば国が内部から崩壊してしまいますよ。

何億円もあれば太陽エネルギーなど自前で賄えるエネルギーの比率を高め、鉄道を電化してエネルギー危機に備えたりなど、私が政治を行えるなら実行したいことは色々あります。
戦闘力のみが国の力ではないのですから。


それでは。
返信する
軽トラックの稲妻 様 こんにちは (はるな)
2009-01-17 16:31:04
軽トラックの稲妻 様 こんにちは

レーダーですが、ううむ、早期警戒機、それも24時間体制で滞空させるとなると、E-767でも、もちろん、一週間や二週間と期間が決まっていれば別なのですが、五年十年と継続させるのは難しいかも。米軍でも9.11事件以降の米本土防空作戦、ノーブルイーグルでは、AWACSの運用が限定的でしたし、E-2CやE-767を多数揃えて後も航空自衛隊の地上レーダーサイトで廃止されたものはありませんし。
もちろん、本当に多数を[例えばP-3C並に]揃えれば話は別なのですが、そうすると費用対効果的に、問題があるのでは、と。
精度はやや劣るものの、3000kmほど索敵できるというOTHレーダーを配備、ということも考えられるのですが、捜索方向が限定されるので、小笠原にそこまでして配備する必要はあるのか、と問われれば、まだ、優先度は北方や南西諸島の方が比較すれば高い、ということがいえるのかも。

技術面は、実用化を度外視してでも、継続は力なり、ということを信じて基礎研究から続けることがなによりも重要でしょう。例えば、年間に調達する航空機、艦船、車両の予算を削ってでも、技術開発に予算を投じる勇気が必要になるのですが、これがどうも苦手のようで。
陸海空自衛隊のほかに、防衛省の下に、防衛技術庁というのを創って、せめて予算要求をやりやすく、という方法もあるのかもしれません。ただ、単なる箱ものにならないよう事業評価を如何に機能させるかが重要となりますが。

ちなみに、私個人としてはF-14Dが好みでした。個人的には上昇力でMiG31も捨てがたい、更に趣味を突き詰めれば多用途性が高いTSR-2とかも。F-1よりは、対艦攻撃力を有し搭載力も大きいバッカニアを導入してほしかった、と考えます(スマン)。

飛燕ですが、それを言ってしまうと、川西の強風からさっさとフロートを取り外せば、局戦紫電の誕生は早かったのかな、と。メンツの問題なのでしょうが。
同様のことが実はスターリング機関にもいえるようでして、海自が国産のAIP機関を、うずしお型と同時期に開発していたのですが断念して、次の機関としてスターリング機関に注目したのが80年代なのですよね、それで、スターリング機関って凄い!という共有知が海幕内に形成されて実現したのが“そうりゅう”型のようで。繋ぎというよりも、導入の検討から導入までの時間が掛かり過ぎた、という背景があるようにも。なお、聞いてみますと本音では原潜が欲しいようで。

国力、そうですね、結局は国力。あとは、国際政治を生き抜く政治力と外交力、それを支える情報解析力でしょうか。
返信する
毎度様です。 (軽トラックの稲妻)
2009-01-18 14:07:10
毎度様です。
※なんか、本題から外れてきている感もあるので掲載にあたっては管理人さんの判断にお任せします。
 ・・・しかし脱線の原因は私だけではないような気が・・・。

①定点観測と移動哨戒
 やはり費用対効果の問題でしょうね。これは対空火器と制空戦闘機の関係でも言えると思います。
 私が哨戒機案を推したのはやはりレーダーで見通しの効かない水平線下の艦船及び対潜水艦戦の観点を重視したからですが、そのあたりは割切の問題なのでしょう。レーダーも波長の長さにより特性が変わりますが、分解能との兼ね合いもあり悩みどころです。

警察組織でいうと「交番」と「パトロールカー」の関係に近いかもしれませんね。ちなみにアメリカニューヨークでは基本的に交番が無く、基本的に巡回監視にしているとか。

②継続的技術開発&産官学の連携
 私は防衛技術に拘らず、広く「技術管理庁」のような組織とした方がより効果が高いのではないかと。
 最近は民生品の転用も多いですし、逆に軍用技術の民生転用も大事なことです。かつて「防衛技術ジャーナル?」だったかに「200系新幹線電車のボディマウント構造は防衛技術の転用である」旨が掲載されていました。
(かなり古い「世界の艦船」掲載記事より)

残念なのが最近の新幹線車両の先頭形状(トンネル微気圧波、空気の圧縮性に起因する)について、航空技術では60年近く前に発見されていた「エリアルール(YF-102やボーイング747-300以降の例が有名)」の適用が遅れたこと。これはもしかしたら鉄道技術者が他分野に関心を持たなかったからかもしれませんね。(最近の新幹線の設計は航空機に近い部分も多くなっており、風洞さえも自前で持つようになっている)
「エリアルール」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%AB
「トンネル微気圧波」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%B3%E3%83%8D%E3%83%AB%E5%BE%AE%E6%B0%97%E5%9C%A7%E6%B3%A2

> F-14D、MiG31、TSR-2とかも。F-1よりはバッカニアを~。

もはや今次(第4次)F-Xの話から離れていますね(笑)。
道具というものは運用思想により要求性能の最適解は変化しますし、価格や整備性他色々な条件が絡みますからね。(これは我々個人の買い物でも同じです。)
F-1については例えば後方視界など確かに問題が多かったと思いますが、これは「技術面は、実用化を度外視してでも、継続は力なり、ということを信じ」た結果ではないでしょうか?搭乗員にはたまったものではないと思うのですが・・・・。

>川西の強風からさっさとフロートを取り外せば、局戦紫電の誕生は早かったのかな、と。メンツの問題なのでしょうが。

「紫電」は川西航空機が自主的に提案したものでした。経営者が「水上機分野はジリ貧になる、新しい企画を立てて売り込まないと!」と発起した事により動き出した計画です。(二式飛行艇の陸上爆撃機化も検討された)。これは製造会社が「将来の有望な市場」を見越し、成功した例といって良いでしょう。ただ、陸上機の経験に乏しかったため不具合の連続でした。やはり完成度の点では陸軍の四式戦「疾風」が勝っていると思います。

この状況を深みに嵌らせたのが結局は縄張り意識なのでしょうか?
かつて私は「海軍は『太平洋戦争』を戦い、陸軍は『大東亜戦争』を戦った」と揶揄しましたが、機種整理などもう少し何とかならなかったのでしょうかね?似たような用途の飛行機を造り、それでいて細部の部品が異なるので共用性に乏しい。
(栄とハ25、熱田とハ40など、行程×内径こそ同じですが、取合の互換性はありませんでした。銃砲の類もまるで別物。
その点アメリカはブローニングM2を共用した。松本零士氏も「ザ・コックピット」の作中で触れている。)
こんな状況では却って「空軍」とした方が生産の面では楽だったかもしれません。

三式潜航輸送艇(所謂まるゆ)も縄張り意識の表れですね。ただ、陸軍がそれなりに将来を見越し計画したことは評価してよいでしょう。海軍は同種用途の潜水艦(波101)を役立てた実績が殆どありません。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E5%BC%8F%E6%BD%9C%E8%88%AA%E8%BC%B8%E9%80%81%E8%89%87

各製造業者も生産能力の限界があり、三菱と中島以外は陸軍・海軍どちらかの仕事をこなすことが精一杯だったようです。
つまり、別組織の仕様の異なりに対応することはまず困難だったと思います。

現在でもその状況は変わっていないようで、官公庁艦艇電気設計の友人によると「海自は防衛庁仕様で未だインチなどが生きているけど、保安庁は商船規格に従っている。ところが海自でも支援船クラスは商船規格のこともありややこしい」との事。やれやれ。

どのような買い物でも言えると思うのですが、「結局何がしたいの?そのためにはどんなものが必要なの?」などを念頭に入れて仕様書が出来てこないと混乱し、資源の浪費となります。「烈風」の失敗に学ぶように、時には事細かに要求指定するのではなく「メーカーに任せてみる」といった姿勢も必要ではないでしょうか?
(その具体例がスカンクワークスの各機種だったり、競作による良い所取りだったりする。)


>同様のことが実はスターリング機関にも~~

弊社でもその時代に研究した事例がありますが結局は見切りました。私は仕事柄新エネルギーの調査を任され大阪万博公園にあるスターリング機関を見ましたが「図体がでかい割には・・・」というのが偽ざる感想。(これは間伐材バイオマスの有効利用を主目的としていた)

>なお、聞いてみますと本音では原潜が欲しいようで。

そりゃ「航続力無限、息継ぎ不要」という利点は潜水艦にとって貴重な能力ですからね。特に冷戦時代はその能力が重要視されました。
しかし最近は想定される戦域が冷戦時代とは必ずしも一致しません。
潜水深度が浅い場合は小型化が容易で静粛性に優れた電池式が有用な場面もあります。(原子力は本質的に小型化に不向きであり、価格も高い)
私自身は戦域に応じて浅海作戦用(電池推進)と深海作戦用(原子力推進)を使い分けるのも一つの手ではないかと考えております。

ケースは異なるのですが、かつての海軍も巡潜と海大を平行調達しました。それぞれにまあまあの性能は持っていたと思いますが、そもそも潜水艦の運用を誤り(艦隊決戦に拘り過ぎ、ドイツからも忠告を受けたが無視した)、後日にアイゼンハワー(だったと記憶している)をして「充分な実力を持ちながら発揮することが出来なかった、日本の潜水艦はその典型だ!」と言わしめる事になります。
総力戦である以上、単体の性能だけでは論じてはいけない。この基本は忘れないでおきたいものです。

>国際政治を生き抜く政治力と外交力、それを支える情報解析力でしょうか。

ああ、日本が最も不得意とする分野!仮に完璧に正確な情報があったとしても、それを「如何に判断し、決断するか」は人間の仕事。悲しいかな、現状の日本では・・・。勿論、とても難しいことであることは理解するのですが。


長文失礼しました。
返信する
毎度様です。 (軽トラックの稲妻)
2009-01-18 14:07:40
毎度様です。
※なんか、本題から外れてきている感もあるので掲載にあたっては管理人さんの判断にお任せします。
 ・・・しかし脱線の原因は私だけではないような気が・・・。

①定点観測と移動哨戒
 やはり費用対効果の問題でしょうね。これは対空火器と制空戦闘機の関係でも言えると思います。
 私が哨戒機案を推したのはやはりレーダーで見通しの効かない水平線下の艦船及び対潜水艦戦の観点を重視したからですが、そのあたりは割切の問題なのでしょう。レーダーも波長の長さにより特性が変わりますが、分解能との兼ね合いもあり悩みどころです。

警察組織でいうと「交番」と「パトロールカー」の関係に近いかもしれませんね。ちなみにアメリカニューヨークでは基本的に交番が無く、基本的に巡回監視にしているとか。

②継続的技術開発&産官学の連携
 私は防衛技術に拘らず、広く「技術管理庁」のような組織とした方がより効果が高いのではないかと。
 最近は民生品の転用も多いですし、逆に軍用技術の民生転用も大事なことです。かつて「防衛技術ジャーナル?」だったかに「200系新幹線電車のボディマウント構造は防衛技術の転用である」旨が掲載されていました。
(かなり古い「世界の艦船」掲載記事より)

残念なのが最近の新幹線車両の先頭形状(トンネル微気圧波、空気の圧縮性に起因する)について、航空技術では60年近く前に発見されていた「エリアルール(YF-102やボーイング747-300以降の例が有名)」の適用が遅れたこと。これはもしかしたら鉄道技術者が他分野に関心を持たなかったからかもしれませんね。(最近の新幹線の設計は航空機に近い部分も多くなっており、風洞さえも自前で持つようになっている)
「エリアルール」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%AB
「トンネル微気圧波」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%B3%E3%83%8D%E3%83%AB%E5%BE%AE%E6%B0%97%E5%9C%A7%E6%B3%A2

> F-14D、MiG31、TSR-2とかも。F-1よりはバッカニアを~。

もはや今次(第4次)F-Xの話から離れていますね(笑)。
道具というものは運用思想により要求性能の最適解は変化しますし、価格や整備性他色々な条件が絡みますからね。(これは我々個人の買い物でも同じです。)
F-1については例えば後方視界など確かに問題が多かったと思いますが、これは「技術面は、実用化を度外視してでも、継続は力なり、ということを信じ」た結果ではないでしょうか?搭乗員にはたまったものではないと思うのですが・・・・。

>川西の強風からさっさとフロートを取り外せば、局戦紫電の誕生は早かったのかな、と。メンツの問題なのでしょうが。

「紫電」は川西航空機が自主的に提案したものでした。経営者が「水上機分野はジリ貧になる、新しい企画を立てて売り込まないと!」と発起した事により動き出した計画です。(二式飛行艇の陸上爆撃機化も検討された)。これは製造会社が「将来の有望な市場」を見越し、成功した例といって良いでしょう。ただ、陸上機の経験に乏しかったため不具合の連続でした。やはり完成度の点では陸軍の四式戦「疾風」が勝っていると思います。

この状況を深みに嵌らせたのが結局は縄張り意識なのでしょうか?
かつて私は「海軍は『太平洋戦争』を戦い、陸軍は『大東亜戦争』を戦った」と揶揄しましたが、機種整理などもう少し何とかならなかったのでしょうかね?似たような用途の飛行機を造り、それでいて細部の部品が異なるので共用性に乏しい。
(栄とハ25、熱田とハ40など、行程×内径こそ同じですが、取合の互換性はありませんでした。銃砲の類もまるで別物。
その点アメリカはブローニングM2を共用した。松本零士氏も「ザ・コックピット」の作中で触れている。)
こんな状況では却って「空軍」とした方が生産の面では楽だったかもしれません。

三式潜航輸送艇(所謂まるゆ)も縄張り意識の表れですね。ただ、陸軍がそれなりに将来を見越し計画したことは評価してよいでしょう。海軍は同種用途の潜水艦(波101)を役立てた実績が殆どありません。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E5%BC%8F%E6%BD%9C%E8%88%AA%E8%BC%B8%E9%80%81%E8%89%87

各製造業者も生産能力の限界があり、三菱と中島以外は陸軍・海軍どちらかの仕事をこなすことが精一杯だったようです。
つまり、別組織の仕様の異なりに対応することはまず困難だったと思います。

現在でもその状況は変わっていないようで、官公庁艦艇電気設計の友人によると「海自は防衛庁仕様で未だインチなどが生きているけど、保安庁は商船規格に従っている。ところが海自でも支援船クラスは商船規格のこともありややこしい」との事。やれやれ。

どのような買い物でも言えると思うのですが、「結局何がしたいの?そのためにはどんなものが必要なの?」などを念頭に入れて仕様書が出来てこないと混乱し、資源の浪費となります。「烈風」の失敗に学ぶように、時には事細かに要求指定するのではなく「メーカーに任せてみる」といった姿勢も必要ではないでしょうか?
(その具体例がスカンクワークスの各機種だったり、競作による良い所取りだったりする。)


>同様のことが実はスターリング機関にも~~

弊社でもその時代に研究した事例がありますが結局は見切りました。私は仕事柄新エネルギーの調査を任され大阪万博公園にあるスターリング機関を見ましたが「図体がでかい割には・・・」というのが偽ざる感想。(これは間伐材バイオマスの有効利用を主目的としていた)

>なお、聞いてみますと本音では原潜が欲しいようで。

そりゃ「航続力無限、息継ぎ不要」という利点は潜水艦にとって貴重な能力ですからね。特に冷戦時代はその能力が重要視されました。
しかし最近は想定される戦域が冷戦時代とは必ずしも一致しません。
潜水深度が浅い場合は小型化が容易で静粛性に優れた電池式が有用な場面もあります。(原子力は本質的に小型化に不向きであり、価格も高い)
私自身は戦域に応じて浅海作戦用(電池推進)と深海作戦用(原子力推進)を使い分けるのも一つの手ではないかと考えております。

ケースは異なるのですが、かつての海軍も巡潜と海大を平行調達しました。それぞれにまあまあの性能は持っていたと思いますが、そもそも潜水艦の運用を誤り(艦隊決戦に拘り過ぎ、ドイツからも忠告を受けたが無視した)、後日にアイゼンハワー(だったと記憶している)をして「充分な実力を持ちながら発揮することが出来なかった、日本の潜水艦はその典型だ!」と言わしめる事になります。
総力戦である以上、単体の性能だけでは論じてはいけない。この基本は忘れないでおきたいものです。

>国際政治を生き抜く政治力と外交力、それを支える情報解析力でしょうか。

ああ、日本が最も不得意とする分野!仮に完璧に正確な情報があったとしても、それを「如何に判断し、決断するか」は人間の仕事。悲しいかな、現状の日本では・・・。勿論、とても難しいことであることは理解するのですが。


長文失礼しました。
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軽トラックの稲妻 様 こんにちは (はるな)
2009-01-18 14:48:27
軽トラックの稲妻 様 こんにちは

脱線は、鉄道事故関連以外でしたら当方は歓迎です。

早期警戒機と防空監視所の関係ですが、たぶん、相互補完関係にあるのでは、と。仮に空自のレーダーサイトが設置されたとしても、他国の海洋調査船監視のために、厚木から海自のP-3Cを飛ばす必要は変わらないと思います。

あと、基地も、最終的に脅威が及んでくるようになれば、戦闘空中哨戒では対応できず、新しい基地か、既存基地に航空隊を身辺する必要が出てくるのかも、と思う次第。

技術関係ですが、そうですね、技術管理庁のようなものは必要と思いますが、なにか、旧科学技術庁と重なりそうな気がしますし、文科省と誤った競合関係が生まれそうな気もするのですが。

ところで、0系のブレーキ技術とF104のブレーキ技術の関係があるって本当なのですかね・・・。

MiG31とTSR-2は、某アニメの影響だったりします。[ttp://www.stratos4.jp/]
MiG31Mでしたら、91年から試作が止まってますが、4機編隊のデータリンク機能を駆使すれば800~1000km正面の迎撃を一手に担える為、少数機にて広範囲の防空を担うには理想的な機種なのかも、F-14Dは、1990年に初飛行した機体なんで、そんなに古くなく・・・。防空性能だけ考えるのならば、まあ、多少レーダーを新しいのにする必要はありますが、当時のF-15Eなどと比べても決して・・・?。

F-1は、電子戦対応能力がアレなんで、基本、対艦ミサイルの運用は別の機体に任せて、ジュギュアのような近接航空支援任務に就ければ、と。

試作について、メーカー任せというか、試作予算をしっかりと国が支出する、という姿勢が必要でしょうか。そのあと、徹底して評価試験。残念な結果になった候補は、浜松広報館行きになりますが。

日本の潜水艦ですが、米海軍とおなじように、規格化して同じものをせっせとつくれば[これは海防艦や航空機その他にも言えますが]もう少し数は揃ったのかな?と。

情報解析力、もう少し地域研究者とかを優遇して欲しいという気も。
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