北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

常設統合司令部設置で統合運用抜本強化を!陸上自衛隊人員2000名規模の海空自衛隊移管計画を受け

2022-12-13 07:00:01 | 国際・政治
■縦割り行政からの脱却を
 政府は海上自衛隊と航空自衛隊強化へ陸上自衛隊人員2000名程度を移管させる方針とのことです。

 陸海空の統合運用を強化する選択肢の方が、縦割り行政のまま人員を囲い込み融通を利かなくする状況よりも重要なのではないか。例えば陸上自衛隊は地域配備部隊と即応機動部隊に師団と旅団を二分化しています、個人的には敵が来ない地域の地域配備部隊は有事の際に遊兵化しますので、全て機動運用部隊とすべきなのですが、例えばこの地域部隊です。

 航空自衛隊の基地警備と基地防空及びミサイル攻撃や航空攻撃等からの基地機能復旧、海上自衛隊艦艇基地及び航空基地の警備、これらは地域配備部隊に9.11同時多発テロ後に陸上自衛隊任務として求められた重要施設防護任務の一環として付与することで、海上自衛隊や航空自衛隊へ人員を移管せずとも良いのです、いや慰安すると別の問題も生じ得る。

 基地防護ですが、全ての基地に均等に敵が兵力を分散して襲撃する、ウクライナ侵攻緒戦のロシア軍の様な失敗を確実に冒すならば縦割りの警備部隊分散で対応出来るでしょう、しかし相手の失敗を前提に作戦体系を組むことほど愚かな事はありません、戦闘機基地が襲われているが縦割り上艦艇基地警備部隊を増援に送れない、縦割りでは起きうる事例だ。

 地域配備師団、例えば有事の際には管区内に敵が来ない限り動かない前提ですので、地域配備師団隷下に方面混成団と方面施設団及び高射特科群を編入してしまえばよい、普通科連隊を重要施設防護部隊に、方面施設団は飛行場破壊からの復旧や必要ならば特設飛行場や応急補給処等の造成に、高射特科群も基地防空任務などに対応する事が出来るでしょう。

 地域配備師団に方面混成団と方面施設団を統合するだけで、人員規模は1万2000名規模となってしまいますが、内方面混成団から戦力とならない共通教育中隊を省いた場合で、1万1000名弱、他方で警備担当地域へ着上陸があれば野戦を担当する部隊なのですから、近接戦闘能力で海上自衛隊や航空自衛隊基地の警備で敵特殊部隊に後れを取る事はありません。

 ペトリオットミサイルを航空自衛隊から陸上自衛隊へ、元々は陸上自衛隊のナイキ部隊が航空自衛隊へ移管したものですので再度回帰させ、ペトリオットミサイル後継に03式中距離地対空誘導弾後継の長射程型を充てれば、任務の重複を回避でき、結果的に航空自衛隊の高射群の人員を別任務に回す事が可能、データリンクで結べば防空任務に隙は生じない。

 補給部隊についても、陸海空が別々の補給体系を有していますが、確かに部品は違うものの陸海空統合部隊として統合補給統制本部というものを設置する事は可能なはずです、ただ、こうなりますと今の枠組みでは統合運用基盤が余りに不充分です。迷彩服の柄が違うだけで同じ基地で人員の融通が利く、これこそがNATO等で進んでいる統合運用のかたち。

 統合運用を考えた場合は、陸海空の統合司令部を常設する必要があります、例えば憲法上専守防衛を掲げる以上必須の国土防衛を所管する“本土防衛司令部”、シーレーン防衛や国際任務を包括する“太平洋艦隊司令部”、対領空侵犯措置任務からミサイル防衛までを担当する“極東防空司令部”、宇宙と電子空間を担当する“戦略防衛司令部”、ここに陸海空が足りないところを補い合う方式で、です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【防衛情報】スパイクLR2輸出... | トップ | 【防衛情報】KC-390輸送機の... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

国際・政治」カテゴリの最新記事