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【映画講評】太平洋の嵐-ハワイ・ミッドウェイ大海空戦(1960)【1】80年前のミッドウェー海戦包む空気描く

2022-08-11 14:11:44 | 映画
■ミッドウェー海戦
 本日は“やまの日”ですので、まやの日、としまして摩耶に因んだ映画でも紹介しようと思いましたが“ホタルの墓”くらいしか摩耶は出ていません、すると今年は、となる。

 太平洋の嵐。終戦記念日が近づく今日この頃ではあります、平和の大切さ、これは終戦記念日でも開戦記念日でも、学校教育の場でも政治の場でも強調されるところなのですが、なにしろ日本は1945年以降戦争を経験していません、平和とはなにか、この論点さえも曖昧模糊として、平和とは戦争をしないこと、なんていうあきらめた観念さえ広がっている。

 映画で、戦争を考える。終戦記念日も近づいてきましたし、敢えてこの視点をお勧めしたいと思うところです。映画は映像記録でも客観的事実の収斂でもありません、故に作り手の意図が反映されていまして、初見では空気といいますか映画の臨場感に飲み込まれる憂慮もあるのですが、公開から長く経た映画は分析や論評も多く、客観的に見る事は可能だ。

 東宝映画が1960年4月26日に公開した映画なのですが、何故この“太平洋の嵐”という古い作品の鑑賞をお勧めするかといいますと、今年2022年は映画が描いているミッドウェー海戦から80年という節目の年となります、節目ということは様々な分析や特集がテレビや専門誌や新聞などで組まれるところですので、一つ共有知識を得られる作品として、ね。

 ハワイ・ミッドウェイ大海空戦。副題はこうした長いものとなっています。そしてその題目の通り、1960年の視点で真珠湾攻撃、日本式の表現ではハワイ海戦というところでしょうか、この開戦から始まり、ミッドウェー海戦という開戦から半年後の転機、そしてその後の始まりまで一連の歴史の流れを一人の海軍士官北見中尉の視点から描くというもの。

 飛龍の艦攻隊搭乗員、北見中尉は九七式艦上攻撃機の搭乗員であり、上官で飛行隊長の友永大尉を鶴田浩二、厳しい訓練により艦隊練度を局限にまで磨き上げた第二航空戦隊司令官山口少将を三船敏郎が演じています。人懐っこく格好いい夏木さんは1936年生まれということで戦争には参加していませんが、演じられる俳優の少なくない方は従軍経験がある。

 21世紀というのは凄い時代で、ミッドウェー海戦について知識を得たければ皆様今お使いの端末やPCで“ミッドウェー海戦”を検索すれば即座にかなり詳細な、個人研究から事実の羅列まで、入手できる点です。これが1990年代となりますと案外に難しかった、書店は大きな書店を含め海戦に関する専門書の揃いにも限度があった、2000年代初めでも同じか。

 ミッドウェー海戦そのものの知識は得られても、例えば細部や背景となりますと図書館か古書店、なんてところを探さなければなりません、光人社の専門書が揃っている書店ならば、調べる事は多少容易だったのでしょうが関心を持ったとしても一定程度行動半径を広げなければ分らないものだったのですが、21世紀はこの部分が進んだように思うのですね。

 しかし、当時の感覚となりますと、相当調べると共に当時の当事者、海戦に参加した人が難しくとも、当時海軍にいた方のお話しなどを集めなければ、どうしてそうなったのか、こうした背景といいますか空気というものは判りにくいように見えます、しかし、当時の空気を知ろうにも、いまわたしたちは現代の空気の中に居ますので、その感覚は判り難い。

 映画ですので、友永大尉の飛龍飛行長着任はハワイ海戦後ではなかったか、だからミッドウェー海戦での判断が云々、いまの時代ですので知る事が簡単ゆえの、映画の演出というものに気付くところではありますが、映画予告編に“父や兄が血で染めた歴史”という、戦争の記憶が今から見て東日本大震災くらいに鮮明な頃に描いた作品は空気もつたえます。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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