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木更津駐屯地創設45周年記念行事・木更津航空祭2013PowerShotG-12撮影速報

2013-05-14 23:41:12 | 陸上自衛隊 駐屯地祭

◆世界最大級大型ヘリ部隊&世界最痛の対戦車道

 日曜日に木更津駐屯地へ行ってまいりました。EOS-7DとEOS-50Dの写真は整理中ですので、G-12の写真にて紹介しましょう。

Himg_3853 木更津駐屯地には中央即応集団第1ヘリコプター団と東部方面航空隊第4対戦車ヘリコプター隊が駐屯している航空部隊駐屯地で、32機のCH-47J/JA大型輸送ヘリコプター、16機のAH-1S対戦車ヘリコプターのほか、数年前よりUH-60JA多用途ヘリコプターの配備が開始され、世界的に見ても大きなヘリコプター部隊駐屯地です。

Himg_4176 AH-1S対戦車ヘリコプターは、一機で装甲戦闘車の十倍に匹敵する取得費用、それに見合う航空打撃力を発揮できるもので、陸上自衛隊は空中打撃力強化へ1980年代より96機を取得、全国の北部、東北、東部、中部、西部の各方面隊へ対戦車ヘリコプター隊を編成しました。

Himg_3844 そして痛コブラと呼ばれる独特の記念塗装を行う部隊としても知られ、三年前のAH-1Sホブラより始まり、今年では北関東で女子高生が戦車の戦術技量を競う戦車道の話題が盛んとなるなか、木更津では対戦車道として空中打撃力により戦車を迅速に無力化する競技が盛んとなっているとのこと。

Kimg_4160 木更津は陸上自衛隊輸送ヘリコプター部隊の中心で、V-107ヘリコプター時代は40機を集中運用していました。それがこんにちはCH-47J/JAの32機に置き換えられ、今に至ります。このV-107は保存展示機で、VIP輸送用として用いられていたもの。歴史の舞台に幾度も要人を運んだ、貴重な一機です。

Himg_3863 第1ヘリコプター団長田中重伸陸将補。木更津のお隣千葉県富津出身で、第2飛行隊長や八尾駐屯地司令兼中部方面航空隊長などを務め、第1ヘリコプター団長に着任されています。また、2008年に北大路機関が特集した八尾駐屯地創設記念行事に中部方面航空隊長として式典に臨んでいます。

Himg_3859 記念式典には浜田元防衛大臣も出席し、隊員を激励しました。第1ヘリコプター団は有事の際には最大の空中機動部隊として部隊を長距離展開させる部隊であり、実任務の経験についても福島第一原発への放水任務にもあたった、世界で最も修羅場を潜った部隊と言って過言ではありません。

Himg_3879 式典が完了し、観閲飛行準備の号令が掛かると共に整列した隊員が航空機へ向かいます。その背景に海上保安庁のDHC-8が到着、地上展示へ展開したもの。同機はMA-722みずなぎ、東日本大震災当日に仙台空港のジャムコへ定期整備で入っていた機体で、電気系統が津波により破壊されましたが、格納庫内に配置されていたため流失を免れ、ボンバルディア社と日本飛行機の最大の努力により、世界初の津波被害復旧機となりました。

Himg_4068 観閲飛行準備へ、飛行場地区のヘリコプターは次々と離陸してゆきました。前回、初めて木更津へ足を運んだ2006年は、ここで撮影位置を読み誤り、凄く条件の悪いところを選んで撮影、ようやく満足いくアングルにて撮影できるということに、思えばあれから七年、ようやく来れて、ちょっと嬉しい。

Himg_3954 祝賀飛行、離陸したヘリコプターの編隊は東京湾上空を経て横浜方面に進み、三浦半島方面から変態を整え、木更津駐屯地上空へ。大編隊は前日土曜日の嵐のような荒天と視界不良が嘘のように晴れ渡った青空を背景にこちら側へ近づいてくるのがしっかりとみえる。

Himg_3998 観閲飛行の編隊は先頭を指揮官機OH-6D一機、第一群を第1ヘリコプター団102飛行隊UH-60JA三機、第二群を第4対戦車ヘリコプター隊AH-1S四機とOH-1二機、第三群に1ヘリコプター団103飛行隊CH-47J/JA三機、第四群に1ヘリコプター団104飛行隊CH-47J/JA三機、とまだまだ続く。

Himg_4008 第五群に1ヘリコプター団105飛行隊CH-47J/JA三機、第六群に1ヘリコプター団106飛行隊CH-47J/JA三機、編隊飛行は一航過のみなので、撮影は一回でしっかりと納めなければならないが、見上げる大編隊に驚き、やはり大型ヘリと対戦車ヘリを中心に計22機の編隊飛行は凄い。

Himg_4031 編隊は観閲飛行を終えると駐屯地の滑走路延長線上で再度海側へ大きく旋回し、そのまま着陸態勢へと移る。UH-1でこの規模の編隊飛行ならば見れないこともないけれども、CH-47だけで12機編隊、やはり陸上自衛隊はヘリコプターを重視しているのだ、という事を端的に感じることができるひととき。

Himg_4040 CH-47は一機で96式装輪装甲車50両分の調達費がかかる、一個中隊14両とすれば三個中隊分と連隊本部所要8両分、つまりほとんど一個普通科連隊を装甲化させられる機体で、地皺の多い起伏に富んだ日本列島を守るには、空中機動の重要性を認識していたから、という事を改めて考えされられ、また、有事と言っても武力攻撃事態ではなかったけれども、東日本大震災にてその能力が命を救う、考え得るもっとも良心的な立場を担ったのが自衛隊のヘリといえるやも。

Himg_4052 訓練展示模擬戦は、第1空挺団を主力とする空中機動で、迫力があったのだけれども、やはりどうしてもG-12では追随できない、EOS-7DとEOS-50Dの撮影に特化した。続いて正午過ぎにAH-1S対戦車ヘリコプターとOH-1観測ヘリコプターの編隊機動飛行展示が。こうした飛行展示の連続は陸上自衛隊の航空祭として珍しい。

Himg_4069 全ての行事が完了すると、ヘリコプター地上滑走体験と抽選の体験飛行が。なにしろ、ヘリコプターの数が桁外れに多いことから、対象者も一桁多く乗ることが出来ました。同行の友人がどうせ乗れないから帰ろうか、と言ってきたので、相槌を打ち、そうだよ先着2000名とのことだし、というと、踵を返し友人は何やってるんだ並ぶぞ、と。

Himg_4128 ヘリコプター体験飛行は、自衛隊員以外のヘリコプターに慣れていない一般の多数の方を安全に素早く運ぶ、一つの訓練にもなっている、とのことで、我々は空の旅を体験するとともに、こうして地使われた貴重なノウハウが災害派遣時などでの避難支援などに活かされているとのこと、なるほど。

Kimg_4168 地上展示機で初めて間近にみたのが、このEC-225要人輸送ヘリコプター、以前のAS-332よりも全長が延伸し、胴体が広くなったほか、ローターが五枚翼となり、操縦性が向上したそうです。前回木更津に足を運んだ際には、まだAS-332が現役でした。東京都内を飛行している様子や空挺降下訓練始めでは見たことあったけれども、間近に見たのは今回が初めて。

Himg_4169 地上展示機で最も注目したのは、警視庁航空隊のS-92ヘリコプター、国際共同開発で昨年三月に入ったばかりのヘリコプター、通称ヘリバス。整備の方や操縦士の方とお話が出来たので、EH-101やベル412の話を交えて気になったことをいろいろと聞いてみまして、話題に海上自衛隊の方も入ってきて楽しく過ごせました。

Kimg_4178 LR-1連絡偵察機、あとわずかに残るのみの陸上自衛隊固定翼機、導入当時は機関銃を搭載して軽攻撃機に使う訓練、また写真偵察機としても活躍しました。毎回見るたびに、これが最後でLR-1ともお別れ、と思ったりするのですが、また今回も。後継機は隣のLR-2ですが、個人的には同程度の胴体を有するAW-609可動翼機を推したい。

Kimg_4177 AH-64D戦闘ヘリコプターも地上展示機へ展開していました。なんとか当初計画の60機を揃えれば、一個飛行隊が12機として五個ヘリコプター隊を充足させられます。予備機と教育所要機がありませんが、現行のAH-64Dをそちらに充て、実任務機をAH-64Eとしてでも、なんとかAH-1Sを置き換え、空中打撃力を維持してほしいところ。

Himg_4163 AH-1S対戦車ヘリコプター、先ほど機動飛行展示を行ったヘリコプターと同型ですが般若の面が第4対戦車ヘリコプター隊のマークですけれども、何か違うカラーリングを施している、これこそ木更津が誇る痛コブラです。大人気といいますか、凄い注目を集めている機体です。

Himg_3867 AH-1Sがここまでcわが国で注目を集めたのは久しぶり、というほど一部の方の間で知名度が上がり、何故か海外からも木更津へ撮影に足を運ばれた方もいるほどでしたが、上から怒られ、とばっちりをうけた某出版社が本省出入り禁止か、と騒がれたこともあり、今年で終了とのこと。

Himg_4186 遊んでいるように見えるかもしれませんが、再発進展示と武装搭載展示を行っていまして、このイラストは注目を引くための手段でしかありません、大真面目に展示を行っていました。こうして、一通り撮影を完了し、当方一行は木更津をあとにしたのでした。帰りはアクアラインが大渋滞でしたが、なかなか貴重なものを見ることが出来た一日です。

北大路機関:はるな

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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4 コメント

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はるな様こんにちは (KGBtokyo)
2013-05-15 11:26:40
はるな様こんにちは

木更津には私も行こうかと思いましたが、陸自はペット禁止なので見送りました。

痛コブラというのは知りませんでしたが、自衛隊への認知、親近感増すという点で良いことだと思います。

楽しい話題の後で何ですが、予てから申し上げている、調達費大幅減少の結果がもっとも早く現われるのが陸自ヘリ部隊ですね。
F-15戦闘機や護衛艦のような耐用年数大幅延長もできない。
CH-47J型は80年代調達分の大量リタイアが迫ってきています、延命改修するのか?
もはや戦闘ヘリ部隊維持は無理ですね。
AH-64にしてもたかだか1個飛行隊8機だけでどうするの?
UHは幸いにもUH-Xが頓挫したので、理想を言えばUH60系列1本化でしょうが、これも予算的に無理?5t級ヘリの中から選択。
OHはUAVとの住み分け、運用の見直しが必要ですが、偵察以外にも多用途任務ありますし,AHが消滅するとなると攻撃任務付与もありOH-6ほどではなくてもある程度の数量は必要。
返信する
KGBtokyo 様 こんにちは (はるな)
2013-05-15 11:57:58
KGBtokyo 様 こんにちは

ペット同伴ですが、ううむ、木更津は調べていませんが、10師司令部の守山や37連隊の信太山にはいましたし、確か、大津(中方混)と千僧(3師)でもワンコさんが一緒に来ていました、介助犬とかではなく、普通の小型犬です。

ヘリ部隊ですが、UH-60JAが価格高騰して、CH-47とあまり違わなくなってきているのですよね。ですからご指摘の通り、やはり何かほかの中型機に置き換わるのだろう、と。

戦闘ヘリの任務を一部置き換える航空機としての多用途ヘリですが、この種のヘリで一番高いのは火器管制装置と情報伝送装置ですので、例えばジェットレンジャーベル206を原型にしたARH-70.MD-500を原型にしたLRHなど、原型機が安価にも拘らず、結局高等した事例がありますので、安易に置き換えられる、というのも早計だとおもいます。

そもそも現在の予算難は、弾道ミサイル防衛に予算を充当しすぎた一方で予算全体を削減し続けたものが要因ですので、弾道ミサイルが我が国に及ぼす脅威と従来型の脅威との間で、事業評価が行われたならば、配分にも影響は出てきますので、この点を考えることが重要か、と。
返信する
 痛コブラもいいが、さっさと多用途ヘリUH-1Jの更... (久我山のチ那ッピー)
2013-05-15 16:51:31
 痛コブラもいいが、さっさと多用途ヘリUH-1Jの更新の開発仕様を決定しろよな。
 単発エンジンだから、エンジン故障で製造物責任
まで裁判沙汰になるなら、OH-1のエンジンとハブローター、退役するUH-1Hにくっつけて、要素検討しろよ。
 家の上をUH-1Jが時たま飛行するが、こちらに来ているのが10km先から分かる。
 エンジンの信頼性と生存性を考えたら双発エンジンで、静かなものにして、洋上での運用も出来るようにして。
 AH-1Sも、開発中のTS-2エンジンで、90,04式
対空ミサイル、ヘルファイヤーも使える、海兵隊仕様
の攻撃型ヘリにしろよ。
 技術研究本部の陸軍中佐様が、富士重工の開発仕様を、川崎に渡すなんて、機密漏えいで、銃殺刑
だろうが。
 平和だよな、関東の連中は。
返信する
はるな様こんばんは (KGBtokyo)
2013-05-15 19:33:56
はるな様こんばんは

ペット情報ありがとうございます。
東方管内ですと以前は良かったようですが、今年の降下初めはアウトでした(数年前OK)、良いポジション取る為に早起きしたのに・・・・・・・
先般の練馬も駄目ということでいたが丁度定期健診で病院に預けていきました。

調達費ですが、MDが調達圧迫しているのも事実ですが、それ以前に調達費総額が20余年に渡って大幅減少
http://www.mod.go.jp/j/approach/agenda/meeting/kaihatsukokuki/sonota/pdf/03/004b.pdf

防衛予算自体の漸減も要因ですが、維持整備費高騰も重大問題。
兵器の高度化で止むを得ない面もありますが、自衛隊特有の多種少量配備も大きな要因。

安倍首相に頑張っていただきたいですが、限度もあるでしょう、中防見直しにおいて予算総額と睨みながら防衛体勢、調達の再構築図ってもらいたいもんです。
日本特有の予算削減手法は、広く均等に削減するのが常ですが、効果的な方法は全体戦略構想からくる優先順位に基づき項目ごとばっさり切り捨てることも必要。
ともかくは当面最大の危機、日中戦に備えた重点化が必要。
陸自については島嶼防衛も考えヘリ部隊が最重点でしょう。
ヘリはCH-47系列、UH-60系列、OH-X(EC635?)の3機種に集約。
UH-60も現状のUH60JAは洋上飛行考えた航法システムが価格高騰要因。
それも重要ですが、UH-60Lレベルであれば攻撃力もたせても20億円台。
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