北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

榛名防衛備忘録:装甲車は何故必要なのか?:第三回・・・掩蔽陣地機能は密閉戦闘室と機動力が継ぐ

2015-01-31 23:15:52 | 防衛・安全保障
◆掩蔽陣地を装甲車が受け継ぐ機能
 前回までに陣形の歴史的変化の変遷を示しました。

 即ち装甲車は、防御戦闘において防塁の発展形であり、個人用掩体は装甲車周辺や場合によっては装甲車そのものが掩体や砲兵からの掩蔽に用いられるようになります。興味深いことに建設機械の発展は、掩蔽陣地の急速建設速度を運動戦に間に合わせる速度は持ちませんでしたが、装甲車用掩体を急速構築する速度には対応しています。

 併せて、掩蔽陣地が求めた地下陣地化は、皮肉なことに個人用対戦車火器等第二次世界大戦において掩蔽陣地から投射した装備品の長射程化により地形障害や陽炎の影響が無視できない水準となり、地下では地表からの影響を受けやすくなったため、地表に露出する形となったのです。

 掩蔽後では砲撃などから陣地を防護するために天蓋を防御し曳火射撃に備えていましたが、そのあたりも装甲車は対応しています、むしろ装甲車が密閉戦闘室を採用する背景には、必要故の発展と言いますか、此処にあるという事も見いだせるでしょう。機動運用の際の防御力が最たる部分にあるとも言えるでしょうが。

 装甲車は地表に露出して掩体へ入る状況であっても、天蓋部分は相当旧式の装甲車や空挺用と対ゲリラ戦用の特殊車両などの例外を除けば装甲化されているため、冒頭の部分に示しました装甲車の特色である”歩兵を第一線火力から防護し機動運用するため”という部分が移動可能な陣地としてもちうる、といえるでしょう。

 そして興味深いのは、掩蔽陣地を迅速構築するために進んだ工兵の陣地構築技術は、応急野戦築城資材の技術革新や野戦築城用装備の技術発展という波及効果を及ぼし、装甲車が防御戦闘を展開するために必要な装甲車用掩体程度ならば、油圧ショベルやドーザーにより短時間で建設する能力を有しました。

 防塁が移動可能な形となったのが装甲車、ともいえまして、特に防塁は個人用掩体の拠点として運用できるという部分、そして装甲車には機関銃や装甲戦闘車によっては機関砲と火器管制装置を有しており、装甲車により機動する歩兵分隊は対戦車火器を装備しているため、火力も持つ。

 比較しますと、装甲車と同時期に誕生した戦車、第一次大戦中の戦車は移動砲台としての運用が為されていました、こうした意味では戦車こそが防塁の発展形、と考える事も不可能ではありませんが、戦車が移動砲台という印象を持つのに対し、装甲車は歩兵の拠点となり得るため、やがりこちらが移動可能な防塁といて差し支えありません。

 連絡線となる塹壕も、実は装甲車はその発想そのものを受け継いでいます。塹壕は、その目的が直接照準火器や砲兵火力の脅威下において安全に移動するための陣地であるため、防塁と防塁を移動する手段として、装甲車そのものが機動することで装甲により人員を移動させる、すなわち装甲車の機動力が連絡線たる塹壕の位置にある訳です。

北大路機関:はるな
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24 コメント

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Unknown (無学)
2015-02-01 00:30:16
装甲車ってトーチカのような運用をされるのですか?
はるなさんは防御陣地の発展であると考えられているようですが、私の理解では輸送手段の装甲化という役割であると思っています。
個人火器の発展により戦闘は下車戦闘が前提で、防御力を期待されるものではない(あくまで輸送のみで積極的に戦闘には参加しない)といった考えですがどうでしょうか?
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防御戦闘の場合のみに限って (はるな)
2015-02-01 01:10:01
コメントありがとうございます

>輸送手段の装甲化

その通りと当方も理解しています、そして輸送=交通壕、という位置づけで、装甲=掩蔽、という形、重機関銃や対戦車火器を輸送する手段ともなっていますので搭載火器=防塁、と成り得るものです

>積極的に戦闘には参加しない

車載機銃を、軽装甲機動車等一部を例外とすれば車載運用し降車運用に重点を置いていないのはこの為とも言えるでしょう、人員輸送するとは移動する、それならば何のために移動するのか、という視点を変えただけのことです

逆に装甲車の機動力を付与することで、従来の掩蔽陣地の交通壕以上に距離を躍進できます

本論は防御戦闘に限っていまして、陣地戦闘に際して、もちろん防御戦闘で攻撃する敵主力を無力化出来れば戦闘の主導権を握る結果となるのですが、この場合に火力拠点ともなりますし、位置が暴露すれば砲迫から防御する拠点ともなります

単純に移動手段の装甲化と考えますと、非装甲車の場合は砲迫の脅威圏外に停車し徒歩機動し、車両は集積所に置く必要があるため、相当な山岳地など峻嶮地形により徒歩で離脱できる地形でなければ、陣地=墓穴、となりかねません、この部分を装甲車ならば車両ごと離脱できる、というかたちです

そして、攻撃前進の場合は、従来の掩蔽陣地では戦果拡張へ戦車が前進する場合、歩兵は徒歩歩兵では連携し難い状況となりますが、”輸送手段の装甲化”が攻撃へ転じる場合には”戦車との協同による躍進”が可能になる、ということ

逆に積極的に戦闘に参加しない状況、とは戦車と共に攻撃前進する場合等で、戦闘に参加しない、という表現ではなく積極的、という言葉の背景には、戦車と共に前進することが運動戦の形をとる攻撃前進では前進そのものが戦闘の一形態、進出地域へ戦車と共に向かうことが、積極的ではなくとも戦闘に参加している、状況となる理解が成り立つように考えます
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Unknown (PAN)
2015-02-01 02:15:13
はるな様

コメント1で無学様が指摘されているのと同様に、僕も装甲車=移動する掩蔽と捕らえるのは、少し違和感を覚えます。

たしかに装甲車が登場した当初は、まず移動する機銃座であり、それに射手やドライバーを保護するために装甲が設けられました。しかし高速徹甲弾が登場して以降、大半の装甲車(特に装輪の)は、せいぜい小銃弾か機銃弾、もしくは榴弾の破片程度の防御力しか持ちません。特に歩兵携帯兵器の高性能化により、昨今の兵員輸送車系の装甲車は、たとえ相手が歩兵であろうと、積極的に戦闘に参加するものではありません。戦闘は下車展開した歩兵が行うものであり、兵員輸送車の固定武装は、自衛かせいぜい下車した歩兵の援護程度の役割です。

積極的に戦闘に参加するといえるのは、歩兵戦闘車のカテゴリーであり、それは現代の装甲車のほんの一部に過ぎないと考えます。
ブラッドレーやBMPシリーズのような重武装の歩兵戦闘車や、ナメルやボクサーのような重APCなら、移動する掩蔽と言っても違和感はありません。が、大半の装甲車は、せいぜいトラックやジープよりは歩兵を保護できる輸送手段レベルが実状だと思います。

特に、先般からはるな様が提唱されている、1個分隊を収容できる4輪駆動装甲車などは、掩蔽のイメージからは遠い存在です。4輪であるが故の制約(重量など)から、積極的な戦闘力も掩蔽といえる防御力のいずれも、持ち合わせることは難しいでしょう。ハイ&ローのローに値する兵器に、そこまで期待することは無謀です。

もし移動する現代版掩蔽と位置づけるなら、様々な種類を含む「装甲車」ではなく、「歩兵戦闘車や重装甲兵員輸送車」と、限定して語られるべきではないでしょうか?
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降車戦闘と個人用掩体 (はるな)
2015-02-01 16:08:57
PAN 様 こんにちは

概ね同感ですが、陣地防御において装甲車の用途をどのようにお考えでしょうか

当方は記事の通り、移動する掩蔽、というよりは、野戦築城の発展形、装甲車の存在が掩蔽陣地を不要とした、という部分で理解しているのですが

掩蔽の天蓋部分は装甲車の上部装甲が担うため、榴弾曳火射撃から兵員を防護できます、逆に掩蔽陣地の防御形態を装甲車が採りえないとするお考えならば、寧ろ装甲車の装備を捨て、掩蔽陣地を急速構築できる土木技術により置き換える必要が出てきますが・・・。

>小銃弾か機銃弾、もしくは榴弾の破片程度の防御力

ここが塹壕陣地から掩蔽陣地へ転換した天蓋の位置づけですが、掩蔽陣地の前に塹壕陣地が個人用掩体と防塁から構成されていた部分が、装甲車と降車戦闘の構図に見出す事が出来ます

>相手が歩兵であろうと、積極的に戦闘に参加するものではありません

その通りです、防御戦闘において装甲車を掩体に入れて小銃分隊が跨乗戦闘を行う事は有り得ません、近接戦闘前に離脱する必要があります

>自衛かせいぜい下車した歩兵の援護程度

其処の点の認識で相違があるのでしょう、装甲車を掩体に入れ、小銃分隊は各員毎に個人用掩体を構築し装甲車の周囲や前方へ分散します、しかし小銃よりは車載機銃の方が射程が大きく、ここが“下車した歩兵の援護程度”、というところに当たるものです

>ブラッドレーやBMPシリーズのような重武装の歩兵戦闘車や、ナメルやボクサーのような重APC

ううむ、逆にこの種の車両は掩体に押し込んで防御力を高める必要が逆に低い車両のような気もします、・・・、戦車も掩体に入れるような状況ならばもちろん装甲戦闘車も倣うべきですが

>4輪駆動装甲車などは、掩蔽のイメージからは遠い存在

規模の問題と思うのですが、逆に掩蔽陣地の延長として使わないのであれば、装甲車をトラックと同様に戦線後方の彼方で兵員を降車させる訳にも行きませんし、前線付近で降車させたが最後一目散に装甲車が後方へ撤収するわけにも行きません、もちろん逆に打って出るべく敵戦車に突っ込むことは論外です

仮に四輪駆動装甲車を運用し、機甲部隊を迎撃する場合は、自然障害を利用した後方配備や森林外縁部若しくは街道屈折部分にて装甲車を降車し、施設作業小隊の支援を受け装甲車を掩体に収めるか偽装し、可能な限り予備陣地を構築、小銃手は機銃組と対戦車組共々個人用掩体を構築し装甲車周辺に配置します、一戦闘後は即座に装甲車に乗車し、次の射撃陣地へ装甲車で機動し、戦闘を継続します

>もし移動する現代版掩蔽

いえ、移動する掩蔽ではなく、掩蔽陣地の機能を装甲車が受け継いでいるので掩蔽陣地の役割は果たし得ない、ということです
返信する
Unknown (PAN)
2015-02-01 19:08:38
はるな様

>概ね同感ですが、陣地防御において装甲車の用途をどのようにお考えでしょうか

はるな様の元々の論点では、装甲化された車両の出現が、旧来の掩蔽陣地等にとって変わったという話だと思います。
しかし現実には防御戦における掩蔽陣地は今だ有効な手段であり、装甲車、特に機銃弾程度の防御力しかもたない装甲車がその代わりとなりうるとは考えておりません。

防御戦闘では装甲車は目立つ的となり、敵攻撃を一身に集めやすい存在です。すなわち、ある程度の攻撃を跳ね返す重装甲を備えた主力戦車や重装甲車のみが防御戦で矢面に立つことが可能であり、それですらも戦車壕のような掩蔽陣地に組み込まれて配置することが普通です。

車重20t以下の装甲車両の場合は、防御戦では掩蔽陣地がなす役割を果たしません。ただ射程が長い兵器を備えている場合は(例えばTWOなど)、陣地後方から支援を行うことはありえます。しかしそれは自走砲的な使われ方であり、けして敵の攻撃を受け止めつつ反撃を行うというトーチカ的な使われ方ではないでしょう。

おそらく、はるな様は戦車壕に装甲車を入れてトーチカ的使うことを意図されているのでしょう。それで天井部まで構築する掩蔽陣地の変わりになったと表現されているのでしょうが、それは装甲車が掩蔽陣地の変わりになったわけではなく、あくまでも掩蔽陣地に組み込めば防御力の一部になりうるという話です。最初に書かれた「野戦築城の発展形、装甲車の存在が掩蔽陣地を不要とした」とされる意味合いとは異なる話であり、そこに違和感を感じます。

また、装甲車と一くくりにされていますが、歩兵戦闘車と兵員輸送車では似て非なるものであり、それを同じ土俵で語るべきではないと考えます(例外はイスラエル・ナメルのような重兵員輸送車ですが)。
そもそも装甲車が威力を発揮するのは、本来は機動力をもって移動しながら戦闘力と防御力を発揮できるときです。すなわち攻撃側にたった場合です。そこをあえて防御戦での有用性を語られることじたいが、無理のあることではないでしょうか?
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運動戦に対応できる掩蔽陣地築城技術があれば (はるな)
2015-02-02 00:26:34
PAN 様 こんばんは

どうやら、掩蔽陣地と塹壕陣地と掩体と、区別して書いたつもりが伝わっていませんでしたようで

>防御戦における掩蔽陣地は今だ有効な手段であり

その通りです、ただ、第二回の掲載に“運動戦という概念の下に堅固な掩蔽陣地の建設は追随を断念”としています、つまり、戦車の前進や方向転換に先んじてトンネルを掘り掩蔽陣地を構築出来れば、問題はありません、しかしそれが土木技術の面からできないということで、戦車が動く方が掩蔽陣地を構築するよりも早い、ということ

>防御戦闘では装甲車は目立つ的

だからこそ掩体に配置し、周囲に個人用掩体を配置するということなのですが、油圧ショベルやドーザーの普及によりこの種の掩体建築は相当容易化しています

運動戦に対応できる掩蔽陣地築城技術があれば、確かに掩蔽陣地は装甲車と無関係に機能するでしょう

>戦車壕のような掩蔽陣地

ううむ、誤解の相違は此処ですね、戦車壕という表現のものは掩体、本文では第二回において“防塁等は地下化し位置を掩蔽しなければ生き残れなくなりました”、とし塹壕や塹壕陣地や掩体や掩蔽陣地とを区別しています

掩蔽陣地の交通壕は、防御陣地から陣地転換する際の砲迫火力から離脱するための地下通路を示しています、砲迫火力で釘づけにされている状況下で歩兵が離脱するには交通壕を通るか、装甲車に乗車するか、玉砕か、です、交通壕を塹壕で置き換えますと天蓋が無いので曳火射撃で大損害を被ります、しかし交通壕を掘るには時間を要しますので、装甲車により機動する、という意味です

ただ、ご指摘の通り、掩蔽陣地は地下に秘匿されますので、戦車を含めた運動戦の前に迅速に構築出来るならば、これは先のコメントに記しました“掩蔽陣地を急速構築できる土木技術により置き換える”という部分ですが、意味は大きいと思います

>装甲車と一くくりにされていますが、歩兵戦闘車と兵員輸送車では似て非なるものであり

その通りですが、本文に装甲戦闘車という呼称を用いていないように、第三回は装甲戦闘車が普及する以前の部分を示しています、一応全六回の予定で、書きためた記事を繁忙期か疲労困憊時に小刻みに出すのが榛名防衛備忘録です
返信する
Unknown (ドナルド)
2015-02-02 01:29:25
はるなさま

>掩蔽陣地と塹壕陣地と掩体と、区別

正直私にも難しくてよくわからないので、ちょっと無邪気に確認したいと思います。

「掩蔽陣地」と「塹壕陣地」と「掩体」は、要は、「地下陣地」と、「塹壕(要は溝)陣地」と、「頑丈な天井付きの構造物」ですね?

「防塁」が分かりません。壁ですか?

>防塁は個人用掩体の拠点として運用できる

壁の一部をつかって個人防御用の天井をかけるために使うという意味でしょうか?


なお、「掩蔽陣地」はマジノ線とか、硫黄島の陣地のイメージでしょうか?
---------

ただし、今はまだ、第1次世界大戦から第2次大戦レベルの話をされていると思っています。これと現代の装甲車の話しはずいぶん異なる(対装甲火器の進化が凄まじい)ので、全体像が見えないまま、あまり途中で詳しく聞いても、意味が無いかもしれないと思います。

PANさまのコメントは、私には至極普通のご意見に思われますが、はるなさんのお返事を読んでいても、実は同ことを違う言葉で言っているだけのような気もするので、

>第三回は装甲戦闘車が普及する以前の部分を示しています

ということで、時代はまだ1960年代と理解していますので、今少し続編をお待ちしたいと思います。楽しみにしております。
返信する
Unknown (PAN)
2015-02-02 01:56:25
はるな様

>ううむ、誤解の相違は此処ですね、

いえ、誤解はしていないと思いますよ。
はるな様が想定されているのは、地下陣地である大掛かりな掩蔽陣地を構築するのは時間と手間がかかるが、装甲車(戦車含む)の車体を隠す戦車壕に入れれば、天蓋のある陣地の変わりになり、歩兵を榴弾砲の破片等から守れるということではないのでしょうか?
つまり装甲ドーザーなどの工兵機材の進化により、単に穴を掘るだけなら迅速にできる、という趣旨だと理解しております。

しかし、その上でご指摘させていただいたように、装甲車、とくに路外機動力が著しく劣る装輪装甲車を、陣地に組み込み、最前線での歩兵の移動手段として備えるというのには、違和感を覚えると申し上げています。
なぜなら、歩兵を収容して移動する兵員輸送車については、M113全盛の時代ならともかく、現在では装輪車両が主流となっています。今現在、歩兵を収容して移動できる「装甲車」と書けば、イメージされるのは装輪装甲車でありましょう。
しかるに、記事に添えられた写真は、96式や軽装甲車などの装輪装甲車であります。せめて73式の写真を添えるべきだったでしょうね。
もし、書き手と読み手の齟齬が生じているとすれば、この部分ではないでしょうか?

>第三回は装甲戦闘車が普及する以前の部分を示しています

つまり、ベトナム戦争等の時代、M113や60式などの装軌装甲兵員輸送車を想定されているわけですね。

しかし、この第三回の中盤では、第二次大戦時の個人用火器の発展に言及されています。一方、第二次大戦時の代表的な装甲兵員輸送車は、米も独もオープントップのハーフトラックです。つまり天蓋がなく、掩蔽の代わりにはなりえません。
装甲兵員輸送車として、はるな様が想定するような形態をとるのは、英が大戦末期に投入したカンガルーが先鞭ですが、事実上は1954年登場のM59からでしょう。
一般に、単に「装甲車」というなら、かなり広い範囲を示します。6回連載の途中ということで、突っ込みを入れるのは少々早すぎたのかもしれませんが、少なくとも具体的な本論が始まる第3回から、掩蔽の変わりとして使えるのはどんな装甲車なのか、またどの時代の話なのかは、もう少し具体的に提示されてしかるべきだと思いますよ。
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諸般の事情で三回分を引き延ばします (はるな)
2015-02-02 22:42:13
ドナルド 様 こんばんは

>今少し続編をお待ちしたいと思います。

写真36枚分にあたる文章を12枚×3回で記載する予定でしたが、少々多忙でして、7枚×5回、くらいに延ばして掲載します・・・

>要は、「地下陣地」と、「塹壕(要は溝)陣地」と、「頑丈な天井付きの構造物」

その通りです

>「防塁」が分かりません。壁ですか?

内燃機関が普及する以前は砦、もう少し進むと火力拠点やトーチカ、戦後といいますか本稿の視点では装甲車と降車展開する歩兵、NATO戦術記号でいうところの機械化歩兵マークに点二つか一つ

>マジノ線とか、硫黄島の陣地のイメージでしょうか?

戦闘基幹部隊にあたる大隊か支隊の“主陣地”と小隊規模で分散する“射撃陣地”が掩蔽された地下の“交通壕”で結ばれている野戦築城のイメージです、師団規模となりますとクルスク会戦のソ連軍防御陣地のようなものを想像していただければ、と

>第1次世界大戦から第2次大戦レベルの話をされていると思っています

もう少し進んでいます、装甲戦闘車普及以前ではありますが、一方で普及しなかった装甲戦闘車の役割についても記載しています、ガンポートの装備と廃止に復権の流れ等も含めてですが
返信する
不整地突破能力は地形克服の一要素 (はるな)
2015-02-02 23:15:43
PAN 様 どうもです

先ほどのコメントにも記載しましたが、少々立て込んでいますので、写真36枚分の本文(本ブログ形式で写真一枚分当たり本文五行分以上の文字数)を3回に分けて掲載する予定でしたが、もう少々分割させていただきます

>単に穴を掘るだけなら迅速にできる、という趣旨だと理解しております

その通りです、しかし認識の相違は交通壕の方にあると思います、交通壕を掘削しますと、主陣地と射撃陣地まで、離隔距離をどの程度見積もるか、脅威対象の戦車や機械化部隊の不整地突破能力が高くなていますので、主陣地と射撃陣地の距離は第一次大戦当時の100m未満から1km以上に拡大しています

本文では“掩蔽陣地の急速建設速度を運動戦に間に合わせる速度は持ちませんでしたが”、という要素は戦車が来るまでに掩蔽陣地掘削が間に合わない、ということであり、掩体を用意するのが精々、という視点はこの為です

そして装甲車を掩蔽陣地で使用する場合、そんな事例は存じませんが交通壕は装甲車が通行可能な幅が要求され、仮に三単位編成の一個大隊が小隊毎に交通壕を掘削した場合、変な喩えですが京都市営地下鉄烏丸線の京都駅北大路駅間の距離を掘削しなければならなくなります

だからこそ、主陣地と射撃陣地の間を交通壕で移動するのではなく装甲車で移動することで掩蔽陣地の交通壕が不要となった、という意味合いなのですが、PAN様の認識も、恐らく交通壕を装甲車の車列が行き来する、というものではないだろう、と・・・

>装甲車、とくに路外機動力が著しく劣る装輪装甲車を、陣地に組み込み

例えば北海道で多くみられる泥炭湿地では路外に出たらば最後74式戦車でも行動不能となりますので、不整地突破能力は地形克服の一要素、という認識が必要です

逆に防御陣地に自隊が行動不能な地形を選ぶ場合は、敵の接近経路が同等以上の制約を受ける状況を認識し陣地構築出来ない指揮官は失格と言わざるを得ないでしょう

逆に質問ですが、自隊に装備する装甲車が行動不能となる地形を防御陣地に選んだ場合、PAN様が指揮官の立場でしたら退路をどう確保するのでしょうか、防御陣地から後退する状況では退路が砲迫制圧下にあります、やはり時間を掛けてでも交通壕を掘削して安全に離脱するのでしょうか、それとも退却は考えず抗戦すべきでしょうか、当方は装甲車を利用して離脱する方が理にかなっていると考えます、他には野戦築城を改めて永久築城による要塞線を確保する

>せめて73式の写真を添えるべきだったでしょうね。

その点はお詫びします、73APCは11旅団の仮設敵か7師団の写真しか無く、今回使用しました“写真フォルダG(行事予定写真バックナンバー)”には即座に見当たりませんでした

書きためた記事を繁忙期か疲労困憊時に小刻みに出すのが榛名防衛備忘録です、写真を厳選したくとも時間が無く、今後は写真3~4枚分を小出しにしてでも、バックナンバー以外の写真を用意し本文と合致させる写真を意識できれば、と思います

多忙でもご期待へ応えたく何とかブログだけでも仕上げよう、榛名防衛備忘録は苦肉の策で、他の代案は多忙期に“本日の一枚とTwitter級の短文”を掲載する、その昔は“京都神社特集”で対応、“繁忙期は週刊化”する、と検討した上の苦肉の策でして、他の方にも榛名防衛備忘録は評判が悪いため、今後さらなるご指摘が続けば、“本日の一枚とTwitter級の短文”か“京都神社特集”で、短いですが読み応えある記事で代替することも検討します
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