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X-47初飛行、さて自衛隊が将来同種の機体を導入したとしたら?

2011-02-07 23:40:11 | 先端軍事テクノロジー

◆無人機の任務区分、海外派遣と憲法上の問題

 本日はX-47の初飛行記事を引用しつつ、この種の航空機と将来の自衛隊について備忘録的に少し記載してみます。

Img_2414  次世代無人爆撃機の初飛行成功=空母艦載型、中国対策-米海軍・・・ 【ワシントン時事】米海軍は6日までに、エドワーズ空軍基地(カリフォルニア州)で、次世代型の無人爆撃機「X47B」の初飛行に成功したと発表した。X47Bは空母艦載型で、2013年に空母艦上からの発進試験を行う計画。 X47Bの開発は、米軍接近を阻止する中国の戦略への対抗手段の一つ。中国は「米空母キラー」と呼ばれる新型対艦弾道ミサイル「東風21D」の開発を急ピッチで進めている。X47Bの開発は、中国の対艦弾道ミサイルの射程外から攻撃できる能力を確保する狙いがある。(2011/02/07-14:54)http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2011020700442

Img_0290 時事通信が報じていましたX-47の話題ですが、写真の方は手元に当然ありません、形状が酷似していると話題のヤツハシの写真で代用しようとも思ったのですが、まあ、F-16で。海軍だから18のほうがよかったか。さて。航空自衛隊の次期戦闘機の話題とともにこのX-47初飛行成功の一報を載せたのち、この種の無人航空機を自衛隊が運用した場合、ということにも少し考えが及びましたので備忘録として掲載です。有人機の役割について、航空自衛隊の場合は国土の防空、対領空侵犯措置を第一の任務として付随的に対艦攻撃や近接航空支援を実施する、という流れになりますので、特に対領空侵犯措置任務では行動の結果いかんによっては武力紛争に展開する可能性があり、挑発や誤射は絶対に避けなければならない一方で領空侵犯は実力で阻止しなければならない際どい部分を担当するには、有人戦闘機による任務が不可欠なのだろう、と考えます。無人機では何か事故があった場合に責任が採れませんからね。この点で無人機が主力となる事は航空自衛隊が対領空侵犯措置任務を主任務とする間はあり得ない事なのでしょう。

Img_3219 無人機は作戦機に含まれるのか、防衛大綱を考えると当然この概念も出てくるでしょう。現時点では無人機の性能は限定されていてX-47も無人戦闘機と言われつつも爆撃任務に当たるとのことですから巡航ミサイルの延長的な運用、変に解釈してもクラスター爆弾の定義に含まれないような範囲内で延長、という運用を想定しているようにも思えますが、今後お技術発展はどうなるか大きな伸び白を残しています。さて、対艦攻撃と近接航空支援については、F-2やその後継機、これは第六世代戦闘機がどうなるのかという話ともつながるのですが、無人機か無人機との連携を考えた機体が選定される可能性が出てくるでしょう。この場合無人機は作戦機として防衛計画の大綱において整備数が制限もしくは担保される事になるのでしょうか。現時点ではF-15等からの空中発進などに主眼を置いた無人機が主流ですが、米空軍などでは飛行隊に既に無人機のみで編成された飛行隊が存在しています。一方で湾岸戦争においてアメリカ空軍が有人機侵攻の補助として多数の無人機をおとりとして運用したように無人機は運用では有人機とは根本的に異なる部分がありますし、何よりも損耗を前提とした無人機は予備機等の概念が有人機とは異なるため作戦機に含めるのは難しい、もしくは作戦機を有人機と無人機に区分するか、という議論も出てくるかもしれません。航空法の適用範囲内か否かが、航空機として作戦機に含めるか否かという議論に繋がるかもしれませんが、これにより稼働機数を確保するという必要性が運用上生じて必要な無人機を導入できない、というような状況は避けたいところですね。

Img_6866 海外派遣では無人機は法的にどうなるか。最後に、アフガニスタン派遣の話題を昨日の記事に掲載したのですが、無人機を派遣する、例えば公海上の護衛艦などから無人機を進出させ、米軍の支援、これは攻撃任務に限らず偵察でも情報収集でも、もしくは通信中継任務でも同様なのですが海外での活動を行う事は現行憲法上で可能なのか、これも少し考える必要があるのかな、と。自衛隊は今後も国際平和活動や後方支援任務、人道任務において犠牲者を最大限避けなければならない、と考えるのですが、その中で国際貢献を行う手段として、無人機による情報収集などが人的犠牲の可能性が少ない国際貢献の方法として浮上してくるかもしれません。現時点での日本の無人機運用能力では、ひゅうが型や22DDHクラスの艦から運用可能な長距離無人偵察機というものは全く想定できないのですが、自衛官を派遣せず公海上から無人機を進出させるという方法での支援、これは将来も考えられないとは言い切れないでしょう。現代戦は情報優位が戦闘優位に直結するのですから、情報優位を担保するということは国際貢献のみならず米軍の後方支援任務においても少なくない価値があるはずです、これが法的にどうなのか、考える必要はあるのかな、と思い浮かべた次第です。

HARUNA

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2 コメント

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無人機利用は避けて通れない道ですので、防空はも... (軍事オタク)
2011-02-08 10:49:04
無人機利用は避けて通れない道ですので、防空はもちろん遠距離攻撃まで含めて、米軍並みに自由に飛べるような法整備が必要でしょう。
車両や無線関連もそうだが、とかく自衛隊の足を引っ張る法律が多すぎ。全て自衛隊を除くと法に明記すれば国内においてはたいがいの問題は回避できる。
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軍事オタク 様 こんにちは (はるな)
2011-02-11 12:05:38
軍事オタク 様 こんにちは

これも外圧頼りでしょうね。無人機ですが、朝鮮半島危機を将来想定した場合にMQ-9なんかの運用をアメリカが要請してきて、日本が法整備、この法整備に合わせて自衛隊の無人機運用法基盤を構築、というところでしょうか。まあ、開発を硫黄島で行い、高高度滞空型ならば洋上を経由して展開、もしくは航空機や海上プラットフォームから運用出来れば全て問題を回避できるかもしれませんが・・・。
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