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北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【臨時情報】ミャンマー地震,犠牲者1007名!マンダレー付近震源マグニチュード7.7地震

2025-03-29 20:25:54 | 防災・災害派遣
■内戦下の震災
 マンダレーといいますと弓兵団や龍兵団と菊兵団などの戦史で知るところでしたが今回は災害という視座から世界の耳目を集めています。

 ミャンマー中部のマンダレー付近で28日日本時間1500時頃に発生したマグニチュード7.7の巨大地震は、本日日本時間1900時までにミャンマー軍事政権の発表として犠牲者は1007名に上っており、負傷者は2389名、昨日2300時時点の犠牲者144名よりも大幅に増大する事と成り、時間と共に被害の大きさが判明している状況です。

 邦人被害としてミャンマーの日本大使館によれば邦人2名が負傷して病院にて治療を受けているとの事ですが、けがの程度は軽傷とのこと。ミャンマーには最大都市のヤンゴン周辺を中心に三菱商事、丸紅、住友商事が出資し開発された工業団地があり、マンダレー国際空港運営は日本航空系企業と三菱商事が参加、現在も被害を確認中とのことでした。

 マンダレーは、アキャブ作戦やインパール作戦などの作戦記録を見ていますと良く目にする地名であり、ミャンマーでは第二の都市です、現地の通信状況は悪いものの、市街地で高い頻度で建築物が崩れており、市街地道路もがれきが散乱、また、都市間道路網も亀裂により車両通行が不能となる区間が複数あり、更に内戦中、情報収集も困難となっている。

 内戦に対して中立的な国際人道支援の方法があれば、民主化勢力と政府軍掌握地域と平等に人道物資の搬入や道路啓開と医療支援を行う選択肢がありますが、道路啓開さえ復旧後に政府軍の軍用道路として機能しますから中立として行う為には民主化勢力との調整が必要になりますし、空路での物資搬入さえ、中立的な支援を行う難しさが有ります。

 各国支援が既に開始されており、中国政府は習主席がお見舞いの電報を送ると共に軍政を担うミンアウンフライン司令官の要請を受け82名規模の医療しえにゃレスキュー部隊を派遣、20億円規模の援助を行うとともに、ミャンマーと故郷を接している雲南省からもミャンマーへ37名の医療支援チームを派遣、日本時間1600時までに到着したという。

 アメリカ政府はトランプ大統領が支援を表明し、食料と飲料水を贈るほか、災害対応の専門家を現地に派遣するとアメリカ時間28日にトランプ大統領が表明しました。くわえて、ロシア政府もロシア非常事態省が120名規模の救助隊と災害救助犬を派遣するといち早く表明、非常事態省が保有するIl-76輸送機2機により既に現地に入ったとしています。

 日本は、石破総理大臣はタイのペートンタン首相にお見舞いのメッセージを出していますが、ミャンマーに対しては軍事政権との関係の難しさから、特に北西部ガザイン管区では民主派勢力が優勢であり、安易に軍事政権を支援する事は民主派勢力の地域へ軍事政権を前進させる事と成り、いっぽう、民主派政権に独自に肩入れする事が出来ない難しさも。

 日本にしかできない支援、こうしたものを考えるべきでしょうか、具体的には、内戦中の真ん中で災害発生により人道支援を行う事で内戦のどちらかにかたいれする状況や、戦闘地域での人道支援は中々現行法では想定外であり、可能性として考えられるのはミャンマー国内情勢次第では在留邦人退避へ輸送機を派遣することくらい、あとは、タイの支援だ。

 長周期震動、バンコクなど隣国でも多数の被害が出ており、バンコクでは建設中の31階建て高層建築物が倒壊し建設作業員多数が下敷きになっているなど被害が生じています。長周期震動は東日本大震災において大きく認識された、遠隔地の高層建築物がゆっくりとした揺れにより高速建築であればある程、エネルギーをため込み揺られる事で倒壊する。

 バンコクが一例として、倒壊していない建物にも基礎部分や重要構造部分などに破壊が及んでいる可能性があり、今後の課題は被災地から離れた大都市の高層建築物の破壊度合い、補修の必要性などをどのように検査するのか、倒壊リスクを容認せざるをえないのか、少なくとも、今後ちゅう程度の地震での破壊リスクをどう考えるか、必要となるでしょう。

 免震構造について、一見して印象深かったのは、高層建築物上層階のプールや池泉庭園が長周期震動により水がこぼれる様子です、水は落下した場合、一定以上の高さであれば霧状に霧散するため、低い位置から決壊する状況と比較しますとそれほど致命的な危険はありません、ただ、水がこぼれる事により建物が軽量化し、倒壊を免れた可能性があります。

 高層建築物はその重量が当然ですが高くなればなるほど比例して増大します、故に過度に軽量の構造を採用しますと、震源付近の揺れでは逆に破損しますが、徴収Ⓚ震動では重すぎる構造が、逆にビルが揺れて捻じれる際に、特定部分に想定以上の負荷が加わり倒壊するリスクが生じますが、水であれば、揺れで零して建物を軽量化することが可能となる。

 軽量構造はビル火災時に鉄骨そのものを溶かして破断させるリスクとなりますが、これは9.11の世界貿易センタービルの事例を示すと分かる一方、上層階に一定以上の水をためこむ事は消防用水、映画のタワーリングインフェルノの事例が不適切かもしれませんがイメージとして、消火に用いる事も可能となります。この点は研究の余地があるでしょう。

 日本が行える支援、ミャンマーのマンダレーはインパール作戦やビルマ戦線においての地誌研究資料が防衛研究所に大量蓄積されていると考えるのですが流石に古い、また、受入能力と派遣能力を考えた場合、自衛隊の国際緊急援助隊を贈る事も重要ですが、日本にしかできない支援として建物の非破壊検査支援が考え得ないか、こうおもうのですよね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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