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キエフ攻撃のイラン製無人機,欧州連合が調査開始-ロシア軍事支援ならば対応示唆,イラン核合意再構築へ波及か

2022-10-19 07:01:23 | 国際・政治
■臨時情報-ウクライナ情勢
 新しい問題はこのウクライナ戦争が遠く中東へ波及するという厳しい可能性を示す事となりました。

 ウクライナ攻撃へのイラン関与についてEU欧州連合は確たる決意を持って具体的な証拠を探す、10月17日にEUのボレル上級外交代表がEU外相会合において述べました。これはこの数日間、ウクライナの首都キエフがロシアから飛来したイラン製無人航空機による自爆攻撃により少なくない死者が出ており、イランへの経済制裁を示唆したかたち。

 イラン核合意再建への影響は不可避となるのでしょうか、ちょうどこのほぼ一ヶ月前の9月12日、ドイツ政府はイラン核合意再開に向けての調整が難航している旨を発表、同じ日にイラン政府はIAEA国際原子力機関へ核合意へ復帰する用意があると表明しつつ、核関連施設への査察に難色を示し、言うなれば、査察抜きに経済制裁解除を要望していました。

 核合意とロシアへの無人航空機提供は全くの別問題ですが、核合意再建により経済制裁を解除した一方で無人航空機供与による別の経済制裁発動となった場合に、欧州各国とイランの関係を良好に保つ見通しはありません。他方、ロシアとの間で天然ガス供給遮断さえ受け入れる覚悟で経済制裁に望む欧州にとり、イランの行動は容認できるかという事に。

 無人航空機供与の重要な点は、今回の供与事実が確認された場合、これは2月にロシア軍がウクライナへ侵攻して以来、初めてロシアへ軍用品が提供されたこととなります。この事実の重さは、北朝鮮でさえロシア側が要請した軍事物資提供要請に応えていないという一点を指摘すると理解できるでしょう、欧州はイランに対し強くでざるをえなくなります。

 EUが本腰でイランを睨む背景には、この状況を看過した場合、北朝鮮製火砲や弾薬、北朝鮮は軍事境界線付近に展開させている火砲だけでフランス陸軍全火砲の30倍もの砲兵を展開させている、スーダン製戦車、スーダンは中国製第三世代戦車のライセンス生産を行っている、こうしたものがなし崩し的にロシアへ輸出されかねないという危機感が出てくる。

 イラン核合意のめどが立たない場合、イラン核開発を具体的に検証し阻止する枠組みが無くなります、これはイランが1979年のイラン革命以来国是としている"イスラエルの廃止"という方針を転じさせない以上、中東地域において大きな火種が育つことを看過するにほかなら無いのですが、ロシアに続くイランへの制裁、世界は恰も大戦に向かうようですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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