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【京都発幕間旅情】西尾城(愛知県西尾市)徳川譜代家臣酒井正親の城郭は鎌倉時代からの歴史

2021-11-24 20:00:07 | 旅行記
■紅葉の東三河に西尾の城郭
 本日も二部構成としまして高揚な紅葉に色づく中に浮かぶ城郭の歴史を紹介しましょう。

 平成の大修理、令和時代になり久しい今日このごろですが、旅行というよりは散策という、目的地は観光地ではなくともその周辺で散策する場所を探すという自由な旅情を好む当方としては、下調べせず散策した先が休館や拝観謝絶、平成の大修理が続くと寂しい。

 西尾城。愛知県東三河地方の西尾市にあります城郭です。実はここ、天守閣再建という動きがあるようでして、もう少し散策へ年単位で遅れていましたら、普請中の白い作業用シートに覆われて工作機械の音と輸送車両の振動が響く台無し状態だったのかもしれません。

 鶴城とも鶴ヶ城とも称される城址は名鉄西尾駅から20分、いや25分ほど丘陵地を歩み進めたところにありまして、広大な駐車場が確保されていますので、愛知県はトヨタ自動車の城下町というか自動車主体の町づくりなのだと思われるところ、しかしこちらのお城は。

 鎌倉時代のころ、あまり情報もなしに城郭があるようだから行ってみよう、庭園もある、ということで散策に歩み伸ばしました。なにしろこんな時代、感染対策はマスクと消毒よりも人にないところを目指したい、西尾市のみんなには悪いものの、すいていそうだった。

 足利義氏が三河守護を任じられた際に造営された城郭という。足利氏といいますと、室町幕府の足利尊氏を思い浮かべますが、足利義氏は鎌倉時代に北条家直系の三男として、承久の乱においては鎌倉幕府を支えました、この勲功をもって三河守護を任じられている。

 西尾城は三河守護の拠点として造営されたということですが、12世紀末に造営されたと記録されるものの、詳細な築城は諸説あるといい、しかし当地に武家屋敷の複郭構造という城郭があったのは確かとされ、京都と鎌倉を結ぶ東海道交通の要衝を確保した城郭です。

 櫓もあるのか、と広さに驚くのですが歴史資料館とともに並ぶ様子は当地の歴史の中心にあったということを理解させられます。規模は大きくありませんが、もともとの規模を大事にしていますので変に観光地化されていない、が、ただ駐車場は広い、これは不思議ね。

 城址公園、石垣と堀などは当時のものといいまして、ここに巧みに再現された構造物がおもしろい。歴史在る城郭といいますのは、足利義氏は建長年間の西暦1255年に没しますが、ここを足利家が抑えていたことが、1333年の鎌倉幕府倒幕に際し足利尊氏の助けとなる。

 室町幕府、足利尊氏は関ヶ原を盟友京極氏が抑えるなど、東海道の要衝を抑えていたことが動乱から新しい時代を構築するまでの歴史につながっていますが、しかし、時代が安定しますと西尾城は姿を消します、ただ、遺構は維持され、多少は活用されたようではある。

 酒井重忠、歴史の表舞台に西尾城が輝くのは徳川の譜代家臣酒井正親の嫡男が城郭を大きく広めたためという。現在広い遺構が西尾市の丘陵地帯を構成していますが、当時この一体が西尾城であったといい、江戸時代に西尾藩の中心部を整備することとなりました。

 酒井正親は永禄年間の西暦1561年に徳川家康が今川家から距離を置いた際にここ西尾城を攻撃し落城させています。徳川家康の本拠地は三河の岡崎城、岡崎と西尾は、電車ですとJR東海道本線が遠く、いったん名鉄で名古屋方面の新安城に出るため遠く感じるが、近い。

 城主として家康から西尾城を与えられた酒井正親は、家康に幼少の頃からつき従い、駿府城へ人質として出された際には随行、家康の初陣にも参戦しています。暖かく良い歴史、とおもわれるかもしれませんが、城郭を拡大するには情勢緊迫、相応の理由がありました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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