北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【日曜特集】観艦式2009-守る!この海と未来-【08】観閲航空部隊祝賀飛行(2009.10.23)

2020-01-12 20:03:18 | 海上自衛隊 催事
■相模湾陸海空自衛隊祝賀飛行
 相模湾での自衛隊観艦式、威風堂々の護衛艦初め艦艇によるその観閲式を終えると共に上空に大編隊が飛来しました。

 受閲航空部隊指揮官機としてP-3C哨戒機の2機編隊が飛来しました、自衛隊観艦式は艦艇部隊の受閲部隊に続いて祝賀飛行を展開します。P-3C哨戒機は1981年より100機が調達、一機護衛艦いしかり建造費に匹敵する高価な装備により今我が国海は守られています。

 SH-60J哨戒ヘリコプターとUH-60JA救難ヘリコプターより成る受閲航空部隊第一群、イージス艦あしがら艦上を飛行します。SH-60K哨戒ヘリコプターにより置き換えられつつあるSH-60J哨戒ヘリコプターですがこの2009年自衛隊観艦式ではこちらが主力でした。

 HSS-2B哨戒ヘリコプター後継機としてSH-60Jは1989年より103機が量産されています、吊下式ソナーと日本独自のセンサーを有する高性能機ですが後継機SH-60Kの量産によりこの観艦式十年後の2019年には24機まで規模が縮小、UH-60JAは12機が装備中です。

 MH-53E掃海ヘリコプター、受閲航空部隊第二群は海上自衛隊最大の掃海ヘリコプターで、米海軍で運用されているものとほぼ同型で掃海艇に先立ち絶対安全な空から最初の掃海を行う、令和元年の現在には全て除籍されMCH-101掃海輸送ヘリコプター10機が運用中だ。

 あしがら艦上を飛行するMH-53E,海上自衛隊最大のヘリコプターであり、航空掃海器具を曳航するその出力は怪物並と云って過言ではなく、ホイットビーアイランド級揚陸艦を一機で曳航した能力を持つ為、理論上本機一機で輸送艦おおすみ型を曳航する事も可能です。

 こんごう上空を飛行するMH-53E,この後継機であるMCH-101掃海輸送ヘリコプターはレーザー掃海器具等、従来型の航空音響掃海器具や磁気掃海器具よりも先進機雷戦装備を搭載する半面、これらは軽量となっている為にMH-53Eよりも非常に軽量機となりました。

 受閲航空部隊第三群は陸上自衛隊からの祝賀航空部隊です。CH-47J/JA輸送ヘリコプター、人員55名や装甲車を空輸可能で吊下げ空輸により短距離であれば機内と併せ軽装甲機動車2両を同時輸送可能、陸上自衛隊に至宝というべき装備で55機と多数を運用しています。

 あしがら艦上を飛行するCH-47J/JA輸送ヘリコプター編隊、イージス艦はこの2009年には艦隊防空に加えミサイル防衛任務が本格化していた時代ですが、今後は新たに水陸両用作戦における両用作戦部隊への直掩広域防空という新任務が付与される事となりましょう。

 CH-47J/JA輸送ヘリコプター、は川崎重工にてライセンス生産が実施されており、航空自衛隊も運用中、自衛隊全体で75機を装備します。実は大型輸送ヘリコプターは非常に高価であり、韓国軍や台湾陸軍は15機程度しか有していません。75機の運用は巨大といえる。

 あぶくま艦上を飛行するCH-47J/JA輸送ヘリコプター、あぶくま型護衛艦は6隻が建造されており、満載排水量は2900tとなっています。後継に3900t型護衛艦が鋭意建造中であり、満載排水量は5400t水準となりましょう、水陸機動を支援する掃海隊群へ配備予定だ。

 くらま艦上を飛行するCH-47J/JA輸送ヘリコプター、水陸機動団が新編されるのはこの9年後ですが、遡る事この7年前の2002年に西部方面普通科連隊が編成されています。ただ、現在自衛隊には、くらま除籍により艦砲を二基搭載する火力の大きな護衛艦がありません。

 受閲航空部隊第四群はTC-90練習機です。徳島航空基地の第202教育航空群へ集中配備される航空機でアメリカのビーチクラフト社製双発機を転用した計器飛行練習機となっています。15機が装備されており、老朽化した機体は新造のTC-90により代替されています。

 受閲航空部隊第五群は飛行艇部隊、US-2救難飛行艇とUS-1A救難飛行艇の編隊飛行、US-1Aは平成29年即ち2017年に最終機が除籍されました、US-2はその後継機で2016年に8号機が発注されています。海洋国家たる我が国に行動半径の大きな飛行艇は必須だ。

 飛行艇部隊は試作二号機を含む三機編隊の飛行ですが、実戦塗装の洋上迷彩US-2とまだUS-1Aは救難機塗装を維持したまま、US-2試作機は試作評価試験塗装を採用しています。期せずして三種類の塗装による飛行艇展示は観艦式2009のみの貴重な情景といえましょう。

 こんごう上空を飛行する飛行艇部隊、波高3mという荒天でも離着水が可能で、波高10mという救いようのないような悪天候下でも凪の瞬間には3m波高に収まる事も多く、時間をかけて上空待機するならば、台風直下の暴風状況でもない限り救助は可能となっています。

 受閲航空部隊第六群はP-3C哨戒機、実に100機が取得されていますが、この観艦式から十年を経た令和元年には54機が残るのみ、後継機となるP-1哨戒機は2007年に初飛行していますが、令和元年現在でもP-1哨戒機はUP-1実験機含め20機しか配備されていません。

 P-3C哨戒機は米海軍アップデートⅢ仕様へ近代化されていまして、捜索レーダー換装やソノブイ信号処理装置改修、衛星通信装置を搭載し、実のところ現代でも世界最高水準の性能を維持しています。このP-3Cは高価でシーレーン防衛を重視する故に維持されています。

 P-1哨戒機の配備は始まりますが、P-3Cは単に54機へ除籍減勢された訳ではなく、EP-3電子データ収集機へ5機、OP-3C画像データ収集機へ4機、UP-3C評価支援機1機、UP-3D電子訓練支援機へ3機が改修、世界有数の電子情報収集部隊を構成する事となりました。

 受閲航空部隊第七群は航空自衛隊のC-130H輸送機です。三機編隊での飛来ですが、受閲艦艇部隊第7群の余市防備隊第1ミサイル艇隊ミサイル艇くまたかと佐世保警備隊第3ミサイル艇隊ミサイル艇おおたか二隻が航行している様子がまだ見ています、航空機は速い。

 こんごう上空を飛行するC-130H輸送機、航空自衛隊の機体ですが海上自衛隊はこの時点で運用していましたYS-11M輸送機の後継としましてアメリカ海兵隊KC-130R空中給油輸送機中古機6機の屋外モスボール機を非常に安価に取得し、第61航空隊にて運用中です。

 くらま、先ほどのC-130H輸送機三機編隊を以て受閲航空部隊の観閲飛行は完了しまして、このまま訓練展示へと向け観閲艦くらま、は大きく変針しました。艦隊の一斉回頭は各部隊の司令官による変針発動により一斉に270度を回頭する、非常に緊張の瞬間、といえる。

 いなづま、先導艦は既に変針を完了しています。この回頭は総理大臣の乗艦する観閲艦を陣形再編前に各艦から見る事が出来るよう進路272度と微妙に動いた陣形運動を行います。私も安倍総理を望見、と言いたいところですがこの日の観艦式は予行、乗っていませんね。

 いなづま、くらま、回頭。受閲航空部隊の観閲完了と共に一斉回頭するのは、此処からいよいよ訓練展示が開始される為です。訓練展示の為に回頭するのは何故か、と云われますと、此処は相模湾、いつまでも前に進みますと伊豆半島下田港に入港してしまう為という。

 くらま観閲艦、しらね型護衛艦二番艦の観閲艦は、しかし永く一番艦しらね、の名誉となっていましたが、定期整備などの関係から2006年観艦式、2009年観艦式、2012年観艦式、そして平成最後の2015年観艦式、都合四回のみ、くらま、が観閲艦となっていました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 中東危機と自衛隊アラビア海... | トップ | 【G3X撮影速報】令和二年第1... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

海上自衛隊 催事」カテゴリの最新記事