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核攻撃へ日本の備えは充分か?北朝鮮先制核攻撃想定図上演習と米韓合同軍事演習フリーダムシールド23終了

2023-03-26 07:01:10 | 国際・政治
■平和国家と"第三の核"
 核兵器を撃たれたらおしまい、ではなく生き残る人がいる限り救助の方法を考えなければなりません、平和主義と非核政策を国民が支持する日本だからこそ広島長崎に続く第三の核へ備えが要るのです。

 米韓合同軍事演習フリーダムシールド23が無事終了しました。北朝鮮による軍事挑発とともに開始された今回の軍事演習ですが、今回特筆すべきは、“北朝鮮の先制核攻撃を受ける”という状況を実動演習に先立ち実施された図上演習へ盛り込んだことでしょうか。もちろん従来の軍事演習においても北朝鮮による核兵器の戦場使用はある程度想定していますが。

 先制核攻撃を受ける想定、とは先月22日にアメリカの国防総省において米韓両軍関係者が実施した図上演習に盛り込まれたもので、アメリカ軍の核兵器を含む戦力により韓国を防衛する拡大抑止を念頭に実施されたとのこと。ここに北朝鮮の核兵器使用に対抗してアメリカ軍による戦術核使用やニュークリアシェアリングを実施したかは発表されていません。

 日本有事に際しても、ある程度の核攻撃を受ける想定での国民保護計画を、日本は進めるべきではないか。例えば日本国内の米軍基地や自衛隊基地、政経中枢や重要港湾などへの核攻撃は、ある程度念頭に置いて、自治体、だけではとても対応できない為に国主導の被曝対策や放射性降下物からの国民保護、被爆者治療などを計画する必要はないでしょうか。

 ARS急性放射線症候群、日本では放射能は浴びたらば遺伝子が破壊されておしまい、という認識が一般化しているよう思います、実際、東海村臨界事故においても致死量の中性子線を浴びた作業員は死亡しました。しかし、ARS急性放射線症候群であれば、白血球減少を抑制するアムジェン社のニューポジェンやロイキン、幾つかの治療薬が存在しています。

 ニューポジェンくらいは国家備蓄しているのでしょうか、いや、2011年の福島第一原発事故を見る限り、もともとニューポジェンは核攻撃を受けた際の汚染地域での救出活動を行うレスキュー部隊や軍の衛生部隊などに投与するものですが、汚染地域へ展開する自衛隊員へ投与された事例もありません。あれから12年を経ましたが、浅学にして聞かない。

 プルリステムPLX-18というイスラエルの製薬企業が開発する治療薬は白血球に加えて血小板や赤血球の放射線による減少を抑制する治療薬で、放射性降下物の降下前に接種することで効果が得られるとされており、経口治療薬型などの開発も進められています。これは宇宙飛行士の宇宙線被曝対策やがん治療と両立し得ますが、日本では研究が進まない。

 ヘママックスという、放射線を浴びてしまった後に投与する治療薬なども開発されているようですが、日本も、核攻撃を受け大量の被爆者を出した日本、原発事故が発生し大量の核燃料がメルトダウンした日本、なのだからこそ研究開発には政府資金を投じるべきであるし、へまマックスやニューポジェンの国家備蓄を進め、攻撃に備えるべきと思うのです。

 広島と長崎の核攻撃があったからこそ、緩和療法的な被爆者治療というものではなく、日本はもう少し国家として核攻撃による放射線症候群への治療体制を検討すべきではないでしょうか、日本は核兵器を持たないと国是を示しているのだからこそ、核攻撃に対しては無防備です、しかし、撃たれたら終わりと国民の生命を突き放す事が有っては、なりません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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