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ウクライナ情勢-ロシア軍第58諸兵科連合軍イワンポポフ少将突然の解任とワグネル処遇巡る混乱

2023-07-24 07:00:27 | 防衛・安全保障
■臨時情報-ウクライナ情勢
 日本としては志方さんの北部方面総監時代のビックレスキューが自民党内一部で不評を買ったという話を聞いていますので政軍関係については何とも。

 ロシア軍第58諸兵科連合軍のイワンポポフ少将が突如解任されました。これはイギリス国防省ウクライナ戦況報告15日付分析として、特筆すべき内容と記され、具体的にはポポフ少将が解任に際し部下への訓示として部内公開した動画情報が外部に漏えいし、その中でロシア国防省のウクライナ戦争指導部を批判した内容が収録されていたため。

 ロシア国防省の戦争指導体制については、ウクライナ侵攻から最初の初夏まで、ウクライナ特別軍事作戦に関する作戦司令官を任命しないなど、恰も個々の軍隊が同時に侵攻した様な作戦始動の拙さが有り、また兵站計画や占領計画などがそもそも場渡り主義的となり、これが第一線のロシア軍部隊にウクライナ軍防御戦による甚大な損耗を強いてきました。

 ロシア軍では第一線でのウクライナ戦争に真剣に取り組む指揮官に対して、事実上の戦争を特別軍事作戦と言い換え、兵站や動員体制と後方支援体制に不満を持つ将校将官と、この戦争に対しあくまで局地戦という認識から動かないロシア国防省上層部との軋轢が生じており、今回のポポフ少将の解任は不満を上申したためと考えられています。
■ワグネルの処遇
 ワグネルの髑髏マークを掲げていますがこの写真の方々は自衛隊の訓練展示における仮設敵です。

 ロシアの民間軍事会社ワグネルグループについて、今後の処遇がロシア国内においてまだ不確定要素があるもよう、16日付イギリス国防省ウクライナ戦況報告に分析がありました。先ず、ワグネルは戦車や火砲などの2000以上にも上る重装備を12日までにロシア軍へ返還し、15日までには少数のワグネル戦闘員がベラルーシへ移動したとのこと。

 ワグネルの処遇について難しいのは、ワグネルはロシア軍が国際法上若しくは国際政治の観点から正規軍を派遣できない地域へのロシア軍プレゼンスを担う組織として成長し、特にアフリカ地域では鉱山警備から始まり、資源開発については事実上の経営を伴うなど、ワグネルを仲介して多数の資源獲得やプレゼンスの行使などを行ってきた点です。

 ロシア政府としては反乱を起こしたワグネルを従来通りの地位に位置付ける事には無理があるものの、一方でワグネル解体を優先しワグネルにより得たアフリカ地域や中東地域の権益を手放す事には難色が有る様で、いわば資源と権益を代償にロシア国内ではワグネルの存続とロシア国内での位置づけ要望を受け入れる余地がある可能性も指摘されます。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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