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【日曜特集】海上自衛隊60周年観艦式【14】次回の観艦式は防衛大学校会場を検討すべき(2012-10-08)

2023-07-23 20:20:23 | 海上自衛隊 催事
■次の観艦式を考える
 70周年観艦式が昨年実施されましたのでもう陸上自衛隊中心の中央観閲式と航空自衛隊を中心に航空観閲式が行われれば次はすぐ。

 海上自衛隊60周年記念観艦式、過去観艦式は巨大台風直撃とCOVID-19感染拡大により二回連続で一般公開が中止されていますので、最後に公開された観艦式は2015年という8年も前の観艦式でした。この時の観閲艦はヘリコプター搭載護衛艦くらま、でした。

 安倍総理大臣が観閲官を務めた、といいますと観艦式の一般公開が遥か前の話ということがわかります。実際、見せられない国威発揚行事、というのはどういうものなのだろう、と考えるのですね。すると、もう少し多くの人に見せる工夫が必要ではないか。

 オンラインで見せている、こう反論されるかもしれませんが、すると自衛官志願もオンラインに限る、となりかねません。応募はオンラインでも可能と反論しますと、皮肉の様にいや勤務もテレワークでしか志願しません、となりかねない。見せる必要があるのだ。

 自衛隊観艦式について、フリートウィークに留まらないもう一つの後方も考えるべきではないのか、と最近考えるのです。例えば、サンフランシスコ艦隊週間のような陸上から見学できるように会場を配置しますと、5万人10万人は見学者を増やせるでしょう。

 観艦式は一般乗艦券の倍率がものすごいことになっていますからそれだけ関心がある行事なのです、そしてフリートウィークでも多数の来場者が集まっていますので、この広報機会を逃しているのはもったいないように思う。乗れないならば陸から、ということ。

 サンフランシスコ艦隊週間は有名なゴールデンブリッジを中心に出入港を行い、その様子を陸上から見るというもの。それこそ一般招待者を中心に行う観艦式は日本以外は韓国海軍が行う程度、韓国海軍の招待者枠も限られていてしかも観艦式は十年に一度のみ。

 防衛大学校に観艦式一般会場を設置して、自由公開としてはどうだろうか、こんなことを思うのですね。もちろん、琵琶湖花火大会大津駐屯地一般開放のような、単に見るだけの一般公開ではなく、東部方面総監と中部航空方面隊司令官に臨席して執り行う。

 防衛大学校ならば小原台の高台にありますので出入港の艦艇がよく見えます。観音崎から撮影される方も多いようですが、見るだけの観艦式ではなく、陸上会場というれっきとした観艦式の一場面に自由に参加できる、という方式を整えることがのぞましい。

 横須賀地方総監は、横須賀基地での式典支援任務があり参加できないでしょうが、舞鶴地方総監か呉地方総監、総監クラスが参加して陸海空行事を陸上でも行う、という方式を採れれば望ましい。式典の様子はWeb中継をオーロラビジョンに映せば理想的です。

 FH-70榴弾砲による礼砲射撃、礼砲は観音崎砲台に76mm砲が置かれていますが、せっかくの国威発揚行事ですので203mm自走榴弾砲は退役する故無理にしても、FH-70榴弾砲を一個大隊準備して礼砲射撃を行うくらいは、防衛大学校でも可能ではないか。

 礼砲は国賓19発、閣僚や大使と大将が17発、公使と中将が15発、海軍提督に当たる少将や陸空軍少将は13発、総領事と准将が11発、そして領事が7発となっています。通常礼砲に用いる廃棄装備の105mm砲ではなく、ここは155mm榴弾砲を使いたい。

 三浦半島とはいえ小原台から浦賀水道まではかなり距離はあります、ただ、艦船は意外と近くに見える、細部をみるには厳しいところですが、観艦式となれば数が多い、海上でアナウンスにより説明するには苦労するほど多数が航行しますので、見ごたえはある。

 礼砲とはいえ空包の迫力はかなりのもの。発砲焔も大きく、多分浦賀水道を航行する艦艇からも一閃の発砲焔は肉眼で見えると思います、そして十秒程度遅れて砲声が聞こえる筈だ。一個大隊並んだFH-70は陸上自衛隊広報としてもよい情景となるでしょう。

 観音崎砲台はどうするのか、と思われるかもしれませんが、海上自衛隊観艦式ではなく自衛隊観艦式という自衛隊記念日行事、つまり陸海空自衛隊の祭事なのですから陸上自衛隊が特科部隊を参加させてもなんの不思議もありません。航空機は参加しています。

 国際観艦式の時代なのですから、外国艦艇に対しては礼砲の機会がありますし、護衛隊群司令は海将補、将官クラスが多数観艦式には参加しますので、FH-70の空包射撃は、陸上でなければ見られない迫力、という展示にはならないでしょうか。このほかには。

 16式機動戦闘車による礼砲というものもあっていいでしょう、通常は野砲を用いますが数が数ですから。10式戦車や99式自走榴弾砲の空包射撃はクラッカーのような最小限の音しか出ませんので、礼砲として視覚から認識できない可能性があり、適しません。

 小原台の防衛大学校前を艦艇が航行するのは0730時から0900時にかけて、そして観艦式を終えて横須賀や横浜に船橋や木更津に艦艇が戻ってくるのは1500時から1630時にかけてです。すると、0900時から1500時まで六時間はさてなにをするのか、となる。

 祝賀飛行はそのまま防衛大学校の直上を飛行してもよいのではないかと思う。羽田管制空域に隣接する地域であり過密空域ではあるのですが防衛大学校開校祭ではブルーインパルスが飛行展示を行った事例もあり、観艦式の一環として立ち寄れない距離ではない。

 P-1哨戒機やF-35戦闘機とSH-60K哨戒ヘリコプターの編隊飛行、観艦式で飛行する航空部隊の規模は小さな航空祭よりも大きく、観閲部隊上空を飛行した後編隊を可能な限りそのまま三浦半島に転進するならば、固定翼機は10分も掛からず到達可能です。

 SH-60K哨戒ヘリコプターやAH-64D戦闘ヘリコプターにCH-47輸送ヘリコプターは固定翼機よりも巡航速度が限られるのですが、六時間中の10分15分程度の離隔時間ならば、それこそ6時間の待ち時間ならばそれほど気にならないのではないでしょうか。

 ブルーインパルス飛行展示、もう一つは観艦式の一環として飛行するブルーインパルスが観閲部隊上空での飛行展示を完了した後に、観音崎上空で飛行展示を行い、陸上会場からみられるようにできないか、ということです。短時間でも大きな広報効果と思う。

 ブルーインパルスについては燃料の関係上、また航空管制という立地の関係上で行える飛行展示には限界があることは認識していますが、水平系の飛行展示に限って短時間でも行うならばT-4練習機の航続距離はそれほど短くはありません、十分可能な範囲だ。

 ブルーインパルス、こう強調するのは陸海空自衛隊の行事ということを陸上でも体験できるように、という点です。具体的には礼砲を陸上自衛隊の特科部隊を、そして総監と航空方面隊司令官を、と記した通り、陸であっても陸海空の式典だと強調できるため。

 防衛大学校に観艦式陸上会場を設置した方がよい、こう思うのは繰り返しますが、国民の関心の高さに対して、乗せられる人数が限られているという厳しい現実です。そして忘れてはならないのは、広報が募集広報だけでなくより広い意味があるということ。

 広報については、しかし知っている人ほど労働基準法の枠外にあって、しかも昔の風習が残っているてんが特にここ21年間の予算不足をなんとか繕うような勤務体制が敷かれて厳しいことになってはいることを周知してしまうのですけれども、まあそれは。

 防衛予算は膨大かもしれないが適正に使われている、こう強調するというのは国民の防衛力への信頼にも直結しているのです。結局のところ民主主義国家に在って国民の支持というものが無ければ政治は何もできないのですから、広報は平時の実戦なのです。

 観艦式参加艦艇は横須賀基地と横浜港に船橋港と木更津港に分かれて停泊しますが、結局観音崎と防衛大学校の目の前を通らなければ相模湾の観艦式に参加できないのですから、出入港の膨大な艦艇、これを広報機会として活用しては、とおもうのですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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