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ウクライナ情勢-ハリコフ州攻撃は部隊交代時機狙い,ロシア軍電子妨害と反撃のベルベク飛行場攻撃

2024-05-26 07:00:21 | 防衛・安全保障
■防衛情報-ウクライナ戦争
 ウクライナでの電子戦にかんする情報です。自衛隊が今後想定する無人航空機や野外通信と電子戦の影響というものは戦訓として非常に重要な意味を持つものです。

 ロシア軍の電子妨害によりドローンが飛行不能となった、ISWアメリカ戦争研究所は5月17日付ウクライナ戦況報告においてその状況を説明しています。これは17日にワシントンポストが報じたもので、具体的には5月10日のハリコフ再侵攻に際して電子妨害が広範にかけており、ドローンが飛行不能になっていたとのこと。

 ドローン飛行不能とともに、ウクライナ軍が通信を依存するスターリンク衛星通信についても使用不能になっていたと前線部隊指揮官の発言をワシントンポストが報じています。他方、ウクライナ軍は16日から17日にかけクラスノダールへの無人機攻撃を実施、クリミア半島のエネルギー施設や海軍基地へ攻撃を行い成功しました。
■ハリコフ州攻撃
 自衛隊が部隊行動秘匿をかなり重視している事はこういう戦訓一つとって非常にわかりやすいことなのですが。

 ロシア軍のハリコフ州攻撃は部隊交代の時機を狙ったものだ、ISWアメリカ戦争研究所5月17日付ウクライナ戦況報告では今回のハリコフ攻撃についてウクライナ陸軍のシルスキー司令官の見解を紹介しています。この攻撃はレニングラード軍管区の第11軍団、第44軍団が主導したもので、ウクライナ軍は虚をつかれた構図といえます。

 ウクライナ軍はこのロシア軍侵攻の時点でハリコフ州北部を防衛する部隊の交代を準備しておりその瞬間が狙われたとのこと。また今年失陥したアウディイフカについてもウクライナ軍部隊交代の瞬間に攻撃を受けウクライナ軍が後退を強いられており、部隊交代の情報秘匿に関する難しさなどを端的に示しているといえるでしょう。
■ベルベク飛行場攻撃
 ATACMSの威力だ。

 ウクライナ軍が実施したベルベク飛行場攻撃の戦果についてイギリス国防省は5月18日付の戦況報告で詳細をしめしています。クリミア半島のベルベク飛行場攻撃はその第一報でS-400防空ミサイルシステムのレーダーシステムとミサイル発射装置が破壊され、MiG-31BM戦闘機2機が地上で破壊されたという付帯情報も続報されました。

 クリミア半島でのウクライナ軍攻撃はこの一ヶ月で4回にわたり成功しており、5月12日にはレーダーサイトが破壊、4月16日と4月29日にはジャンコイ飛行場攻撃に成功したとしています。ロシア軍は相次ぐ攻撃から戦闘機分散を進めていますが、分散するほど防空システムの数が必要となり、その確保ができなければ戦闘機損失が増す。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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