■巨大有事へ戦略備蓄方式
中国新型コロナウィルスの感染拡大を視ますと改めてこの衛生自衛隊というもののの必要性を巨大地震以外にも感じる昨今です。
衛生自衛隊という提案、これは昨年の東日本大震災に際して検討した神戸戦略防災基地とハーベストホーク、アメリカ空軍の戦時備蓄を念頭にさらに発展させた有事への備えです。ハーベストホークは有事の際に全く基地施設のない地域へ空軍部隊を展開させるために、包括した戦争準備であり、同盟国基地提供が望めない状況で活用される戦略備蓄です。
ハーベストホークには、移動式管制塔や滑走路用金属マットはもちろん、移動式格納庫に移動式シェルターとプレハブ隊舎や補給コンテナと燃料タンク、支援車両の事前備蓄が含まれる。2019年の論点ではこうしたものの戦略備蓄を神戸港に行う、在日米軍の横浜ノースドックのような即応備蓄群の緊急展開準備が必要ではないか、という提案をしました。
神戸の巨大港湾であり阪神大震災被災地跡地にこうした移動式の航空基地を備蓄し、南海トラフ巨大地震はもちろん、自衛隊を大規模に海外へ派遣する必要が生じた際にも現地に巨大な航空基地を迅速に構成する、という視点です。シービーズ海軍建設隊、実はハーベストホークの提案は問題がありまして、移動式の航空基地を準備するとしましても問題が。
神戸国家防災基地にこうしたものを備蓄としましても、これを現地にどのように建設するのか、これは難題です、言い換えれば有事の際に普天間基地の代替野戦飛行場を72時間で空き地に造成するような、そんな規模の資材群なのですが技術的に現地へ船便で海上輸送できたとして、誰が組み立てるのか、と問題が生じます。自衛隊が組み立てるとはしたが。
衛生自衛隊という発想は、衛生要員だけで一万名単位の予備役を集めるという安易な発想ではなく、現地へ医療基盤を構築するというものですので、戦域単位での野戦病院とその運用に直結する野戦飛行場の構築も含めて医療基盤を構築する、という提案です。要するに安易に方面隊の施設団や航空家遺体の方面施設隊に頼らない体制を構築するということ。
これは有事の際に当然、陸海空自衛隊の任務にも資する施設造成の支援にも応用できる装備体系を構成することが理想といえましょう。機動運用部隊への統合が必要だ、とは2020年新年防衛論集において幾度か指摘した内容ですが、具体的にはその手法として人員を大幅に縮小してでも有事の際に総員を第一線に集結できる基盤が必要だ、と提案しました。
機動運用部隊重点、その上で人員の大幅な整理を強行してでも装甲戦闘車や装甲車両の増強が不可欠、との視点を提示しましたが、たとえば、ここで削減される要員を建設工兵に転換して、衛生自衛隊の施設要員として充てる選択肢もあるでしょう。衛生設備を万全の体制としていても、有事の際に必要な地域へ展開できないのでは、全く意味がありません。
施設隊、この為の要員を含めて衛生自衛隊、という概念です。単純に衛生要員を集約運用するだけならば新しい組織を創設する必要がありません。施設面では、特にD-MATのような災害医療の枠組みでは携行できる医療器材だけで対処する必要があります、D-MATには当たり前ですが医療鞄を携行することはあってもそれ以上の準備には限界があるのです。
総合病院を携行、いや移動することはD-MATの運用には考えていないのですよね。自衛隊でさえも野戦病院は武力攻撃事態法制定前には病院法の問題がありました、いや、野外衛生システムも法的には移動式の手術教材という位置づけであった、とはとある後方支援連隊衛生隊の方のおはなしでして、有事法制整備前、法的に難しい位置づけではありました。
D-MAT末端医療を担う第一線の医師では、ここに12時間以内に病院を建てよう、手続きをお願いします、とは不可能なのですよね。この点で衛生自衛隊という枠組みを構築し、平時から有事法制の一環として野戦病院の手続きを厚生労働省の所管分野通じ行う、D-MATの機構は文字通り即応部隊として維持し、野戦病院開設後は協力関係をすすめる。
衛生自衛隊として医官を即応予備自衛官として大量養成し、平時には通常の医師として病院に勤務し災害時には衛生自衛隊が現役要員を中心に野戦病院を開設する最中には初動を担うD-MATとして応急診療に、野戦病院完成後は即応予備自衛官の医官として招集し高度災害医療を行う、こうしたD-MATと野戦病院の相互補完関係が理想といえるでしょう。
もちろん、医療行政の観点から、即座に病院を開設するなど、不可能であると厚生労働省が応じない際には厚生労働省が医師から移動病院まで整備させ、お前がやれ俺が使う方式で整備させる、施策が望ましいように思います。なにしろ平時に災害時の負傷者を想定した病院は不可能という前提。厚労省が応じない場合は、彼らにお願いするほかありません。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
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(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
中国新型コロナウィルスの感染拡大を視ますと改めてこの衛生自衛隊というもののの必要性を巨大地震以外にも感じる昨今です。
衛生自衛隊という提案、これは昨年の東日本大震災に際して検討した神戸戦略防災基地とハーベストホーク、アメリカ空軍の戦時備蓄を念頭にさらに発展させた有事への備えです。ハーベストホークは有事の際に全く基地施設のない地域へ空軍部隊を展開させるために、包括した戦争準備であり、同盟国基地提供が望めない状況で活用される戦略備蓄です。
ハーベストホークには、移動式管制塔や滑走路用金属マットはもちろん、移動式格納庫に移動式シェルターとプレハブ隊舎や補給コンテナと燃料タンク、支援車両の事前備蓄が含まれる。2019年の論点ではこうしたものの戦略備蓄を神戸港に行う、在日米軍の横浜ノースドックのような即応備蓄群の緊急展開準備が必要ではないか、という提案をしました。
神戸の巨大港湾であり阪神大震災被災地跡地にこうした移動式の航空基地を備蓄し、南海トラフ巨大地震はもちろん、自衛隊を大規模に海外へ派遣する必要が生じた際にも現地に巨大な航空基地を迅速に構成する、という視点です。シービーズ海軍建設隊、実はハーベストホークの提案は問題がありまして、移動式の航空基地を準備するとしましても問題が。
神戸国家防災基地にこうしたものを備蓄としましても、これを現地にどのように建設するのか、これは難題です、言い換えれば有事の際に普天間基地の代替野戦飛行場を72時間で空き地に造成するような、そんな規模の資材群なのですが技術的に現地へ船便で海上輸送できたとして、誰が組み立てるのか、と問題が生じます。自衛隊が組み立てるとはしたが。
衛生自衛隊という発想は、衛生要員だけで一万名単位の予備役を集めるという安易な発想ではなく、現地へ医療基盤を構築するというものですので、戦域単位での野戦病院とその運用に直結する野戦飛行場の構築も含めて医療基盤を構築する、という提案です。要するに安易に方面隊の施設団や航空家遺体の方面施設隊に頼らない体制を構築するということ。
これは有事の際に当然、陸海空自衛隊の任務にも資する施設造成の支援にも応用できる装備体系を構成することが理想といえましょう。機動運用部隊への統合が必要だ、とは2020年新年防衛論集において幾度か指摘した内容ですが、具体的にはその手法として人員を大幅に縮小してでも有事の際に総員を第一線に集結できる基盤が必要だ、と提案しました。
機動運用部隊重点、その上で人員の大幅な整理を強行してでも装甲戦闘車や装甲車両の増強が不可欠、との視点を提示しましたが、たとえば、ここで削減される要員を建設工兵に転換して、衛生自衛隊の施設要員として充てる選択肢もあるでしょう。衛生設備を万全の体制としていても、有事の際に必要な地域へ展開できないのでは、全く意味がありません。
施設隊、この為の要員を含めて衛生自衛隊、という概念です。単純に衛生要員を集約運用するだけならば新しい組織を創設する必要がありません。施設面では、特にD-MATのような災害医療の枠組みでは携行できる医療器材だけで対処する必要があります、D-MATには当たり前ですが医療鞄を携行することはあってもそれ以上の準備には限界があるのです。
総合病院を携行、いや移動することはD-MATの運用には考えていないのですよね。自衛隊でさえも野戦病院は武力攻撃事態法制定前には病院法の問題がありました、いや、野外衛生システムも法的には移動式の手術教材という位置づけであった、とはとある後方支援連隊衛生隊の方のおはなしでして、有事法制整備前、法的に難しい位置づけではありました。
D-MAT末端医療を担う第一線の医師では、ここに12時間以内に病院を建てよう、手続きをお願いします、とは不可能なのですよね。この点で衛生自衛隊という枠組みを構築し、平時から有事法制の一環として野戦病院の手続きを厚生労働省の所管分野通じ行う、D-MATの機構は文字通り即応部隊として維持し、野戦病院開設後は協力関係をすすめる。
衛生自衛隊として医官を即応予備自衛官として大量養成し、平時には通常の医師として病院に勤務し災害時には衛生自衛隊が現役要員を中心に野戦病院を開設する最中には初動を担うD-MATとして応急診療に、野戦病院完成後は即応予備自衛官の医官として招集し高度災害医療を行う、こうしたD-MATと野戦病院の相互補完関係が理想といえるでしょう。
もちろん、医療行政の観点から、即座に病院を開設するなど、不可能であると厚生労働省が応じない際には厚生労働省が医師から移動病院まで整備させ、お前がやれ俺が使う方式で整備させる、施策が望ましいように思います。なにしろ平時に災害時の負傷者を想定した病院は不可能という前提。厚労省が応じない場合は、彼らにお願いするほかありません。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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