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北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

東日本大震災 侵攻能力への議論禁忌が左右した即応復旧能力

2011-04-14 23:47:15 | 防衛・安全保障

■日米間の究極的な自己完結能力格差

写真記事以外東日本大震災に関連する記事が続いておりますが、どうかご了承のほどを、お付き合いいただければ幸いです。

Img_3194 日本沈没、映画の方で山本総理の台詞としてあった言葉。東京は地震で全滅する、そういうキチガイのようになって誰か喚きたてるものがいれば、票にはならないが、どの党であっても何らかの重点対策を採っていたはずだ、それができていれば、こんなに大勢の人が死ぬことはなかった。この記事、270km/hの新幹線車内で書いていますのでうろ覚えですが、概ね上記の通りの台詞でした、今回もかなり当てはまるのですよね、重点対策を行っていればなんとかなったものが。実際問題、自衛隊が禁忌、としていた任務や装備体系に思い切って踏み出していれば、何とかなった分野もあります、これは防衛省自衛隊の責任ではなく、防衛政策を画定する政府の責任、加えれば防衛政策に関与する野党にも重大な責任があるのですが、やっていればよかったいくつかの禁忌があります。

Img_9351 それは侵攻作戦。今回、津波により機能喪失した仙台空港と松島基地、その復旧には米軍部隊に頼るところが大でした。航空自衛隊は航空攻撃により機能喪失した飛行場を修復する訓練は実施していて、疑似爆弾により想定滑走路を実際に破壊して、それを修復する訓練は年に何度もやっています。海上自衛隊にも機動施設隊というのが八戸航空基地にあります。ただし、能力は想定されている基地機能回復、しかし今回は被害の大きさが違った。航空基地が受けたダメージが、有事の際であれば放棄されるような被害だったわけです。まず、基地所在の部隊では復旧は不可能だったのですが、機動施設隊にしても海上自衛隊には輸送機といえばYS-11くらいしかありませんので輸送力が足りない、道路は完全に寸断されていて陸路でも近づけない、海上から近づいても上陸後の障害除去さえ難しい、そんな状況。

Img_8159 こうした状況下で米軍はなぜ、基地機能回復という任務ができたか、それは米軍が侵攻作戦に際して航空基地を占領し、奪取するという運用を想定しているからです。パナマ侵攻やアフガニスタン空爆、イラク戦争では飛行場の占領と米軍の拠点基地化、という一連の行動を行っています。だからこそ、可能だったのですね。今回まず最初に着陸したのはMC-130特殊戦輸送機、一応航空自衛隊のC-130H輸送機と同系統機になりますが、このC-130Hに輸送できる機材により最初に滑走路を確保し、続いてC-17輸送機により大型施設機材、大型ブルドーザーなどですがこれを搬入した。ところが航空自衛隊には、恐らく輸送機により迅速に大量の施設機材を搬入する、という運用体形がないのではないかな、と。あった場合は申し訳ありません、謝ります、そして問いますけれどもね、今回どうしていたのか、と。

Img_4575 日本での運用を考えるのですから、自衛隊は日本国内において米軍とは当然ながらけた違いの拠点を持っています、そこで例えばCH-47輸送ヘリコプターで空輸可能な施設機材により飛行場を再整備する運用体系があっていいともおもったのですがね、それ日本有事では航空基地を位置から再生しなければならないほどに航空優勢を確保できるか不透明、ともいうような状況、実際に合理的なのか、と問われるでしょう。そういう状況で復旧を行う、というのは非常に危険を伴うわけですからね、合理性から離れて軍事機構、というものは存続することはできません。

Img_2853 答えは非常に明快、国際平和維持活動などでソマリアPKOとして知られるあのUNOSOM-2のような強制執行型PKOを想定して、飛行場などを急速に確保する必要性が生じることを想定。もしくは、日本が将来自衛権の発動に際して必要とされる場合に備えて、と分かりやすくいってしまっても良いかもしれません。国内の災害時に応用する場合は、CH-47による陸上基地からの滑走路暫定復旧部隊の投入、続いてC-2輸送機による大型施設機材の搬入、最後に航空管制部隊をE-767と協同で実施、今回E-767はそういう任務でもでているようなのですが。他方有事の際には陸上基地ではなく海上の輸送艦から展開ということに。何処へかは禁則事項。

Img_45731 ここまで大きな津波を想定すると、危険な基地はいくつでもあります。早期警戒管制機が配備されているあの基地は10km内陸ですが、行程差はあまりなく、海上自衛隊の航空基地でも崖で隔てられている沿岸の基地は除いても旧海軍の飛行場、とくに水上機を運用していた基地、日本海側の戦闘機基地はかなり沿岸にありますし、九州には防波堤が撮影ポイントとして有名な基地も。そういう意味で津波に脆弱な基地はあるわけですから、自衛隊の戦闘組織としての本質を見失わない範囲内でこうした基地の将来くるだろう次の地震に備える、とすれば飛行場奪取さえも見据えた侵攻能力の確保、ということも選択肢にあげられてはどうでしょうかね。

Img_8408 自己完結の任務、これだけは民間に任せられないのです。建設関係の人とかなり面識ができましたが、聞いてみても、施設に関しては架橋一つとっても自衛隊のようか架橋能力は無理、とのこと。淀川や木曽川規模の川に一晩で架橋する、という発想は民間にはないと断言されました。92式浮橋のようなものを使えば可能なのですが、民間ではあれは橋の定義に入らない、しかし、明日までに川を渡る必然性を突きつけられると民間の資材ではできない、それは民生の本質が戦闘ではないから戦闘組織に必要な自己完結と迅速性を求められないからです。空港復旧も同様、まず道路さえ途絶したところですと車両が運び込めない、この時点で民間では不可能です。民間軍事会社でも創設すれば可能かもしれませんが、装備は自衛隊と大体同じものになるから効率性は悪いでしょう、結局、こうしたことをできるのは軍隊、つまり日本では軍事機構としての編成を持っている自衛隊だけ。

Img_9430_1 侵攻作戦、この言葉は専守防衛という言葉になれているとどうしても違和感を感じる言葉かもしれません、これまで避けてきていますからね。しかし、専守防衛を貫く、ということはまあ、国連憲章二条四項で武力行使禁止原則があって、これは国際司法裁判所でも強行規範だ、と80年代に判例があるのですから、間違ってはいない。しかし、平和への脅威に対する国連がとるべき措置として想定されているのですし、日本は加盟国。義務ではないのですが、行う可能性はある訳なのですよ。まあ、そうすると憲法論と政治の問題とが重なって話がややこしくなるのでここでは詳しくは述べませんが、侵攻を想定した装備体系、というのは究極の自己完結を求められているのでして、そうしたものが自衛隊にあった場合、地域の復旧に不可欠な基地機能の復旧、これがもっと迅速に行えたのではないかな、と思う次第。禁忌を越える、これが有事への備えの本質だとおもうのですが、それができていれば、東京からの帰路、そんなことを考えてしまいました。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文および写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (8)
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東北地方太平洋沖地震・福島第一原発事故 防衛省発表・NHK報道 2010年4月14日

2011-04-14 23:35:15 | 防災・災害派遣

■防衛省発表

平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震に対する自衛隊の活動状況(08時00分現在)
平成23年4月14日
防衛省

※数値等は速報値であり、今後変わることがある。
※下線部は、前回からの変更箇所

1 災害派遣要請元及び要請日時岩手県知事 3月11日14時52分 宮城県知事 3月11日15時02分
茨城県知事 3月11日16時20分 福島県知事 3月11日16時47分
青森県知事 3月11日16時54分 北海道知事 3月11日18時50分
千葉県知事 3月12日01時00分

2 防衛省・自衛隊の対応(1) 派遣規模
人 員 : 約106,350名
(陸災部隊:約70,000名、海災部隊:約14,300名、空災部隊:約21,600名、原子力災派部隊:約450名)
航空機 : 480機
(回転翼194機、固定翼286機)
艦 船 : 49隻  が活動中
※3月14日、東北方面総監を指揮官とする統合任務部隊を編成

(2) 主な対応状況
ア 大規模震災災害派遣

(ア)関係命令
 3月11日14時50分 防衛省災害対策本部設置(本部長:防衛大臣)
 3月11日18時00分 大規模震災災害派遣命令
 3月16日11時58分 予備自衛官及び即応予備自衛官の災害等招集命令
 3月17日22時00分 大規模震災災害派遣命令の一部変更命令

(イ)活動内容
 航空機による情報収集、被災者の救助(19,247名)、人員及び物資輸送、給食支援、給水支援、入浴支援、医療支援、道路啓開、瓦礫除去、ヘリコプター映像伝送による官邸及び報道機関等への情報提供、自衛隊施設(防衛大学校)における避難民受け入れ、慰問演奏

イ 原子力災害派遣

(ア)関係命令
 3月11日19時30分 原子力災害派遣命令(12日09時20分廃止)
 3月12日09時20分 原子力災害派遣命令
 3月17日03時00分 原子力災害派遣命令の一部変更命令
 3月19日01時00分 原子力災害派遣命令の一部変更命令

(イ)活動内容
 避難支援、給水支援、人員及び物資輸送、原子炉冷却のための放水、モニタリング支援、ヘリコプター映像伝送による官邸及び報道機関等への情報提供、上空からの撮像、集じん飛行支援

ウ 現地調査団等の輸送支援

 ・ 政府調査団(第1陣:宮城県)の現地派遣
 ・ 経済産業副大臣及び原子力安全・保安院職員等の現地派遣
 ・ 総理大臣の現地視察(福島第1原発及び宮城県被災地上空等)
 ・ 政府調査団(第2陣:岩手県及び福島県)の現地派遣
 ・ DMAT(災害派遣医療チーム)の輸送支援
 ・ 防衛大臣現地視察(統合任務部隊編成)
 ・ 防災担当大臣現地視察
 ・ 防衛大臣現地視察(原子力災害派遣部隊現地調整所)
 ・ 防衛大臣現地視察(海災任務部隊、被災地、松島航空基地)
 ・ 総理大臣の現地視察(宮城県石巻市、東北方面総監部、松島航空基地)

エ その他

 3月18日(金)東北地方太平洋沖地震による被災地域において、自衛隊の部隊が実施する救援活動等に係る予備費の使用を閣議決定(約54億円)

(3) 自衛隊の活動
○陸自

(4月13日)

06時00分 第13旅団 相馬市において給食支援開始

06時53分 第10師団 山元町、亘理町において捜索開始

07時00分 第2施設団 女川町鮎川浜、鷲神・小乗浜地区において捜索開始

08時00分 第1特科団 気仙沼市地区において瓦礫除去開始

08時00分 北部方面施設隊 気仙沼市、南三陸町において捜索開始

08時05分 第13旅団 大戸浜、田中、天竺原において捜索開始

09時00分 第13旅団 相馬市において道路啓開作業開始

10時38分 東部方面航空隊UH-1×1機 余震の状況偵察のため立川離陸

○海自

(4月13日)

08時23分 第2航空群固定翼機、被災地周辺における捜索救難飛行実施

08時49分 第25航空隊回転翼機、被災地周辺における捜索救難飛行実施

08時58分 第73航空群回転翼機、被災地周辺における捜索救難飛行実施

10時02分 「くらま」搭載回転翼機、寒風沢島の被災者に対し、支援物資を輸送

10時16分 第73航空隊回転翼機、余震の状況偵察のため館山離陸

10時20分 第2航空群固定翼機、余震の状況偵察のため八戸離陸

10時23分 「くらま」搭載回転翼機、柱島の被災者に対し、支援物資を輸送

10時24分 「しもきた」気仙沼大島の被災者に対し、入浴支援103名実施

10時48分 「くらま」搭載回転翼機、野々島の被災者に対し、支援物資を輸送

13時17分 「くらま」搭載回転翼機、寒風沢島の被災者に対し、支援物資(ガソリン)を輸送

13時42分 「くらま」搭載回転翼機、柱島の被災者に対し、支援物資(ガソリン)を輸送

15時45分 「しもきた」、大島の被災者に対し、救援物資(缶飯、水)を輸送

16時30分 横須賀警備隊、宮城県石巻市中央市営駐車場にて被災者220名に対し、入浴・シャワー支援実施

16時30分 機動施設隊、八戸市内道路の災害ゴミ処分支援を実施

18時00分 第2航空群、八戸地区被災者に対し、受け入れ支援61名、入浴支援18名、診療支援2名、メンタルヘルスケア12名実施、住民輸送支援延べ2台

○空自

(4月13日)

06時48分 北空派遣隊(山田)が給水支援開始

06時50分 松島基地が捜索開始

07時00分 松島基地が給水支援開始

07時27分 北空派遣隊(山田)が整地作業開始

07時32分 松島基地が民生支援(校庭泥撤去)開始

07時45分 北空派遣隊(山田)が給食支援開始

07時47分 北空派遣隊(山田)が物資輸送開始

08時05分 北空派遣隊(山田)が捜索救護開始

08時05分 松島救難隊U-125A×1機・UH-60J×1機 牡鹿半島西側において捜索開始(12時03分 松島着陸)

08時50分 北空派遣隊(山田)が巡回診療出発

10時13分 第1輸送航空隊C-130H 救援物資(パン)輸送のため名古屋から松島まで空輸

10時22分 百里救難隊UH-60J×1機 余震の状況偵察のため百里離陸(11時17分 百里着陸)

11時13分 入間ヘリCH-47 救援物資(おにぎり等)を石巻総合グラウンドから清崎運動公園まで空輸

11時42分 第3輸送航空隊C-1 救援物資(カップ麺等)を福岡から松島まで空輸

12時55分 松島救難隊U-125A×1機・UH-60J×1機 牡鹿半島西側及び南側において捜索開始(17時00分 松島着陸)

15時17分 第1輸送航空隊C-130H 救援物資(パン)を名古屋から松島まで空輸

○原子力災害派遣による活動

(4月13日)

08時27分 偵察航空隊RF-4×1機 原発の航空偵察(写真撮影)のため百里を離陸(09時03分 百里着陸)
報道資料
記者会見
お知らせ
参考資料:報告書等
参考資料:人事発令
参考資料:叙勲者等受章者
外国要人往来

■NHK報道
4月13日の情報
4号機“燃料破損も大部分は健全”
東京電力福島第一原子力発電所の事故で、4号機の使用済み燃料プールの水から、通常の燃料プールの濃度よりも高い放射性物質が検出されました。
東京電力は、「今回の値からみると燃料の一部は破損しているものの、大部分は健全だとみられる」という見方を示しました。
福島第一原発の4号機の使用済み燃料プールについては、12日、特殊車両のアームを使ってプールの水温を調べた結果、およそ90度と、通常より50度以上も高くなっていることが分かりました。
このため東京電力は、燃料を冷却するための放水を行うとともに、プールに保管されている核燃料が損傷していないか調べるため、水の分析を進めていました。
その結果、いずれも1cc当たりで、▽放射性のヨウ素131が220ベクレル、▽放射性のセシウム134が88ベクレル、▽放射性のセシウム137が93ベクレルと、核分裂によって生成される放射性物質が検出されたということです。
これについて東京電力は、「通常の使用済み燃料プールでは、ヨウ素131などはほとんど検出されないため、一部の燃料は破損しているとみられるが、今回の値からみると、大部分の燃料は健全だと思われ、さらに詳細に検討したい」と話しています。
4号機の燃料プールでは、12日に水面の上で測った放射線量が1時間当たり84ミリシーベルトという高い値を計測しており、東京電力は、今回検出されたプールの放射性物質の濃度との関係や、ほかに放射線量を引き上げる要因がないかどうか調べることにしています。

4月13日 20:50更新

▲ページトップへ.2号機 汚染水移送ほぼ終わる
東京電力福島第一原子力発電所では、2号機のトレンチと呼ばれるトンネル内の汚染水およそ700トンを復水器に移送する作業がほぼ終わったほか、海中での放射性物質の拡散を防ぐために金属板や特殊なフェンスなどを設置する作業も行われました。
福島第一原発では、2号機のトレンチにたまった高濃度の放射性物質に汚染された水の移送作業が、相次ぐ地震でたびたび中断を余儀なくされていましたが、12日午後7時半すぎから復水器に移送する作業が始まりました。
東京電力は予定していた700トンの汚染水の移送を13日午後5時ごろまでにほぼ終えたということで、14日、さらに移送を行うかどうか検討しているとしています。
移送を終えた時点でのトレンチの水位は、作業前よりも8センチ低下して、地面より99センチ低い状態になり、タービン建屋の地下にある汚染水の水位もほぼ同じ程度下がったということです。
また、タービン建屋地下の汚染水の移送先となる「集中廃棄物処理施設」では、水漏れが起きないかの確認が続けられ、東京電力は、汚染水を除去することで原子炉の冷却機能の回復に向けた作業を進めたいとしています。
一方、福島第一原発の沖合では、30キロの海域で、11日に行われた文部科学省の調査で、国の基準の2.2倍と、これまでの最高値に当たる放射性のヨウ素131が検出されたほか、15キロの海域でも、11日の東京電力の調査で国の基準の23倍と、やはりこれまでの最高値に当たるヨウ素131が検出され、海中での放射性物質の拡散を食い止めることが課題となっています。
こうしたなか、2号機の取水口付近では、汚染水の流出を防ぐための「止水板」と呼ばれる金属の板を設置する作業が行われたほか、3号機と4号機の取水口の付近では「シルトフェンス」と呼ばれる特殊なフェンスの取り付けが行われました。
止水板、シルトフェンスともに、設置は3か所目となり、東京電力は、止水板については14日以降、さらに4か所で、またシルトフェンスについては、あと3か所に設置することにしています。

4月13日 20:50更新

▲ページトップへ.東電社長 賠償金の仮払い検討
東京電力の清水正孝社長は13日、記者会見を行い、福島第一原子力発電所の事故の評価が最悪の「レベル7」に引き上げられたことについて陳謝するとともに、周辺地域の住民などに対する賠償金の仮払いを検討していることを明らかにしました。
この中で清水社長は、福島第一原子力発電所の事故の評価が、12日に「レベル5」から最悪の「レベル7」に引き上げられたことについて、「国内はもとより、世界各国に対してご心配をおかけし、深くおわび申し上げたい。大変重く受け止めている」と述べ、陳謝しました。
そのうえで、原発の周辺地域の住民などに対する賠償について、清水社長は「国と協議しながら、原子力損害賠償制度に基づいて誠意をもって対応させてもらうよう準備を進めている。賠償金の仮払いも検討している」と述べ、賠償金の仮払いを一日でも早く実施したい考えを明らかにしました。
さらに、原発の事故の収束に向けた工程表の策定について、清水社長は「菅総理大臣の指示は十分に承知し、現在詰めている段階だ。一日も早く対応策を示したい」と述べるとともに、福島第一原発の1号機から4号機については廃炉にせざるをえないという認識を重ねて示しました。
一方で、新潟県の柏崎刈羽原子力発電所で運転を止めている2号機から4号機のうち、3号機について、清水社長は「運転再開に向けて耐震補強工事を進めている。具体的な時期については明示できないが、3号機はできれば早いうち、年内のうちに了解を頂きたい」と述べ、年内の運転再開を目指したいという考えを示しました。
さらに、東京電力が進めてきた原子力発電所のベトナムなど新興国への海外展開について、清水社長は「経営資源は原発事故の収束など、国内に傾けるべきだ。経営計画のビジョンとして掲げている海外展開は見直さざるをえない」と述べました。
また、清水社長は、今回の原発事故の責任をとって、日本経団連の副会長と電力会社で作る業界団体、電事連=電気事業連合会の会長を辞任する考えを明らかにする一方で、東京電力の社長については、「最大の責務は、原発事故の収束に最大限取り組むことだ」として、当面、社長にとどまる考えを示しました。
そのうえで、清水社長は、今回の原発事故を受けて会社の役員や管理職の報酬を削減する方針を明らかにしました。

4月13日 18:30更新

▲ページトップへ.2号機のトレンチ 水位が低下
東京電力福島第一原子力発電所では、2号機のトレンチと呼ばれるトンネル内の汚染水の移送が始まったことで、13日朝にかけて水位が4センチ下がったことが分かり、東京電力は、タービン建屋の地下にたまっている水についても、移送に向けた作業を進めています。
福島第一原発では、2号機のトレンチにたまった高濃度の放射性物質に汚染された水の移送作業が、相次ぐ地震でたびたび中断を余儀なくされていましたが、12日午後7時半すぎから、復水器に移送する作業が始まりました。
東京電力は、移送はおよそ40時間で700トンに上るという見通しを示していて、13日朝までに、このうち250トン程度の移送を終えたとしています。
移送によって、トレンチの水位は午前7時の時点で作業前よりも4センチ低下して、地面よりも95センチ低い状態になったということです。
一連の作業の目的は、2号機のタービン建屋の地下にたまった汚染水を取り除いて、原子炉の冷却機能の回復に向けた作業を進めることにあり、東京電力は、移送先となる「集中廃棄物処理施設」で防水性の確認を行うなど、移送に向けた作業を進めています。
一方、4号機の使用済み燃料プールでは、12日、特殊なポンプ車のアームを使って調べた結果、水面の上の放射線量が1時間当たり84ミリシーベルトに達し、水温はおよそ90度と通常より高かったことから、東京電力は、燃料を冷却するため、13日午前0時半から7時前にかけて195トンの水を放水したということです。
東京電力は、燃料の一部が損傷しているおそれもあるとして、プールの水に含まれる放射性物質の種類や濃度などの調査を進め、燃料の状況を把握したいとしています。

4月13日 11:40更新

▲ページトップへ.福島第一原発 汚染水の除去急ぐ
東京電力・福島第一原子力発電所で高い濃度の放射性物質に汚染されたまっている大量の水について、東京電力は12日までの地震で難航していた2号機の「トレンチ」と呼ばれるトンネル内の水を移し替える作業を12日夜から始めました。
今後、タービン建屋の地下にたまった水も移し替えるなどして、原子炉の冷却機能回復に向けて水の除去を急ぎたいとしています。
福島第一原発では、1号機から3号機のトレンチやタービン建屋の地下に高い濃度の放射性物質で汚染された大量の水がたまっていて、こうした水の除去が原子炉の冷却機能回復に向けた課題となっています。
除去に向けた作業は11日と12日に相次いだ地震の影響で中断され、難航していましたが、東京電力は、12日午後7時半すぎから2号機のトレンチの水を復水器に移し替える作業を始めました。
東京電力は、6000トンとみられる水のうち700トンをポンプでおよそ40時間かけて移し替えることにしていて、早ければ14日昼ごろには終えたいとしています。
それに続き、2号機のタービン建屋の地下にたまっている水についても復水器のほか濃度が比較的低い汚染水を抜いた「集中廃棄物処理施設」に移し替えるなどして汚染された水の除去を急ぎたいとしています。
また、1号機では水素爆発を避けるため原子炉の格納容器に窒素ガスが注入されていますが、容器内の圧力が上昇しておらず、東京電力は気体が外に漏れているおそれもあるとみて、周辺の放射線量を監視しながら慎重に作業を続けるとともに、2号機と3号機についてもガスの注入に向けた準備を進めることにしています。
一方、東京電力は12日、4号機の使用済み燃料プールから特殊なポンプ車のアームを使って水を採取しましたが、付近の放射線量は1時間当たり84ミリシーベルトで、水温はおよそ90度と通常より高かったということです。
このためポンプ車を使ってプールが満水になるまで放水するとともに、採取した水の分析を進め、使用済み燃料の状態を確かめることにしています。

4月13日 4:40更新

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