◆不安定の弧に広がる波紋、そこには邦人も
北アフリカ民主化動乱、中東にも波及していましてチュニジアやエジプトでの指導者失脚に続きリビアでは政治犯釈放直後に民主化デモが発生、暴動に展開しています。
アメリカは北アフリカから中東、中央アジアと日本列島南方にかけて“不安定の弧”として注意を要するとしたことがありましたが、現実に不安定となっています。リビアでは政府側がデモに対して機関銃などを以て発砲し、かなりの犠牲者が出ているようで外務省によれば現時点ではリビア在留邦人の安全は確認している、と発表しているのですが、この情勢は沈静化の見通しが立っていません。邦人救出、特に空港が麻痺した状態ではチャーター機の運行は部分的に可能なのか、空港までどう邦人を誘導するのか、自衛隊機の派遣の可能性など、考える必要はあるのではないでしょうか。
日本の場合、現在は内閣支持率の急激な低下と新年度予算の参院通過が絶望的な状況にあって衆院での再可決が困難となっている状況なのですが、こうしたなかで北アフリカや中東で危険に曝されている、曝されつつある邦人の安否というのは配慮されているのかな、と心配になる訳です。なんといいますか、尖閣での巡視船への中国漁船衝突事案では首相が総裁選で手一杯であったため充分な対応が出来なかった、と国会答弁で述べているのですよね。そういう条件は揃っているのでして、しかし今度だけは、今後も政権を維持したいのでしたら以降もですが、なんとか在留邦人の安全確保について考えてほしいな、と。
ジブチへの輸送機の訓練名目の集中というかたちの前方展開でも、自衛隊を正面に出したくないのであれば地中海での客船のチャーターの長期契約でも良いのですが、なにか準備、せめて心構えだけでも欲しいのですけれども、首相の記者会見などをみても、北アフリカでの一連の危機に関する言及が見られない、タフなところを見せるための一過性の思い付きでは無く国民の生命財産について責任を負う地位にある政治家として責任は果たしてほしいのですが、考えているのでしょうか。政争の具や次の総選挙の話では無く、刻々と変化している危機への対応。
いや実は既にチャーター機が確保されているとか、万一の際に備えて民間保安会社と契約があるとか、実は邦人の安全確保に関しては万全の配慮があるのだけれども、当方が情報弱者であり知らないだけ、というのは一番理想的なのですが、民主化動乱は中国でもその様相を呈しているという現状、アメリカが示した“不安定の弧”全体にこの危機が波及しつつあるという状況なのですが、CNNやABC等などBS-1での放送を見れば向こうの政治家は繰り返し対応や姿勢などを示しているにもかかわらず、・・・、邦人がいる、ということだけはせめて為政者の矜持として忘れずにお願いします。
HARUNA