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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

平等院鳳凰堂 梅雨の晴れ間に京都宇治の世界文化遺産

2009-06-14 22:32:10 | 写真

◆蓮花咲く平等院

 京都もいよいよ梅雨入りの季節。雨に煙る古都も風情があるのだが、やはり写真は晴れていた方がいい。そんな中、平成の大修理も終わったということで、久しぶりに宇治の平等院へ足を運んでみた。

Img_7338  平等院が建立された1052年は、仏教が興ってから釈迦の入滅より2000年を経て、仏教の教えが廃れ、天災や病厄により世界は破滅に向かう、と考えられていた時期にあたる。この末法思想を背景として、信仰を改めて広めるべく、平等院は建立された。気候変動や新型インフルエンザ、なんとなく現代にも当てはまるのかもしれないと、ふと頭に浮かんだ。

Img_7326_2  宇治駅まではJR奈良線で、221系の快速で行く予定だったのだが、普通電車の方が早く着くとのことだったので103系の普通電車に揺られていった。それでも鋼製の頑丈な箱型で奈良線を行くこと20分少々意外と近いのだ、宇治駅からは徒歩五分で参道に、参道を五分で平等院へ至る。

Img_7323  宇治では、新茶を示す季節の掲示が印象的だが、同時に修学旅行シーズンにもかかわらず、勘さんとしているのも印象的であった。平日に足を運んだのだが、地方からの観光客でもう少し賑やかでしかるべきなのだけれども、これも新型インフルエンザのえいきょうなのだろうか。お茶の店では、奈良県の中学生が店員の体験実習を行っていた。

Img_7336  平等院に到着。伝統的塗料を用いているので、服に付きます、との注意書きがあった。拝観料600円を支払い、久々の平等院だ。平等院は、拝観料が個人600円、中高生400円、小学生300円となっている。拝観時間が0830~1730(受付は1715まで)となっているが、午後からは逆光になるので、午前中の拝観がお勧めである。

Img_7339  国宝の平等院鳳凰堂。十円玉に描かれている鳳凰堂だ。前回足を運んだ際には、平成の大修理の最中にあり、この平等院鳳凰堂にも足場が組まれていた。足場に囲まれた鳳凰堂も貴重な情景であったと考えるのだが、十円玉には足場は描かれていないので、硬貨でみなれたこの情景の方がしっくりとくる。

Img_7341  鳳凰堂の中堂。中には本尊である阿弥陀如来像が安置されている。ここには、14面から成る鳳凰堂壁画として、極楽浄土への道筋が描かれている。その復元模写が博物館である鳳翔館に記されており、その様子は、エジプトの最初期の文学作品、死者の書を思わせる、いわば日本版死者の書というべき内容。

Img_7355  浄土式庭園の池には蓮の花が浮かぶ。本来ならば、この写真の背景は青空が映える美しい写真となる予定なのだが、それは梅雨の時期、悲しいかなこの日の天候は曇天で、灰色の空となってしまったのは残念。曇りならば、午前でも午後でも、露光時間と露出値を工夫すれば、なんとかなるものだ。

Img_7359  それにしても、新型インフルエンザの影響は、ここまで、というべきか、修学旅行生はひと組のみ。今回の流行禍となったH1N1型は、比較的弱毒で脅威度は中。免疫を持つ人間がいないので感染力が物凄いのだが、ここで強毒性のH5N1型が蔓延した場合の社会機能維持は、改めて考える必要があるようにも思う。

Img_7369  鳳翔館。ここに保存された美術品は、物凄い。千年前にこれだけの木造仏教美術が創り得て、しかも今日に至るもその姿を見ることが出来るのは驚きの一言に尽きる。一見の、いや、何度でも拝観する価値があるのだが、同時にこの鳳翔館は撮影禁止。ちなみにスケッチも禁止だ。足を運ぶことをお勧めしたい。感動の美術、歴史とともに歩む文化財と出逢うことができる。

Img_7396  鳳凰。フェニックス。ちなみに、鳳凰堂の上に並ぶこの鳳凰は、複製で、実物は鳳翔館に展示されている。鳳凰とは、伝説上の鳥で、瑞獣として中国の古い文献や美術などに出てくるものだ。瑞獣は、麒麟、霊亀、応龍。これは風水の玄武、蒼龍、白虎、朱雀を印象づけるものだ。京都の南にあるので、鳳凰=朱雀、なるほど、と一人納得した。

Img_7403  こうして、平等院を一回りした。鳳凰堂は、別料金で拝観することが出来るのだが、毎時あたりの拝観回数は決まっているようで、時間の関係上、残念ながら今回は拝観は割愛した。宇治市には、今回紹介したここ平等院のほか、万福寺、宇治神社、宇治上神社などの名所旧跡が点在している。

Img_7419  ここでサイレンが聞こえた。宇治川上流の天ケ瀬ダムが放流を開始するとの警告だ。天ケ瀬ダムは、高さ73㍍のアーチ式ダム。平等院から2km上流にあるダムで、宇治市の観光名所の一つとして知られている。時間があれば、放流の様子も撮影したかったのだが、今回は、急に増した水嵩をみて、その迫力を体感するに留めた。

Img_7427  天ケ瀬ダムの放流により、宇治川を流れる水量は急激に増すため、国土交通省の警戒車が巡回している。なんでも淀川水系(宇治川は淀川の一部)唯一のダムということで、貯水量も凄いとのことだ。天ケ瀬ダムには、水力発電所も併設、発電量は総出力で約60万キロワットに達するとのこと。

Img_7474  宇治へは、大阪淀屋橋や京都出町柳から、京阪本線を中書島駅で宇治線に乗り換え。京阪本線でも中書島駅は、特急停車駅で、京阪特急、旧3000系(現8000系30番台)や8000系特急、その中でも特別料金不要で利用できる二階建のダブルデッカー車にて、足を運んでみるのも面白いかもしれない。

Img_7319  JR利用の場合は、JR京都駅にて、東海道本線(琵琶湖線・京都線)や東海道新幹線から、奈良線に乗り換える。旧山手線塗装と同じウグイス色の103系が普通電車で、また、クロスシートの221系電車が快速電車として運行されている。京都駅から宇治駅まで地下鉄初乗り料金と同じくらいの値段で行くことが出来るのはうれしい。

HARUNA

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コメント (2)
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