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航空自衛隊白山分屯基地開庁35周年記念行事 ペトリオットミサイル編

2007-08-02 21:30:16 | 航空自衛隊 装備名鑑

■ミサイルサイトの記念行事

 4月23日、久居駐屯地祭のプログラム終了後、TさんとC.ジョニーさんのご厚意で同日行われていた白山分屯基地祭を見学することが出来た。同じ津市とはいえかなりの距離があり、ミサイルサイトである訳で高地に所在している。本日は、その装備品展示を紹介する。

Img_9605  高射隊のペトリオットは、車間距離を充分とれば、その車列は1kmに達するという。また、発射機やレーダーなどは車体長もかなりあるが、そういった車列が通行するにはかなり険しい道であった。いわゆる酷道(国道)、険道(県道)の類ではないとのことだが。

Img_9403_1  白山分屯基地には、岐阜県各務ヶ原市の航空自衛隊岐阜基地に司令部を置く第四高射群、その第12高射隊が展開している。高射群は、群本部、整備補給隊、指揮所運用隊と複数の高射隊より成る。高射隊は、管理小隊、射撃小隊、整備小隊より編成されている(参考資料:軍事研究384号)。

Img_9372_1  ミサイル発射機。正確にはMIM-104PAC-2システムM901四連装発射機(米軍正式名称)。高射隊には5~8機が装備されているとのことで、発射機はデータリンク装置、電源を搭載。ミサイルの射程は100kmとも160kmともいわれる。有効射高は30~30000㍍。PAC2は限定的な弾道弾対処能力を有する。

Img_9347_1  PQ-53フューズドアレイレーダー。ミサイルはプログラムにより発射後飛行し、その後地上の誘導を受けるみっどこー素段階を経て、内臓レーダーと地上データの照合を行うターミナル段階を経て、命中する。レーダーそのものは、防空網制圧攻撃に対して、囮電波やレーダー波発信制御により高い対処能力を有する。

Img_9349_1  電源車。射撃管制装置AN/MSQ-104ECSなどに電源を供給する車輌で、出力150kwのガスタービン式発電機を搭載している。トラック二輌より成り、射撃管制装置からの遠隔操作も可能である。

Img_9401_1_2  アンテナマストグループ。これら装備は走行時、全長15㍍程になる。なお、ミサイル本体は、全長5.31㍍、直径410㍉でロケットモーターはTX-486固体ロケット一段式。航空自衛隊では1985年から調達が開始され、1995年よりPAC-2への改修が行われている。

Img_9343_1  この気になる車両は寝台車。この他に、シャワーやトイレ、流し台、給湯器、冷蔵庫などを備えた自活車が配備されている。長期間の展開を想定している高射隊には、このように高度な装備が配備されている。実際、陸上自衛隊よりもこの種の装備では上回っている。

Img_9345_1  車内の様子。寝台はかなり硬く、実際には天幕の風除けに使用されたりしているとか。なお、C.ジョニー氏が気付いた事だが、鉄道の寝台車と同じメーカーにより製造されているとのこと。寝台は折畳式で、写真の右側は折畳んだ状態である。

Img_9331_1  野外炊具車。使用している釜などは、陸上自衛隊の運用する野外炊具一号と同じものだが、コンテナに装備されており、釜の数などではこちらの方が多い。災害派遣などでも重宝しそうなものだ。

 以上がペトリオットミサイルの装備品である。白山分屯基地祭の詳報も、幾度かに分けて掲載したい。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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