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陸上自衛隊下志津駐屯地創設52周年 高射学校つつじ祭 入場編

2007-08-12 17:04:44 | 陸上自衛隊 駐屯地祭

■下志津駐屯地祭2007

 四月二十九日、千葉県千葉市に所在する下志津駐屯地において駐屯地創設52周年記念行事が行われた。駐屯地祭は、“つつじ祭”とも呼ばれており、同駐屯地には陸上自衛隊高射学校が置かれている。

Img_9843_1  高射学校は、陸上自衛隊高射特科職種に関する戦術研究や新装備の評価試験を実施し、幹部自衛官への教育や、陸曹の専門教育などを行う教育訓練部隊であり、実動部隊として、また教育訓練の為の各種装備を保有している。経空脅威は、弾道弾の拡散など年々高まっており、高射学校へ寄せられた期待と責任は大きい。

Img_9671_1  つつじ祭ということで、駐屯地のいたるところにツツジが咲き誇っていた。これだけをみると、あたかも公園のような印象を受けるが、その向こうに置かれた最新鋭の03式中距離地対空誘導弾システム用レーダーが置かれているのをみると、ここが職種教育の中枢であることを強く感じることが出来よう。

Img_9760_1  93式近距離地対空誘導弾。従来使用されていた35㍉連装機関砲L-90の後継装備として1993年より配備が開始された装備。即応対処能力が高く、低空から急接近するヘリコプターなどに対して大きな威力を発揮する。

Img_9663  91式携帯地対空誘導弾を四連装コンテナ二基に収容し、複合光学照準装置により運用する為、航空攻撃に対する人員の脆弱性を補強し、脅威状況下での能力は高い。また、師団防空システムとのデータリンクにより全天候運用も可能であり、81式短距離地対空誘導弾とともに師団防空の中枢を担う装備である。

Img_9762_1  81式地対空短距離誘導弾。現在、最新型のC型が生産されている。赤外線追尾方式の射程は8km、レーダー誘導方式の射程は16km。発射機、レーダー車とともに自走化され、高い路上機動性能を有する。陸上自衛隊の野戦防空にミサイルの風を吹き込んだ装備の一つで、海上自衛隊、航空自衛隊の基地防空にも用いられている。

Img_9747_1  対空レーダー装置JTPS-P14。71式対空レーダー装置JTPS-P15の後継として開発され、1988年より配備開始、低空レーダー装置P-18とともに師団の対空情報を収集する。なお、本装置の運用には、73式大型トラックにより運用する発電装置が必要である。

Img_9696_1  改良ホークの車列。米海兵隊の教範には限定的弾道弾対処能力を有するとある。現在陸上自衛隊には改善2型と、改善3型が装備されており、改善2型を装備している部隊は、03式中距離地対空誘導弾へ更新される計画。測距レーダー、情報収集中枢、中隊統制中枢を統合したものが3型で、かなり高い信頼性を有するとのこと。

Img_9711_1  方面隊高射特科部隊の最新装備として配備が進められる03式中距離地対空誘導弾。射程は未公表であるが、文献によれば60kmとするものが多い。射撃時には、ミサイル発射筒を垂直に立ち上げる為、航空自衛隊の運用するペトリオットミサイルと異なり、全周への即応発射が可能である。

Img_9740_1  レーダー車輌。アクティヴフューズドアレイレーダーを搭載し、回転する。目標追尾能力と射撃管制能力を有し、対電子妨害能力、同時目標対処能力を有する。索敵能力や距離などでは従来の陸上自衛隊のレーダーと比して高い性能を有していることは、その車上に配置された発電機の大きさから容易に推察することができよう。

Img_9725_1  略称は、03式中SAMである。驚かされるのは、搭載車輌の巨大さで、一定以上の不整地走破能力を有し、その分操縦には一定の技量を要するという。車体は重装輪回収車などとも共通化されているが、将来的には特科火砲の輸送用、輸送車輌などにも用いられるのではないかと推測する。

Img_9700_1  0825時に駐屯地へ到着し、式典開始までの間、駐屯地内の開放地域を散策し、観閲行進にむけ待機する車輌群を撮影した。下志津駐屯地祭詳報は、この後、部隊入場、訓示、観閲行進、訓練展示、装備品展示と進んでゆくが、これらの様子は、後日幾度かに分けて掲載したい。お楽しみに。

HARUNA

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コメント (4)
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