ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『はみだし刑事情熱系 最終章』

2024-06-19 07:19:01 | 刑事ドラマ2000年~

テレビ朝日&東映の制作で1996年秋にスタートし、『はぐれ刑事純情派』と交互に放映されてた『はみだし刑事情熱系』シリーズ(毎年上半期がはぐれ刑事、下半期がはみだし刑事)もシーズン8にあたる2004年春シーズンの『〜最終章』第12話をもって完結となりました。

警視庁刑事部の通称“広域”こと広域特別捜査隊に所属する主人公=高見兵吾刑事を演じるのはもちろん、現在も『帰ってきた あぶない刑事』で変わらぬ勇姿を見せてくれてる、柴田恭兵。



“広域”を束ねる捜査課長にして兵吾の元妻=根岸玲子警視に、刑事ドラマのレギュラーは本作が唯一であろう、風吹ジュン。



広域特別捜査隊の最終メンバーは、みんなPART1からの生え抜きである西崎刑事(風間トオル)、杉浦刑事(平泉 成)、工藤刑事(志村東吾)、オペレーターの行沢巡査(加藤麻里)。



PART7からレギュラー入りした警視庁本部の戸倉警部補に『プレイガール2012』の伊藤かずえ。



杉浦刑事の愛娘=幸恵に『太陽にほえろ!2001』の大路恵美。



PART3からセミレギュラー入りして工藤刑事の妻となった、元不良少女の愛子に山口香緒里。



そしてシリーズ通してのヒロインと言える兵吾&玲子の愛娘=根岸みゆき役(PART1からPART5まで前田愛が好演!)をPART6から引き継いだのが『部長刑事シリーズ・シンマイ。』の木内晶子。



『あぶない刑事』の大ヒット以降、刑事たちの私生活はいっさい描かないのが「トレンディ」とされた中、あえてホームドラマ要素に比重を置いたのが『はぐれ刑事純情派』で、しかも主人公=安浦刑事(藤田まこと)と2人の娘たちは血が繋がってない(亡くなった妻の連れ子)というビミョーな関係が見どころの1つになってました。

で、その路線を意図的に継承したかどうかは分からないけど、本作『はみだし刑事情熱系 』の兵吾とみゆきは血の繋がった親子でありながら、みゆきが物心つく前に玲子と離婚した兵吾が姿を消した為、PART1の第1話で十数年ぶりに再会した2人は、互いが父娘であることを知らないまま“親友”関係になってしまう!という、『はぐれ〜』よりも更に捻りが入った設定。

本来なら、別れた元女房が知らない間に出世し、自分の上司となって目の前に現れた!って部分がドラマの“肝”になりそうだけど、それ以上に自分を“親友”と思ってる我が子に、兵吾がいつ「実はオレ、お父さんなんだ」「キミのママとチョメチョメしてキミが生まれたんだ」と打ち明けるのか?が最大の見どころとなり、当初はPART1の第3話あたりで告白する予定が、なんとPART4の初回まで引っ張る結果になっちゃった。



私は『はみだし刑事情熱系 』を『太陽にほえろ!』直系の熱血アクションドラマとして楽しみつつ、一方で「兵吾とみゆきの“ラブストーリー”ありきの面白さ」だとも思ってたから、みゆきが兵吾の呼び名を「兵吾くん」から「お父さん」に変えた時点でドラマが完結しちゃってるような気がして、以降はほとんど観てません。

前田愛さんの海外留学によるみゆき役の交代も痛かった。めちゃくちゃ痛かった。木内晶子さんはその重責を充分に果たされたと思うけど、前田愛さんの比類なき透明感だけは誰にも真似できない。

その穴を埋めるかのように『最終章』では兵吾と玲子の“復縁”をドラマの縦軸にしつつ、殉職刑事である玲子の父親(テキサスこと勝野洋!)のエピソードも語られ、最終的には兵吾が幼い頃に失踪した父親=甲介(中村嘉葎雄)まで登場!



つまり、自分と同じ過ちを犯した父親と向き合うことで兵吾が贖罪を果たすワケだけど、ちょっと無理くり感があるし、そんなトラウマがありながらお前はみゆきを残して去ったのか!?って、兵吾に対して疑問も沸いてきちゃう。



ダース・ベイダーよろしく息子をかばって命を落とす父親、ってなウェッティー展開も私の好みじゃない。「まだ一緒に酒も呑んでねえじゃねえかよっ!!」っていう兵吾の絶叫にはもらい泣きしたけど、それも柴田恭兵さんの熱演があればこそ。

そこよりも、すでに時効が成立してる事件の黒幕を、黙って兵吾に殴らせてやる”広域“メンバーたちの心意気にこそ私は泣きました。

当時すでに『踊る大捜査線』のリアリズムが世間に浸透してましたから、ここで殴ればただじゃ済まないことは誰もが織込み済み。それでも相棒の西崎は、止めることを止めるんでよね。



シリーズ後期は視聴率が落ちたにせよ、単発(復活)スペシャルぐらいなら恭兵さんの人気に頼って創ることも出来たろうに、そうしなかったのは「ここで高見兵吾は刑事を辞めたに違いない」っていう揺るぎない信念が、恭兵さんやスタッフ陣にあったからでしょう。……たぶん。



キーワードは「ただいま」と「お帰りなさい」。杉浦刑事や工藤刑事のファミリーも含め、これほどホームドラマにこだわった刑事物は唯一無二かも知れません。

いや、思い返せば『熱中時代 刑事編』があるし、別れた夫婦の復縁と言えば『警視ーK』もあり、その源流を辿ればやっぱり『太陽にほえろ!』に行き着くような気もします。



なんだかんだ悪口も書いたけど、刑事ドラマの歴史を語る上で『はみだし刑事情熱系』は、同じ放映枠の二大ビッグタイトル『はぐれ刑事純情派』と『相棒』の狭間に隠れて損してる感があり、本来ならもっと評価されて然るべき作品だと私は思ってます。

セクシーショットは木内晶子さんと山口香緒里さんです。



 


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2 コメント

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Unknown (ムーミン)
2024-06-19 11:07:16
あぶデカとは違った暑苦しい、やたらクサイ兵吾君は新鮮で好きでした。はぐれ刑事純情派よりはこちらの方が好みでしたね。やはり前田愛さんの存在感は大きかったです。木内晶子さんに変わって、きれいだけど違和感を拭えなかったです。また風吹ジュンさん、平泉成さん、風間トオルさん、黒谷友香さんなどレギュラー陣にも思い入れも強かったです。ただ兵吾君がみゆきちゃんに告白する回は結局あまりに引っ張りすぎて未見です。焦らし過ぎでした。みゆき役が変わってからは、見ていたと思いますが、あまり覚えていません。ハリソンさんのおっしゃるとおり、告白したシーズンで終了したほうが良かったですね。
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Unknown (harrison2018)
2024-06-19 19:11:38
実は私も、2000年代は最もテレビを観てなかった時期で、兵吾が「告白」を果たしたことも、みゆき役が木内晶子さんに代わったことも、このブログで刑事ドラマヒストリーを書くために調べるまで知りませんでした。告白の回は未だに観てません。

良くも悪くも、兵吾とみゆきの関係が面白すぎましたよね。たぶん会議室(スポンサー)連中の注文で長く引っ張らざるを得なかったんでしょう。
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