ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

『ピュア』

2021-12-06 19:37:11 | 
『ピュア』 小野美由紀 早川書房
 遠い未来、地球軌道上の人工衛星で暮らす女性たちは、国を守るために子供を産むこと、そのための妊娠を義務付けられていた。ただしそれには、地上に棲む男たちを文字通り「食べる」ことが必要とされる―そんな変わり果てた世界で「普通の」女の子として生きるユミの葛藤を描く表題作のほか、幼馴染みの性的な変身をめぐって揺れ動く青春小説「バースデー」、未曾有の実験により12人の胎児の母となった研究者のドラマ「幻胎」など、性とともに生きる人々の姿を活写する5つの物語。
 性転換した人、異星人など近未来の性愛を描く。暴力的なところがあって、私は、ちょっと苦手な本。共通するのは、生き辛さ。しかし、それをスルリと抜け出すような印象の物語。
 この中では、「バースデー」がよかった。話言葉がずらずらと並んだ文章には、驚いたが、すらりと読めた。「”女の子だから注意しましょう”って、一体なんだろうね。ひどいことする大人が悪いに決まってんじゃん。それなのに、なんで女の子が、自分たちの不注意みたいに言われなきゃいけないの?なんで、生きてくだけでこんな怖い思いをしないといけないの?」「本当にめんどいのはさ、やけに同情的な人たちなんだよ。そーゆーのはさ、こっちが相手の思った通りのかわいそうな人じゃないと途端に怒り出したりするんだよね」という言葉には共感できた。
コメント
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