カンガルー大陸をゆく!! ---福岡糸島編---

福岡・糸島に生息する研究者の日常。

Port Chalmersのtimeball復活!

2020-08-13 16:17:45 | Weblog

このブログでも過去に書いたことのあるtimeball(時報球)。

ニューカッスルの時報球
ニューカッスルの時報球2
シドニー天文台

航海中に自船の位置を知るためには天体観測と精密な時計が必要だったので、船乗りは港を出港する前に船の精密時計を合わせる作業が欠かせませんでした。時報球は船から良く見える場所にポールを立て、そこに球(または板など)を吊るします。そして正時少し前にその球を持ち上げ、正時に落とします。船乗りはそれを見て船の精密時計の秒針を合わせたのでした。

日本でも、明治37年(1904年)神戸と横浜に、明治41年(1908年)に門司港に作られました[1]。神戸の時報球があったのは現在の花隈公園の場所だそうです。今度行ってみよう…と思いつつ、まだ行ってみたことがありません。
さて、その時報球、旧大英帝国領だった場所にはたくさんあると聞いていたので、ニュージーランドにもあるだろうと思って探したら、ダニーデンのすぐそば、Port Chalmersというところにその跡地がありました。
写真は2019年2月に訪問した際のもの。帆船のマストを模したような旗竿がモニュメントとして高台に建っているだけでした。

が!そのPort Chalmersのtimeballがついに復活するというニュースがピーターから届きました[2](天文好きは暦好きや測地好きと重なるよね・・・多分)。
記事中に書いてあることですが、Port Chalmersの時報球が最初に稼働したのは1867年6月1日。1877年まで毎日時刻を知らせていました。その後11人の船長さんたちの嘆願により1882年、週一回の時報サービスが復活、1910年まで稼働したようです。

当初の予定では、最初の稼働記念日に合わせて今年の6月1日に再稼働の予定だったものが、コロナウイルス感染拡大による都市封鎖で来週になったのだそうです。再稼働後は毎日午後1時には実際にボールが落ちて時刻を知らせてくれます。
ああ、行ってみたい。そして落ちる様子をこの目で見たい!
次にニュージーランドに行けるのはいつになるかわかりませんが、時間を見つけて行くことができたら、また報告します。


参考:
[1] 井上恵子, 小室純一, 三木千紘, 若井登, '時報の元祖「報時器」', 逓信総合博物館研究紀要第4号, pp120-126, 2005年2月.
https://www.postalmuseum.jp/publication/research/docs/research_04_09.pdf

[2] MacLean, Hamish, 'Timeball set to have renaissance', Otago Daily Times, 12 Aug 2020, https://www.pressreader.com/new-zealand/otago-daily-times/20200812/281668257330023.