ブログはなやさい

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今から。

2011年11月11日 02時43分26秒 | Weblog
初老の男性が入店してきたのは

ディナータイムが始まったばかりの、

まだ夜の早い時間だった


いかにも近所にお住まいのこちらの御方は

デリを3品と生ビールを注文し

しばらくしてトマトソースのパスタを召し上がった


あまりお酒は飲めないらしく

ビール一杯が限界らしい

最近定年をむかえたサラリーマンだと勝手に思い込んでた私が

飲み会の席など苦労なさったでしょう

と問うと

いや、学生時代の方がしんどかった

体育会系で無茶に飲まされてたから

なんて返してきた


九州の大学ですか?

と尋ねたら

以外にも私と同じ大学だった


今度は彼が質問してきた


大学を出て飲食店をやっているというのは、

どういうこと?


よくある質問だ


だが少し様子が違う

相手の内側をのぞくようなイヤラシイ感じが、

全くない


直後にわかった


彼は飲食店の経営者だった

それも長年務めたサラリーマンを辞めて、

全くのゼロから始められた経営者だ


同じ大学で

同じく脱サラ

私と同じですね

そう言ってすぐ後悔した

東京にも出店してるという、全11店舗所有のオーナーに対し

『同じ』はない


今年42歳という私の年齢を聞いて

「今からですね」

と言っていただいた


この言葉には実は重みがある


彼がサラリーマンを辞め

従業員募集の張り紙がしてあった和食屋さんに出向き

修業させてくださいとお願いにあがったときの年齢は、


もうすでに44歳だったそうだ


彼が帰った後、

夕方忙しくて食べれなかった夜の賄い、

シーフードサンドを食べた

先ほどの方からいただいたビールが

グラスに3分の1残ってる

少し迷ったが、グラスいっぱいまで注ぎ足した


ガブリと食ってグビッと飲む


「今からですね」の声がふと甦る


またガブリと食ってグビッと飲む


少し若返ったような気がした