ブログはなやさい

福岡 桜坂 CAFE&DINER はなやさい
店主 大山博嗣のブログ 

… 本と映画と音楽と酒

広告

※このエリアは、60日間投稿が無い場合に表示されます。記事を投稿すると、表示されなくなります。

チャッピー

2013年01月27日 10時48分38秒 | Weblog
創業間もない頃だ


思うように売り上げれない日が続いていた

これからどうしたものか

ひとり夜中に思案していた


突然、初老の男性が訪ねてきた

高そうな皮のコートを着ている

ケバくない

かっこよかった



もう終わり?


すみません 終わりました


聞くと、彼の妹がよくこの店を使っているそうだ


久しぶりに福岡に帰った来たんで

寄ってみたんだ

また今度来るよ


妹さんがお客さんと言うなら無下にはできない


立ち話だが世間話をした

バンドマンとして日本中を回ってるそうだ

主に大物歌手のバックを務めている


ドラムらしい


誰のバックバンドか聞くと

その時々のオファーで変わるそうだ

今回も、ある大物歌手の福岡公演で招集されたらしい

名前はちょっと言えない、

すまないと言っていた


全国各地の美味い物を食べるのが楽しみだそうだ



いいですね


いや、そうでもないんだ



各地の後援会やらなんやらから

おびただしい数の差し入れがあり

関係者一同で分け合っても

大量に余るそうだ

結局廃棄することになる



もったいないですね


それじゃあ、少し分けてあげようか



彼の指示に従い、

店の住所を書いた紙と

少し色をつけた送料として

1200円だったか2000円を封筒に入れ

この小柄で初老のドラマーに渡した


明日は無理かもしれないから

明後日になるかも


そういって彼は帰っていった



世の中嫌なことばっかりじゃない



翌日は間にあわなかったようだ

そしてその次の日になった

宅急便や郵便局のトラックが近くに停車する度に

身構えた

何が届くのだろう

でも配達員は店の前を通過するばかりだった



明日かな


この時はまだ信じていた


さらにその翌日も待った

やっぱり来なかった



確信した


嵌められた



今思えば不自然なことはいっぱいある

それを見抜けない私に問題があることもわかってる

しかし見事なお手並みだと思った

話が巧い

この微妙な金額がまたいい


騙されたとわかるまでに3日かかった


詐欺というより

ショーだった


いいものを見せてもらった気分だ



それからずいぶん経ったある日

当時たまに通ってた、

エキセントリックな夫婦が営む場末のバーで

この詐欺の話をした


彼の手口や風貌を聞いたマスターが

口にした


チャッピーだ


チャッピー?


そう、チャッピーに違いない

詐欺師だ

微妙な詐欺をするやつ

最近関東あたりで捕まったそうだ


なんでそんな情報知ってるのかと不思議に思ったが

深くは聞かなかった


私を嵌めた男がチャッピーだったらいいな、

そう思った


手口と名前がぴったりだったからだ


コメント (2)

貯金

2013年01月20日 17時13分30秒 | Weblog
『ダブルフェイス』というテレビドラマを観て想い出したのは

リメイク元の『インファナル・アフェア』ではなく、

そのハリウッド版リメイク『ディパーテッド』でもなく、

同じく潜入捜査官が登場する、

『フェイク』という全く別の映画だった






実話だ


ドンパチ型のエンターテイメントではなく

どちらかというとヒューマンドラマになっていて

物語が秀逸

セクシーなジョニー・デップもよかったが

くたびれたアル・パチーノが特によかった


有名で上手い役者は

上手すぎるが故に

映画の中で浮く場合がある

役柄ではなく

本人が見え隠れする

私にはそう思えることがある


が、アル・パチーノは違った

控えめだった

上手いと思った

キャリアの貯金はいまだ増えてる



最近、こんな映画を観る機会があった







こちらも有名で上手い役者だ




貯金で喰ってるような演技だった
コメント

タクシードライバー

2013年01月20日 15時54分23秒 | Weblog
プレミアムタクシーというのがあるそうだ

料金は同じながらワンランク上のサービスを提供する

悪くない話だ

しかし、苦戦している

うまく認知されていないらしい

もう少し時間がかかるのだろうか


実を言うと、料金が同じというのが気になった

サービスを上げるなら料金も上がるはず

そこに価値がでてくる


もっと料金を高くして

もっと高級な車にして

もっと高度なサービスを施せば

ぐっと魅力も高まる

なんて、勝手なことを思ってしまった



朝方、店に向かうときだった


あるワンルームマンションの前に

安さが自慢のあるタクシーが止まっていた

ドライバーは乗車ドアのまえに立ち、

お客様を待っている


あまり楽しそうではない


小走りでやってきたのは

辛うじて成人したかと思わせるような女性だった

せっかくの個性を抹殺するかのような

派手なメイクとファッションで

朝から安いウィスキーを飲んだような気分になった

そしてドライバーは、

仕方ないといった感じでドアの開け閉めをし

女性は当然といった感じで乗車する


何かが間違ってる気がした


苦い気分でそこを通過し

店の少し手前にある、

小さな病院の前に来た


ここにもタクシーが停まっていた

やや年配のドライバーが

少し横着気味にシートに座っている


このドライバーも楽しくなさそうだ


ちょうど彼の横を通過するかしないかのときだった

突然、彼が車から飛び出した


俺?


と思って振り返ったら


違った


病院のエントランスから出てくるお婆さんを

エスコートしに走ってた


急な行動にみえたが

実はとっても自然だった


サービスってのは自然じゃないといけない




鈴木聖美に『TAXI』という歌がある


タクシーに手を上げて

ジョージの店まで

と、行先を言うそうだ

こんなざっくりした行先を言われたら

ドライバーも災難だと思う
コメント

大切なこと

2013年01月15日 15時49分50秒 | Weblog
どっかでもらってきたらしいハリセンで

いろんなところを叩いては喜んでいる

そんな息子にちょっと聞いてみた


チャンバラトリオは知っているのか?


するとやっぱり知らないという

Youtubeで探してみた

往年のコントは見つからなかったが

ハリセンパフォーマンスに少し触れた映像があった


これだ

これが本物のハリセンだ




当然ながらピンときてないようだった


うまく伝わらないことはわかっている


だが、とても大切なことなんだ



カシラが亡くなって3年ほどなる







コメント

若者よ

2013年01月13日 15時59分24秒 | Weblog
閉店間際に電話が鳴った


聞き覚えのない名だった

それは相手も承知のようで

すぐさま、

カズオ・イシグロの『私が孤児だったころ』と

近藤紘一の『目撃者』を借りている者だと

改めて名乗ってくれた


なるほど、あの方だ

そういえば名前を知らなかった

それにしても、こんな時間にどうしたのだろう



まだやってますか?


やってはいる

でも食事はおつまみ程度しか作れない

すると、飲食ではないという


イシグロの『私を離さないで』を借りたいそうだ


手元にあると告げると

10分後に伺うという


ある大学で講師をしている彼女は

今春入学する学生に

本を3冊紹介しなければならないそうだ

2冊は決まってるらしい

で、残り1冊の候補に

私が常日頃素晴らしい本だと言ってる、

『私を離さないで』がいいのではと思ったらしい


いい本ですか?


もちろんです

墓場まで持っていきたい本です


そうして嬉しそうに持って帰っていった

恐らくこの連休で読むのだろう


実は私も嬉しかった

私の気に入った本が

若い世代に紹介されるかもしれない


いつか彼らと感想を述べ合う日を夢見て

近いうちにもう一度読みなおそうかと思っている




そういえば彼女はひとつ勘違いをしている

私が彼女に貸している本は


『私が孤児だったころ』ではなく

『日の名残り』だ


もちろん、どうでもいいことだ











コメント (2)