世の中の二乗>75の二乗

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「危険この池に近づくな」

2012年05月19日 22時54分08秒 | Weblog
戌井昭人「ぴんぞろ」読んだ。
読んだ日の夜に戌井さんが泣きながら手足をぱたんぱたんと折り曲げて座布団みたいになっちゃった夢を見たからか、
この本を読んだからそんな夢を見たのかわからないけど、
色気、というものを感じるようになった。
むふんあはんのそれではなくて、
眉にしわ寄せながら寡黙に煙草吸う男の人の色気。
ダンディなわけではない。
定職ないし、博打やるし、何ができるわけでもない。
なんだろうね、この色気は。
近づくな危険、に近い。
たぶん、私は色気を圧倒的に到達できないものに感じている。
この人が隣にいても黙って煙草吸いだしたらもうあたし入り込めないだろうな、とか
この人が隣にいてもあたしのことなぞ1mmも興味ないだろうな、とか
そういう人が書いてある。
絶望する。
この人は信頼や安定やそういうのをぺいとほおったところにいる。
全然信用できない。
全然安心できない。
でもひかれる。
危ない。
池の近くにあるような「近づくな」の立て看板がいる。
でも看板がいるほど近づきたい魅力が池にもこの人にもあるわけで。
それを今回私は色気と呼ぶことにした。
だからほんとは池と呼んでもいい。
おそらく、こんな池が目の前にあらわれたら全部もってかれちゃうな。
あたま真っ白になって後先考えず泳いじゃうな。
で、きったなくなって終わんの。
そんだけ。
そんだけの池。それがわかってる池。
でも看板あっても意味ない池。
この本を読むと実際には溺れずに、しかし溺れた自分が想像できるのでお得。
それか横着。

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