世の中の二乗>75の二乗

話せば長くなる話をする。知っても特にならない話をする。

芥川賞

2007年07月30日 22時35分55秒 | Weblog
受賞作「アサッテの人」読みました。
なんとも実験的な小説でした。
作りとしては、アレっぽいですね。
ほら、森に入って行方不明になった学生たちがいて、彼らが撮ったらしいビデオテープだけが発見された、みたいなの、あったでしょ、アレっぽいですね。
はっきりって薄気味わるいですよ。
人がいなくて、もの(書き残したものとか住んでた部屋とか)だけがあるってのは。
当然ながら、なんの解決もしませんし。
こういうふうです、ってだけですから。
ポンパ!
なんていうか、そう、これは、おもしろい!と感じるポイントを限りなく排除している気がします。意図的に。
なのでうすら怖い。
そうする意味がわかんないから怖い。
あと、語り手が怖い。
この小説の意図を正直に描きすぎてて怖い。
あと、それもたぶん意図的にだから余計怖い。
どうしてそれを説明しなければいけないのか理解できないから怖い。
はっきりとしているのは、これがホラーだってことくらいです。
私はホラーだと思います。
夏に読むのにはいいかもしれませんね。

先生

2007年07月29日 21時03分47秒 | Weblog
中野に芝居を見に行く。
あなピグモ捕獲団の芝居。
ロマンチックだった。
正確に言うと、この芝居をつくった人はロマンチストだなと思った。
別にお花が咲き乱れお星さまがまたたき、ロミオー!とか、オルカール!っていう感じでは全然ないんだけど、いろいろスれた考えてをしてしまうものの、でもやっぱりどっかで捨てきれないメルヘン部分を持ってる人なのだと思った。
人人、って明らかに個人をさして言ってますが、この脚本家兼演出家さんとはきららの打ち上げの席で一緒に酒を酌み交わした仲なのです。
今日も終演後ごあいさつをしたら、
私が来てると知らなかったらしく、すっげえ驚きながらも喜んでくれた。
身も蓋もないような話し方をするが、シャイなだけだと思う。
さすが九州男児。

今日の夕食は納豆をいっぱい食べた、てか、すすった。
納豆は飲みものだと思う。
帰りに駅で楳図先生を見かける。
楳図先生に出会った日はなんかいいことありそうだと思う。
吉祥寺周辺に家を借りてよかった。
吉祥寺のコロポックル、今日も先生は赤い。

イヨネスコの「授業」ってのの公演がある。
京都に行くギリッギリの日だが、何とか見たいと思う。
チラシの写真が、女の人の長いおさげ髪を男の人がぎゅーんって引っぱってる↓

すげえ!なんじゃこりゃ!
おもしろそう!


アズールとアスマール

2007年07月28日 22時32分48秒 | Weblog
見てきました。
ほてった渋谷まで行った甲斐あって、とてもとてもよかったです。
ミッシェル・オスロ監督作品「アズールとアスマール」。
すばらしくきれい。
絵本の世界がみごとに映像化されたような印象でした。
CGアニメなんですけど、こりゃ、ここまでやったら人間(俳優)出てこなくていいわぁ、となります。
てか、ここまでやんなきゃやっぱ生の人間にはかなわないと思いますし。
物語も好き。
フランス人の考える絵物語はやっぱりどこか共感できる。
細かいことにくすぐりを忘れないとことか。
あと、恋に関しては徹底的に女が主体であるとことかは個人的に圧倒されながらも好きです。
とにかく、シーンごとに息をのむ美しさ。
脇を固めるキャラもいい。
あと、これはぜひ字幕版で見るのをおすすめしますね。
歌とか、言葉の違いとかがけっこうキーになってる話なんで、
日本語になおされるとちょっと興ざめかもしれません。
とにかく、当たり!の映画でしたよ。
私は「キリクと魔女」より好き。
「三枚のお札」的な話の流れが意外にもフルCGアニメとばっちり好相性なんです。

今日は沖縄料理を食べた。
フーチャンプルーはうまい。

明日は、きららの打ち上げで知り合った劇団の公演を見に行く。
雨にならなきゃいいけども。


肉を焼く

2007年07月28日 08時58分52秒 | Weblog
昨日は、職場のお仲間たちと焼肉。
おいしい焼肉屋があるんだというからついていった店の名は「楽々苑」。いいね。
上ハラミ、上カルビなど、上のつく肉を楽々と焼いてビールと共に。ザ・夏の女6人。
美味かった。
楽々苑、いいわぁ。

3年越しくらいで単行本化されるのを待っていた「アンラッキーヤングメン」がついに2巻組完結版で出た。
大塚英志と藤原カムイのコンビ作だ。
内容、重っ。
はっちゃけなし。
いやいや、良書です。ファンにはたまりません。
トーソーの時代のトーソーの中心人物たちと周辺事件のハナシなわけで、
大塚英志お得意の歴史捻じ曲げとかは上手ですし、
藤原カムイのリアルなタッチの絵がそれをさらに魅力的にみせる効果を発揮しています。
何より題名がいいよね。
大塚英志の時代物は、歴史認識がどうとか、思想がどうこうとか、感動が、哀愁が、忘却が、とか一切言わず、
ただ同時期に起こった実際の事件(表ざたになった)を幾つかポンポン並べて、それを想像でもって無理からひとつにつなげていくパズルのようなものだから、
ある程度の歴史知識があって、この事件とこの人物をこうくっつけますかぁ、みたいないっちゃえばオタク的な楽しみ方が一番正しい。
今回も例にもれず、60年代後半のごっちゃりした事件がごっちゃり入っている。
でもちょっとぶっ飛びが足りないのは、
おそらくこの時代が現在に直で繋がっているからだろう。
事件の当事者たち含め、60年代を生きた人々はまだまだ生き続けているからだ。
そこで死んだ人でさえ現在にまだ影響を及ぼし続けているのかもしれないし。
でもだからって結局、大人になんかなりたくないやい!で終始つないでいくのはへんに思惑を感じて気味が悪い。

「スシ王子」がちょっときてます。
昨日が第一回放送だったんだけど、
オヤジとオジィを二人いっぺんに巨大カジキに串刺しにされてトラウマを持ってしまい、以後魚を見るとめっためったに踏んづけて、それでも気がおさまらなくてまわりにいる人すら襲ってしまう天才寿司職人の青年の話だ。
バカだ。
堂本光一、なんであんたこんな話ひきうけたん?
いや、ほめてますけど。
魚を思いっきり踏んづける姿に新たな堂本光一の魅力発見。

盆踊り

2007年07月26日 21時21分40秒 | Weblog
日課の散歩は仕事終わって夕涼みがてら。
同じコースをたどる。
昨日、今日と同じ場所で盆踊りをやっていた。
カセットテープからアンプを通して流されてるあののんべんだらりとした盆踊りミュージックと、それに合わせてるんだけど調子っぱずれの太鼓の音が聞こえる。
どこからか浴衣姿のお父さん方が集まってきて、
盆踊りの時にしか着ないザ・盆踊り的な浴衣をそろいで着込んだお母さん方も出てきて、
子供はあのうにゃうにゃした帯の浴衣をものの見事に着くずしながら跳ね回っていて、
Tシャツ短パンの中高生も「今日は踊っとくべき?」とかいいながら広場に集まってくる。
んで、月が出た出たとか東京音頭とかアンパンマン音頭とかが流れて、みんなゆらゆら輪になって踊る。
そういや、こんな盆踊り風景見るの6年ぶりくらいだなぁ。
前に住んでいた高知というところの盆踊りはそれはもうこんな半分溶けたような踊りなんて誰一人として踊っていなかったワケで。
みんながみんな殺るか殺られるか刺すか刺されるか、という勢いで躍り狂っていたワケで。
かつて少女時代、親から盆踊りバカとまで呼ばれ、盆踊りが催されるたびに嬉々として踊りの輪に加わっていたワタクシではあるが、
悲しいことに月日は流れ、今はただ己の日課をこなしながら横目で輪をとらえるだけだ。
見よう見まねで覚えた踊りももう忘れてしまったしね。
夏がカナカナと鳴いていますよ。

太田光大絶賛の「タイタンの妖女」を読む。
むむ。
とっても質のいいアメリカ映画を観た感じだ。
質がいい。引き込まれる、読ませる内容。
しかし、如何せんアメリカ文化が露骨に出ているとこが私にはあわないのか。
もうここまで完成された小説なら、好きか嫌いかという主観でしか判断できなくなる。
屈強、という言葉が当てはまるかもしれない。
私は弱い人間なので、屈強な雄姿にはコンプレックスがある。
この小説に出てくる人たちはおおよそ、紆余曲折はあるが、屈強な人たちだ。
それも消防士的な屈強さだ。英雄の屈強さだ。
私はそこまで高い理想に自分を持っていけない。だからついていけない。ギブアップ。
大部分の幸せのためならわずかな犠牲はしょうがない、
地球宗教、
自分は誰かによって常に操られているのではないか、
といったどっかで聞いたような命題が目白押しで、それがすべてアメリカナイズされた感じ。
アメリカナイズとは、いっちゃえば潔く切り捨てるということ。
この作者はニヒリストで有名らしいのだが、
この小説にはちっぽけな人間のちっぽけな苦悩なんて簡単に吹き飛ばしながら前に進んでいく。
うじうじ考える暇がないほどの天変地異を盛りだくさん用意して待ち構えている。
うじうじ考えさせてぇ~!
とてもおいしい豪華なコース料理のような小説。
ただわんこそば並みのスピードで供される。
味がわからん。

今週末には「キリクと魔女」の監督、ミッシェル・オスロの「アズールとアスマール」を見に行く予定。
高円寺の吊りチラシ束の、「伝説の縄師 明智伝鬼 晩年の縄の世界を映し出した最初で最後の写真集」の奥にあったのを発見した。
清濁混生。

水ぶくれ

2007年07月21日 10時36分52秒 | Weblog
2時間散歩した。
そしたら当然ながら足が痛くなった。
家に帰って靴脱いで、靴下とったらすごいことになってたので思わず激写。
プラムと命名。
とってもみずみずしい。プルプル完熟。
「ブログに載せるときは衝撃映像だって知らせた方がいい」とアドバイスされる。
見る?

こんなになってるの初めて見たから、見て見て、と自慢したら、
完全にどん引きされた。笑った。

自分じちん

2007年07月20日 23時20分40秒 | Weblog
高知へ行く前に録画してたんだけど、
いままでなんやかやと見ないままになっていたチェルフィッチュ「目的地」をやっと見る。
くしくも妊娠の話で、
まあ妊娠の話ってだけでもないんだけど、
にぎにぎ役者が動きながらぼつぼつしゃべっていた。
お互いに目を合わせないし、無意味ににやついていたり、
脈絡のあるんだかないんだかの言葉が続いて、退屈かといえば退屈なんだけど、目が離せないってのもある。
「『目的地』始めます。えーっと、前田さんっていう女の人がいるんですけど、今から彼女が困っているシーンをやります。」ほぼこんな感じだ。
続かない。と思う。
新しい。とも、なかなかおもしろい。とも思うが、この手法は続かない。
あくまで実験的な、突発性の、おもしろさである。
そしてたぶん、つくってる人はそれを知っている。見てる人も。
忘れられても別にいい、今やりたいことができればいい。
非常にクールだ。
かっこよささえ感じてしまう。
うらやましいが、そこに私はいないと思う。
そう思いながらチェルフィッチュの目的のない芝居を見ていた。

おばあちゃん

2007年07月20日 00時24分16秒 | Weblog
ここでいうおばあちゃんとはなにも祖母のことばかりではない。
威厳のある愛嬌たっぷりのしわくちゃな女の人、
のことだ。
つまり、アマンダ・ウィングフィールドとか、アントニーダ・ワシーリエヴナ・タラセーヴィチェワとか、アンナ・アエメリンとか、はては、のんのんばあとか、がばいばあちゃんとかのことだ。
彼女たちはもはや人間であって人間ではない。
これは年月というものが人間に与える作用の結果であることが多いが、
あるところまで行き着いた人間にはある達観した見地と、
まだ俗世に縛られている故の意固地なまでのお茶目さが両立している。
それが彼女たちの最大の魅力だし、周囲にとっては最大の脅威だ。
基本、ババは空気が読めない。
そして無邪気だ。感情の赴くままに行動したがる。
これはパワーだ。
パワーは周囲に広がる。混乱させる。飲み込む。
事実、アマンダの行き過ぎた勘違いのせいで娘はコレクションのガラスの動物たちを壊される羽目になるし、アントニーダのルーレット狂いのせいで家族はひやひやさせられっぱなしだし、アンナの癇癪のせいで世話係はなかなか彼女からお金をふんだくれないし、のんのんばあは妖怪がどうのとうわごとを言って子供を怖がらせるし、がばいばあにお腹が空いたと言えば、気のせいや!と怒鳴られる。
なんていいキャラのババアたちだろう。
ババアになってこそのおもしろさがここにはある。
若い娘さんが同じに振舞っても皺やあの目の据わり方はまねできない。
前に母方のババが、窓の外を見て悠然と「おい、こんな朝早くから老人たちがゲートボールしてる」と言ったことがある。
御年80の婆様に老人扱いされたゲートボーラーはおそらく婆様よりお若くていらっしゃったはずだ。
ババは自分が婆だと知らないパターンが多い。
知っていても知らぬふりをする場合が多い。
だからなおさら周囲に影響する渦が大きくなるパターンが多い。
知人のおばあちゃんなのだが、
けっこうもうろくしていて、入居している施設の職員をちんどん屋だと思っている。
ちんどん屋だと思っているから、職員が見回りをしていると寄ってきて「よく来てくれた。楽しみに待ってたよ」と満面の笑みを見せる。施設に見学者が来て、職員が説明をしていても寄ってきて、見学者に「ここはいい施設だからここに決めなさい」と説得する。入居者が言うのだからと効果覿面だというが、おばあちゃんはちんどん屋がいるという理由でお気に入りなのだ。
この愛すべきおばあちゃんたちはほとんど無意識に自分の魅力を放出している。
しかし残念なことにもうおばあちゃんなので、この魅力はおそらく長続きしない。
長くは続かないとわかっているから、魅力になり得るのかもしれない。
ある意味、期間限定アイドルと同じ扱いか。
彼女たちの場合、アイドルと違って引退=死に直結するが、
それでも今生きている輝きは並じゃない。
そりゃ、物語にもなり得ますよ。
サンセット大通りとかすごいものね。

「賭博者」のおばあちゃんがあまりに強烈だったので、
ここまでおばあちゃんへの思いをたぎらせて書いてしまった。
痛快なおばあちゃんキャラ大募集中です。

あとさきかえりみず

2007年07月18日 22時37分05秒 | Weblog
ドストエフスキー「賭博者」を読んでいる。
賭け事に負けても負けても「勝てる」と言い張るロシア人。
好きな女性にまで喧嘩をふっかけるロシア人。
虐げられるのが我慢できないのに、なんでかちょっと快感のロシア人。
ばかばかしくておもしろい。
あとさきを考えないロシア人がこれからどうなっていくか楽しみだ。
十中八九、ろくなことが起きないだろう。

有名人見た?

2007年07月15日 22時36分44秒 | Weblog
と、高知に行ったときに何回か聞かれたが、
「岸部一徳。」と答えるとその反応はビミョーなもの。
あっそう、誰ならいいの?キミたち。
岸部一徳じゃなくて誰見たらすごいねって言うの?
いや、私は岸部さん好きですよ。
別にすごいねって言われなくてもいいんだけど、
私がすごいわけでもないし。
と、いうことで今日は台風でした。
でも外出して吉祥寺で遊んでました。
そしたら、丸山弁護士と外添要一がいました。
すっげえ人だかりできてたよ。
あ、もちろん選挙活動ね。候補者だから彼ら。
にこやかに有権者と写メを撮っていたよ。
これでいいの?彼らならいいの?
ああもう、なんだ、有名人見た?って。