浜名史学

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「五十四の瞳」を理解するために(1)

2023-09-22 19:33:32 | 演劇

 在日コリアンが何故に民族教育を強調するのか、それは日本の植民地支配が朝鮮民族の文化やことばを抹殺するものであったこと、そういう歴史を体験しているからである。

 下記は、私が自治体史に書いたものの一部である。

 1910年の韓国併合は、朝鮮の民族文化に対する抑圧の開始でもあった。1911年8月に公布された朝鮮教育令は、「忠良なる国民の育成」を教育の「本義」とし、普通教育の目的については「特に国民たるの性格を涵養し国語を普及すること」とした。その結果、学校教育では日本語が重視されることになり、朝鮮の地理や歴史などは教育されなかった。また朝鮮人のための学校は貧弱で子どもたちの就学率は高くはなかったが、他方で民族的な教育を行う書堂や私立学校に通学する者が多かった。植民地化された朝鮮の教育はこのようにして始まった。

 植民地支配に対する1919年の三・一独立運動には多くの学生が参加した。そこで朝鮮総督府は同化政策を推し進め、「一視同仁」のもとに朝鮮人の「日本人化」を図ろうとした。その後1937年に勃発した日中戦争が本格化する中で、「皇国臣民の誓詞」が定められるなど、「内鮮一体」の「皇国民錬成」教育が始められた。特に日本語の常用が強要されるなど、民族意識を奪い、朝鮮民族の文化そのものの抹殺が図られたのである。

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