浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

もう前からじゃない・・・?

2024-08-02 20:15:13 | 政治

 『週刊金曜日』の連載、田中優子さんの「これからどうする?」、8月2日号は「選挙結果の読み方」であった。これはArc Times で古谷経衡が語ったことをもとに書いているのだが、まずその古谷の内容を記す。

 多くの人が本や新聞を読まないのではなく、読み続けることができなくなっている、石丸候補の選挙戦術は、都民の多くは政策を読んでもわからないので政策については話さない、長い演説には耐えられないので15分できりあげる、理解して投票することができないので体験談で共感者を増やす、具体的な議論ができないので攻撃的な言い方をする、など。

 田中さんは、これに危機感をもっている。

 だが、とわたしは思う。こういう現象は、ずっと前からではないか。なぜ関西では、無内容でろくでもない人間たちが「維新」という政党から出馬して当選しているのか。選挙民は、政策なんかをもとにして投票しているのではないのだ、あるいは立候補した人物を評価したから投票したのではないのだ、表層の「流れ」に乗るだけで、それで投票行動をしている。

 なぜ東京は、小池百合子が3選なのか。きちんと政策を考えていたら小池百合子なんかに投票しないだろう、しかし都民は投票して知事にしている。それも3度も!

 わたしは、人びとが、それぞれの政党や候補者の政策をきちんと把握して投票行動を行っているとはとても思えない。

 高齢者は新聞は読んでいる、しかしはたして政治欄を読んでいるのだろうか?テレビも見ている。わたしの周辺にいる人びと、ほとんど高齢者であるが、本を読むことなんかない。以前にも書いたが、医者に行って、長い待ち時間をどうすごしているかをみればよい、老人はテレビを見ているか、ボーとして何もしていない。若い人はスマホをみている。本は読まない。待合室に本や雑誌があっても、読む気配はない。

 人びとが本を読まなくなって久しい。

 都知事選を見ると、蓮舫さんは演説できちんと政策を訴えていた。正攻法の闘い方であった。小池百合子はほとんど政策を訴えずに、「公務」だという「視察」を報道機関に報じさせて、ときたま演説をする。政策についての討論会を避けつづけた。当選後に視察などの「公務」はほとんどなく、それは選挙戦術で、報道機関をうまく利用したのだ。テレビは、今や国政でも地方の政治でも、権力者を支える重要な機関として存在している。

 田中さんは、「本は生きるために読む」という。その通りだ。しかし、ただ生きるためには、今や本は必要不可欠のものではないのである。

 石丸であろうとなかろうと、テレビやユーチューブなどにでている「有名人」、その「有名人」がわけが分からなくても、目立っている、ただそれだけで「支持者」は湧いてくるのだ。テレビやユーチューブは、そうした「有名人」を生み出す。その「有名人」の中身なんかどうでもよい、問わない。

 人びとが中身を問うことができていれば、こんなデタラメの社会なんかできるはずがない。もっともっと前から、現在のような社会ができていたのである。

 

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農業破壊の未来

2024-08-02 10:32:16 | 政治

 『週刊金曜日』8月2日号には、極右政党=自由民主党とカルト政党=公明党による政治が、どのような農業破壊政策を進めているかを取り上げている。

 日々、猛暑の中、農業に励むわたしからみても、日本農業の行方はきわめて悲観的である。

 わたしは、農業に勤しみ、生産物を近所の方々にあげたり、あるいは遠方に住む子どもたちの家庭に送ることをしているが、しかし畑や田んぼがあっても、雑草が生えているところが多々ある。また農業をしている人びとは、わたしを含めて高齢者である。80代が主流である。彼らがなぜ農業を続けているかというと、60代くらいまで働いていたからちゃんとした年金があるからだ。農業だけでは、決して生活できない。となると、今後の日本農業は消滅していくのではないかと思う。

 さてお米の価格が上昇している。昨年夏も猛暑で、昨年の米は粒が小さく、例年通りの作柄ではなかった。農林省は、米が「足りない」、その原因は「昨年の減産・品質低下」、訪日客の増加であると言っているが、これは誰が聞いてもおかしいと思うだろう。訪日客はコロナ前のほうが多かったし、品質は低下していても生産はできているのだ。

 なぜ米が「足りない」のか。『週刊金曜日』で鈴木宜弘さんは、こう書いている。

①生産者には生産調整強化を要請し(つまり減産を命じた)

②水田を畑にしたら一回限りの「手切れ金」を支給するとして田んぼ潰しを促し(水田は毎年作り続けないとたいへんなことになる)

③農家の赤字補填はしない(農業だけでは食べていけないのに、政府は知らん顔)

④小売・流通業界を安く買いたたく(また農家より、流通業界に儲ける仕組みがある)

⑤消費の1・5か月分しかない政府備蓄(これも減らしてきた!!)

 要するに農林省は、農家に米の生産を減らさせ、農業だけでは生きていけない農家を放置し、備蓄米を減らしてきた、だから供給不足となっても、政府にはそれを改善する策を持たない。

 さらに今年6月、「食料供給困難事態対策法」が成立した。農業の戦時統制である。異常気象や紛争などにより食料が不足する場合は、政府は農家や事業者などに生産や販売などを指示できる、従わない場合は罰金が科される。

 たとえば、食糧不足の際には、花卉や果物などをつくっている農家には、さつまいもをつくれと命じることができる、というわけだ。食糧不足の場合、日本人はさつまいもを食え、というわけだ。15年戦争下にも同じことがあった。校庭を掘り返してさつまいもを栽培したことがあった。

 極右政党とカルト政党は、日本を戦時体制にもっていこうとしている。庶民の生活なんか、まったく眼中にないのだ。

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