五山晩鐘 遠江八景

　「五山」とは、浜名湖の北に伽藍を構える五つの寺をさすものです。浜松市北区に位置しており、西から三ヶ日町福長の大福寺、三ヶ日町摩訶耶の摩訶耶寺、引佐町奥山の方広寺、引佐町井伊谷の龍潭寺、細江町中川の初山宝林寺の古刹群です。大福寺の入相の鐘の音は背後に展開している富幕山にこだまして響き、南は浜名湖の支湖である猪鼻湖の湖面を超え、大崎半島にまで届きます。龍潭寺で打たれる梵鐘は、本坂峠（姫街道）を南に越えて引佐細江にまで伝わります。浜名湖には鐘で知られる名刹が多く、館山八景には宿蘆寺が、細江八景には長楽寺が、佐鳴八景には龍雲寺があげられています。湖面を渡る鐘の響きに対して山にこだまする晩鐘が臨済宗方広寺派の巨刹方広寺の鐘です。奥山高原を越え、富幕山の峰に響き、三河の山里にまで届くと言われます。