HALクリニックの診察室から

Human Active Life…新潟で心臓血管外科のクリニックを開設した医師のひとりごと

震災から学んだこと!いま活かすこと!

2018-07-11 14:58:46 | 健康
 日本はつねに震災が繰り返されています。
今回も突然の大災害に見舞われました 
報道されている状況をみても、なんとも痛ましい…
洪水は収まりましたが、多くの方が避難所生活を送られています。
暑い季節で避難者の健康状態が心配になります。
テレビでは、暑いので熱中症の予防について注意喚起されていますが、
個人的に心配なのは「肺血栓塞栓症」です。
いわゆる「エコノミークラス症候群」




下肢のふくらはぎに血栓ができて(「深部静脈血栓症」)、
大きくなってちぎれて血流に乗り、肺の動脈に詰まります。
胸の痛みが出たり、時にはショック状態になり、命を落とすことも。




「肺血栓塞栓症」が広く知られるようになったきっかけは
新潟の中越地震からです。
大学の後輩の榛沢和彦先生が被災地の避難所で下肢静脈エコー検査を
行って明らかになりました。
2、3日以上の避難所生活や車中泊をすると、水分補給が少なく
動かずにいる高齢者で下肢に「深部静脈血栓症」が生じる危険性が
高いことがデータで示されています。

熊本地震でも地震発生後数日で「エコノミークラス症候群」が発生し始めて
中には命を落とされる方もいらっしゃいました。
今回の洪水でも避難者にとって危険な時間になっています。

予防法はm水分補給と足を動かすこと(体操など)です。
もし、下肢静脈エコー検査ができれば、ヒラメ静脈が大きく血がよどんでいるか
うか診断することができますし、血栓を見つけることもできます。
リスクが大きい方には、弾性ストッキングの着用も有効です。

かつて震災で学んだことが、今起きている震災で活かされることを望んでいます。
そして、被災地がはやく落ち着くことと、「エコノミークラス症候群」が発生しないことを
いのります。
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