hakuunの未来ノート

将来のため、人生やビジネスに関して、考えたこと、感じたことを綴ります。

傾聴の技法  感情への応答は難しい

2012-08-23 | コミュニケーション

傾聴の技法について述べる。

産業カウンセラー養成講座のテキスト(社団法人:日本産業カウンセラー協会)から、必要な情報を抜出し、引用する。


a)かかわり行動

「かかわり」(attending)とは、カウンセラーが身もこころもクライエントに向け、クライエントとともにいることをいう。「かかわり行動」は、そうした真剣で温かいクライエントとの接し方である。適切なかかわり行動は、クライエントを安心させ、話しやすい雰囲気をつくる。

方法

ア)落ち着いて話し合えるように面接環境の整備をしておく。
イ)カウンセラーが余裕をもって相談に応じられる準備体制をつくっておく。
ウ)表情・態度・姿勢
 ・やさしい表情で
 ・やや前傾で、少しのりだすほうが、真剣さが伝わる
 ・自然に、ゆったりした身振りで
 ・上体や脚を揺すらない、なるべく脚をくまない
 ・腕組みは拒絶ととられるのでさける
エ)視線
アイコンタクトは大事であるが、凝視するとクライエントに圧迫感を与えるので、自然にソフトに視線を向ける。視線をそらすことは無視や回避ととられるので、注意する。
オ)観察
クライエントの身なり、表情、動作などを観察し、クライエントの状態、感情、活力などを把握する。
カ)声掛け
やさしい温かい語調、言葉遣いなどでクライエントへの関心と歓迎(welcome)を示す。

以上テキストからの引用である。

カウンセラーの養成講座では、姿勢について、よく注意された。
とくに、脚を開くのが、私の癖にようである。
最初は、注意していたが、話を聴くにつれて、自分の欠点を忘れてしまう。
本を読むだけでは見過ごされてしまうことだが、今回、ブログに書き写すことで、当時のことが思い出され再確認できたことは良いことである。


b)簡単受容

簡単受容は、うなずきや「はい」「えー」のようなあいづちである。クライエントの話の流れを妨げず、クライエントを尊重し、注意深く聴いていく受容的態度を示す。
簡単受容は、クライエントに対するまなざし、応答のアクセント、身振りなど、カウンセラーの非言語的表現が加えられることによって、支持や質問の場面など、面接全体にわたり広く活用できる。
カウンセラーがクライエントに対し、少しでも批判的あるいは拒否的な気持ちをもったりすると、簡単受容は表面的形式的なものとして、クライエントに伝わってしまう。クライエントが強い支えや安心感を感じるには、カウンセラー本人が受容する気持ちがなくてはならない。

方法

ア)うなずき
通常は、ゆっくり小さく行うが、話の内容によって、速くまたは大きく行い、カウンセラーの反応を表現する。
イ)あいづち
「そうですか」「なるほど」「ほー」「ふーん」「それで」など、いろいろのバリエーションがある。うなずき、あいづちも、多用しすぎると機械的になり、かえって会話を阻害する。
ウ)クライエントの話の1語か2語の繰り返しも簡単受容のひとつである。
 例「練習は続けていいますよ。最近毎日練習しています」
  「毎日」

以上テキストからの引用である。

簡単受容は、うなずきや「はい」「えー」のようなあいづちであるが、意外と難しかった。
早口の人の場合、入れるタイミングが難しい。
早口のAさんには、積極的にうなずきや相づちを入れて好評だった。
しかし、早口のBさんには、同じペースでうなずきや相づちを入れたら、多すぎる、と言われたことがある。
機械的に対応するのではなく、相手の気持ちに沿って対応する大切さを学んだ。


C)場面構成

場面構成(structuring)とは、カウンセラーとクライエントの間で、カウンセリングの特質やカウンセリング関係について合意を得ることをいう。適切な場面構成は、クライエントの不安を軽減し、相談過程を促進する。
場面構成は、面接の冒頭の行うことが多いが、必ず冒頭に公式的マニュアル的に行われるものではない。クライエントの状況、理解度、面接の進行などに応じて、相談のいろいろな段階で弾力的に行うことが大事である。

方法

ア)クライエントをリラックスさせるような会話の導入を行う。
イ)下記事項について、必要に応じて説明する。
 ・面接場所、日時の設定、カウンセリングの継続期間
 ・カウンセリング関係(主役はクライエント自身で、ここでの時間を自由に使ってよい/カウンセラーは指示や助言をするのではなく、クライエントが主体的に考えられるよう援助する、など)
 ・守秘義務
 ・面接目標、課題
 ・その他

以上テキストからの引用である。

養成講座では、初級であるため、この場面構成は、簡略化されることが多い。
私のクラスでは、「守秘義務」についてだけ述べて本題に入ることが多かった。
他クラスとの交流戦では、「場面構成」が完了した段階から入った記憶がある。
「面接目標、課題」については、DVDやテキストでは見たが、実際にやった記憶はない。


d)事柄への応答

事柄への応答とは、クライエントが話した事柄(事実、出来事、状況など)のなかのキーワードをとらえれクライエントに伝え返すことである。「内容の再陳述」ともいう。クライエントは事柄への応答により、自分の話した内容とカウンセラーの理解を確認できる。
例1 「今度の職場は部下が50人もいるんですよ」
   「部下が50人も」
例2 「私は入社以来ずっと、お客様第一主義でやってきました」
   「お客様第一主義で」

方法

ア)なるべくクライエントの言った言葉で短く伝え返す。
イ)カウンセラーの枠組みで、評価したり、拒否したりしない。
ウ)機械的なオウム返しではなく、クライエントが本当に言いたいことは何か、ということに集中して返していく。

以上テキストからの引用である。

この内容の再陳述もなれないと難しい。先ほどの早口のAさんの場合は、間がほとんどなく、さらに重要なキーワードが何か、つかまえるのに苦労して、再陳述することがほとんどできなかったことを覚えている。
一方で、ゆっくり口調のCさんやDさんはありがたい。
意識的ではないと思うが、間があり、こちらの反応が多少遅くても、対応ができ、ありがたく感じたことを覚えている。


e)感情への応答

感情への応答とは、いま、ここでのクライエントの気持ちをとらえて伝え返すことである。感情への応答によりカウンセラーの共感的理解がクライエントに効果的に伝わる。カウンセラーはクライエントの言語的表現だけでなく、非言語的表現(声の調子、話し方、表情、姿勢、動作など)にも注目し、「何を伝えたいのか」をつかみ、フィードバックする。
感情への応答のひとつに、クライエントが気持ちを伝えたいけれども、適切な表現が見つからにような場合、、「あなたの言いたいことはこういうことですね」と推察して伝える技法がある。この技法は、「感情の明確化」ともいわれ、クライエントの内面を意識化するうえで、効果的促進的な役割を果たす。
しかし、推察がクライエントに受け入れられない場合、カウンセラーの思い込みや先取りとして、カウンセリング関係を阻害する恐れがあるので、十分留意すべきである。

方法

ア)クライエントの重要な感情表現(喜怒哀楽、快・不快、葛藤など)をとらえ、その言葉を伝え返す。
例「私、みんなを避けてきました。声もかけません。なにか怖いのです」
 「なにか怖い」
イ)クライエントの態度、表情、動作が訴えているものをつかんで、伝え返す。
例 何度か時計を見るクライエントに対し
 「(時間を気にしておられるようですが)時間は大丈夫ですか」
ウ)クライエントがはっきり言語化できていない感情をくみ取って伝える。
例「ところでAときたら、趣味はなんだとか、出身はどこだとか、やたらと質問してくるのです」
「そういうことを聞かれたくないのですね」

以上テキストからの引用である。

この「感情への応答」になると、レベルが一段上がる。
クライエントの言語的表現だけでなく、非言語的表現(声の調子、話し方、表情、姿勢、動作など)にも注目し、「何を伝えたいのか」をつかみ、フィードバックすることであるが、難しかったことを覚えている。
昨日のブログでも書いたが、自分の感情や気持ちを抑圧して育った人間にとっては、自分の感情や気持ちをつかまえて表現するスキルが乏しい。このような人間にとって相手の感情をとらえることは、生易しい課題ではなかったことを覚えている。

続く。