hakuunの未来ノート

将来のため、人生やビジネスに関して、考えたこと、感じたことを綴ります。

人を生かす 稲盛和夫の経営塾 その6 常に創造的であれ

2012-08-03 | 企業経営
本日、引用するテキストは、稲盛和夫氏:著「人を生かす 稲盛和夫の経営塾」(発行:日経ビジネス文庫)である。
(なお、引用は、『 』で示した部分である)

今日は、「終章 リーダーの役割10ヵ条」の続編について検討する。


●04 誰にも負けない努力をする

「努力」
小さい時から聞いてきた言葉であるし、自分でも何度も使っている。
しかし、稲盛氏の言われる「努力」は少しレベルが違いう。
『私(稲盛氏)がいっているのは、誰にも負けない努力である。自分は必死に努力しているつもりでも、競合他社がそれ以上の努力をしていたら、競争に負け、自分のそれまでの努力が水泡に帰してしまうかもしれない。ですから、これ以上は誰もできないというほどの努力、つまり、誰にも負けない努力が必要なのである。それはたいへん辛いことかもしれないが、それしか成功する方法はない』

さらに、稲盛氏はイギリスの哲学者、ジェームズ・アレン氏の言葉を引用している。
『人間は、もし成功を願うのであれば、それ相当の自己犠牲を払わなくてはなりません。大きな成功を願うならば、大きな自己犠牲を、こうぬえなく大きな成功を願うならば、このうえなく大きな自己犠牲を払わなくてならない』

『成功を願うならば、遊んだり、趣味を楽しみたいといった、自分の欲望を犠牲にしなければならない。そのような自己犠牲は、ものごとを成功させていくための正当な代価として払わなければならない』
『集団の幸せのために、誰にも負けない努力を続けるリーダーであれば、集団はその後に必ずついていくものである』

すごい覚悟である。
よく、「子は親の背中を見て育つ」、というように、「部下は上司の背中を見て育つ」と言われる。

稲盛氏をはじめ成功を収めた創業者の努力は、稲盛氏が言われるように、すさまじいものであろう。だから部下が創業者と同じように努力するのだから、当然結果もついてくる。
当たり前のことを、当たり前のように行うことは、大切なことである、と同時に難しいことであるということを再認識した次第である。


●05 強い意志を持つ

『一度決めた目標は何としても達成するという強い意志、これはリーダーにとって大切な資質の一つである』
リーダーが優柔不断であれば、部下はどちらに進んでよいのか迷ってしまう。船長であるリーダーは、強固な意志を持つ必要がある。

将来、研修講師、講演講師を夢見る私の場合は、個人営業として考えることができる。
従業員は、私一人である。社長兼従業員となる。
であるならば、私の意志が私の人生を左右するといっても過言ではない。
これを機に、自分の夢に向けて強い意志を持ち、驀進を続けたい。


●06 立派な人格を持つ

この人格については、何度もこのブログで取り上げた。
稲盛氏ほどの人格者はいないと思っている。

昨日も書いたが、「人間形成」もスキルと考えることができる。
稲盛氏が言われるように、日々精進して努力することである。
そのためには、自分のためではなく、人のためにどれだけできるか、である。
両親のために、兄弟のために、部下のために、会社のために、社会のために、どれだけ奉仕ができるかである。
様々な行動を通して、人格を高めていきたいと思う次第である。


●07 どんな困難に遭遇しても、決してあきらめない

『ネバー・ギブアップ』
『燃える闘魂』
『不屈の闘志』
稲盛氏は、このようなキーワードを多用している。

今の時代何がおこるかわからない。
ビジネスの社会でも、予想もしない困難やトラブルが起こる。
あきらめてしまえば、そこで終わりである。
石にかじりついてでも成し遂げる、つよう精神力が必要である。

それを稲盛氏は
『ネバー・ギブアップ』
『燃える闘魂』
『不屈の闘志』
という言葉で表現している。

会社経営でも、受験でも、て同じである。
人生は、『不屈の闘志』をもち、『燃える闘魂』を掲げ、『ネバー・ギブアップ』で実行すれば、必ず成し遂げることができる。


●08 部下に愛情を持って接する

『部下への愛情』
これは、『やさしさと厳しさ』の両面が必要である。
『部下が立派に育つことを願って、リーダーはこれまでの経験から培ってきた自分の知識や技術を惜しげもなく教えるのである。だからこそ、部下がいい加減であったり、間違っていれば、それを指摘し、厳しく叱ることができる。部下を育てよう、立派な人間にしたいという愛情が根底にあれば、いくら厳しく叱ろうとも、部下はそれを素直に受け入れてくれるはずである』

『部下に迎合してやさしくふりまくだけでは、部下は決して成長しない。厳しく叱る勇気がなく、部下の機嫌ばかりとっていては、その部下の成長にならないばかりか、会社全体を不幸にする。叱るべきときは、心を鬼にしてしかる、それがリーダーに求められる愛情である』

『一方で、部下が本当に困っているとき、苦しんでいる時には、思いやりの心を持って、一生懸命に助けてあげることも必要である。愛情があるからといっても、ただ厳しく叱るだけのリーダーでは、人はついてこないものである』

『そうした愛情と思いやりをもって育てれば、必ず部下は育つ。また、部下が育つだけでなく、そのリーダー自身、人間としてひとまわりも、ふたまわりも大きく成長するのである』

『やさしさと厳しさ』の両面が必要である。
まさにそのとおりである。
「やさしさだけ」、「厳しさだけ」という状況は、過去に何度も見てきた。
両方を備えている人は、少ないような気がする。
「部下に愛情を持つ」とは、それだけ真剣に付き合おうとしている証拠である。

「上司と部下」を「親と子」に置き換えてみよう。
親が本当に子供に対して愛情があれば、優しさだけでなく、厳しく叱ることも必要であろう。

先日の話である。
歩道上で自転車をのる女の子が、運転を誤り倒れてしまった。
その光景を見た年配の男性が子供に手を差し伸べて起き上がらせてあげた。
私は、少し離れたところから偶然見た光景だが、その年配の方の優しさを感じることができた。
驚いたのは、その後の光景である。
子供の後に、母親もすぐに自転車でやってきた。
母親もこの光景をとらえている。
自分がこの子の親であれば、お礼を言わない子供をたしなめ、子供と一緒に「ありがとうございました」とお礼をいう。
しかし、その母親の態度は違っていた。
その年配の方を無視したかのように、母親はお礼を言わない。
この母親だから、子供に対して、お礼を言うように教育なども当然しない。
「○○ちゃん、大丈夫?」と言っただけで、子供と一緒に立ち去って行った。

わずか数十秒の出来事であったが、ショックであった。
この親にして、この子あり。
親自身が、お礼を言うことができなければ、子供も当然言わないだろう。
このような親子を見て、心配するのは、私だけであろうか。


●09 部下をモチベートし続ける

『リーダーは部下の人たちを常にモチベートし、やる気を起こすように努めなければならない。目標に向かって燃える集団をつくるには、部下が常にやる気をもって仕事ができるようにすることが不可欠である。』

『職場の環境に気を配り、働きやすいようにする。部下が困っているようであれば、親身になってその相談に乗り、アドバイスを与える。予定を達成したときや立派な仕事をしたときには、ねぎらいの言葉を忘れない。長所を見つけて褒めるなど、部下がやる気をもって仕事に取り組めるような雰囲気をつくることが必要である』

モチベーションを高め維持することは、本当に大切である。
仕事にしても、試験にしても、やる気を維持できるかどうかで、その成果が決まると言って過言ではない。
今、中小企業診断士の受験指導をボランティアで行っている。
受験生が一人だけで、長期間、仕事を続けながら勉強をすることは、精神的にきついものがある。
落ち込んだ時にアドバイスを与えることで、やる気が復活する。
より効果的な方法を助言して成果が出れば、教える方もうれしいことである。

これからどのように支援するか、私自身のモチベーションを高めていく必要がある。


●10 常に創造的でなければならない

『厳しい競争社会の中で、企業が生き残り、発展し続けようと思えば、常に新製品、新技術、新市場にチャレンジしていかなけれなならない』

『リーダーは、常に何か新しいものを求め、常にクリエイティブなものを集団に導入していかなければ、その集団の進歩発展をさせることはできない。現状維持に満足するようなリーダーでは、その集団はやがて衰退の道をたどることになる』

往々にして、年を重ねると、現状維持に留まろうとする。
チャレンジすることも面倒だし、自分を変えることを嫌がる。
さらに、自分の既得権を放すことは、真平である。

もしこのようになれば、年齢に関係なく、すでに老人の域に達しており、個人にとっても組織にとっても、引退するのが幸せではないだろうか?

『その創造というものは、単なる思いつきで生まれるものでなく、深く考えて苦しみの中から生まれ出るものである。ですから、リーダーは決して現状に満足することなく、「これでいいのか」「ほかにもっといい方法はないか」と常に考え続け、日々少しずつでも進歩できるように努力できる人でなければならない。そのような熱意と努力が、結果として創造的なものを生み出すものである』

「アイデアは打率である」という言葉がある。
最初は、思いつきでもなかなかアイデアは出てこない。
私は、アイデアや創造をスキルとしてとらえている。
数多くのアイデアを出すことで、その思考回路が形成し、より有効的なアイデアが生まれる。
1回のアイデアで、ヒット商品が生まれることはない。
10回、100回、1000回のアイデアの中から、大ヒットが生まれる。
であるならば、そのような職場環境を作ることである。
アイデアを数多く出すことで、その確率は上がってくる。
そこで、「アイデアは打率である」ということになる。

社員がアイデアをだしたくなるような、環境を作れば、社員の思考スキルもアップする。
そのような仕組みを取り入れているのが、「あったらいいな」で有名な○○製薬である。
アイデアの思考スキルを鍛えることで、より深く考えるようになる。

このように、深く考えることができる人の脳は、当然活性化され若い。
ぜひ、若さを保つためにも、創造的な仕事を行い、青春を楽しむことである。


●おわりに

『この10ヵ条をすべて実践することは、たいへん難しいが、心にとめて、そうあろうと努力することが大切である。このようにすばらしいリーダーであろうとする姿が、部下に対する教育になる』

自らを高める努力をすることが、すばらしいリーダーになる条件である。


以上