hakuunの未来ノート

将来のため、人生やビジネスに関して、考えたこと、感じたことを綴ります。

新聞3紙の読み比べ

2013-11-02 | 社会現象

新聞3紙の社説を比較すると面白いことが分かった。

首相のトルコ訪問について、どのような切り口で論説を書くか、正反対の結果がでている。

どちらが、良い悪いというつもりはない。

このブログを読む人が判断してほしい。

 

高校時代に、先生から言われたことを覚えている。

もう40年以上前のことだが、はっきり覚えている。

「真実と事実」

似たような言葉であるが、中身は違う。

事実であるが、真実でないケースが多々ある。

特に、TVや新聞などは、一つのポイントに焦点を当てて報道することがある。

事実かもしれないは、真実ではないケースが多々ある。

視聴率を稼ぐ方法としては良いかもしれないが、社会の公器としては問題が残る。

あるポイントだけに焦点を当てることで、内容が正反対になる。

今回の記事の扱い方がその事例と考える。

 

では、新聞3紙の社説を読み比べて考えていただきたい。

 

 

●首相トルコ訪問 インフラ輸出に弾みつけたい(2013年10月31日付・読売新聞社説)

  

 インフラ(社会基盤)輸出を成長戦略の柱に据える日本にとって、経済成長著しいトルコなど新興国の魅力は大きい。

 官民一体となった取り組みを強化することで、輸出に弾みをつけるべきだ。

 トルコを訪れた安倍首相は、エルドアン首相との会談で、三菱重工業などの企業連合がトルコ政府と原子力発電所建設で合意したことを歓迎した。

 「福島第一原発事故の教訓を共有することにより、世界の原子力安全の向上を図っていくことはわが国の責務だ」とも表明した。

 トルコでは、経済成長に伴い拡大する電力需要をまかなうことが重要な課題だ。原発建設は国家的なプロジェクトと言える。

 国際的な受注合戦の末、日本企業が受注に成功したのは、5月に続いて再訪した首相の「トップセールス」の効果もあろう。

 原発技術で国際貢献を目指す首相の姿勢は評価できる。原発を輸出することは、中長期的な原子力の技術者の確保にもつながる。

 首脳会談では、トルコに科学技術大学を共同で設立することでも合意した。原子力分野の専門家育成も目的としており、日本からの技術支援の拠点としたい。

 原発だけでなく、鉄道をはじめとした交通インフラでも日本の協力は進んでいる。

 安倍首相は、アジアと欧州を結ぶボスポラス海峡の海底トンネルを通る地下鉄の開通式に出席した。大成建設などが工事を担当し、総工費約3900億円の4割を円借款でまかなった。

 地理的な要衝に位置するトルコは、現地に進出した日本企業にとって、欧州などへの輸出拠点となる。トヨタ自動車などがすでに進出している。

 日本とトルコの経済連携協定(EPA)交渉を加速させる必要がある。貿易や投資を促進するための環境を整えることで、さらに協力関係を強化すべきだ。

 トルコは内戦が続く隣国シリアのアサド政権と対立している。難民支援や化学兵器廃棄で、日本とトルコが協力する意義もある。

 気がかりなのは、北大西洋条約機構(NATO)加盟国であるトルコが、中国製防空システムの導入に向けて交渉を進めていることだ。中国と軍事的に協力することになれば、NATOの軍事機密が中国へ流出する恐れもある。

 NATO加盟国の間に中国企業との交渉の再考を促す声が広がっている。トルコには、慎重な対応が求められよう。

 

 

●原発輸出―後の責任が取れるのか (2013年11月1日朝日新聞社説)

 

 日本政府が、途上国への原発輸出に血道をあげている。

 安倍首相は今週、トルコを訪問し、三菱重工業を中心とした企業連合による原発受注を「成果」に帰国した。

 しかし、福島第一原発では放射性物質による汚染水の流出が続く。除染も遅れ、事故は収束のめどがいっこうにたたない。

 先の見えない避難生活を強いられている住民から「よく原発を売れるものだ」と怒りの声があがるのは当然である。

 国内では脱原発への転換を求める多くの国民に背を向け、原発政策をあいまいにし続ける。一方、海外ではあたかも事故の経験が日本の原発技術を高めたかのように売り込む。

 考え違いではないか。

 トルコのエルドアン首相との共同記者会見で安倍首相は「原発事故の教訓を世界で共有することにより、世界の原子力安全の向上を図っていくことは我が国の責務だ」と述べた。

 目標としては正しいが、場当たり的な事故対応で世界の不信を招いているのが実態だ。

 津波の前の地震が事故に大きな影響を与えたかどうかも、十分にわかっていない。有数の地震国であるトルコに売り込む自信は、どこからくるのか。

 事故の賠償責任も心配だ。

 米カリフォルニア州の原発をめぐって、廃炉を決めた米電力会社は損害が数十億ドル(数千億円)にのぼると主張。原因となる放射能漏れを起こした蒸気発生器を納入した三菱重工グループに、契約上の上限を超えて賠償するよう求めている。

 以前のように引き渡した後は知らない、とはいかなくなっている。首相自らの売り込みは、大きな事故が起きても日本政府が賠償を保証してくれると受け止められてはいないか。

 途上国は多かれ少なかれ、政情が不安定でもある。原発テロや核物質の核兵器転用リスクを日本政府がどこまで真剣に考えているのか。疑問である。

 エルドアン首相は共同会見で「事故があるからといって、自動車や飛行機に乗らないわけにはいかない」と述べた。

 だが、福島の事故は原発の危険性が車や飛行機と同列には扱えないことを見せつけた。活断層に関する論議や周辺住民の広域避難計画づくりを通し、地震国が原発を持つ困難さもよくわかってきた。

 使用済み核燃料の最終処分は前から暗礁に乗り上げている。

 安倍政権は原発輸出を成長戦略の柱に据えるが、山積する問題に口をつぐんで売り込むのは商倫理にもとる。

 

 

●トルコを首脳外交の先例に (日本経済新聞2013/10/31

 

 安倍晋三首相が5月に続いてトルコを訪問し、エルドアン首相と会談した。日本の技術・資金支援で建設した海底トンネルの完成式典に出席し、政府が後押ししてきたトルコでの原子力発電所の受注も、三菱重工業などの企業連合に正式に決まった。

 国会開会中の平日を使った首相の外国訪問は珍しいが、トルコは中東の大国であり、歴史的な親日国でもある。トルコでの相次ぐ大型受注を、官民連携によるインフラ輸出のモデルにしたい。

 首脳会談では原子力の専門家など科学技術分野の人材育成に日本が協力する共同宣言に調印した。シリア情勢やイランの核開発問題での連携も確認した。

 完成した「ボスポラス海峡横断地下鉄」は、トルコ最大の都市であるイスタンブールをアジア側と欧州側に隔てるボスポラス海峡の下にトンネルを掘り、鉄道を通す大プロジェクトだ。大成建設が建設を請け負い、日本政府が1533億円の円借款を供与した。

 海峡は深く、流れも速い。建設には箱形のコンクリート構造物を海底に沈め、つなぎ合わせる工法を採用した。海外のライバル企業が尻込みする難工事の成功は日本の技術力を示したといえる。

 日本はボスポラス海峡にかかる大型橋も建設した。トルコの成長を支えるインフラ整備で日本が果たしてきた役割と、技術への信頼が親日感情をより深め、新たな大型受注へとつながっている。

 安倍政権はインフラ輸出を成長戦略の重点に位置づけている。首脳レベルで関係を深め、企業が持つ技術力への評価が次の受注をもたらすトルコでの成功を、他の新興国にも広げていきたい。

シリア内戦など中東の混乱収拾に、日本が単独で影響力を行使するには限界がある。イスラム教と民主主義を調和させながら、経済成長を続けるトルコの経験は他の中東諸国にも参考になる。トルコとの緊密な関係をいかし、日本が中東の安定や経済開発で存在感を高めていくことも大切だ。

 

さて、3紙を読み比べて、どうように思われましたか?

 


異常気象と種蒔き

2013-08-13 | 社会現象

連日の猛暑。

東京では最低気温が、30度を超え、観測史上初めてのことである。

また、高知県四万十市では3日連続の40度超えで、41度という日本記録を樹立(?)した。

一方で、山口県や秋田県等での集中豪雨。いやゲリラ豪雨で被害が出ている。

昨日は、東京でも異常豪雨で、23区内で床下浸水、床上浸水というニュースを聞いた。

私の小さいころは、神田川が氾濫し、床上浸水のニュースをたびたび聞いた記憶がある。

その後、都内では、地下河川が発達し、そのような水害のニュースを聞くことが皆無であった矢先のことで、びっくりした次第である。

この地下河川、日常生活において、国民の目に触れることはまずない。

直径12mを超すトンネルが、地下数十mに、はりめぐらされている。

「縁の下の力持ち」として活躍しおり、都民の快適な生活の一端を担っている。

有難いことである。

 

ここで、何を考えるかである。

一つ目は、異常気象である。

この異常気象、地球温暖化の一つの現象である。

その原因は、昨日、今日の出来事ではない。

10年前、20年前、30年前から地球温暖化の原因の種を蒔き続けている。

今でも、中国やアメリカを筆頭に排出ガスを出し続けている。

その結果が、地球全体で、偏西風の流れが変化して、世界各地で異常気象が起こっている。

おそらく、この冬も例年にない気象になると思う。

あと数年もすれば、この異常気象が通常になるかもしれない。

40度を超す「酷暑」という言葉も生まれるだろう。

人間は自分のエゴを通すために、自分軸で考え、その種を蒔き続けてきた。

その結果が、今である。

 

二つ目は、地下河川である。

昭和60年代から地下河川の工事はやっている。

20年、30年かけてやっと「神田川・環状七号線地下調節池」が完成した。

 http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2008/04/20i4m201.htm

投資したお金は計り知れない。

しかし、国民の生活を守るために、税金を使ってやることには意義がある。

 

これから、10年後、20年後、

また自分たちの子孫のためにどのような種を蒔くか、

人類の知恵の見せ所である。

 

 


DJポリスは心理学者?

2013-06-12 | 社会現象

DJポリスが「警視総監賞受賞」という、さわやかなニュースが入ってきた。

DJポリスは、今話題の人である。

 

なぜ、DJポリスが人気あるのだろうか?

少し掘り下げて考えてみたい。

 

渋谷ハチ公前のスクランブル交差点がある。

年に何回か渋谷にいくが、その込み方は凄まじい。

行ったことがある人ならば、その凄さは知っていると思う。

普段でも歩くのもやっとであり、あの人々をコントロールすることなど不可能に近い。

 

それをあのDJポリスはやってのけたのである。

それもサッカーW杯出場を決めた夜のことである。

ここに集まった群衆は、普段の歩行者と違った群衆である。

異常に興奮しており、暴徒化しやすい、若者の集まりである。

群集心理として、理解はできるが、それをコントロールしたというのだから、このDJポリスはただ者ではない。

TV等にコメンテータとして出演している心理学者でも、このように上手くはいかないだろう。

 

そこで、「新聞やネットに載っている』名言を集めてみた。

 

「サポーターは12番目の選手です。ルールを守りましょう」

サポーター心理を巧みについている。

サッカーは11人でやるスポーツ。

それを12番目の選手ということで、サポーターの参加意識を高めている。

 

赤信号に切り替わると、

「車を通してください。ドライバーにもサポーターはいます。

日本代表はフェアプレーで有名。

皆さんもルールとマナーを守ってください」

と交差点内に立ち止まらないように誘導。

 

これはサポーターが知っている「日本選手のマナーの良さ」

自分がルール破れば、日本代表が笑われる、というサポーター心理を巧みについている。

 

さらに、青信号になると

「ゆっくり前に進みましょう。

けがをしてしまっては日本代表のW杯出場も後味が悪くなる」

と誘導している。

 

これも、人間の心理を的確にあらわしている。

日々、心理学を勉強し、実務で実践しているからできる技だと思う。

 

交差点付近で胴上げが始まると

「それはイエローカードです」

とやんわり制止している。

 

人間、「ダメだ」と言われると反発したくなる。

特にきつい言葉で「やめろ!!」とでも言ったなら、どこかの国のように、興奮している若者は暴動化することは予想される。

そこを「イエローカード」というサッカーで使っている言葉を利用して、ソフトに注意を与えている。

いくら興奮している若者も判断力はある。

むしろ、熱狂的な人間に対して、穏やかに話すことで、興奮している相手の気持ちを静める効果がある。

20代のDJポリスは、同じ世代である若者の心理を読んでいる。

 

「警備にあたっている怖い顔をしたお巡りさんも、皆さんと気持ちは同じです」

 

まずは「怖い顔をしたお巡りさん」ということで、自虐ネタではないが、自ら一歩引き下がることで、相対的にサポーターの気持ちを大切に扱っている。

 

「皆さんと気持ちは同じです」

この言葉には、多くの若者は驚いたのではないだろうか?

お巡りさんの気持ちを、素直に表現している。

普段怖い顔をしたお巡りさんが、自分の気持ちを語ることなど考えもしなかったことである。

「心の中ではきょうの日本代表のW杯出場を喜んでいるんです」

それを「心の中では・・・」と自己開示することで、親しみやすさや安堵感を醸し出している。

 

「皆さんのチームメートです。チームメートの言うことを聞いて下さい」

 

さらに、「チームメートです」と一体感を表し、サポーターの気持ちに訴えている。

 

この効果は、当日だけではないだろう。

長い目で見れば、その効果は、計り知れない。

とかく敬遠しがちなお巡りさんの印象を、グッ~と良くしたと思う。

 

久しぶりに爽やかなニュースに出会い、ニコニコ気分である。

 


高校時代の教え

2013-05-19 | 社会現象

高校時代の先生から教えていただいたことで、覚えていることの一つに

「真実と事実」

がある。

この「真実と事実」をよくわきまえること

と言われたことを鮮明に記憶している。

世の中には、事実ではあるが、真実でないことがある。

そのことをしっかり見抜ける人間に育ってほしい。

当時の先生は、このようなことを生徒に教えていた。

 

この言葉について、最近の新聞・雑誌・TV等の報道をみると、

当時の先生は素晴らしかったと、心から思う。

 

「真実と事実」

 

別な言い方をすれば、「全体と部分」に近いかもしれない。

部分は全体に含まれているが、全体を表すものではない。

例えば、某知事の発言のごく一部を大々的に報道した海外の某新聞社。

確かに、部分は事実であるかもしれないが、全体を表しているものではない。

本来、取材する側は、事実という情報をたくさん集めて、

真実は何か、

ということを報道するのが役目だと思う。

取材した情報を発表するのであれば、

重箱の隅を突っつくのではなく、

本当の真意は何か、

ということを言うべきであろう。

それが、取材した側の責務である。

某知事の件に関して、今のマスコミの報道手段として当然だ、

だから某知事が気を付けるべき、と某新聞でみたが、

そのモラルの低さには驚かされる。

 

話す方は、信頼関係の中で、様々な話をしていると思う。

1時間2時間と話していれば、多少の脱線もあるだろう。

その点、昔の報道は、偉かったと思う。

多少の脱線があっても、取材側の判断で適切に処理したり、

真意を質して、真実を報道していた。

そこには、両者の信頼関係が成り立っていたと思う。

そのため、読者は新聞等の主張は、真実と受け止め、信じていた。

しかし、最近の報道をみると、上げ足をいかにすくうか、

それを競っているようで情けない思いがする。

部分ばかり、それもほんの一部分だけを大々的に報道している。

視聴率さえ稼げればよい。そんな風潮なのか。

本当の真実なんて、視聴率がとれないから、関係ないのであろうか。

これこそ、ごく一部の事実であって、真実ではないと願いたい。

これからは、

真実か、事実か、

受け止める我々が、しっかり判断しなければならない。

そのような時代になっている。

高校時代の先生は、本当に素晴らしいアドバイスをくれたと感謝している。

 


テレホンカード

2013-03-16 | 社会現象

今の時代、テレホンカードを使う人はいないだろう。

売ってもいないと思うし、使える公衆電話も見かけない。

 

今朝のラジオによると、実は、このテレホンカード、

25年前に第1回の日本クリエイション対象を受賞している。

今年は、東京駅をはじめ10件程度が受賞している。

今ネットで、調べたのでどのような賞なのかわかったので引用する。

『本制度は、「より豊かな生活文化の創造に貢献したクリエイション・ワーク」を顕彰するもので、製品、技術、芸術・文化活動、地域振興、環境、福祉などジャンルを問わずクリエイティブな視野で、新たな時代を切り拓いた人物や事象を表彰し、その素晴らしさを広く知らしめていくことを目的としています。』

新たな時代を切り拓いた人物や事象』ということである。

確かに、テレホンカードは画期的であった。

それまで、10円玉を気にしながら電話をしていたが、テレホンカードの出現で生活のスタイルが一変したのを記憶している。小銭を気にせずに電話をかけることができた。

さらに、アイドルの写真が絵柄になるなど、様々な絵柄がでてプレミアム商品になったものも数知れない。

このテレホンカードは確かに新たな時代を切り拓いき一時代を築いた事象である。

ケータイ電話やスマートホンが当たり前の今の若い人にはわからないと思う。

 

良く考えてみると、このテレホンカード、世の中にデビューしたのは、たった25年前である。

しかし、今では過去の遺産である。

このスピードの変化は驚きである。

インターネットの出現から世の中の変化が驚くほどはやい。

今主流のものも、後10年もしたら過去の遺産になるものが多数あるであろう。

一方で、何百年も続いている伝統工芸もある。

 

これからの時代、新しいものを追いかけることも大切かもしれないが、

今後10年後に存在するかどうか、モノを見極める洞察力がより重要になると思う。

この洞察力の如何によって、その人の人生も左右されることだろう。

 

今朝、ラジオを聞いて感じたことである。