企業も個人も差別化の時代である。
最近、企業も個人もある意味で共通点があり、
そのキーワードが「差別化」ということに気づいた。
では、「差別化」とは何か?
簡単に言えば、企業で言えば、他社と異なること。
個人で言えば他人と異なることである。
●企業の差別化
企業における「差別化」とは、他社と異なることであるから、一般に言うと「戦略」である。
つまり、「経営戦略」とは、他社と異なることを考えて実行に移すことである。
その昔は、業界内で足並みを揃えて、それぞれがルールに従って活動していた。
市場のパイが拡大していたために、大手の指示に従っていれば、そこそこ食べることができた。
しかし、市場のパイが縮小する業界においては、昔のルールを守っていると、ゆでガエル状態になる。徐々に変わる外界の変化に気づかず、そのままアウトである。
別の見方をすれば、市場のパイが縮小する業界は、「レッドオーシャン」となる。
参加メンバーは同数で、イスの数が減っていくイス取りゲームと同じである。
まさに、「低コスト」という「血の海(レッドオーシャン)」での過当競争である。
一方で、「差別化」戦略を行っている企業は、「ブルーオーシャン」という「青い海」で気持ちよく泳いでいる。その「青い海」は貸し切りのように他のメンバーはいない。
そのために、自分の好きなスタイルでゆったりとした気持ちで泳ぐことができる。
コストも納期も適正であり、働く人々にとっても楽しい職場である。
このような「ブルーオーシャン」には、ストレスなど無縁の存在である。、
「レッドオーシャン」を選ぶか「ブルーオーシャン」を選ぶかは、企業の自由である。
が、企業のトップの考え方といっても過言ではあるまい。
●個人の差別化
では、個人の場合はどうであろうか?
今、キャリアコンダルタントの勉強をしているので、異業種のメンバーから話を聴く機会が多い。
「キャリアシート」
新規採用者、転職者は、「キャリアシート」を必ず(?)書く。
中には、手書きで2枚3枚書く強者もいるようである。
しかし、採用側からすると、その「キャリアシート」は、読まない、そうである。
なぜ、読まないのか?と言う質問に対して、「読む時間がない」という正直で単純な話であった。
採用者側の立場を考えれば、よく解ることである。
採用担当者は限られた時間内に何十枚、何百枚となる「キャリアシート」を読まなければならない。であるならば、長々と2枚も3枚も書いている大作(?)は読みたくない、というのが心情であろう。また汚い字は当然ダメである。
ここまでは、門前払いである。
次にどのような「キャリアシート」が目につくだろうか?
これも相手の立場に立つことで、今まで見えてこなかったことが見えてくる。
当たり前のことを当たり前のように書いたら、採用者はどのように思うだろうか?
答えは、「NO」である。「採用の網」にはかからない。
では、何を書くと、「採用の網」に引っかかるかということである。
変わったこと、特別なことを具体的に書いてあれば、当然、採用担当者の目を引き付けるつことができる。
例えば「学生時代に4年間の夏休みを利用して自転車で日本一周。宿は地元の人を交渉して無料民泊」と書いてあれば、すぐに内定されるだろう。
4年間の具体的な計画。その計画を達成したという事実。さらに「無料民泊」という交渉力。素晴らしい成果であり、「交渉力」という秀でた才能である。
このような学生であれば、一般の学生と異なることは明らかであり、企業からすれば欲しい人材である。
このような趣味(?)から生じた成果を、企業にアピールするように「キャリアシート」に書くことができれば、どのような大学であっても、立派な「差別化」として成り立つ。
●差別化の時代
では、学校教育では、どのようにキャリア支援をしているのだろうか?
文科省の方針では、「キャリア教育」を行うために様々な指針が出ているようだ。
しかし、浸透は不十分とのこと。
なぜ、浸透しないのだろうか?
恐らく「受験」という大きな壁が、妨げているのではないだろうか?
良い大学を入るために、勉強する。
しかし、「大学に入学すること」は最終ゴールではない。
大切な目標であるが、長い人生を考えると、目標の一つにしか過ぎない。
「最終ゴール」と考えてしまうと、4年間の学生時代が、アルバイト化してしまう。
「アルバイト」は否定しないが、将来についてしっかりと考える必要はある。
将来、どのような状態になりたいのか?
そのためには今自分は何をすべきか?
じっくり考える必要がある。
●夢の実現
「将来の姿」それが「夢」というモノである。
自分の夢に向かって何をすべきか?
ピアノでも絵画でもOK。体操の選手もOK。
何でもアリである。
自分の好きなこと、食事を忘れてしまうほど好きなこと。
好きなことに没頭できれば、これほど幸せなことはない。
好きなことであれば、当然興味は湧く。
興味があれば、一生懸命に調べるし、研究もする。
スポーツや芸術などスキルのモノであれば、一生懸命に練習する。
試合などに出て負ければ、反省点が見え、改善のステップにつながる。
これを繰り返すことで、さらにスキルアップとなる。
このようなことを繰り返すことで、人と違った人生を築くことができるだろう。
先ほど例に挙げた「自転車人生」も同じである。
彼の場合であれば、好きな自転車に囲まれて「自転車メーカーの営業マン」として一生過ごすことが可能である。
先ずは自分の好きなことを見つけて没頭することである。
それを職業に結びつけるヒントを与えるのが親の役目であろう。
プロ野球のイチロー選手、ゴルフの石川遼選手の生い立ちを見てみると、よくわかる。
親の役割として「差別化」のコーチに徹している。
その結果、子供の「夢の実現」に繋がっていることがわかる。