hakuunの未来ノート

将来のため、人生やビジネスに関して、考えたこと、感じたことを綴ります。

ビルメンテナンス業の収益の高め方

2012-08-09 | 企業経営

今日は、「稲盛和夫の経営塾 Q&A高収益企業のつくり方(日経ビジネス文庫)」を引用することで、企業経営について学びたい。なお、『 』が引用となる。

本日のテーマは、「第一章 高収益の基盤を築く」から高収益体質をつくる具体的な方法について学ぶ。
今回は、ビルメンテナンス業の二代目経営者の課題である。
「トップとして何を優先課題に取り組むべきか」との悩みに対して、
稲盛氏は、「現場に出て、泥まみれになって仕事に精通すること」とアドバイスを送っている。

そのポイントを列記する。


●採算単位を細分化せよ

『ビルメンテナンス業は、ビルの清掃や空調、動力関係など、いろんな機械のメンテナンス全般を引き受ける仕事ですから、そういうノウハウ、知識を持った従業員さえいれば、たとえ競争は厳しくとも、創意工夫により、いかようにでも事業が展開できる、たいへん面白いビジネスだと思う』

『なぜ経営がうまくいっていないのか。それは、あなた自身がビルメンテナンスの事業を良く理解していないのが原因である。お父さんの跡を継いで、漠然と仕事を続けておられるから、そうなってしまったと思う』

『あなたにとっては、まず現状を正しく把握することが必要である。たとえば、事業を清掃部門、設備管理部門等に大きく分けて管理しておられるが、ビルごとに採算を管理していないと思う。それではドンブリ勘定も同然である。私(稲盛氏)がもし、ビルメンテナンスの会社をはじめるとすれば、採算単位を細分化し、経営の実態を詳細に把握しようとする』

『一つひとつのビルの仕事を細かく分けて管理していくと、どのビルのどの部門が儲かっているか、赤字なのかが明確になり、採算を上げるためにどのような手を打てばよいものか分かるようになる。つまり、それぞれのビルの各事業を独立採算で管理することにより、各々の採算を向上させることができる』

『採算が向上し、それぞれの部門で利益が出るようになれば、他のビルからも同じような仕事の注文をとってくる。そうすれば売上も利益もどんどん増えるので、あなたたちも経営が一段と面白くなるはずである』


●業績を直接ボーナスや賃金に反映してはならない

『賃金制度ですが、部門ごとの業績に連動してボーナスを増減する方法を、京セラはとっていない。稲和塾でもそれはいけませんと堂々と言っている。
なぜなら、人間というのは、業績が上がり、ボーナスが上がる時はみんなが喜ぶが、業績が下がり、ボーナスが下がるときは、やる気を失ってしまうからである』

『部門ごとの業績によってボーナスを上下するということは、あまりにもドライな方法であり、計画以下の利益しか出ない部門の人間はやる気を失ってしまう。一時的にボーナスが増えて喜んでいる部門も、計画以上に利益が出なくなり、ボーナスも増えないとなれば、急に醒めてしまい、意欲がなくなる』

『ですから、京セラでは、業績のいい部門には、ボーナスで報いるのではなく、その功績を賞賛することにしている。「みなさんの部門が良く頑張ってくれたおかげで利益が増え、会社全体としても収益が上がり、みんなのボーナスを増やすことができました」と言って、精神的な栄誉を与えている』


●核となる事業に徹し、オンリーワンを目指せ

『ですから、今は新しいことを次々考える必要はない。あなたはビルのメンテナンス事業と清掃事業に徹するべきである。清掃事業であれば、「掃除のことなら私どもにお任せください。床もタイルでも、どこよりもピカピカにしてみせます」と言えるように技術を磨き、誠意あふれるサービスを提供することである。そうしてお客様の信頼を得ることができれば、注文が次々と舞い込むはずである』

『そうするためには、まず自分の仕事をよく知ることである。難しいことをすることが立派なことではない。単純な仕事でいいから、狙いを絞って、それに打ち込むべきである。それにはまず、あなた自身が現場を知ることである。実際に自分で掃除をしてみて、どういう装置や道具を使って、どうすればうまくいくか、どうすれば効率が上がるか、身を持って体験することである』

『あなたの場合、今まで管理職を中心にやってきたので、末端の仕事を良くご存じないと思う。もっとスマートな経営をしたいというので、人事評価をどうしようかとか、マニュアルづくりを進めようかとか、そんなことばかり考えている。本当の経営は綺麗ごとではなく、もっと泥臭いものである』

まさにその通りである。
今までに何件か、経営改善の支援をしてきた。
特に、二代目・三代目の経営者に共通事項がある。
若いころ数年ないし10年ほど、他の会社に勤めている。
その後、途中入社で父親が経営する中小の会社に、常務や専務で入ってくる。
そこで、今まで自分が勤めていた会社と同じように、マニュアルをつくろとする。
戦略だ、管理だ、営業だ、といって現場業務にタッチしていないケースが散見した。
このような会社は、やはり上手くいっていない。
稲盛氏が言われるように、経営は泥臭い仕事であることを身を持って知るべきと私も思う。

稲盛氏は続く。

『数か月でいいから、現場をつぶさに見て歩きなさい。現場を知らずに、「ああせい、こうせい」と言っても、誰も話を聞きません。あなた自身が仕事の要点を把握し、業績内容からコストまですべてを見ることができて、初めて核心を突いた指導ができるようななる』

『現状を調べ上げて、必要な対策を打ち、利益率が1割でるところまで持っていけば、従業員も張り切るし、あなた自身も事業に対して面白味が出てくるはずである。利益が出るようになれば、営業ももっと積極的になる』

『私(稲盛氏)は、いつも最低でも利益率を1割は出しなさい、と言っているが、中には1割なんてとても出せないと思っておられる方がいる。しかし、出ないと思っているから出ないのであって、どうしても出すと思えばできるはずである。利益が出ないことには、働いている従業員も経営者も元気が出ない』

『今の会社で1割の利益率が出せない人は、どんな会社の経営を任されても1割の利益率を出せないだろう。それはその人が「いや、それは無理だ」と思っているから、それが心理的なバリアとなり、1割の利益率が出せないのである。「必ず出せる」と思ってとことん取り組めば、どうすれば利益を出すことができるのか、自ずと見えてくるはずである。そうして会社の規模と利益が大きくなってきたら、今度は進んだ経営の仕組みをつくっていけばいい』


●バランススコアカードの4つの視点

バランススコアカードでは4つの視点で判断している。

学習・成長の視点
⇒内部業務プロセスの視点
⇒顧客の視点
⇒財務の視点
となっている。

もっと簡単に書けば
人材の視点
⇒仕事のやり方の視点
⇒お客様の視点
⇒収益の視点

人がやる気を出せば、
⇒創意工夫して業務が効率化する
⇒その結果、お客様が喜び
⇒利益もでる。

このサイクルが回ることで、業務の質が向上して、利益率1割が達成できるのだと改めて思う次第である。


●結論

「何が何でも、利益率1割を必達せよ!」