hakuunの未来ノート

将来のため、人生やビジネスに関して、考えたこと、感じたことを綴ります。

企業教育の必要性

2012-08-06 | 企業経営
●企業教育について

「企業は人なり」というように、その企業で働いている従業員のレベルによって、その成果は大きく異なる。
大手企業では、優秀な人材が入ってくるが、中小・零細企業では、一般的な人材しか入ってこないのが現実であろう。そこで、入ってきた人材をいかに教育して、その企業で活躍できる人材を作り上げるかが、その企業の大きな課題である。
人材育成は、それなりの投資が必要であるので、経営者がその気にならなければ、人は育たない。
人材育成は、最後は経営者の執念と言っても過言ではない。


●従業員が保有する「顕在能力」と「潜在能力」

企業においては、業績は非常に重要である。
この業績に対する貢献度に応じて、従業員個人を評価している。
従業員個人の査定として、業績に結び付いた能力、つまり「顕在能力」を評価している。
この業績は、評価した時点ではすでに過去のものである。
評価した時点では、企業にとって必要な能力は、将来の業績に結び付く能力である。
「顕在能力」を過去の能力とすれば、将来の能力である「顕在能力」にも着目して、育成する必要があろう。


●「顕在能力」と「潜在能力」の関連性

「顕在能力」と「潜在能力」の関係性は、海に漂う氷山に例えることができる。
一般に氷山は、水面上に見えるのはわずかであるが、水面下には山のような塊が存在している。
海面から上に見えるわずかな部分が、「顕在能力」である。
一方で、水面下にある巨大な塊が「潜在能力」である。
この氷山を少しでも浮上させることで、その「顕在能力」は拡大し、企業の業績に反映することは言うまでもない。


●3つの企業教育

この氷山を浮上させる一般的な方法が教育である。
特に企業内の教育には、3種類の教育を用いて、この氷山を浮上させている。

・職場外教育:OFF-JT:Off The Job Training
・職場内教育:OJT:On The Job Training
・自己啓発:S・D:Self Development

この3種類の教育は、それぞれの役割があり、単独ではその効果は限られているが、組み合わせることで、その効果をより高めることができる。


●職場外教育:OFF-JT:Off The Job Training

<概論>
職場外教育は、テコの原理を用いて、氷山全体を持ち上げるイメージである。
具体的には、社外研修など職場での業務を離れて行われるトレーニングや教育のことである。
これらの教育は、職能資格制度を基に賃金制度、人事考課制度、能力開発制度などをお互いに連結させた人事トータル・システムの導入・整備の一環として行われるものである。

<期待効果>
・一般論、原則論等の基礎知識を習得することができる。
・企業全体の平均的なレベル向上を期待することができる。

<課題>
・企業全体のレベルアップのため、企業全体の必要能力の構成と、その「教育体系」の確立が必要である。
・教育はスキルであるため、1回だけの教育ではその効果が確認できにくい。継続することでその期待効果を得ることができる。
・受講者が、受身となりやすいので、個人ワーク、グループワークなどを取り入れることで、積極的な参加を促す必要がある。
・「OFF-JT」は集合教育のため、個別指導が困難である。「OJT」と組み合わせることで、個人能力のレベルアップを図ることが必要である。


●職場内教育:OJT:On The Job Training

<概論>
職場内教育は、上司が水面下に潜り、氷山を押し上げて、隠れている部分を海面上の上げるイメージである。
職場内での仕事に直結したした教育ができ、個々の能力に応じた教育が可能である。

<期待効果>
・上司が直接立案し、計画的に行うことで、段階を追って指導することができる。
・受講者は、職場内で仕事に直結した実践的なノウハウをマスターすることができる。
・必要能力の期待度が明確であり、個別に指導することができる。
・実際の現場で、成果を確認することができる。
・成果の状況に応じて、修正を行い、フォローアップ教育が可能である。
・繰り返しのOJTにより、確実に個人のレベルアップを図ることができる。

<課題>
・上司の熱意と能力の違いで、成果が異なるため、組織は上司へのフォローが必要である。
・資格等級別に、個人が到達すべき期待能力水準「職務遂行基準」を設けておく必要がある。


●自己啓発:S・D:Self Development

<概論>
氷山全体の体積を増やすことによって、海面直下の部分を浮上させることである。
それは、従業員の自己啓発によって能力全体を向上させることを意味している。

<期待効果>
・企業が投資しなくても、個人で必要な能力開発を行うことができる。
・企業が期待する以上の能力を発揮することができる。

<課題>
・自己の意志で自己能力向上と人間性の形成を図る必要がある。
・かなり強烈な目的意識と、将来のあるべき姿(目標)を明確にする必要がある。
・自己流では限界がある。よき指導者(先輩、上司)にめぐまれることが必要である。そのためには、普段の謙虚さと努力が必要である。
・組織(上司)は、自己啓発で培った個人の能力を、組織的に使いこなす必要がある。


●教育の基本ステップ

○覚えること・・・主にOFF-JT

学問でもスポーツでも、会社経営でも、基本が大切である。
囲碁や将棋であれば、定石を学ぶ。
野球やゴルフであればバットやクラブをひたすら振り、型を覚える。
基本や定石は、もっとも無駄が省かれたものであり、すべての基礎となるものである。
企業経営や経営管理も同じである。
現場管理などの工事管理規定は、最低限やるべき項目が網羅されており、現場管理のエキスが充満している。
であるから、最初はOFF-JTにおいて、基本を覚えることが重要である。

○考えること・・・主にOJT

一方で、現場に出てみると、基本と異なる場合がある。
たとえば、ゴルフの場合、コースに出たとしよう。
練習場のマットの上で、練習して真直ぐに飛ぶようになったとしても、コースではなかなか上手くいかない。練習場は真っ平らであるが、スタートのティーグランドは排水を良くするために、微妙に傾斜している。そのため、練習マットとは違う結果となる。
このように基本と現実が異なるということを、肌で感じ取り、その原因を考える必要がある。
その際、コーチ役である上司からアドバイスをもらうことで、真直ぐに飛ばすことが可能となる。
仕事でも同じである。
基本は基本でるが、現実は応用問題である。
基本なくして応用問題ばかり解いていると、砂上の楼閣になる。
勉強も仕事も基本を忠実に鑑み、大局的にとらえて実行する必要がある。

○悟ること・・・主にS・D

今オリンピックの真っ最中である。
卓球女子は、金メダルがかかっている。
福原愛選手や石川佳純選手は、小さい時から卓球をやっており、基本を叩き込まれている。
そのため、頭では考えなくとも、手や足は条件反射で動く体質になっている。
石川選手は、同じフォームからから30種類以上の「投上げサービス」をすることができるという。
これは今まで持っている知識や経験を新たに組み合わせた創意工夫の結果である。
創造は、強烈な役割意識と問題意識があって初めてできるものである。
オリンピックで金メダルを目指す彼女たちは、自己啓発(S・D)の結果、素晴らしい人間性も自ずと出来上がっているに違いない。


●蛇足

本日のブログで、100回目の投稿である。
文字数も29万字を超え、30万字近くなっており、我ながらビックリしている。
今後とも、無理せずに継続していきたいと考えている。