hakuunの未来ノート

将来のため、人生やビジネスに関して、考えたこと、感じたことを綴ります。

なぜ、本を読むのか

2015-12-24 | 人生観

 「本を読め」という言葉は、最近聞くのだろうか?

電車に乗ると、本を読んでいる人が非常に少ない。

半数以上の人がスマホを持っている。

たまに隣の人の画面が目に入るが、ゲームをやっている。

スマホが世の中に出現する前は、当然このような現象はなかった。

それぞれの価値観に従ってやっていれば何も言うことはない。

 

スマホが普及率するにつれて、本を読む人が減っている。

実際に、本屋さんがつぶれている。

私が知っているだけで、この1~2年間に4件の本屋が看板を降ろした。

世の中のニーズが変わったといえば、それまでのことである。

 

では、本を読まなくなった人たちはどうしているのだろうか?

私自身は、一ヶ月に数冊程度、能書きを言うほど本は読んでいない。

でも、言いたい。

なぜ人は、本を読むのか。

小説であれば、ワクワクドキドキしながら疑似体験をして感動したい。

最近TVで放映された「下町のロケット」などはこの部類だ。

芥川賞作品などは、登場人物の心の変化を堪能するのではないだろうか。

これも楽しいひと時だ。

 

一方で、名著と言われる本がある。

長い期間、人々に愛されている本だ。

「論語」や「聖書」は、世の中にでてからどれだけ多くの人が読んでいるか計り知れない。

息の長い本は、時代が変わっても、読む人に届くメッセージは不変なのであろう。

「源氏物語」や「枕草子」も千年もの間、日本人に愛されている名著であろう。

 

いつの時代も本は書かれているが、世の中が激変した明治時代にも名著といわれる本がたくさんある。

その一つが「代表的日本人」(内村鑑三著)

西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮上人の5人について書かれている。

この本は、日本の文化や思想を5人の人物を通じて欧米社会に紹介した本であり、もともとは英文である。

有名な話であるが、故ケネディ大統領が尊敬する日本人として上杉鷹山の名前を上げている。

大統領はこの本を読み、感銘したのだと思う。

この本は、明治時代以降の若者の必読書である。

 

「人生の目的は何なのか」

 

「どのように生きるべきか」

 

多くの青年が悩んだテーマに対する答えがこの本には書かれている。

 現在は、岩波文庫にワイド版があり、読みやすい。

 本を読むのも自由、読まないのも自由である。

しかし、良い本と言われるモノは、人々の人生に影響を及ぼしている。

若い時に、名著に出会うか出会わないか、その人生は大きく異なるであろう。


塩沼大阿闍梨

2015-12-07 | 人生観

先日、塩沼大阿闍梨にお会いした。

私は、仏教の世界について知らない。

昨年亡くなられた酒井大阿闍梨の本は何冊か読み、興味を抱いていた。

酒井師は、比叡山千日回峰行を二度満行して大阿闍梨になられた方である。

 

当時、酒井大阿闍梨の満行の様子をTV放送で見ていた小学生がいた。

その姿に感動して、将来自分も阿闍梨になると心に決めた少年が塩沼大阿闍梨である。

当初は、酒井師がいる比叡山で修行する予定であったが、大峰山の千日回峯行の方が厳しいということを知り、大峯山を修行の場に選んだという。

この時は、まだ19歳の少年だ。

その覚悟は凄まじい。

何せ1300年の歴史で、大峯山の千日回峯行を満行した人は塩沼大阿闍梨で2人目だ。

オリンピックで例えれば、金メダルを10個も20個も取っているような超人レベルの方である。

 

このような修行をした方のイメージは怖いお坊さんのように思うが、お会いすると全く異なる。

優しい笑顔で、素敵な心の持ち主である。

さらに、修行僧として、難しい勉強をしているはずだが、難解な言葉は一切ない。

世間には往々にして専門用語や難しい言葉を使い、自分の権威を保とうとする人がいる。

しかし、大阿闍梨は全く違う。

仏教の修行で学んだ難しいことを、一般庶民でもわかる優しい言葉に置き換えて話してくれる。

 

大阿闍梨のお話の中に、「山の行より里の行」と言う言葉がある。

厳しい山で修行することも大切であるが、日常生活の中でいかに生きるか、という課題。

当たり前のことであるが、当たり前のことに気づいてそれを実行することの大切さ。

 

一般の凡人は、後悔する日々を送っている。

今日の仕事でミスをしてしまったとか、

家族に厳しい言葉を言ってしまったとか、

後悔して、反省する日々、これが普通の人ではないだろうか。

 

塩沼大阿闍梨のすごいところは、後悔しないこと。

そのためには、日々全力を尽くすこと。

相撲の星取りであれば、8勝7敗で勝ち越しであるが、

千日回峯行の修行では、1000勝0敗でならなければならない。

いい加減な気持ちで修行しても、表面的には見えないが、人様に対して自信を持ってお話をすることが出来ないという。

1000日間、全力を尽くして修行してきたこと。

この自信が、大阿闍梨の一つひとつの言葉ににじみ出ている。

今のお姿は、もう一歩上の段階にいる。

山の修行を終えたが、もっと大切なことは、日常生活をどのように生きるかであるということ。

日々の生活において、千日回峯行以上に全力を尽くすことが大切である、ということを言っていた。

日々全力を尽くしているから、反省することはあるが、後悔することはないと断言している。

 

そのためのヒントが、塩沼師が最近出版された本「人生で一番大切な三つのことば」にある。

 

三つの言葉とは、「ありがとう」「すみません」「はい」

 

誰もが知っている大切な言葉である。

 

この三つの言葉は、「感謝」であり「反省」であり「思いやり」である。

 

日々全力を尽くし、感謝し、反省し、思いやりのある行いをすること。

これを行うことで、誰もが幸せな人生を送ることが出来るという。

 

この本には、人生を上手に生きていくためのヒントが満載である。

 

人生の指南書として、一読する価値がある本である。